かませ役から始まる転生勇者のセカンドライフ~主人公の追放をやり遂げたら続編主人公を育てることになりました~   作:佐遊樹

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証明するための戦い

 アークライトの身柄は、聖騎士であるブレイブハート卿が無事に騎士団へと引き渡した。

 

「意図が通じて良かったでごわすよ。ハルート殿が気づいてくれなかったら、今頃おいどんは欠片も残さず蒸発させられていたでごわそうからな」

「ごわす口調の推量形ってあるんだな……」

 

 テイル王国の騎士たちがドカドカと旧アークライト研究所へと踏み込んでいく。

 これでもう『研究所跡地』関連のクエストはできないだろう。

 まあ心臓に悪いクエストだし、必須クラスのいいアイテムが落ちるわけでもないからいいんだけど。

 

「……結局、こうなってしまったでごわすね」

 

 研究所の外で、ブレイブハート卿は悲しそうな表情を浮かべた。

 俺もシャロンも、今の彼にかける言葉を持たない。

 

「まあ、おいどんはそろそろお暇するでごわす。後処理が色々とあるでごわすからな」

「……あ」

 

 その言葉を聞いて、シャロンがハッとする。

 

「そうだ、後見人、だったんだよね。じゃあ……」

「ええ、縁談はご破算で確定でごわすよ。ご両親にはおいどんから説明しておきます」

 

 いやそれどころじゃないだろ、と俺も彼女の言葉を聞いて気づいた。

 聖騎士となる前、そもそも騎士となった段階からの後見人が重犯罪者だったわけだ。

 

「……大丈夫なのか?」

「騎士資格の剥奪、ぐらいは覚悟しているでごわすよ」

 

 悲壮感のない顔だった。

 そうなっても仕方ないと、本気で思っているらしい。

 

「……先生」

「ん……」

 

 ゆるゆると立ち去っていく丸っこい背中を見送りながら。

 シャロンがか細い声でこちらを呼び、服のすそをつまんでくる。

 

「心配するな、なんとかなる、してみせるよ」

 

 俺は彼女の──頭はダメだなセクハラだ──肩に手を置いて、力強く頷いた。

 

 あの男を、あの騎士を。

 このまま捨て置くことなんてできない。

 戦えない人々のために存在するのが俺だ、勇者の末裔だ。

 

 でも教師ハルートとしては。

 友達のためになら、ちょっとぐらい、いいや精いっぱい頑張りたいと思うから。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 アークライト卿が忌まわしい実験に手を染めていたとして騎士団に検挙されて数日。

 事情にさとい人々は、既に彼が後見人だった聖騎士トップガン・ブレイブハートの進退が危ういと噂していた。

 

 もとより醜い外見からさして人気はなく、奇妙な戦い方から騎士の王道からは外れていると揶揄されていた男だ。

 話題は彼がどうなるかではなく、空いた一席を誰が埋めるのかに重きが置かれていた。

 

「……まあ、事情は分かったんだけど……ですけど」

「何ですか」

「あたしたちが見に来てていいんですか、これ」

 

 王立騎士団が保有するアリーナ。

 観客席にはエリンとシャロン、クユミの三人組の姿があった。

 

 ほとんど人の入っていないアリーナは不気味な静けさに包まれている。

 見渡しても騎士団上層部や僅かな貴族など、明らかに関係者だけが出席していた。

 

「勉強になると思ったからです」

「はい」

 

 ぴしゃりと言い放たれ、エリンは居住まいをただした。

 彼女たちの後ろに座っているのは、エリンの義母であるエスティア・ソードエックスだ。

 いつも通り和風の衣装に身を包んだ彼女は、首を緩やかに振る。

 

「無論、ハルートさんから直接頼まれたというのもあります。三人分の見学席を用意してくれないかと」

「それで用意できるのが流石ですね~♡」

「フフン、ソードエックス家の力をもってすれば容易いことです」

 

 クユミに持ち上げられ、エスティアは微かに胸を張った。

 

「あ……来たよ」

 

 シャロンの言葉に、一同アリーナを注視する。

 姿を現したのは、互いに正装姿のハルートとブレイブハートだった。

 

 ハルートは練習用ではない、実戦用の剣を二本腰に差している。

 ブレイブハートはてちてちと歩く、いつもの丸っこい姿である。

 

「──では、お越しいただきました皆様に、改めてお伝えいたします」

 

 魔法によって拡声された声が響く。

 この場を用意した騎士団上層部の人間のものだ。

 

「トップガン・ブレイブハート卿の騎士資格に関する審議は、ハルート様からの提案を受諾し、騎士の誇りを賭けた決闘において証明されるものとなりました」

 

 ハルートが騎士団に提案した内容はこうだ。

 旗色悪く、このままでは騎士資格剥奪は免れないであろうブレイブハート卿。

 

 しかしその強さは本物だ。

 故に勇者の末裔と戦い、その力を示し、価値を認めることができれば聖騎士の座に残ってもいいはずだ。

 

 ──無論ここには、戦う相手がハルートであり、その戦いを通して騎士団は彼のデータを取ることができるという実利も含まれている。

 

「なんでセンセはここまでしたの?」

「それはクユミちゃんも気になってたかも♡」

 

 両隣からじっと見つめられ、シャロンは居心地悪そうにした。

 

「それは……友達のためだって、本人は言ってたよ」

「フーン。でも、せんせいにメリット何もないよね?」

 

 クユミの指摘は正しい。

 ブレイブハートが失脚しようと、影響は何もないのだ。

 完全に骨折り損であり、慈善活動以外の言葉が思いつかない。

 

「勝敗は結果に直結いたしません。双方全力を尽くした末に、騎士の誇りを見定めます」

 

 続いた言葉に、エリンたちが眉根を寄せた。

 

「……これ、基準が曖昧過ぎないかな」

「どうなろうとも、結局は判定する人の意思で決まっちゃいそうだね~♡」

 

 明らかにブレイブハートにとっては不利な条件。

 つまりはハルートが引き出せた最大限の譲歩がこれなのだろう。

 

 客席でそうした推測が展開されている間にも、ハルートたちは準備を終えて開始の時を待っている。

 だが、目を閉じて集中する聖騎士に対して、勇者の末裔が声をかけた。

 

「なあ、ブレイブハート」

「……何でごわすか」

 

 目を開けた聖騎士に、ハルートは真剣な表情で問いかける。

 

「あんた、結局、なんでそうなったんだ?」

「……どういう意味でごわすか」

 

 ハルートはずっと分岐点が分からなかった。

 原作にクズ聖騎士として登場したブレイブハート卿が、この世界に置いてはそうならなかった理由は何なのか。

 

「なぜ修行の神殿に行ったんだ。戦う前にそれを教えてくれ」

 

 真っすぐに問いかけると、騎士は黙りこんだ。

 逡巡の色があった。

 会話は客席にだって聞こえているのだ。

 

「……ま、話しにくいなら、ここじゃなくても」

「いいや」

 

 首を横に振って、ブレイブハートが口を開く。

 

「ここで話してこそ意味がある……そう思っているのだから、今聞いたでごわすね?」

「ごわす口調って疑問形もあるんだな」

 

 軽く二人は笑いあった。

 それから、騎士が口を開く。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ブレイブハートは将来を約束された騎士だった。

 物心ついた時にはアークライトの孤児院にいた彼は──身体改造処置の甲斐あって──試験をパスした直後から優秀な騎士として頭角を現していた。

 

 後見人であるアークライトの紹介で、早い段階から社交界にも顔を出すことができた。

 美しさと実力を併せ持つブレイブハートは、あっという間に社交界でも人気者になっていた。

 

 そんな中で父親代わりの男が勧めてきたのが、ピール家の令嬢との縁談だ。

 まだ幼い少女相手に何を、と戸惑いながらも、それが栄光への近道なのだと父は耳打ちした。

 

 ならば、と船へ乗り込む気概はあった。

 栄光を掴む欲求が人並み、いや人一倍にあった。

 

 もっと高みへと、飢えない日々へと、黄金に彩られた暮らしへと。

 際限なく、多くの人々から賞賛され、もてはやされる日々をさらに底上げしたい。

 

 金にも女にも困らない、だけどまだ足りない。

 飢えのまま、生まれ持ったその気質のままに、ブレイブハートは幼い少女の未来を磨り潰そうとした。

 自分にはその権利があるとさえ思っていた。

 

 

 ──勇者の末裔によって、縁談が白紙になる日までは。

 

 

(ふざけるなよ、何様のつもりだ)

 

 当時のブレイブハートは、ハルートの手によってシャロンとの婚約がぶち壊されたことに腹を立てていた。

 顔を合わせれば嫌みの一つでも言ってやりたかった。

 

 時はすぐに来た。

 ある日の社交界で、ブレイブハートは貴族と何やら歓談しているハルートを見つけた。

 

「ん、ああブレイブハート卿か。顔を合わせるのは初めてじゃないかい?」

「初めまして、ハルートと言います」

 

 紹介され、彼の前に立った時。

 

「────ぁ」

 

 声が出なかった。

 恨んでいたからこそ、人一倍彼の功績は知っていた。

 

 勇者の末裔。希望の体現者。魔を祓い善を成す戦士。

 そんな少年を前にして、ブレイブハートは声が出なくなってしまった。

 

(は……?)

 

 自分はハルート相手に胸を張って、何を語れる?

 騎士として才能がある。修練も積んでいる。

 それらに、何の意味がある?

 

 自己紹介すらできない。

 彼の輝きの前では、自分が持っているもの総てが溶けてなくなっていく。

 

 今まで自分は何一つとして成し遂げてはこなかった、何もなかった。

 それを思い知らされた。体を深く斬り刻まれたかのような痛みが走った。

 

「……はじめ、まして」

 

 絞り出すように挨拶だけをした。

 それが限界だった。

 

「どうぞよろしくお願いします……すみません、話の途中でしたが」

「ああ、構わないよ。魔物除け、ぜひ発注したい。その商会への紹介状を頼んでも?」

「もちろんです」

 

 続く会話についていくこともできず、その日失意のまま、ブレイブハートはその場を後にした。

 気力なく、うなだれながら、目についた店に入り酒を浴びるように飲んだ。

 自分がひたすらに情けなかった。

 

(そうだ、ずっと分かっていた。会ったこともない相手をあれだけ妬めるのは……それは、彼が羨ましいからだ……!)

 

 お飾りの騎士。

 聖騎士候補になんて、後見人がいたからだ。

 御前試合でそこそこの成績を出しているだけだ。

 

 この手で人を救ったことなんてない。

 ましてや幼い少女との縁談を進めようとさえしていた。

 

 ──無論普通の感性ならば、ここまで傷つく必要はない。

 だがブレイブハートは歪み切ることもできず、生まれて初めて、正しくない自分を自覚させられたことに参っていた。

 

「どうしたんだい、見たところ騎士だろう? そんなに飲んで」

「……っ?」

 

 肩に手を置かれて振り向けば、赤ら顔の青年がいた。

 美しい顔立ち、汚れ一つない白髪。

 

「あなたは?」

「吟遊詩人アイアス。今日はもう店じまいした後だけど……フム。聞かせることはできずとも、聞くことぐらいはしてみよう。何があったんだい?」

 

 不思議な雰囲気の男だった。

 気安く、親しみやすく、しかしどこか神秘的でもあった。

 気づけばブレイブハートは、彼にその日あったことをすべて話していた。

 

「へえ……なるほど。親友をそこまで真っすぐに直視するなんて、馬鹿なやつだね君は」

「親友?」

「いかにも、勇者の末裔ハルートの無二の親友こそが、このアイアス・ヴァンガードさ」

 

 吟遊詩人は胸に手を当てて、誇らしげな笑みを浮かべた。

 

「彼と比べて情けない自分が嫌いかい? 気持ちは分かる、非常に分かるよ」

「……私は、どうしたらいいと思いますか」

「一度自分を鍛えなおしてみるといい」

 

 そう言って彼は修行の神殿について教えてくれた。

 

「神殿に向かうのなら、このアイアスが一つだけアドバイスをしてあげよう」

「何でしょうか」

「必要以上に恐れてはいけないよ」

 

 その言葉には確かな重さがあった。

 会釈だけをして、ブレイブハートはその場から立ち去った。

 

 日を置かずに、すぐに神殿に向かった。

 精霊たちは彼を見て、歓迎してくれた。

 

『君は本来持ちえない強さと美しさを求めてきたんだね』

「その通りだ」

 

 試練を突破しながら、それでも焦燥は変わらなかった。

 彼は今も世界を救うための戦いをしているのかもしれない。

 そう思うだけで、自分の矮小さに胸をかきむしりたくなった。

 

 実力で試練を次々に斬り伏せていった果て。

 最後に現れたのは、自分自身だった。

 偽りの栄誉で身を固め、うすら寒い笑みを貼り付けた、見ただけで嫌悪にえずきそうになる男の姿だった。

 

「……私に対する当てつけか」

『ぼくとわたしは、君が恐れるものを乗り越える姿が見たいよ』

 

 舌打ち交じりに、剣を振りかざす。

 当然ながらストックした衝撃を数十単位で貼り付けた、巨岩を砕く威力の一閃だ。

 放たれたそれが、あっけなく、醜い男の体を跡形もなく消し飛ばした。

 

『それは、乗り越えたとは言わないよ』

 

 試練は確かに超えた。

 だが精霊は不服そうに声を上げている。

 

『君は本当に嫌いなものに向き合っていないよ』

「……そうか、確かにそうだな」

 

 言われてみれば、得心がいった。

 今自分は、恐ろしいものを乗り越えたのではなく、ただ見たくないから消去しただけに過ぎない。

 

「対話し、向き合い、理解し、その上で超克せよということだったか」

 

 では自分は、試練を超えていない。

 見上げれば、精霊たちは明らかに憐みの表情を浮かべている。

 

『君は一度、捨てなければならない』

「捨てる?」

『あの影は、君が失いたくないものの集積体だよ。それらすべてを捨てなければ、君が求めるものは手に入らないよ』

「……分かった。なんでも持っていけ」

 

 ブレイブハートの返事を聞いて、精霊たちが淡く輝き、彼の周囲を飛び回り始めた。

 

 

『君が持つ、遠くを見るための背丈をもらうよ』

「要らぬ、持っていくがいい」

 

『君が持つ、人の心を揺らす言葉をもらうよ』

「要らぬ、持っていくがいい」

 

『君が持つ、美しき見た目をもらうよ』

「要らぬ、持っていくがいい」

 

 

 次々と呪いがかけられ、ブレイブハートの外見は今までとは似ても似つかぬものになった。

 

『心配しないで、ぼくとわたしの気が向いたら返してあげる』

「要らぬでごわす、気まぐれな精霊の言葉など信用できないでごわす」

『……なら約束するよ。君がその騎士道を捨てた時にだけ、元の姿に戻してあげるから』

 

 それは端的に言えば、試練の続きだったのだ。

 醜くなろうとも、今まで頼って来たものすべてを失っても。

 それでも騎士であり続けられるのかどうかという試練。

 

「ありがたいでごわす……おいどん自身を縛る枷、ここまで明瞭にいただけるとは……! 感謝でごわす!」

『やっといてなんだけどここまで自然に順応されると引く』

 

 そうして、トップガン・ブレイブハート卿は生まれ変わったのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 聖騎士の口から語られた過去を聞いて。

 俺は──笑みを浮かべていた。

 

 

「なんだ、あんた、俺のことが嫌いだったんだな」

 

 

 はっきりと言い放った。

 ブレイブハートはサッと屈辱に顔を赤くし、歯を食いしばり、それから深く頷いた。

 

「そうでごわす、おいどんは……」

 

 揺れる心を研ぎ澄まそうと、深く、深く騎士が息を吸う。

 そうだ、それでいい。

 単純な剣の技量などを見せるための場所じゃないんだ。

 お前の心の強さを見せて見ろ。

 

「おいどんは──私は!」

 

 目の前で姿が変わる。

 騎士道を捨てて、ただ個人の感情のままに剣を引き抜いた男が、すべてをかなぐり捨ててこちらを睨む。

 

 客席の人々がざわめく。

 元の姿に戻った彼に瞠目しているのだ。

 

「本当は貴様に消えてほしかった! 歯がゆくて目障りで悔しくて眩しくて……! 貴様のような本物の勇者なんて、存在しなければどんなに楽かと思っていた!」

 

 切っ先を突き付けて、美しい顔を歪ませて男が吠えた。

 

「だから私と戦ってくれ、貴様を全否定するか、貴様に全否定されるか、そうしなければ私は前に進めない……!」

 

 それが本音か。

 そこが、お前の分岐点か。

 

 トップガン・ブレイブハートという男が、歪んだ末に理想の騎士となってしまった原因が俺だったということだ。

 だったら──やるべきことは一つだ。

 

「その願いを肯定する。いいよ、やろう」

「……ッ!」

 

 俺も剣を引き抜いた。

 ブレイブハート卿の顔が歓喜に彩られる。

 

「あんたにとっての宿命足り得ると言ってくれるのなら、この剣を振るう価値がある」

 

 告げて、魔力を全身に循環させる。

 容赦はしない。

 

 

「【瀆すは神代】【赤子の祈り】【我は愚かな殉教者】【零落を嘆くがいい】──発動(drive)

 

 

 剣が勇者の光を宿し、余波に大気が軋みを上げる。

 絶対的な光と善の象徴、しかしこの時だけは、目の前の男に応えるためだけに振るわせてもらう。

 

 相対するブレイブハートもまた、構えを取る。

 彼の全身を、高密度の神秘が駆け巡るのを感じた。

 

 

「【弾くは火花】【不可視の布石】【下される裁きを受け入れ】【過ちと共に果てるがいい】──発動(drive)ッ」

 

 

 戦闘用魔法術式が発動。

 と、同時だった。

 

「もういいぜ」

「ええ」

 

 開始の合図なんて待ってられるかよ。

 互いに同意を得た刹那、ブレイブハートの周囲の大気が歪んだ。

 それは俺の視点から見た光景であり、端的に言えば無数の衝撃が俺目がけて撃ち込まれたのだ。

 

「では両名、試合を────!?」

 

 開始の号砲を先取りされて、声が宙に放り出される。

 着弾の轟音と共に砂煙が吹き上がって、視界を覆いつくした。

 

「先生ッ!?」

「こ、ここまでやる~?」

 

 エリンとクユミが驚愕の声を上げた。

 聖騎士としてのブレイブハート卿の戦闘を見るのが初めてなら、容赦のなさに面食らうだろう。

 

 こいつ、物理的な爆発と神秘を用いた衝撃を豪雨のように浴びせてきやがった。

 回避する余地などなかった。

 分厚い鋼ですら跡形もなく消し飛ぶだろう威力に、地面が大きくえぐれている。

 

 だが、足りないな。

 剣を一振りして、噴煙を切り裂く。

 

 俺が纏う、白を基調とした教師としての正装には傷一つない。

 コキと首を鳴らしてから、頬をひきつらせている聖騎士と視線を重ねて、青いネクタイを緩める。

 

「今ので無傷か。あの時は本気じゃなかったと分かっているが、それでも」

「当然だ。死ぬ気でやろうぜ」

 

 さあ、始めようか!

 誇りをかけた、勝負をさァ!!

 

 

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