山賊ロールプレイしてたら、何故か勇者が襲いかかってきたんだが!?   作:蓼食う裕太さん

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 最近忙しいので息抜きに投下します。
 一人称の練習で書いてますので、指摘など、心よりお待ちしております。

 思いつきなので続いたら描きます。



序章
山賊王


 

 ある日、勇者として覚醒した僕は幼馴染と共に魔王討伐の旅に出た。

 勇者と言っても最初はゴブリンにも苦戦するし、武器はすぐに壊れるしでとても大変だったけど、今の僕には仲間がいる。

 

 初めに僕を助けてくれたのは幼馴染のアンナ。

 彼女は呪術師で村の中だと気味悪がられていたけれども、とても強く優しい女の子だ。

 魔物に襲われていれば、自分をいじめてきた人でも文句を言わずに助けるし、治療もするし、お金も取らない。

 僕も昔は良く魔物に負けていたから、彼女の人の良さが良くわかる。

 

 そんな彼女は僕の弱さを見かねたのか、魔王討伐に付き合ってくれると言ってくれたんだ。

 

 それを聞いた時、僕は飛び跳ねそうなくらい嬉くって思わず彼女の手を掴んでしまった事がある。

 彼女にはこっぴどく叱られたけど、単純に嬉しいという気持ちもあるし、仲間として戦略的に大歓迎だった。

 

 何せ彼女は世界で一番古い時代から存在する呪術師の家系の出だ。

 とても頼りになるし、何より付き合いの長さから信頼できる。

 彼女の呪術は敵の動きを遅くしたり、視力を奪ったりと色々出来て便利だし優秀だ。

 

 そんな彼女と共に冒険を繰り広げ、僕たちのレベルが十五くらいになった頃、迷いの森で出会った一人の少女と出会った。

 少女はエルフで名前をカノンという。

 

 彼女はエルフの戦士だけど、ダークエルフ達に自分達の森を襲われていて、助けを求めていたそうだ。

 冒険者ギルドは種族間の対立には手を出さない規定だから、どこにも所属していない僕達の出番という訳になる。

 

 幸いというべきなのかダークエルフの使う呪術は呪術のエキスパートであるアンナに殆ど対策されていて、捕虜となっていたエルフ達と協力し、なんとかダークエルフ達を追い払えた。

 

 村長さんに村一番の戦士のカノンを是非、旅の共にして欲しいという願いを受けて、僕らはカノンと共に魔王討伐の旅に出かけることになった。

 

 カノンはエルフの戦士らしく、弓を使って戦闘が得意だ。村一番というだけあって、弓の腕は凄まじく、頭の上に乗せた林檎に何度も中る事なんて造作もなく、エルフ特有の自然に干渉する能力で簡易な怪我の治療もこなしてしまう。

 

 それに加えてサバイバルの知識も豊富で、食べれる木の実を教えてくれたりして、とても助かった記憶がある。

 

 けど少し困ったことに、カノンとアンナの折り合いが余り良くない。

 アンナの呪術がダークエルフ達の業を連想させたのかなと僕は考えているけれど、直接聴くことは流石に厳しいそうだなぁ…

 

 

 

 まあそんなこんなで順調に旅を進めて、姫騎士のレイナや、格闘家のモモ、聖女のクリス、魔法使いのティナと出会い、本格的に魔王達と戦い始めたいる今日、とある噂が僕らの耳に届いた。

 

 それは街を襲撃する山賊たちの噂だ。

 何やら僕らが旅をしている最中に、街に押し入って略奪をしては、別の街に押し入って略奪を続けているらしい。

 

 勇者として困っている人々を見捨てられないし、いつか僕らの大切な人が襲われるかもしれないと考えた僕はパーティのみんなにこの話をして、一緒に山賊を倒そうという話になった。

 

 凄腕魔法使いのティナだけは少し難色を示していたけど、何か知ってそうだったけれど、物凄く気まずそうな顔をしていたから中々聞き出せなかった。

 

 「ねえアレン、結局その山賊王?ってどこにいるの?」

 

 山賊王を追いかける最中、格闘家のモモからの質問を受ける。

 

 「あのねぇ。さっき説明したでしょ…取り敢えず足取りを追うしかないって。」

 

 呆れた様子で姫騎士のレイナがモモに現状を説明するが、些かモモは不満気な様子。

 普段から自由奔放なモモをレイナが咎めるのはいつもの事でそう珍しい事ではない。

 

 「うぅーん…でも今まで見てきた街、ぜーんぶ2、3日で出てってるよ?」

 

 「つまりこのペースで追いかけてると、いつまで経っても山賊王に追いつけないという事でしょうか?」

 

 「それは…」

 

 モモの質問の意図を、聖女であるクリスが汲み取り、姫騎士のレイナに説明する。

 レイナは言葉に窮しているみたいだ。

 

 ここは一つ、助け舟をだそう。

 

 「いや、問題ないよ。」

 

 「ッ…!」

 

 僕の言葉にティナの肩が大きく動き、動揺を示す。

 

 僕は軽く皆を一瞥して、自分なりの考察を伝える。

 

 「まず、初めて山賊王達が出没した街は…ここだね。」

 

 広げた地図に目印代わりとしてナイフを刺す。

 

 「バーレン街…そこまで大きな街ではないけど、とある産業が盛んだね…」

 

 「?」

 

 僕の言葉にティナを除く一同は首を傾げる。

 

 「次にメチケル街。ここは元々放牧民が作った街で、農業や酪農が盛んだったようだね。それにここも…いやまあ次に進めよう」

 

 「三つ目の街、ここはドワーフ達の街。おそらくここで武器を調達して、次の街を攻める準備をしたんだろうね。そして四つ目の街だ。」

 

 「あー…そういう…」

 

 僕が次に発しようとした言葉をアンナ察し、それにつられるようにカノンとクリス、モモが気まずそうにした。レイナは…うん、そのままでいてくれると僕は嬉しいけど、少し心配だ…

 

 肝心のティナはため息をついている。どうやら山賊王の目的を知っているようだ。

 

 これまで僕が提示してきた情報は約3年前に山賊王が出没した時の情報。

 

 当時はこの四つ目の街が襲撃されて以降、行方をくらましていたようだけど、ここ数日で再び姿を現し、当時とは別だが当時のように別のドワーフの街…つまりは三つ目の街を後にしている。

 

 そして次に狙う四つ目の街は…

 

 「色情の街、マリーゼ。次にあいつ(・・・)が現れるのはそこ。」

 

 「え?し、し色情?えぇ!?」

 

 ティナが顔を顰めながら、そう断言している。

 訳知り顔の彼女がそういうなら、僕の予想は当たっていたようだ。

 

 レイナの絶叫が響く中、少しの安心感と疑念が頭をよぎる。

 

(何故彼女は山賊王の事をあいつ(・・・)って呼んだんだろう?)

 

 恐らくは山賊王とティナに面識があるのかも知れない…これは少し問い詰めた方が良さそうだな…

 

 

────────────────────────

 

 

 

 鬱陶しい日差しが目に差し込んだ事で、意識が覚醒する。

 

 質の悪いベッドに、軋む床、おまけに少しカビ臭い部屋。

 ひ弱な人間がここで数日暮らせば、感染症にでも罹るんじゃないか?って思えるほどに汚ねぇ部屋。

 

 親の顔よりも見た天井を視界に入れる度に、苛立ちが募り、無意識に舌打ちをしてしまう。

 

 「あ゛ー…糞っ!糞たれがっ!」

 

 いつものように怨嗟の声を垂れ流し、叫ぶ。

 

 この世界に転生してもう28年が経つ(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 毎日これは悪夢だと言い聞かせて過ごし、目が覚めればきっと…そう願いながら随分と長い年月が経ったみたいだ。

 

 頭を掻きむしり、堂々巡りの悪夢に抗うように繰り返しルーティンとなった追憶。

 

 初心を忘れるなと言ったあの女の言う事に従い続け、もう20年になる。

 

 今日もまた俺は瞼を閉ざし、己の原初に立ち直る。

 

────────────────────────

 

 俺が明確に自意識を持ったのは三歳児の時、親に捨てられスラム街を彷徨っていた頃の話になる。

 

 当時の俺はまだ幼く弱かった。

 まあ当然と言えば当然だ。

 三歳児の乞食なんぞ、ただそこにいるだけの存在で、それ以上でもそれ以下でもない。

 

 都心に赴き、ゴミを漁って残飯を貪り、生きながらえるだけの日々。

 毎日ひたすら、どうして俺がこんな目にと嘆きながら、理不尽に憤り、世界を憎んだ。

 だがそんな日々はある日を境に大きく変わった。

 

 きっかけは富裕層共の人狩り(マンハント)だ。

 貴族達は裏で娯楽として俺たちのような餓鬼や貧困層の子供を誘拐して、自分の領地内で魔法の試し撃ちや遊びで子供を殺しまわっていた。

 

 何も知らなかった頃の俺は親子連れの貴族に騙され、屋敷招かれた。

 数年ぶりになるマトモな食事を前に、涙を流しながら感謝していたのをよく覚えている。

 まあ、名前も無い餓鬼にちゃんとした飯を貴族が食わせるわけもなく、見事に一服盛られ、そのまま人狩りが始まった。

 

 目が覚めれば森の中、貴族の親子がデスゲームを宣告し、手をこちらに向けて魔法を唱え始めてすぐに、それが人狩りだと理解し、俺達は裸足で逃げ出した。

 当時の俺は魔法を全く理解していなかった。

 森には結界が張り巡らされ、一定地点に到達すると初期位置に戻されるようにされていたのだ。

 

 それに気づいたのは近くで走っていた奴らが姿を消した時だ。

 前を走っていた奴らが急に姿を消したもんで、怪しんだ俺はその場で立ち止まることができた。

 

 なんとか活路を見出すべく、俺はもと来た道を折り返し、潜伏する事にした。

 幸運にもそれが功を成し、貴族の糞餓鬼がボウガンを携えてこちらに近づいてきたのだ。

 

 後ろから糞餓鬼の背中を押してやり転んだところを拘束して、人質にしてやったよ。

 魔法使いの親父の方は、全裸で木に吊るされ泣き叫ぶ糞餓鬼を保護しようとしたところにボウガンで首を射抜いてやった。

 

 ガキが随分と丈夫な服を着てくれていた良かったと今でも思っている。

 

 魔法使いはタフだが、喉を潰されれば詠唱できないのは前世の知識で想像できたし、今世でも一般的な対処方法だ。

 

 その時の俺はとてつもなく、むしゃくしゃしていた。

 だから親父の持っていたサバイバルナイフで切り取った餓鬼の睾丸を親父の口の中に詰めたりして遊び、憂さ晴らしをしていた。

 

 二人を殺して直ぐにレベルが上がった事をきっかけに、俺は奪う者として生きる道を選んだ。

 

 まあ、そんな訳で初めての殺人を経験したわけだが、一つ大きな課題が立ちはだかった。

 肝心な脱出方法だけが見当たらない。

 

 半日ほど彷徨い歩いても結界は消えていないようで、かなり困っていた。

 貴族共探しに騎士団の連中が来るかも知れないと考えが過り、焦燥感がジリジリと責め立てるようにやってくる。

 

 腹も減ったし、親子の死体でも貪ろうかと悩むほどで、とにかく魔法の知識が何もなかった俺は、ただ我武者羅に森の中を駆け回り、打開する術を探し回った。

 

 「おい、ここの貴族をやったのお前か?」

 

 月光が照らし出したのは腐り果てた二つの死骸と、今にも生き絶えそうな餓鬼一人、そして一人の山賊。

 

 その日俺は、クソッタレな運命と出会った。

 

 

────────────────────────

 

 

 

 追憶(これ)なんぞ毎朝毎朝、走馬灯を見ているようで吐き気がする。

 だが生きる目的も大して無い俺からすれば、ある意味これは俺を生へと繋ぎ止める楔の様なものだ。

 それにこの自傷行為は最悪な気分と共に、この世界で生きる上で最も重要なモノを想起させてくれる。

 

 死の実感だ。

 

 生きるのにスリルなんて必要はない、だが恐怖は必要だ。

 死を想え(メメントモリ)なんつう言葉も前世ではあったが、この世界では前世のそれとは少し違う。

 

 この世界に安寧などない。

 竜も魔王もいる世界だが、勇者やスーパーヒーローがいつも助けてられるわけでもないし、ましてや警察なんて優しいものは存在しない。

 

 この世界に生きる人間は皆、常に死の崖っぷちに立たされているんだ。

 

 自分達は大丈夫だ、自分達には仲間がいる。

 

 そんな事を思って生きている奴ほど早死にするし、長生き出来ない。

 

 自分の欠点は他人が補ってくれる?

 足りないところは互いに助け合って補おう?

 

 なんだ、お前らは阿呆なのか?

 

 何故、他人に背中を預ける、何故他人に己の心臓を握らせるのだ?

 そいつが死ねば、お前はただの欠陥品だ。

 一人じゃ何も出来ない。

 

 そんなじゃ直ぐに負ける、直ぐに斃される、直ぐに死ぬ。

 

 どうしてわかりきっていることをしない。

 

 前世と違ってこの世界の人間には向き不向きはない。

 努力すれば何でも出来る。

 

 諦めるならやれることをやった上で諦めろ。

 もっとも、俺はそんなくだらん奴に興味はない。

 

 俺たちはやれる事を全てやってやる。

 勇者も魔王も神も関係ない。

 目障りならば潰すし、使えるなら利用してやる。

 

 それが俺たち背信の咎人、《山賊》だ。

 

 

 

 

 

 

 

 




 以前までここには旧設定を書いていましたが、現行の設定と著しく矛盾するため削除させていただきました。

この中で一番悪い人は?

  • 主人公:山賊王 レン
  • 裏主人公:勇者 アレン
  • 呪術師 アンナ
  • エルフ カノン
  • 魔法使い ティナ
  • 遊び人 レイナ
  • 格闘家 モモ
  • 聖女 クリス
  • 山賊 ルカ
  • 山賊 ゴンズイ兄
  • 山賊 ゴンズイ弟
  • 魔王 (名称未定)
  • 魔人
  • 小柄な少女(名称未定)
  • 幼少期に主人公を攫った貴族の親子
  • 教皇
  • 先代統領
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