閃乱カグラ 〜 少女達の戦と少年達の侵攻 〜   作:ツヨインジャー

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第4話 錯綜

ここはとあるビルの屋上庭園。1人の少女が身を潜めていた。

 

(目撃情報によると妖魔がここによく出るみたいだから待っていればそのうち…)

 

少女の狙い通り、熊のような妖魔が5体ほど現れた。

 

「グオォォ…」

 

「よし、忍務開始!飛鳥、舞い忍びます!」

 

飛鳥が二本の刀を手に次々と妖魔を斬り倒していく。激しい戦いの末、ついに最後の1体になった。

 

「秘伝忍法『半蔵流乱れ咲き』!」

 

最後の1体を秘伝忍法で倒す。周りに妖魔がいなくなって安堵する飛鳥。しかし、まだ終わりではなかった。

 

「グルアァァー!」

 

今までどこにいたのか。飛鳥の背後からなぜか生き残っていた妖魔が襲いかかる。

 

「きゃああっ!?」

 

妖魔の一撃を受け、飛鳥の忍装束が弾け飛ぶ。妖魔は追い打ちをくらわそうと腕を振り上げる。飛鳥も不意打ちのダメージで動けない。

 

(やられるっ!)

 

だが、そのときだった。飛鳥に攻撃をくわえようとした妖魔が突如、横殴りに吹いてきた竜巻のような何かに細切れにされてしまった。飛鳥は突然の出来事に呆然としていたが、ハッと我を取り戻す。

 

「誰?私を助けてくれたの…?」

 

すると、屋上庭園の柱の陰からぬっと誰かの手が現れる。

 

「お嬢さん。君は上があられもない姿になってるじゃないか。これをどうぞ。」

 

「えっ?あっ…ありがとう…。」

 

飛鳥は今更ながら自分が上半身が下着姿になっていることに気づき赤面する。しかし、手が差し出した物はハンカチであった。

 

「こ、これじゃ身体を隠せないよ!?」

 

「大丈夫。よく見ててね…1、2、3!はいっ!これならいいよね?」

 

何とハンカチがマントに早変わりした。飛鳥はマントを受け取り、上に羽織る。

 

「すごい…。ありがとう。これ借りるね。」

 

「僕の特技は『手品』だからね。」

 

ぬっと柱の陰から姿を現した男は道化師の仮面をつけていた。

 

「や、八咫宮学園の『写楽』君!?どうしてここに?」

 

飛鳥は刀に手をかけて警戒する。しかし、写楽は首を振りながら話す。

 

「待って待って。僕は君と戦いに来たわけじゃないから。」

 

「本当に?」

 

「もちろん。そうだ、君にいい知らせを聞かせてあげる。僕達、八咫宮学園は当分、半蔵学院を攻撃しない。」

 

「えっ…?」

 

「八咫宮学園の中では半蔵学院の忍クラスはなくなったことになっている。そして、君たちの存在を知っているのは、僕と冴刃、無明の3人だけ。冴刃はおバカだから半蔵が復活したことを学園に報告すらしていないし、無明は半蔵学院を後回しにするって言ってる。つまり、今、半蔵学院を攻撃できるのは僕だけってわけさ。」

 

「じゃあ、あなたはやっぱり…」

 

不安な顔で刀を触る飛鳥。しかし、写楽はまた首を横に振る。

 

「僕は半蔵学院を潰す気はない。むしろ、潰したくないんだ。半蔵がなくなったら、僕も困る。」

 

「え?それってどういう意味?」

 

「それは僕の計画がうまくいったら話してあげる。それまでちょっと待っててね。」

 

写楽は飛鳥に背を向けて、指をパチりと鳴らす。すると、まるで幽霊のようにスッと一瞬で消えてしまった。

 

「写楽君…一体何を企んでいるの?」

 

 

 

 

 

 

一方、ここはある開けた荒れ地。ここには1人の男が歩いていた。

 

「見えてきたぞ、『秘立蛇女子学園』。ふっ、ここと月閃を潰せばもう他の忍学校など取るに足らん。」

 

そこにいたのは無明であった。無明は眼前に聳える天守閣を目指して歩く。すると、無明を謎の集団が取り囲む。それは全員、蛇女の忍達であった。ざっと見回すだけで20人ほどいる。

 

「八咫宮学園の忍だな。覚悟!」

 

蛇女の忍達が一斉に飛びかかる。だが、当の無明は冷静にモーニングスターを取り出し、構えるのであった。

 

 

 

 

 

 

無明が蛇女の忍集団と戦っている最中、蛇女では会議のようなものが行われていた。しかし、会議と言ってもいるのはたった3人だけであった。

 

「雅緋、ここから3km先に敵影を確認した。どうやら八咫宮学園の忍のようだよ。」

 

無明と同じく眼鏡をかけた少女。その隣には白いショートヘアの少女もいた。おそらく2人とも忍であろう。

 

「忌夢、ありがとう。しかし、八咫宮学園の忍達は皆、手練れ。油断は禁物だな。」

 

すると、雅緋と忌夢の背後に控えていた少女が立ち上がる。茶髪で赤いカチューシャをつけたオッドアイの少女。彼女の名は『両備』。蛇女子学園の1年生である。

 

「その八咫宮学園の忍を倒せばいいんでしょ?それなら、両備が出るわ。あんなナヨっちい奴なんかすぐに蹴散らしてやるんだから!」

 

「あ、待て両備…」

 

今まで待機していて溜まっていたのか雅緋の制止も聞かず、両備は無明のもとへ向かった。

 

「両備…大丈夫なのか?」

 

「どうだろうね。」

 

その場に取り残された雅緋と忌夢であった。

 

 

 

 

 

「足止めにもならないな。」

 

無明の周りには襲いかかってきた蛇女の忍達の屍がたくさん転がっていた。

 

「さて、掃除も終わったことだ。早く蛇女に向かとしよう。」

 

しかし、無明がしばらく歩くと銃声が響く。無明は瞬時に自分に飛んできた銃弾を凍結させて身を守る。

 

「誰だ…?」

 

「秘立蛇女子学園、両備よ。あんたを倒しに来たの。」

 

「私は八咫宮学園の無明だ。しかし、ずいぶんと自信があるようだな。その不遜、私が正してやろう。」

 

「やれるもんならやってみなさいよ!忍結界!」

 

両備は忍結界を発動する。続いて、両備は巻物を取り出す。

 

「忍転身!」

 

ちなみに両備の胸が忍転身の前と後で大きさが明らかに違うが突っ込んではいけない。

 

「両備、悪の誇りを舞い掲げるわ。」

 

「仕方ない。あまり時間を取りたくないからな、忍転身!」

 

無明も同じく忍転身を行う。両備は早速ライフルを構え、無明を狙う。一方の無明はライフルの弾を凍らせたり、かわしたりして両備との距離を徐々に距離を詰める。そして、無明はモーニングスターを地面に叩きつける。すると、両備の目の前に大きな氷の壁ができた。

 

「何よ、両備を馬鹿にしてるわけ?なら、その氷の壁ごとあんたを吹き飛ばしてあげるわ!」

 

両備は自分の周りに機雷のようなものを召喚する。

 

「秘伝忍法『8つのメヌエット』!」

 

両備の機雷とライフルの爆発的な一撃が氷の壁を一気に溶かす。やがて、氷は水に変化し、両備に雨のように降り注ぐ。

 

「両備にはそんな小細工通用しないのよ。早くでてらっしゃい。」

 

「言われなくてもそのつもりだ。」

 

無明は両備の真正面に立ち、モーニングスターを振り回す。しかし、両備は不敵に笑う。

 

「私の目の前に立つなんて撃ってくれって言ってるようなもんよ。さあ、この一発であんたを…」

 

カシュッ…。

 

「あれ?ライフルが動かない…?」

 

両備はライフルを引き金をガチャガチャと引くがまったくライフルが反応しない。

 

「今だ、くらえ!」

 

無明は容赦なくモーニングスターを両備にぶつける。

 

「きゃああーっ!?」

 

両備はモーニングスターの一撃を受けて吹き飛ぶ。腹部の忍装束の布が大きく裂けた。

 

「どうして撃てないの!?」

 

「馬鹿なお前にも教えてやろう。お前の銃は凍りついている。先ほどお前が溶かした氷の壁、溶かしたとき、雨が降っただろう?私はその瞬間に武器から放つ冷気で水滴を急速冷凍させたのだ。お前の銃だけを狙ってな。」

 

「何よ…!卑怯なことして!」

 

「何とでも言え。策に嵌る方が悪いのだ。」

 

無明は次々と両備にモーニングスターを何度も投げつける。両備にできることは凍りついたライフルの斧の部分で無明の攻撃をガードするくらいだ。

 

「あっ!?」

 

ついに両備はライフルを無明に弾かれてしまう。

 

「終わりだ。」

 

無明は両備にとどめを刺そうとモーニングスターを地面に叩きつける。

 

「秘伝忍法『絶対零度』!」

 

両備はライフルを拾おうと必死に走るが地面を伝う冷気の方が明らかに速い。冷気はついに両備の足元まできた。

 

(間に合わないっ!?)

 

巨大な氷柱が素早く地面から生える。

 

「さて、1人始末したか。予想以上に時間がかかってしまったな…。」

 

だが、そのとき氷柱が急に崩れた。よく見るとその氷柱は水になっていた。まるで誰かが炎で溶かしたかのようである。

 

「何者だ?」

 

「悪いな。もうしばらくお前の時間を取るぞ。」

 

そこから現れたのは黒い忍装束にひとつ結びにした髪の少女であった。その両手には6本の刀をまるで爪のように握っている。

 

「あんたは…『焔』?何でここに?」

 

「それは後で話してやる。それより、お前が八咫宮の忍か?」

 

「私は無明。お前の言うとおり、八咫宮学園の者だ。」

 

「やはり、春花の予想通りここに来たか。言っておくがな、蛇女には私が指一本触れさせん!ましてや、潰すなんてもってのほかだ!」

 

 

 

 

 

 

無明は突然の闖入者に臨戦態勢に入る。そのときだった。

 

「おいおい、まだ着いてなかったのか?いくらなんでも遅すぎだろ?」

 

また1人、戦場に足を踏み入れた忍がいた。その忍はグチャグチャと何かを咀嚼している。

 

「何しに来たのだ、冴刃?」

 

冴刃は口にくわえていたフライドチキンの骨を吐き捨てる。

 

「決まってんじゃねぇか。無明があまりにも遅いから手伝いに来たんだよ。見たところ、あの女が敵か。忍転身!」

 

冴刃はいきなり忍転身を行った。冴刃の忍装束はまるで江戸時代の浪人のような灰色の着流しであった。

 

「冴刃、すべての忍を滅するために。」

 

そう言うや否や冴刃は刀を抜き、焔に斬りかかった。焔は冴刃の一撃を6本の刀で防御する。

 

「挨拶のつもりか?そうかお前も八咫宮学園か。冴刃だな。私は『焔』だ。」

 

「ああ、そう。焔か。まあ誰でもいい。どうせてめぇも俺に喰われるんだ。」

 

つばぜり合いをしながらの会話が終わると2人は同時に距離を取る。

 

「お前は骨をしゃぶっていたようだな。言っておくが、私は口におしゃぶりを咥えた赤ん坊に負けるほど…」

 

だが、焔が挑発の台詞を言い終わるより先に冴刃が動く。そして、一瞬、焔の視界から消えたと思うといつの間にか冴刃は背後いた。

 

「くっ、斬られたうえに後ろを取られるとはっ!」

 

焔の忍装束の袖が破れていた。冴刃は焔に強気に言い放つ。

 

「俺が赤ん坊なら、さしずめてめぇは赤ん坊にすら捻り潰される蟻ってわけだな!」

 

焔は歯を食いしばり、冴刃に向かう。しばらく焔と冴刃の激しいチャンバラが続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(オリキャラ紹介 3)
【写楽】(しゃらく)

年齢:18歳
身長:172cm
体重: 52kg
属性: 時
好きな食べ物: コーンスープ
秘伝動物: 猿

いつも道化師の仮面を被っている八咫宮学園3年生。飄々とした性格で何を考えているのか読めない。属性が『時』であるが、これは時間を操るのではなく、写楽は特技の手品を応用した忍術を使って戦うためあたかも時と空間を操っているように見えるだけである。武器はトランプやボールなど手品や大道芸に使うような道具を武器にする。来歴など一切謎に包まれているが唯一わかることは八咫宮学園を半蔵学院から遠ざける計画を立てていることである。


秘伝忍法: 『Magic Show』…鋼鉄製のトランプの束を竜巻のように高速回転させ、敵を斬り刻む技。

絶・秘伝忍法: ???
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