閃乱カグラ 〜 少女達の戦と少年達の侵攻 〜   作:ツヨインジャー

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第3話 追憶

「斑鳩さん、『八咫宮学園』って一体、どんな忍学校なんですか?」

 

「皆さん、これを見てください。」

 

斑鳩が村雨からの手紙を飛鳥達に見せる。その内容に誰もが驚いた。

 

「おいおい、そんなに強いのか八咫宮学園は。」

 

「でも、飛鳥ちゃんやかつ姉はあの人達に勝ったよね?」

 

しかし、いつも冷静なはずの柳生が少し焦ったようなような様子で口を挟む。

 

「いや、待て。オレ達は忍転身し、しかも飛鳥は秘伝忍法を奴に当てた。それなのに、奴らは忍転身をせずに転身したオレ達と渡り合い、秘伝忍法を受けてもケロリとしていた…つまり、どういうことかわかるよな?」

 

皆の周りに不穏な空気が漂う。そのとき、飛鳥が顔を上げて決意したような目で皆に語りかける。

 

「確かに八咫宮の人達がいつ攻めてくるか不安で仕方ないのはわかるよ?でも、まだ負けって決まったわけじゃない。だから、八咫宮学園が攻めてくるまで私達にできることはそれまでひたすら修行することだと思うな!私達なら勝てるよ。私は皆を信じてるから!」

 

その言葉に背中を押されたのか斑鳩達も顔を上げて飛鳥を見る。

 

「そうですね。先のことをうじうじ考えるよりも、いつか来るべき時に備えて全力で準備するべきですね。」

 

「飛鳥の言う通りだな。よし、八咫宮学園の連中をアタイらで返り討ちにしてやろうぜ!」

 

「オレもその意見には賛成だ。ふっ、飛鳥らしくて真っ直ぐな提案だ。」

 

「ひばりもがんばるよ!半蔵学院がなくなっちゃうのは嫌だから!」

 

それぞれ決意を新たにし、希望を持つ少女達は霧夜のもとへ向かう。

 

「霧夜先生!私達をもっと強くしてください。お願いします!」

 

「ああ、俺もそう考えていたところだ。八咫宮に勝ちたければ修行あるのみだからな。よし、明日から修行はいつもの3倍やるぞ。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

果たして半蔵学院の先に待つのは希望か、絶望か。それはまた別の話。

 

 

 

 

 

一方、ここはある書店。そこにはパソコン関連の雑誌を読む眼帯を付けた小さな少女がいた。

 

「うーん、このパソコン欲しいけど、お金ないから買えないわ。」

 

彼女の名は『未来』。かつては蛇女の悪忍であったが、現在は抜忍となり『焔紅蓮隊』として生きている。未来はとりあえず雑誌を手に取り、レジへ向かう。そのレジには未来より先に1人の男が並んでいた。

 

(あの人、すごく難しい本ばかり買ってる…。)

 

眼鏡をかけた男はたくさんの医学書を購入していった。やがて、その男は会計を終えて書店を去ろうとする。しかし、その直後、男がつぶやいた言葉に未来は耳を疑った。

 

「次は蛇女か。潰すのには少々時間がかかりそうだな…。」

 

(え?今あの人なんて…?蛇女を潰す…?)

 

未来は素早く本の会計を終わらすと、男を尾行するために追いかける。

 

「お客様。お釣りをお忘れですよー?」

 

そんな店員の声には耳を貸さず、未来は書店から出て行った。

 

 

 

 

 

 

書店からそう遠くない空き地。眼鏡の男はそこで立ち止まり、先ほど購入した医学書を置いた。

 

(あいつ、明らかに蛇女がある方角に歩いてる…!偶然かもしれないけど、あの言葉通りなら…)

 

未来は空き地に山積みにされている土管の陰から男を偵察していた。

 

「ここまで誘い出せばいいか。おい、いるんだろう?出てきたらどうだ、そこの小娘。」

 

男は未来の隠れている土管を指差し、わざとらしく大声で言う。

 

「よくわかったわね。いつから気づいてたの?」

 

「書店を出たときからだ。それより、なぜ私のあとをつけた?」

 

「あんたが蛇女を潰すって言ってたからよ。蛇女はあたしにとって大切な場所なんだから。」

 

「ほう。とすると、お前は蛇女の忍か?」

 

その質問に未来は少し伏し目がちになって答える。

 

「違うわ。昔は蛇女だった。でも、今はあたしは抜忍よ。」

 

「そうか…。ふっ、抜忍など放っておいてもいつかは死ぬ。では、私はこれで…」

 

しかし、空き地から出ようとする男の前に未来が立ちはだかる。

 

「待ちなさいよ!蛇女を潰すなんてあたしがだまってないわよ。どうしてもこの先に行きたいならあたしを倒してから行きなさい!」

 

「ほう。死に急ぐか抜忍よ。ならば、その命、刈り取りらせてもらうまで!」

 

 

 

 

 

 

未来は忍結界を発動する。そして、未来はこう言い放つ。

 

「あたしの名前は『抜忍』じゃないわ。『未来』よ!」

 

「未来…。私の名は『無明』。どうせ覚えなくてもいい。すぐにお前は潰える。」

 

無明はズボンのベルトからアクセサリーを外す。すると、そのアクセサリーがみるみるうちに膨らみ、やがてそこから棘が生え、モーニングスターへと姿を変えた。無明の武器は柄から鎖がハンマー投げのハンマーのように伸びているため、フレイル型の物である。

 

「未来、舞い殉じる!」

 

「無明、すべての忍を滅するために。」

 

「忍転身!」

 

 

未来は忍転身を行った後、無明が構えるより早く傘からガトリング砲に持ち替え、無明にガトリングを連射する。

 

「先手必勝!これであの眼鏡は蜂の巣に…」

 

「お前ほどの無知でも知ってはいるだろう?蜂は冬には活動ができぬと。」

 

未来の放った弾丸は何と一つ残らず氷漬けにされ、無明の目の前に止まっていた。

 

「嘘…?何で一発も当たってないの…?」

 

「私の周りを…いや正確にはこの武器から-50℃の冷気を放出させた。銃弾を凍らせて停止させるなど造作もない。その威力はくらえばわかる!」

 

無明は未来目掛けてモーニングスターを振り回す。未来は回転しながら襲いくる鉄球をかろうじてかわす。

 

「あんた強そうな武器持ってるけど、当たらないと意味ないわよっ!」

 

しかし、無明の狙いはそこではなかった。無明は未来の背後の結界の壁を冷気で凍らせ、さらにモーニングスターで凍った壁を砕く。すると、未来に雨あられとたくさんの氷塊が降ってきた。

 

「きゃああーっ!?」

 

とても、未来の武装だけでは防御しきれない量の氷塊であった。未来の頭上からたくさんの氷塊が降り注ぎ、未来は埋れてしまった。

 

「なまじな実力で私に挑んだばかりの末路だな。まあ、これであの小娘も生きてはいない…」

 

しかし、氷塊の近くから何か人影が飛び出す。その人影が未来を抱えていた。

 

「む、誰だお前は?」

 

 

 

 

 

「私の可愛い未来をこんなにするなんて…覚悟はできてるかしら?」

 

そこにいたのはピンクと白のレオタードの上に白衣を羽織った少女がいた。すでに忍転身をしているようで、その少女は気絶した未来をそっと隅に置く。

 

「ふ、さてはその小娘の仲間か。お前も抜忍か?」

 

「ええ、そうよ。私は『春花』。貴方の名前は?」

 

「私は『無明』だ。」

 

「そう。貴方、女の子に暴力を振るうなんて恥ずかしいと思わないかしら?」

 

「そんな話は知らん。だが、お前は少しやり手のようだな。ならば、こちらも手を抜くのは失礼というもの…忍転身。」

 

無明は巻物を頭上に投げる。すると、紺色のブレザーから真っ白な白装束に姿が変わった。

 

「ふーん、私に手を抜かないのは懸命な判断ね。行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

「まずはこれでもくらいなさいな。」

 

春花は何やら毒々しい色の液体の入った数本の試験管を無明に投げつける。

 

「そんなもの、凍らせてしまえば無意味だ。」

 

目の前で試験管を凍らせる無明。しかし、春花はそれを読んでいたのか後ろに控えていた傀儡に指示を出す。

 

「秘伝忍法『Heart Vibration 』!」

 

春花は無明の周りにできた氷の塊を傀儡を使って吹っ飛ばす。吹き飛ばされた氷はビリヤードの球のように結界の壁に反射しながら無明に迫る。

 

「ふん、知恵を働かせたつもりか!」

 

無明はモーニングスターの鎖で四方八方から迫り来る氷をガードする。

 

「だが、失念しているわけではないな?こちらにも秘伝忍法があることを。秘伝忍法『絶対零度』!」

 

無明はモーニングスターを地面に叩きつける。するとみるみるうちに地面が凍っていき、春花目掛けて…

 

「串刺しにしてくれる。」

 

巨大な氷柱が春花の足元から勢い良く生えた。

 

「終わったか。」

 

「本当にそう思う?」

 

春花か何と無明の秘伝忍法を回避していた。その代わり、氷柱に傀儡が串刺しになっていた。

 

(傀儡を盾に逃げたのはいいけど、かわせなかったらただでは済んでなかったかも…)

 

「小癪な真似を…!」

 

無明は春花にモーニングスターを確実にぶつけようと走りながら振り回す。だが、次の瞬間、串刺しになった傀儡が突如爆発。近くにいた無明を吹っ飛ばした。

 

「くはっ!?」

 

無明は爆発に仰け反る。衝撃で眼鏡が壊れて飛ぶ。

 

「しまった…。私としたことが…。」

 

そのとき、眼鏡の外れた無明と目があった春花が突然硬直する。

 

「あれ?貴方…もしかして…!」

 

無明は春花の反応に顔を抑えて俯く。

 

「見るな。私はお前とは何も関係はない。ふん、抜忍と戦うなどよくよく考えれば時間の無駄。私はここで退散させてもらおう。せいぜい短き余生を楽しむのだな。」

 

無明は春花の忍結界から瞬時に立ち去る。そこには春花と失神している未来が残った。

 

 

 

 

「未来、大丈夫?」

 

「春花さ…ま…?」

 

「早く帰って治療してあげるわ。それまでちょっと我慢してね?」

 

「は…い…。」

 

春花は未来を抱きかかえて帰路に着く。しかし、春花はある考え事をしていた。

 

(『無明』。私はあの人の顔を見たとき、何かを思い出した。でも、貴方がどうして忍に?医者になる夢はどうしたのかしら?)

 

「あの…春花様…おっぱいを押し付けるのやめてください…。」

 

ハッと春花が我に返って未来を見ると自分の胸に未来を埋れさせていた。

 

「あらあら、ごめんなさいね?」

 

苦笑しながら未来を胸から離すのであった。

 

 

 

 

 

「春花…。私はあの女を知っている。奴はやはり忍を続けていたか。」

 

「おーい、無明。」

 

無明が振り返るとそこには写楽がいた。仮面ごしにニヤリとしながら無明に問う。

 

「なあなあ、何であの抜忍達との戦いを放棄したんだい?君の実力なら一捻りできそうな相手だったのに。」

 

「抜忍などいずれ他の忍に始末される。私が手を下すまでもないからだ。」

 

「本当かな〜?まあ、いいや。これ以上は君の事情に踏み入ることになるからね。じゃあね!」

 

写楽は無明に申し訳程度に手をひらりと振りながら背を向けて歩き出す。

 

(私が忍となったときから敵として合間見えるのは覚悟していた。なのに、なぜ私は春花に殺意が湧かんのだ?)

 

自問自答を繰り返す無明。さて、その答えは見つかるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(オリキャラ紹介 2)
【無明】(むみょう)

年齢: 18歳
身長: 178cm
体重:59kg
属性: 氷
好きな食べ物: 飴
秘伝動物: フクロウ

八咫宮学園3年生。無駄なことが嫌いなセオリスト。医学の知識が豊富なため、八咫宮学園の忍クラスの救護も同時に担当している。武器はフレイル型のモーニングスター。力押しの武器であるため、無明とは相性が悪いように見えるが、無明は持ち前の頭脳でモーニングスターの特性をフル活用した戦法をとるためバランスが取れている。幼少期は医者を目指していたが、ある事件を境に忍の道に進むことになる。

秘伝忍法:『絶対零度』…ー273.15℃の冷気を纏ったモーニングスターを地面に叩きつけ、地面を伝う冷気を利用して敵の足元から巨大な氷柱を生やして串刺しにする技。

絶・秘伝忍法:???
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