かませ役から始まる転生勇者のセカンドライフ~主人公の追放をやり遂げたら続編主人公を育てることになりました~   作:佐遊樹

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ブルアカえっちっちSP見ながら本編作成したし今投稿予約してるので普段に比べてめちゃくちゃ誤字等のミス多いかもしれませんすみません
水着ハナコで脳壊されてます


後談/その頃、かつての仲間たちは②

 魔王の影を討伐した翌日。

 事態が事態なだけに、政府直轄の騎士団が調査にやって来た。

 

 長丁場を覚悟していたが、彼らは俺やエリンたち相手に簡単な調書を作成すると、現場検証に移ってしまった。

 敬礼と共に『ハルート様やその教え子さんたちのお手を煩わせるまでもありません』と言っていたな。

 ふん、クズ勇者を捜査に関わらせるなんてもってのほかってわけだ。分かってるやつもいるじゃねえか。

 

 そういうわけで午前の時間は応対やら調書作成やらでつぶれてしまった。

 教頭先生からは無理しないようにと言われたものの、俺は無傷だし三人も疲れているというよりやる気を見せているので、午後だけ授業を行うこととなった。

 

 授業の中で特に三人が食いついてきたのは、魔族との戦闘で発揮していた特殊な性能向上状態、つまりノーブルリンクについてだ。

 旧パーティでは俺を除くみんなで何度も発動していた。

 そう言えば、どうやったらいいのかと聞いてきたので正直に答えたのだ。

 

『ノーブルリンクは……仲間みんなと強くなって、仲間みんなと仲良くなると、発動しやすいと思うよ』

『『『は?』』』

 

 三人は一斉に、俺に対して大ウソツキを見る目を向けてきた。

 クユミですらハートマークを投げ捨てていた。

 システムを噛み砕いて説明すると本当にこうなるんだけどなあ。

 

 そんなはずないでしょ! 適当言うのも大概にしてもらえる? せんせいジョークのセンスな~い。

 三者から三様の罵倒を浴びて、俺は半泣きになったものだ。

 

 今はそうして辛くて悲しい授業をなんとか終えた放課後。

 

「せんせい暇でしょ~?」

「暇じゃない」

 

 職員室で書類の山と格闘している俺の元に、先ほどHRを終えた三人組がやって来た。

 どうやら暇だから遊びに来たらしい。

 

 この学校に俺と教頭先生とこの三人ぐらいしかいないとはいえ、なんて連中だ。

 職員室は公園じゃねーんだぞ。

 

「うわ、何それ……手紙?」

 

 机にどっさりと積まれた紙束を見て、エリンが頬をひきつらせる。

 連絡先をまとめた表以外には、白紙の便せんが無数にある。

 

「今までお世話になった人全員に手紙を出そうと思ってるんだ」

「……ここから居なくなろうとしてる、とかじゃないよね?」

 

 不安そうな表情を浮かべるシャロンの言葉に、笑いながら首を振った。

 

「違う違う、お願い事をしてるんだよ。全方向に土下座してるみたいなもんかな」

「だとしたらそれはそれで不安なんだけど……」

 

 軽く引いた様子で、シャロンが俺の机に積まれた手紙を手に取った。

 だが彼女は手紙の宛先を見ると、顔を青くして、パサリと取り落としてしまう。

 

「え……?」

「ん、シャロンちゃんどしたの♡」

「隣の国の王様宛てなんだけど……」

「えっそれ本当?」

 

 エリンとクユミは顔を見合わせて、シャロンが取り落とした手紙を大慌てで拾い上げる。

 先ほど俺が書き上げた、隣国の国王陛下への手紙だ。

 

「なっ、なっ、何してんの!?」

「いやあ、前にお世話になったことがあってさ」

 

 ヤバい竜が暴れてて国民が危ないって言われたから、駆け付けてとりあえず両断した。

 そしたら両断しても死ななかったので地獄だった。

 魔法使いと二人の頃だったからなあ。

 転移魔法で荒野に飛ばしてもらって、三日三晩休みなしで戦う羽目になったよ。

 

「じゃあ、王様に何お願いしてるの?」

 

 落ち着きを取り戻したのか、シャロンが不思議そうに首を傾げた。

 俺は手を止めて、ふうと息を吐く。

 書いた文章はどれも、まあ相手に合わせて挨拶とか色々変えてるけど、お願いしてる内容は変わらない。

 

「マリーメイアの保護というか、見かけたら良くしてくれるよう、お願いして回ってるんだ。今は一人……いやもう新しい仲間が少しできたぐらいかな?」

 

 時間軸としては、既に別の国に旅立っているはずだ。

 最初の仲間である領主の息子君とは確実に出会っている。

 正式なパーティ入りまで進んでいるかは微妙なものの、新たな人生を始めているだろう。

 

 彼女の真パーティはすげえいいバランスなんだよな。

 マリーメイアに男2女2の計5人だが全員推せる。

 個人的にはちらほらとこいつも一緒に冒険したかったなと思えるネームドが数人いるぐらい、『1』のキャラクターたちはよかった。

 

 そう想いを馳せていると、エリンとシャロンが微妙な表情を浮かべているのが見えた。

 あ、もしかしてマリーメイアって言っても伝わらないのかこれ。

 伝わるわけねえな。

 

「ごめんごめん、昔一緒に冒険していた人だよ」

「へえ~♡」

 

 面白そうな笑顔と探るような目つきを同居させて、クユミがすっと顔を寄せてきた。

 

「それって、せんせいの昔のカノジョとか?」

「違う」

 

 思っていたよりも低い声が出た。

 断言した、と表現するだけでは生ぬるい、本気の拒絶の声になってしまった。

 

「彼女をそういう目で見たことはない」

「……あ、そ、そっか」

 

 とりなすようにしてエリンが相槌を打つ。

 だが話を振って来た張本人であるクユミは、動じることなく俺をじっと見つめていた。

 

「ふ~ん……ごまかしてるわけじゃないんだ♡」

「勝手に心拍を読まないでくれよ」

 

 なんで問い詰められてるような雰囲気にならなきゃいけないんだ。

 

「ま、カノジョなんていたわけないか~♡」

「すげえひどいこと言うね君……何の根拠があってそんなこと言うんだ?」

「だって生徒のぱんつ見てくるぐらいだからね♡」

 

 やめろ! 見えてなかったってことにしてるでしょうが!

 エリンとシャロンも思い出したかのように俺へとゴミを見る目を向けてきている。

 冗談じゃない、勝手に空を飛んできたのはそっちだろう。

 

「も、もうその話はいいだろう……」

「終わらせてもいいけど、せんせいってば本当に終わらせていいの?」

 

 何がだよと問いかける暇すらなかった。

 クユミはスカートのすそを持って、そろそろと持ち上げ始めたのだ。

 

 驚愕のあまりエリンとシャロンが凍り付く中で、俺は──まあ完全にフリーズした。

 ちょっ待っ刺激が強すぎる!

 

「くふ♡」

 

 にまりと笑う少女の貌と、どんどん面積を増やしていく眩いふともも。

 脳がぐちゃぐちゃになりながらも顔を逸らすことができず俺は……

 

 あっちょっと待てこれ暗器飛んでくるやつか?

 まずい視線誘導で何か仕込まれたかもしれん。

 パッシブスキル『観察眼』を使って、周囲に異常がないかを探る。

 

「……センセ? なんで黙って見てるのかな?」

 

 まず最初に感知したのは、フリーズから立ち直った後、底冷えするような笑みでこちらを見てきているエリンの姿だった。

 

「ちっ違う! 『観察眼』を発動していただけなんだ!」

「じゃあなおさら最低だよ!?」

 

 言葉遣いを完全に間違えた。

 俺は反論の余地なく、三人から激詰めされることしかできないのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 やがて手紙は各国の関係者の元へと届けられた。

 もとよりハルートの旧パーティメンバーというだけあって、マリーメイアは重要人物だ。

 言われずとも何かしら気を回すつもりだったが、本人から言われたのならなおさらとなる。

 

「ハルートからの頼みだ、応えないのは義に反する」

 

 エリンたちが驚愕した宛先、隣に位置するスターズ王国の王も同様に、ハルートからの手紙を確認して頷いた。

 勇者の末裔である冒険者ハルートには、国境を超えた恩がある。

 かつて邪悪な竜を討伐してもらったことの恩は返しても返し切れない。

 

「……陛下、マリーメイア殿は確かに現在、我が国の領土にて過ごしております」

「うむ、既に報告は受けたとおりだな」

 

 玉座に座る王へと、正装姿の騎士が片膝をついた姿勢で告げる。

 だが彼の顔には、困惑の冷や汗が浮かんでいた。

 

「しかしですね、陛下」

「うむ」

「……手の回しようが、ないように思えるのですが、如何様になされますか」

「私にも分からん」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ハルートが生まれ育ち、現在も拠点としているテイル王国。

 そこと領土を隣として友好を結んでいるのが、今現在マリーメイアが過ごしているスターズ王国だ。

 

 テイル王国と比べて土地が肥沃である分、魔物による活動も活発である。

 マリーメイアはひとまず、冒険者時代のツテを頼ってこの国のある領土へとやって来ていた。

 

 今はその領主の息子と共に、市民から寄せられた魔物駆除の依頼に来ていたのだが。

 

「……これが」

 

 地獄絵図。

 たった一人の少女によってつくられた、悪夢と呼ぶにも禍々しすぎる光景を前に、領主の息子は吐き気をこらえるので精いっぱいだった。

 

 あたりに散らばっている肉塊は、討伐を依頼された魔物たち。

 過剰な回復によって内側から四散させられた残骸。

 

 その地獄の中心で、自身は返り血の一滴も浴びることなく、少女がぼんやりと空を見上げている。

 

(……何が、足りなかったんでしょう)

 

 こんなに敵を殺せるのに。

 こんなに人を救えるのに。

 なのに彼はもう、自分は要らないと言った。

 

(……もっと、強くならなきゃ)

 

 かの大魔法を習得するために必要なのは『憎しみ』と『愛』。

 確かに今の彼女は『憎しみ』を知っている。だがそれは、自分の内側へと向けられたものだ。

 

 

(じゃないと、ハルートさんのところに、帰れない……帰りたい、帰らなきゃ……)

 

 

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