とある外道の6人組   作:毛糸ー

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新約5・6巻編は様々思惑やら行動やらが絡み合っているせいで一つを改変するとジェンガ式に辻褄が合わなくなる……。


4.ガバはさっさと埋めること

――第七学区:裏路地――

 

 マリアン=スリンゲナイヤーとベルシ、そしてマリアンにドラム缶めいて改造された魔術師、ミョルニルは第七学区の裏路地を走っていた。トールから自分達が学園都市に捕捉されたという情報を聞き、新たな隠れ家を探しているのだ。

 

 ……実際の所、その情報はトールの虚偽である。彼はフロイライン=クロイトゥーネを助けるために上条と共謀し、オッレルス一味と『グレムリン』を撹乱せんとしているのだ。無論、『グレムリン』メンバーが学園都市に捕捉された証拠として持参した手配書も偽物である。

 

 ベルシは朧気ながらトールらの狙いを察し、()()()()()()()()()。彼本人としては、フロイライン=クロイトゥーネの犠牲を無しに出来るならそれに越したことは無いと考えたからだ。

 

 

 そもそも『グレムリン』は、魔術師の究極到達点たるオティヌスを頂点とした組織であり、構成員は彼女に各々の願いを叶えてもらうために服従している。その願いを叶えてもらうために必要なのが『グングニルの槍』と呼ばれる霊装である。

 

 その槍を作るためにハワイでのキラウェア山噴火作戦、バゲージシティでの『全体論の超能力』実験、ひいては今回のフロイライン=クロイトゥーネ確保があるのだ。

 

 

「ベルシ、隠れ場所の候補はあるのか?」

 

 マリアンは走りながらベルシに問う。この学園都市は彼の古巣であり、新たな隠れ家、それも学園都市に捕捉されにくい隠れ家を知っている可能性が高いからだ。当然、ベルシも元は学園都市の科学者であるため、その暗部には詳しい。

 

「ああ、ここを曲がればすぐだ」

 

 ベルシはマリアンらを学園都市に設けられた隠れ家に誘導せんとした。だがその時!彼の腕に血で真っ赤に染まった包帯が巻き付いた!

 

「ヒヒヒ……そんなに急いで、どこに行くんだァ?」

 

 物陰から現れたのは、まとう服まで血で真っ赤に染まった、ミイラめいた男。痩身の男から醸し出される異様な迫力を前に、マリアンは警戒心をあらわにしながらも、動けぬ。片腕を拘束されたベルシが男を誰何する……!

 

「……誰だ貴様は」

「ヒヒヒヒ!ここで死ぬ奴に、教えて意味あるのかい?ジョークの才能があるよ!ヒヒヒヒヒヒ!」

 

 男は爆笑しながら、キリングオーラを吹き出す!……読者諸君はこの不審者めいた男に覚えがあるであろう!上条当麻やトールを脅した『鋼龍』所属の3人の一人、六角散々である!明らかな手練れアトモスフィアを見て取り、ベルシはマリアンに目配せする!

 

(私がコイツを引き受ける。その間に隠れ家に直行しろ)

(ベルシを置いてはいけない!)

(コイツ等に時間を取られ、学園都市の者達に見つかる方が問題だ!……行け!)

 

 ベルシの決断的な目線に促され、マリアンが六角散々に背を向けようとしたその時!ミョルニルを弾丸が貫く!幸い、ミョルニルはマリアンに改造されているため、銃弾が貫通した程度では致命傷になり得ない。だが、マリアンとベルシの受けた衝撃は計り知れぬ。

 

「ミョルニル!!」

 

 マリアンが悲鳴めいて叫びながら散らばったミョルニルに駆け寄る。

 

「駄目だ!マリア……ッ!!」

「ヒヒヒィ……!良くないぞぉ、そういうのは」

 

 警告を発しようとするベルシの口に、更なる血染め包帯!警告は途中で止まったものの、マリアンの一瞬の硬直により、ヘッドショット失敗!壁に着弾!その間にミョルニルは十字架めいて変形!地獄めいた雷撃を放たんとする……!

 

――裏路地を一望するビル――

 

「……まさかアレが体の中央をぶち抜いても死なんとはな」

 

 ビルのベランダにいる灰色のコートを羽織った男が、謎めいたアンティーク狙撃銃を構えながらため息をついた。彼の名はO・スカー。血に飢えた狩人であり、先程の狙撃を行った下手人の正体であった。

 

 タタラが捕らえた『グレムリン』メンバー、シギンから聞き出した『グレムリン』所属魔術師の情報は当然『鋼龍』にも横流しされていた。ゆえに、O・スカーは謎めいたドラム缶存在が電撃を得意とする魔術師の成れの果て、ミョルニルだということを悟り、最初に狙撃したのだ。

 

 だが、ミョルニルの改造は彼らが想像していたよりも遥かに深いものであったらしく、ど真ん中を撃ち抜いてやっても余裕で活動している。アンティークスコープを見ながら、O・スカーは冷や汗を流す。ミョルニルが変形しあからさまに危険な電撃の体勢に入っているからだ。

 

 明らかにベランダを移動すればどうにかなる規模の電撃ではない。この建物ごと、いや下手すればこの街区ごと吹っ飛ぶだろう。O・スカーはせめて人体改造褐色裸オーバーオール女、マリアンを道連れにするためにアンティーク狙撃銃を向ける。

 

 だが、必要なかった。アンティークスコープを覗いた先では、散々が右腕から鞭めいて包帯を振るい、十字架めいたミョルニルを切断!左腕からは包帯が飛び出、木原加群、別名ベルシを拘束している……!

 

 マリアンはあの狙撃失敗から注意深く立ち回っており、致命部位を狙撃する機会は巡ってこない。またベルシも、シギン曰く下手に怪我をさせると強化されるため、下手に狙撃できぬ。ゆえに、O・スカーに出来ることは良い狙撃ポイントを探すか、待つことだけだ。

 

(まぁいい。待つのには慣れている。()()が隙を晒せば撃ち殺すだけだ)

 

――学園都市のどこか――

 

(あーあ……面倒くせぇなぁ)

 

 トゥールスチャはフロイライン=クロイトゥーネの脳内にある、頭蓋骨と脳本体との僅かな隙間の間で、溜息をついていた。現在彼は彼女を改造してはいない。ホス卿から直々に、『改造しない方が面白そうだから手出しを控えろ』と指示を出されたからだ。

 

(はーあ、何とか適当に出来んかな……)

 

 頭蓋骨の中で揺蕩う緑の炎は、ラリった視線を漂わせ、何とか面倒な作業の手を抜かんと考える。もはや彼の頭の中には、手を抜いて楽をすることしか頭になかった。

 

(……ん?あー、あー……ああ!こうすりゃ、おれはギリギリまで寝てられるな……もしかして天才なんじゃねぇか、おれ)

 

 そして、トゥールスチャは()()を思いついた。それは確かに、彼の面倒をほとんど一掃する事にかけては素晴らしい作戦であった。だが逆に、その作戦にはホス卿の望みは一切絶たれるという致命的な欠点があることには、ヤクでラリった彼は気付けなかった……。




なんか知らぬ間に#とある20th企画が始まってて困惑してる……
私はとてもじゃないが参加できないですねぇ……これからの展開考えんと……
学園都市に現れたケイトー・ニンジャとか、誰かやってくれんかな……
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