インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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さて、問題児の登場です。


15話

臨海学校二日目、この日は各種装備の実習訓練と専用機持ち達は本国より送られてきたパッケージのテストが行われる事になっている。

だが、その場に居た専用機持ちはある疑問があった。

皆が抱いていた疑問を鈴音が代表して言う。

 

 

 

 

「織斑先生、どうして箒がここにいるんですか?」

そう聞くと千冬は

「それは...」

彼女が言葉を続けようとした途端

「ちーーーーちゃーーん」

そう言いながら千冬のもとにウサギの耳飾りを頭に着けた女性、ISの開発者である篠ノ之束が千冬のもとに走りながらやって来て千冬に抱きつこうとするが千冬はアイアンクローでそれを止める。

「いたたた、痛いよちーちゃん」

「束......自己紹介くらいしろ」

「え~メンドイ...って、言いたいけど束さんも子供じゃないからちゃーんと自己紹介するさ! 私が天才! 篠ノ之束さんだよ~ん! よろー」

『なっ!?』

この時、古くから束の事を知っている人物であるなら驚かずにはいられない。”あの”束が何の文句も言わずに自己紹介をしたのだから。

自己紹介を終えると束はある人物の方を向く。

「......久しぶりだね。いっくん」

「えぇ、随分と変わりましたね」

「そうだね...。いっくんが居なくなってから束さん変わったよ。 でも、本当によかったよ! 世界中の監視カメラや衛星を使っても見つからないんだもん!!」

サラッとトンデモ発言をする束だがここ最近、似たようなことをしている人物が身近にいる為、特に可笑しいと思えなくなっていたイチカである。

「やあやあ箒ちゃん、久しぶりだね~、元気そうだね~」

「......どうも」

「もう! クールなのは箒ちゃんの魅力だけど、お姉ちゃんにまでクールじゃなくて良いのに~。気を取り直して。さあ、大空をご覧あれ!」

束が天を指すと空から菱形の何かが降ってきた。

「これが箒ちゃんの専用機こと紅椿!全性能が現行のISを上回る束さんお手製だよ!!」

紅いISが中から表れた。

 

 

 

 

 

 

 

紅椿の性能説明の後、箒のフィッティングをしている最中、他の専用機持ちはそのカタログスペックに唖然としていた。

現在、世界各国は漸く第三世代の開発に乗り出したのに対し、束は一人で第四世代を作ったのだから。

そしてフィッティングをしている束の指のスピード。この速さは専用機持ちの中で一番タイピングに自信のある簪ですら霞んで見えるほどだった。

ものの数分で紅椿のフィッティングが完了してしまった。

「ほい完了。じゃあ箒ちゃん、武装のチェックをするから飛んでみて」

「は、はい......」

紅椿が空に飛び立つとそのスピードは速さにその場に居た殆どの専用機持ちが追いつける気がしなかった。

そうこうしている間に箒の武装のチェックが進む中、イチカはある事を見逃さなかった。

箒の顔が緩み、まるで新しいおもちゃを貰って喜んでいる子供のようであり、それはイチカを不安にさせるには十分だった。

「お、織斑先生!!大変です!!」

 

 

 

山田先生が血相を変えて走り、普段とはまるで違う真面目な表情で千冬に手話で何かを伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程、ハワイ沖で試験運用をしていたアメリカ・イスラエルによる共同開発第三世代軍用IS、シルバリオ・ゴスペル。通称銀の福音が原因不明の暴走、制御を受け付けずに日本に急速接近中との情報が入った。これに対しIS委員会はIS学園に対処を要請。日本政府及び学園上層部がこれを承諾した」

アメリカ・イスラエルの両国は無論追跡し、止めようとしたそうなのだがことごとく返り討ちに遭い、IS学園に救援を求めた。

自分では手が負えなくなり、他者に救援を求めるのは可笑しな話ではない。

だが、IS学園は兵士養成所と言っても過言ではないがここに通うのは素人ばかりであり、例え、代表候補生が居るとは言え、訓練と実戦は違う。

例え、急を要するからと言え、実戦経験が皆無な彼女たちにこの様な重要な任務を与えた事にイチカは呆れていた。

「さて、今回の件に対処する為の作戦会議を行う。何か意見のあるものは挙手をしろ」

千冬の言葉に、セシリアがスッと手を挙げる。

「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

「分かった。ただし、この機体の情報は重要機密だ。決して口外するな。情報が少しでも漏洩した場合、諸君等には査問委員会による裁判と最低二年の監視がつく」

そう言って銀の福音のスペックデータを起こし、表示する。そして全員がそれを目に通しながら相談を始める。

銀の福音――――シルバリオ・ゴスペルは広域殲滅を目的とした特殊射撃型。しかもオールレンジ攻撃を可能とし、機動力もある故に移動しながら広範囲に攻撃することを得意としている。

「偵察が出来ず、アプローチはたったの一回...か」

イチカは顎に手を当て考える。

(広域殲滅と言うとデストロイガンダムと似たようなモノか...。エクシアで戦闘を行うにしてもリーチ的にキツイし、火力的な面でも少し、物足りないな。 だが、GNアームズの火力と機動力なら問題ない)

これ以外にも止める方法イチカは持っているがリスクが高い。

(TRANS-AMを使えば行けるが使用後は性能が著しく落ちるし、この状態でアイツと戦闘になった場合......)

イチカは考えるのを辞める。これ以上考えると本当に起きそうで仕方なかった。

「イチカの機体が赤くなるアレが一番有効だと思うわ」

鈴音の言う赤くなるとはTRANS-AMの事だろう。

「確かにアレは機体性能を三倍以上に引き上げることが出来るが限界時間になると機体性能が著しく落ちる諸刃の剣だ。前提で戦うのなら目標まで運ぶ足が必要だ。そこで織斑先生に一つ提案がある」

「なんだ。ギルオード」

「エクシアの支援機である、GNアームズを使った作戦を要求する」

イチカはその場に居る全員にGNアームズの機体データーが見える様に表示する。

「確かにこれなら火力、機動力共に申し分ないな」

「...強襲用高機動パッケージを使ったブルーティアーズより、早いですわね」

機動力で言えばブルーティアーズや打鉄二式も申し分ないがブルーティアーズの場合、強襲用高機動パッケージを量子変換していない為、時間が掛かり、打鉄二式も高速戦闘を視野に入れて設計されている為、高速戦闘は可能だが超音速下の飛行はまだしたことがない上に、高軌道パッケージがないからだ。

「その作戦ちょっと待った!!」

と、いきなり天井の板が吹き飛び、穴から束が入ってきた。

「ちーちゃん。私の頭の中にもっと良い作戦がナウ・プリーティング!!」

「出て行け。束」

千冬に詰め寄る束の襟首を掴み、扉の外に放り投げようとするが

「ここは断然紅椿の出番なんだよ!」

「なに?」

その言葉に動きが止まった。

これを見よと言わんばかりに束が指を鳴らすとモニターが紅椿のデータに変わった。

「紅椿は高機動パッケージ無しでも超音速飛行が可能なんだよ!それはさっき見たでしょ!?」

「......」

「でもって、展開装甲を調整すれば、すぐにでも出撃は可能だよ!!」

「......それはどれくらいかかる?」

「ざっと七分!!」

「よし、ではギルオードと篠ノ之の両名の出撃にする。何かあるか」

その言葉に真っ先に挙手したのはイチカだった。

「異議あり。実戦経験...ましてやここ最近、動かした素人を連れて行くのはリスクが高すぎる。もし、箒も作戦に参加するのであれば箒は何もせずに待機、俺一人だけでやらせてくれ。その方が作戦の成功率は高い。俺一人だけで作戦を決行することに異を唱えるなら作戦空域の近くに代表候補生を配置して欲しい」

「待て一夏! 私では不服だといううのか!!」

イチカの発言に真っ先の意を唱えたのは箒だった。

「あぁ、そうだ。今のお前は新しい玩具を貰った子供の様に胸が高まり、早く新しい玩具を試したいと気持ちが高ぶってる。その証拠にお前笑ってるぞ...。そんな奴に俺の背中を任せることはできない」

「一夏! いくらお前でも容赦はせんぞ!!」

「静かにしろ、篠ノ之。ギルオードの言っている事は事実だ。だが作戦自体を変えるつもりは無いが万が一の為にギルオードの進言したように空域に時間の都合上により高速移動の出来る更識妹を配置する。これでいいな?」

「感謝する」

「ち、千冬さん!?」

一人で騒ぐ箒を無視し、千冬が命令する。

 

「よし、では本作戦はギルオード・篠ノ之の両名による目標の追跡及び撃墜を目的とする。そしてバックアップで更識妹。残りは旅館に待機。作戦開始は10分後。各員、直ちに準備にかかれ!!」

 

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