安心してください、履いてませんよ 作:とにかく明るかった安村
原作時点では、まだ脳無初戦闘時点のオールマイトと同レベルです
脳無を倒しきれなかったのは、単純にヒーローとしてのレベルや技量がオールマイトの方が上だったためです
ちなみに感想で質問があったので答えますと
相澤→〇 ト ●←脳無
↑
祢伊木戸
こんな感じで横っ飛びで間に入ったらクリティカルヒットしたイメージです
「くそ、くそ……くそくそくそっ! あいつら、絶対許さねぇ」
バーを模した一室で、死柄木弔は悪態をつく。
「脳無もやられた。手下も役に立たねぇ。子供も意外と強かった……平和の象徴も健在だった。だけど、アイツもやばかった……っ」
弔は先ほどの事を思い出しながら、モニターを睨む。
「話が違うぞ、先生……。オールマイトみたいな子供がもう1人居るなんて聞いてねぇよ。あいつの存在さえ知っていれば、もっと対策を立てられたんだ」
先生と呼ばれたモニター越しの人物は、画面の向こうで思案に浸る。
『いや、嘘は言っていない。ただ、思ったよりも弱体化していなかった……つまり、見通しが甘かっただけさ。だけど……そのオールマイトみたいな子供、とは初耳だね』
『うむ、もしやオールマイトの子供かいの? 年齢的に居てもおかしくなさそうじゃが』
先生と呼ばれた人物のほかに、男の老人の声が聞こえる。
『いや、彼には子供はいなかったはずだ。
「オールマイトみたいとは言ったが、顔は似ても似つかねー。ただ、個性がオールマイトレベルだった。さすがに本物には劣るだろうが、脳無のショック吸収をなかったことにするレベルには強い」
と、弔の話を聞き先生と呼ばれた存在は、「ふむ」と呟く。
『興味深いね。どんな子だったんだい?』
「あ? そうだな。……全裸だったな」
『何?』
愉悦に満ちた声で話していた先生は、死柄木弔の言葉に怪訝な雰囲気を醸し出す。
『ごめん。聞き間違いかな? どんな子だって?』
「だから全裸だよ全裸。イレイザーヘッドを脳無がぶっ飛ばそうってところで全裸で割って入ってきたんだ。なんで裸なんだって聞いたら『個性の都合だ』って言ってたし、そういう個性なんだろ。ただ、見た目は変態だが脳無の攻撃にも耐えてたし、只者じゃないのは確かだ」
『全裸で且つオールマイト並の力か……面白いねその子』
死柄木弔の話を聞き、先生は楽しそうにクツクツと笑う。
『まぁ、悔やんでも仕方ない! こちらの調査不足だった。だが、今回の経験は決して無駄ではなかったはずだ。まずは精鋭を集めよう! いいかい、弔。我々は今、自由に動けない。だから、君のようなシンボルが必要なんだ。次こそ、君という恐怖を世に知らしめろ!』
――闇が蠢く。
誰にも知られないようにじわじわと光を侵食する。
全てを闇に覆いつくさんと。
「ぜひとも、その子とは一度会ってみたいね……色々面白そうだ」
そして、その闇の中、先生の声だけが誰に聞こえるでもなくポツリと呟かれた。
◇
両親にはえらく心配されたが、怪我もなくて良かったと涙目で抱きしめられた。
……まぁ厳密にいえば、ダメージを負ってないわけではないのだがリカバリーガールの個性の特性上、俺のダメージ部分は絶対に治してもらうわけにはいかないので、他の治療系の個性の人に手当てをしてもらった。
もしリカバリーガールに治されてたら一生のトラウマになっていただろう。
「ん?」
そんな感じで昨日のことを自室で振り返っていると、ふとスマホが電話の着信を知らせてくる。
液晶には『叔父さん』の文字。
俺は首をかしげながらも電話に出る。
「もしもし、おじさん。どうかした?」
「どうかしたじゃなかとよ! 姉さんから聞いたばい!
あー、母さんったら叔父さんに話したのか。
電話の向こうからは心配そうな声が聞こえてくる。
「怪我はなかと?」
「うん。先生やオールマイトがいたから大丈夫。今日は臨時休校だけど、明日からはまた学校だよ」
俺がそう答えると、叔父さんは安心したように深いため息を吐く。
「まったくあんまり心配かけんでくれ。君は俺ん希望なんやけん」
「はは、そんな大げさな」
「大げさやなかばい! 君ん個性は俺と似とー。君が活躍すりゃ、俺も胸張って生きていくるったい。俺と似たような個性ん子がヒーローだってね」
母の弟である俺の叔父さん……
個性は『羞恥』。恥ずかしい思いをすればするほどパワーアップするというものだ。
がっつりパワーアップしようとすると、それこそ俺のように裸にならなければ碌に使えない個性だ。
叔父さんはそれが嫌でヒーローになるのをあきらめ、現在は会社員として働いている。
だから、余計に俺を応援したくなるのだろう。
小心者ではあるが、決して悪い人ではないので叔父さんの希望に応えたいなとは思う。
その後、叔父さんとは他愛ない会話を続け、叔父さんは休憩が終わるからと仕事に戻るために会話を切り上げて電話を切った。
「希望……か」
俺は、全裸にさえなればオールマイト並になれると思っていた。
実際、三下
そして……本家本元オールマイトは、そんな相手をあっという間に倒してしまう。
あの高みに追いつくにはいったい、どれほどの鍛錬をしなければならないか想像もつかないが……いつかはきっと、あの人に追いついて見せる。
「出久にも負けないようにしないとな」
彼の子供である出久にも、まだ調整は出来ていないが似たような個性が発現している。
出久も、いつかはオールマイトのようになるだろう。
雄英という最高の環境で頑張ろうと、俺は新たに決意するのだった。
◇
そして休校が終わり登校日。
「おはよう」
「相澤先生! もう怪我は大丈夫なんですか⁉」
翌々日。HRが始まると、全身に包帯を巻いた相澤先生が現れる。
「まぁ、動けないほどの怪我ではないしな。祢伊木戸、改めて礼を言う。
「おお、祢伊木戸すごかったらしいな!」
「轟も頑張ってたんだろ!」
ぺこりと頭を下げる相澤先生の言葉にクラス中が盛り上がる。
あの相澤先生が素直に礼を言うなんて明日は隕石でも降りそうだ。
「それよりも……まだ戦いは終わってねぇ」
「戦い?」
「まだ
相澤先生の言葉に、さらにざわめくクラスメイト達。
「「「……」」」
そして、他の面々は相澤先生の次の言葉を息を呑みながら待っている。
「雄英体育祭が迫ってる!」
「「「クソ学校っぽいの来たあああ‼」」」
そして、その後に続いた言葉によって皆は安堵しながらそう叫ぶのだった。
「待って待って‼
しかし、全員が安堵しているわけではなく誰かがそう叫ぶ。
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。何よりウチの体育祭は最大のチャンス。
確かにそうだ。
雄英の体育祭は学校行事でありながら日本のビッグイベントの1つ。
かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれていたけれど、個性の影響で規模も人口も縮小した。
そして、その日本においてかつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭。
全国のトップヒーローもスカウト目的で観るから、まさに絶対に外せないチャンスとなる。
「卒業後はプロ事務所に相棒入りが定石だもんな」
「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね。上鳴、あんたそーなりそう。アホだし」
上鳴達もワクワクしているのか、そんな感じで雑談している。
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に1回……計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」
俺もかつて放送で見たことがあるが、すごい盛り上がりだった。
そしてヒーロー科入試を1位で通過した者は開会式で選手宣誓をするため、かなり目立つことになり、かつヒーロー達への重要なアピールポイントとなる。
「先生。今年も入試1位の人が開会式で宣誓をやるんですか?」
「そうだ」
ほっほー、つまりはあの目立つ場所に立てるというわけだ。
またとないチャンスに俺がほくそ笑んでいると。
「ちなみに、祢伊木戸は競技以外で全裸になったら退場な」
「光ってるのに⁉」
「光っててもだ。お前の個性の都合上、競技ではさすがに制限しないが、それ以外の場で必要以上に脱ぎ出すのはよろしくない。全国放送だしな」
くっそー、突然全裸になることで絶大なインパクトを残そうとしたのに相澤先生に先に潰されてしまった。
襲撃事件の時に見直して損した!
「なんで光ってればセーフだと思ったんだよお前は」
上鳴が何かつぶやいていたが、俺はそれどころではなかったのだった。
――昼休み。
「あんなことはあったけど、なんだかんだテンション上がるなオイ!」
「活躍して目立ちプロへのどでけぇ1歩を踏み出せるしな!」
と、4限目が終了すると切島達が盛り上がりだす。
「ただ、目立つって言ってもな……」
「あぁ……」
しかし、テンションが絶好調だった彼らは俺の方を見ると露骨にテンションを下げる。
「あれ、何で皆急にテンション下がったんだ」
「善ちゃん自覚なしかーい」
俺が疑問に思いながら首を傾げていると、葉隠がツッコミを入れてくる。
登校時はあの時の事を思い出してちょっとモニョりはしたが、葉隠の持ち前の天使さにより今は普通に会話をしている。
「あの
と、眼鏡をクイッとしながら説明する飯田。
それに対して葉隠もウンウンと頷いていた。
お、俺が目立っているだなんてそんな……。もっと褒めてもいいんだぜ?
「善羅くんの陰に隠れないように僕も頑張らないと……!」
と、気合を入れる出久。
「……頑張ろうね体育祭」
そして、俺たちが話していると麗日も話しかけてくるが、なんというか……顔が修羅だった。
「どうした? 全然うららかじゃないよ麗日」
「皆‼ 私‼ 頑張る!」
麗日が片手を突き上げそう告げると、皆もなんとなく一緒に手を突き上げるのだった。
方言でおかしいところもあるかと思いますがご容赦ください
ちなみに、両親ともに代々露出系、かつパワーアップ系の個性が多く、
母はたまたま発光の個性、父は露出の個性。
そして、連綿と受け継いできた個性の最悪なバトンリレーの結果、主人公が誕生しました。
これが個性終末論です。