山賊ロールプレイしてたら、何故か勇者が襲いかかってきたんだが!?   作:蓼食う裕太さん

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お久しぶりです。
スランプに陥ったり、リアルが忙しかったりと色々な事情込みで更新が遅れてしまいました。
現在進行形で忙しいため今後も牛歩が如きの更新を続けさせて頂きます。
Xの方での生存報告が1年以上開いた場合は、ほぼ確実に筆者は転職に失敗している事でしょう。

さて暗い話はここまでにして、お楽しみください

〜前回までのあらすじ

 勇者一行は魔王討伐の旅の道すがら山賊王の噂を聞き、山賊征伐のためドワーフ達の街へと向かう。そこでは凄惨な陵辱や略奪が繰り広げられており、憤慨した勇者一行は山賊達を蹴散らすも、遅れてやってきた山賊王らに敗北を喫する。
 一方で勇者一行を撃退した山賊王レンは幼馴染であった聖女クリスの変わりぶりにドン引きしつつ、知己であった賢者ティナを連れ去る。レンは拘束されたティナに対して『自分の目的を見抜けば、自由にする』という提案。その後、内通者であった人類最強の騎士ユリアとの密談の中でレンの探し求める古竜の遺骸がガヌート海溝にあるとの情報を受ける、その後山賊団幹部間での会合に顔を出し、そこでは幹部の1人であるウルスタートが自らが遂行した任務の詳細についてである。
 ウルスタートはレンから勇者一行の監視を命じられていたが、パーティにいた呪術師アンナの存在を厄介に感じた彼は奇襲をかけるも、乱入してきた勇者アレンとクリスを見て分が悪いと判断して撤収した。
 襲撃を受け勇者一行はここの力量不足を実感する。魔王軍の活動が激しく無い今こそ、各自修行に出るべきではというアンナの提案に一悶着ある中、そこに1人の闖入者が割って入る。


それぞれの思惑③ ※前回までのあらすじ有

 

 「呵呵、そうかそうか。なら都合がいい」

 

 いつの間にか小屋に侵入していたユリアはニヤリと笑みを浮かべて、腕を組んだまま壁にもたれた状態のまま、その場の喧騒をたった一言でかき消す。

 まるで先の侵入者、ウルスタートと入れ替わるようにして現れた彼女に一同はほんの少しの間、警戒の色を露わにしてからアレンの「なんだ」というつぶやきと共に、その緊縛した雰囲気は雲散霧消した。

 

 「丁度ですか。ずっと見計らっていたでしょうに」

 

 「そんな訳無かろう」

 

 「まあ師匠がそう言うのなら……いや実際にどっちでも良いんですがね」

 

 この中では付き合いアレンは、自分達の会話を外から伺って機を伺っていたユリアの姿を想像し、微笑みなら毅然と振る舞う己の師にあたたかい眼差しを送る。

 

「へぇ〜この方がアレンのお師匠様ね。初めて見たわ……あっ申し遅れました!訳あって家名は名乗れませんが、私、前衛を務めさせて頂いているレイナと申しますっ!」

 

「同じく。格闘家モモ、アレンの、師匠。若い……」

 

「お久しぶりですね筆頭」

 

「うぇぇ〜」

 

 彼女に対する反応は三者三様。

 初対面の者、親しい者、嫌悪を示す者。

 

「若いかぁ……まあ、うちの師匠は不老だしね。ああ見えてもとsぁぉっ……!?」

 

 身内であるが故か、無意識に著名人と知己であることでマウントを取ろうとアレンは言葉を発して地に沈む。

 

 この世界で生き抜くには神の加護と経験値、そしてデリカシーが必要であったが、勇者にはデリカシーが不足していたようである。

 

 突如鳩尾を抱え、蹲るアレンを傍目に黒い笑顔を浮かべ、師匠と呼ばれた少女、ユリアはその直後に深いため息を吐いて、一時の静謐を形成する。

 

 そしてアレンが発した一連の言葉をその脳内で反芻する事、数瞬。

 クリスの『筆頭』という言葉、アレンの『師匠』、『不老』という言葉にまるでズレたピースがガチりとハマるような感覚を感じ、レイナとモモが暫し首を傾げ───

 

 「「あ……」」

 

 全くの同時

 

 何か思い当たることでもあったのか。レイアとモモ、二人して唖然とし、電流が走ったような表情を浮かべてはバタバタと慌てふためき始める。

 

 「アレンの師匠って言えば……あのユリア様!!!えぇ!?嘘嘘嘘ッ、初めて見ちゃった〜!」

 

 「右に、同じく」

 

 名実ともに最強にして最高の騎士、ユリアの存在はまさしく雲の上の存在に等しく、武道を、魔道を、騎士道を、唯一呪術を除いたあらゆる道における究極の一人。

 そして魔王と闘ってなお、唯一生き残るという偉業を成し遂げ、魔王その人の風貌を記憶する最後の英雄。

 

 一説では魔王軍が未だ、人類へ大規模侵攻を行わない理由は彼女にあると考えられている。

 彼女が一度戦場に出れば、一騎当千、否、単身にて千の英雄の戦果をも上回る活躍を見せるだろうと持て囃されることも多々ある。

 

 実際にこれまで彼女が討伐した魔人の数は計り知れず、聖騎士達の間で伝わる伝説では返り血ひとつ浴びず、百の魔人の首を刎ねたとも言われる。

 

 そんな伝説にも等しい存在である、聖騎士が突然現れたのだ。

 

 面識を持たぬ彼女らが驚愕し、興奮するのは無理もない話だ。

 

 「わー凄いー。じゃ、僕はそろそろ行くねー。時間も無駄にしたくないし……」

 

 ユリアを見るや否や、先ほどまでの重傷は何だったのかというほど一人、足早にその場を去ろうと控えめな声量と、感情の隠らぬ声色で別れを告げる声が一つ。

 

 アンナは露骨に嫌悪感を浮かべながら、その場を後にする。

 

 「これ、待たんか」

 

 誰もがユリアに目を奪われ、密かに脱出できたかのように見えたアンナだったが扉を開け、外へ身を乗り出した途端、何故か()()()()()の中へと飛び込んでいた。

 

 「ぶべっ」

 

 扉の先を外と確信していた彼女は勢いよく飛び出した結果、そのままのスピードを維持し何処かへ消えてすぐに()()()()()()()()()ため、埃を巻き上げつつ潰れたカエルのような声を出して動きを止めた。

 

 アンナの身にいったい何が起きたか、それを推察する必要はなかった。

 なぜなら彼らは既にそれを見ているから。

 

 今この場にいない賢者ティナの故郷、魔術都市バーレンの禁書庫に眠れる魔導書に記された異端の業。

 

 つい先日、山賊王が行使した術理と全く等しいそれを、まるで呼吸をするかのようにユリアは行使していた。

 

 アレンやクリスの知る限り、空間魔法におけるワープゲートの生成は困難極まりないものであり、通常の神官などが利用する際には10秒以上の詠唱を要される。

 

 「やっぱり師匠は凄い……」

 

 「ええ、規格外ですね」

 

 「僕の心配は!?」

 

 「全く此奴は……にしても貴様ら何を惚けておる、ここは我の拠点の一つだぞ?」

 

 手を輝かせながら自身を見つめる二人の少女を手であしらいながら、呆れたようにしている。

 その様子はスターを追いかけるファンのような構図であり、ユリアは心底面倒そうに彼女らに視線を送っては、騒がれを繰り返して頭を抱えそうになっていた。

 

 一方アンナは恨みがましく眉間に皺を寄せている。

 

 「ゴホン、では今から旅立つ貴様らにいくつか助言してやろう」

 

 空気を切り替えようと、ひとつ咳払いをして緩んでいた空気を引き締める。

 

 これにより二人はビシッと音が聞こえそうなほどの勢いのまま、姿勢を正して静かに傾聴する。

 

 「まずはそこでへばっている呪術師!貴様はエルフと共に()()()へ向かうといい」

 

 「あ゛ー、霊獣山ね。……うん、確かにそこなら()()()()()、カノンちゃんとの親和性も高いから、まあまあアリだね」

 

 ユリアの指示に周囲とは異なり、アンナは地面に寝そべったまま、その思考を巡らせて回答する。

 

 「まあまあ……か。勿論、貴様ならば知ってるとは思うが、あの山はオズ(とある愚か者)の呪いに冒されておってな。既に禁止区域に指定され、先刻も貴様らが矛を交えた山賊共も近寄らんだろうが、呪いに塗れた新種の魔物もいくつか発見されておる」

 

 「ご親切にどうも。あそこなら身を隠すにも、うってつけっちゃ、うってつけだ。ただ……」

 

 「ただ、なんだ?」

 

 「呪いに関してだけは僕の方が詳しいから言うけど、リスクがねぇ……言い換えればオズ(あの魔女)の腹の中に足を運ぶようなものだろ?」

 

 「否定はせん」

 

 「ほらぁ……マジでこのお婆ちゃん趣味悪いよぉ……」

 

 ユリアの提案を真剣に吟味したアンナの想定は正しい。

 

 山賊団の本拠地、まだ誰の支配下にもない異界をレンが手中に収めたように、件の魔女もまた同様に霊獣山を化外じみた手段を持って彼女独自の異界と変貌させていた。

 

 己を主とした世界は正しく、アンナが形容したように腹の中も同義であり、侵入でもすれば、まず間違いなく発見され彼女の命はないだろう。

 

 「ふっ、しかし我の知る得る限り山賊団(やつら)の手の届かぬ地は多くない、精々魔界か()()()()くらいな物だろうよ」

 

 「しっかし、いやでもなぁ、うーん……あの()()()いるしでも合法的に入れるってなれば」

 

 確かにユリアの提示するように山賊に遭遇しないという点は大きなメリットでもあり、尚且つ精霊がいるという条件を満たせるのは世界中どこ探そうと、霊獣山程度なものだろう。

 

 メリットはある。

 

 だがそれを以てしても覆い隠すことの叶わないのが霊獣山に潜むリスクだ。

 

 「アンナ?」

 

 「あぁ、ごめんごめん何でもないよアレン。ちょっとした考え事さ」

 

 まごつくアンナに対し、不安そうに声をかけてきたアレンの言葉を誤魔化しつつ、糸のような可能性を辿るべく思考を巡らせる。

 

 そんな中一つの声が彼女の思索を断ち切る。

 

 「ねえ、霊獣山って何?」

 

 周囲の長話に疲れたのか、アンナが目を向けていない間に胡座をかいて座り込んでいたレイナが手を挙げていた。

 

 「マジ、か」

 

 続いて飛び出したモモの呆れた声。

 目上の存在に対してのレイナの大胆不敵さに呆れたのか、はたまた彼女の無知さ加減によってつい漏れ出した言葉なのかはさておき、モモの指摘は正しい。

 世界における禁域は国の許可なく立ち寄る事を許されないような地域を指す、仮に無許可に立ち行った場合その者の扱いは犯罪者と相違ないものとなるだろう、加えてダンジョンなどとは異なり危険度が高く、侵入者の大半が屍を晒す羽目になるような魔境である。

 

 

 「あーレイナは知らなかったか。まあ無理もないっちゃないか」

 

 「それどういう意味?」

 

 「レイナは、世間知らず」

 

 「失礼ね、そのくらい知って……るわよ」

 

 「無理は良くないよレイナ。まあ斯くいう僕もそこまで知らないんだけどね、アンナは詳しいのかい?」

 

 自身無さげに項垂れるレイナをフォローしつつ、アレンは補足程度にとばかりにアンナへ質問する。

 

 「詳しいも何も……そっか()()()()()ってやつかな」

 

 彼女の口から発せられたのは、アレンの望んでいた蘊蓄ではなく、帰って来たのは意外な返答だった。

 

 「世代?」

 

 「まあそこはおいおい話すとして……だ。大前提として、そもそも霊獣山は元々聖域なんだ」

 

 「ちょっと待って、聖域ってもしかして……」

 

 「うむ。我の記憶の限りでは、あそこには精霊が住んでおったわ」

 

 アレンの追求を濁しながらのアンナの解説に、レイナは大きな反応を見せ、事実を照らし合わせるように当時の目撃者であったユリアが、うなづきながら補完をする。

 

 「アレンたちが生まれる以前の話だ、エルフ達は魔物の寄り付かぬ土地、聖域に住み自然と共に暮らしておった。そこにはかつてエルフ達との共生を望む精霊がおって、彼らの良き友として長らく平穏な生活を営んではおったのだが……魔軍の侵攻によって多くの聖域が滅ぼされ、精霊の数も激減した。そして最後に残った聖域が霊獣山だ」

 

 「ちなみに魔軍が攻め込んで来なかったのは名前の通り霊獣イテル・デンスが居たからさ」

 

 「その通り、あやつの凄まじさは我も知るところ。魔人が10体来ようとも難なく跳ね除ける程度、余裕であったわ」

 

 「じ、10!?」

 

 「そんな数の魔人が攻めてきたのなら国が滅ぶ規模ですよ」

 

 「あり得ない………」

 

 アレンの指摘にレイナが俯きながら背中を振るわせる。

 

 「そんなの、あり得ないわ!私のいた国はたったの三人に滅ぼされたのよ!?そんな、そんな強いのが私のところにもいた……ら……ッ!」

 

 「レイナ……」

 

 「ああ、そういえばそこな騎士はあのウストレナの出か」

 

 「ええ、僕らと彼女が出会ったのは戦時中、いえ戦後というべきでしょうか」

 

 「報告で聞いておる。上位の魔人であったのだろう?仕方あるまい、ルクスの聖騎士であってもそのレベルの魔人は危険極まりない。我や彼奴が規格外なだけだ」

 

 「僕からすりゃ、あんまし気にするなって話だけどねぇ」

 

 「アンナ!その言い方は」

 

 「いいのアレン、分かってる」

 

 「別に前向いて生きろとか、忘れろなんて言わないよ。なんなら聖職者でも無い私から素直なお気持ち表明させてもらうとね、あんまり死者(そっち)に引きずられない方がいい。碌な目に会わないから」

 

 「そう……ね」

 

 「んじゃ、この話は一旦終い。兎に角、そんなヤバい霊獣が汚染受けてるってワケ」

 

 「でもいくらエルフと親和性の高い場所って言っても、呪いに汚染されてる環境でも大丈夫なものなのかい?」

 

 「だからこそ僕の出番ってワケ」

 

 「アンナなら、呪い、解ける?」

 

 「解けやしないさ、でも一時的な浄化くらいは可能だから」

 

 「ならアンナは───」

 

 ついに納得したとばかりに頷いたアレンはパーティのリーダーとして改めてユリアの提案を承諾しようした。

 

 

 

 

 「唐突な来訪失礼しますユリア様、勇者様御一行。聖都への魔人の侵攻が予測されました。規模は30を超えると想定されております」

 

 アレンの言葉が言い切られる直前に、現れたのはさらなる来訪者。

 音もなく影のようにぬるりと姿を現した男は大袈裟な装飾のついた鎧を身に纏っている事から、相当な上位な聖騎士であることは聖騎士との交流の少ないレイナやモモですら即座に理解できた。

 

 「30か、チッ多いな……」

 

 突如現れた男を問い詰める事なく、その言葉を受け入れ、舌打ちをしたのはユリア。忌々しげな様子の彼女は口元に手を当てがい考え込むようにしていた。

 

 「フレック卿、それは本当なんですか?」

 

 「ええ、抜かりはありませぬ。()()()()である()()の予測はほぼ確実です」

 

 アレンにフレック卿と呼ばれた聖騎士は己の二つ名を出し、その信憑性を担保しつつ強く肯定する。

 

 つまりは

 

 「聖都が滅びる?」

 

 「待って。どういう、こと?なんで、今更国境?今まで何も、なかったのに。それ、に、退()()()は?」

 

 如何に高位の聖騎士の言葉であろうとモモにとってそれは理解の範疇を出た言葉であった。

 

それは無理もないだろう。

 彼女は元々、聖都に住まわぬ身。

 彼女がフレック───、高位とは言え一介の聖騎士の名を挙げられようと知る由もない。

 

 普段物静かなモモの酷く困惑した声を聞いて、アレン達も動揺の色を隠せない。

 

 それは彼女の出自を知るが故のこと。

 少数の魔人が来るのはまだ分かる、だが20も30もの魔人が徒党を組んで襲来することはあり得ない。

 

 彼女にとって気がかりでしか無かった。

 

 人魔の狭間、退()()()が魔人達を見逃すはずがない。

 それだけがモモの内に抱く絶対の確信。

 

 東部に存在する魔界と人界その狭間。ゴーリエ山脈、そこに住まう放浪の戦闘部族である退魔士は百年以上もの間魔人達を退け続ける、正しく人類の盾となる存在だ。

 

 魔人の存在は脅威であり、その脅威は世界最大の国家である宗主国ルクスであっても変わらず、聖騎士達がいようとも無数の魔人が雪崩れ込めば最後、人類は滅ぶことだろう。

 

 せめてもの救いは神が地上を去る前に残した大結界であろう、魔界より西は神の施した結界によって魔人は侵入を阻まれていた。

 とはいえ神が地上にいたのも遠い遠い昔の話。既に結界は綻び始め、一部では魔人の侵攻を許してしまっている。

 だが結界の綻びから魔人が襲来した当初は、全く問題はなかった。いや周知すらされていなかった。

 

 何故ならばその地域にはちょうど、退魔士が駐在していたのだ。

 

 "龍"を神のもう一つの姿して崇める彼らは探し求めていたのだ、狩場を。

 神敵である魔人を殺すことのみを至上の主命として生きる彼らにとって、結界の歪みは願ってもない事であり、百年以上に渡り結界の綻びた区域でもあるゴーリエ山脈を守護してきた。

 

 そんな彼らがいたからこそ、ルクスは長らく平穏を享受してこれたという訳である。

 

 だからこそ、モモは不思議でならないと感じている。

 百年以上も前から人類圏を守り続けた実績に加えて、人類最高峰の実力者揃いである聖都の聖騎士であっても、退魔士の一族を従えることは難しい。

 それほどの実力者揃いの退魔士の包囲網をどうやって魔人は抜けたというのか……

 

 勇者パーティ随一の実力者である武闘家モモは退魔士の一族に拾われた人間だ。

 だからこの場においては誰よりも退魔士に信頼を置いている。

 

 その信頼は守護者としてではなく、狩人あるいは殺戮者としての信頼。

 

 (退魔士が魔人を見逃すはずがない)

 

 彼女は疑念の眼差しを聖騎士達に向ける。

 

 その眼差しが意味するのは不信。

 元より彼女は聖騎士を信頼していない。

 

 世界の為を思うのならば、彼らは退魔士と協力して魔人を殺すべきだというのにも関わらず、聖騎士達は自衛のためだけに大国ルクスの近辺に現れる魔人を狩るだけだ。

 

 なんという怠慢であろうか、聖騎士達は我が身可愛さで恩人である退魔士達を壁にしているのだ。

 

 「武闘家よ。状況が変わったのだ。二百年ぶりに大規模な襲撃が予知されておる。30を超える規模となれば言うまでもなく首魁はあやつか」

 

 「───衆愚の呪刻、魔人ファブラ。彼が無数の魔獣を従えて聖都を滅ぼすでしょうね」

 

 「なら今後の計画を変える必要がありそうだ」

 

 「ですから先んじてアレン様には───」

 

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 ユリアから与えられた試練の内容は、フレックという聖騎士の来訪により急遽変更を余儀なくされた。

 彼の予知した未来を考えれば仕方のない事であった。

 

 当初の予定通りアンナとカノンは霊獣山へ向かう事となったが、クリスとモモは聖都の防衛戦に加わる事を命じられたのである。

 

 そしてアレンとレイナはというと………

 

 「ねえ、本当に良かったの?」

 

 此処は海外沿いの港、オーラス港にある騒がしい古風な酒場にてアレン達は一時休憩していた。

 

 オーラスの近くでは漁業が盛んであり、漁師や冒険者あるいはその両方を兼任する者が多く、海域にいる魔物の討伐やトレージャーハントを目的とした活気のある若者がよく此処に訪れる。

 未探索領域が多大である事から実際に、この港で活動を通じての未発見の遺物の発掘や、新種の魔物の登録などの例が多く、ある程度の情報を持ったルーキーはこの港に辿り着く。

 単純に地域ならではの魔物の素材を求めるものもいるが、ダンジョンとは薄暗く埃っぽく、若者の間では人気がない。

 故に開放感のある海上や海底へ向かい探索する者が多いのだが、しかしというべきか現実は厳しいものであった。

 

 もし仮に気軽に稼げるのならば、ベテランの冒険者達はこぞって海へ向かう。

 しかし若者しか居ないというのは、そういう事だ。

 

 ベテランが少なく、ルーキーしかいない港町。

 それが意味することはルーキーはベテランになることなく命を落とし、新たなルーキーが入ってきては姿を消すという事。

 

 だが名前も顔も知らない新米パーティー、それも木っ端ともなれば誰も気に留める事もなく、若者の流入が盛んに過ぎるのだ。

 

 そんな街に1人で向かうアレンを心配したレイナはユリア達に断りを入れる事なく同行し、アレンはそれを受け入れてしまったのである。

 

 「流石に君を1人にするのは色々と怖いんだよね……」

 

 アレンはレイナの問いかけに、苦笑いを浮かべてそう返答する。

 事の発端を辿れば、ユリアに責がある。この程度は許してくれるだろうとアレンは内心で考えている。

 

 順番にアンナ、モモ、クリスと試練の内容を言い渡され、最後にアレンの試練もとい極秘任務が与えられた訳だが、何故かレイナには試練が科されることはなかった。

 

 厳密……いや、実際には戦力としてみられていないのが現状であった為であるのだが、()()()()()()()()()()()に対する態度としては正解というべき現状維持、とどのつまりは放置という選択を聖教は取ったのだ。

 

 内心で足手纏いを自覚していた彼女はこの処遇を受け、まさかの号泣。気まずそうにその場を後にしたユリアとフレック、そしてアレンを除いた薄情な勇者パーティ。

 

 嘘の課題でも良かったのにも関わらず、その辺りの配慮が出来ていなかったユリアが悪い。

 そう考えてアレンは自分を納得させることにした。

 

 「それってどう言う意味よ!?」

 

 「聞きたい?」

 

 レイナのツッコミを受けたアレンはそう聞き返す共に、真横で騒ぐ少女が1人になった時の未来を想像した所為なのか、その端正な顔つきに僅かながらの青筋を浮かべた。

 

 ある意味で言えば勇者パーティ一の問題児であるレイナ。

 

 もしそんな彼女をほっぽり出した場合、大抵碌でもない事が起きる。

 間違いなく正義感の強い彼女は、山賊か魔人の下へ単身で駆け出し、馬鹿正直にも名乗りを上げてから正々堂々真正面から戦いに挑むことだろう。

 タフさだけが取り柄の彼女では誰も倒す事は叶わないのは前提として、一応彼女は勇者パーティの一員。

 

 支援者ともいえる聖教に迷惑をかける羽目になる。

 

 アレンもかつて彼女と共にダンジョンに潜った時、我先にとばかりに「私が伝説になるのよ!」と叫んでレイナが1人で最深部へと向かった事があった。

 当の彼女を追いかけて勇者一行は数日間帰ること無く、ダンジョンを彷徨い、捜索隊を組まれてしまった程であった。

 

 レイナと仲の良いモモからも「目を離しちゃ、ダメ」と釘を刺されたアレンは自ら彼女の面倒見ることを請け負ったのだが……

 

 「……なんか聞きたくない」

 

 どうやら当の本人もそれを自覚しているらしく、わざとらしく視線を逸らしている。

 

 「そういう事さ。それにしても()()()お疲れ様」

 

 あまり突っついて欲しくなさそうだと理解したアレンは話題を変える。

 提示したのは共通の話題。

 それはユリアの隠れ家からこのオーラスに辿り着くまでにかかった時間。

 約10時間に渡る長旅はひ弱なレイナどころか強靭な肉体を持つアレンであっても疲労を感じさせるものであった。

 

 「そっちこそ、お疲れ様。にしても半日も徒歩で歩かせるなんて、聖教は何考えてるのかしら?お陰でもう一歩も動けないわ」

 

 「それは困ったね、これから()()なんだけど、大丈夫かい?」

 

 「う゛っ、乗ったことないけど、嫌な予感がするわ……」

 

 「僕も同感。船旅は初めてだけど波瀾万丈の予感しかしないよ」

 

 「こんな疲労状態で船に乗せようなんて嫌がらせよ!嫌がらせ!」

 

 互いに労い合いつつ、次なる旅路が海路であることを知りゲンナリとする二人。

 前述したように

 

 「残念だけど、一応は極秘任務って事だから利用履歴の残る転送問の使用はできないだろうし、仕方ないよ」

 

 「それも……そうね。でもそうはいっても徒歩っての酷くない?馬車くらい出してくれてもいいでしょうに、一応私達は勇者パーティよ?」

 

 「そっか、レイナにはちゃんと説明してなかったね。勇者と言っても僕らの表向きの立場はあくまで一介の冒険者に過ぎないからね。恥ずかしい限りだけど、まだ発展途上で弱い僕らの素性を吹聴して回られると魔人が徒党を組んでやってくるリスクもある」

 

 アレンはまだ勇者パーティに加入して日の浅いレイナに対して、自らの立場について説明する。

 するとアンナは得心が得たように頷いて

 

 「あ、成程!だからアレンは初対面の時冒険者って名乗ったのね!」

 

 「まあそういう事だったけど、山賊王に僕の素性が既に割れていたのを考えると効力自体はどうなんだろうね……」

 

 「剣が金色に光ってたらそりゃ一目で分かるんじゃない?」

 

 「勇者と判別できても、僕がアレンっていう名前なのは知らないはず」

 

 「名乗って無かった?」

 

 「勇者と名乗れば多少は動揺して戦いやすくなると思って、"僕らは勇者だ!"とは言ったけれど、アレンとまでは言ってないよ」

 

 「……ならどこでアレンのことを知ったのかしら」

 

 「分からない。ただ考えたくないけど、あり得るとしたら……」

 

 可能性としては一つだけ、勇者をアレンと結びつけることができるのはこの世界に一つしかないのだ。

 

 だがそれを口に出すのは憚られる。

 もし出してしまったのならたとえ勇者であっても異端審問にかけられる恐れのある失言なのだ。

 それどころか、ここまで口に出すことさえ、かなりのリスクが伴う。

 アレンもそれを承知の上で語り、レイナもこの意図を察して青ざめたような表情を浮かべる。

 

 「()()、か?」

 

 そう考えて口を濁したというのに、後ろから話しかけてきた男の言葉は騒がしいはずの酒場が突如として静まり返ったかのような錯覚さえ覚えてしまいそうな程に恐ろしいものだった。

 

 横目に視線を投げるとその声の主の素性がはっきりとした。

 随分と顔の整った金髪の青年。年齢は30くらいだろうか、周囲の冒険者達とは異なり、かなり鍛え込んだ様子の体格と筋肉量であることから相当な使い手であることは対人戦において素人ともいえるアレンでも即座に見抜ける。

 

 

 アレンはレイナの背後に立つ男の言葉が周囲に聞こえていないか、気が気でなかった。

 

 聖教を敵に回すような発言とは即ち、神への不信ひいては世界への反逆に等しいのだ。

 背信者の烙印を押されれば最後、表の世界はおろか裏の世界でも生きることは不可能。

 背信者の扱いは奴隷の比ではない。もし見つかりでもすれば原則、処刑という身の上となるのだ。

 それこそ山賊に身をやつすような真似でもしない限り、当人の生存の可能性は皆無といえよう。

 

 「いま、なんて……」

 

 「そうマジになんなって。いや悪い悪い、驚かせるつもりは無かったんだ。随分と話し込んでるみたいだったから、つい……な?」

 

 「貴方ねぇ、冗談にしてもワードチョイスが壊滅的よ……肝冷やしたんだから」

 

 「同感だよ」

 

 二人の非難の視線が男に突き刺さる。

 男はと言うと申し訳なさそうに頭を掻きながら、反省の色を見せずにヘラヘラと笑っていた。

 

 「そうカッカッすんなよ。あんましマジになってるとよ、逆に周りから()()受け取られちまうぜ?」

 

 「そ、それは……」

 

 男の指摘に痛いところを突かれたアレンは二の句を告げずじまいのまま、黙りこくる。

 男の指摘はもっともであった。

 

 人数が多いとはいえ、迂闊な話題をし、尚且つ騒ぎ立てて仕舞えば却って一目に着いてしまうのは当然の摂理である。

 

 「ぐぅの音もでねぇってか?かはははっ!まんま()()()と同じじゃねぇかよ!こうも育ての親には似るもんかね?」

 

 「あの人?」

 

 大声をあげて笑う男の言葉に、何となく違和感を察知したアレンは疑問符をつけて返す。

 

 育ての親……アレンにとってその言葉を指す人物は一人しかいなかった。

 

 「おうよ、っとそこら辺は()()()()()()()()()、不問にしといてやるぜ」

 

 「同じ船?何を言ってるの?」

 

 「教えて下さい、貴方は何者ですか?」

 

 レイナとアレンの問いかけを受けて、男は僅かに瞠目した。

 そして合点がいったとばかりに手を叩き、確認をし始める。

 

 「ん、もしかしてだけどよ、アレンの坊ちゃんもそこの嬢ちゃんもフレック爺さんから聞いてなかったのか?」

 

 「ええ、行けば分かると」

 

 「私も特には聞いてないわよ」

 

 「はぁぁぁぁ〜ったくユリアの姐さんマジで何やってんだか……仕方ねぇか」

 

 呆れたような愚痴、尤も三人ともユリアに対して同じ心持ちであっただろう。

 レイナもアレンも仲間が命懸けの戦場に向かう中、極秘の任務を言い渡されてここまでやって来たのだ。

 

 具体的な目標すらも分からない。

 

 ただ分かるのは"古代遺物の回収"という事だけである。

 このオーラスには何が眠るのか、果たして勇者が直接の出向かなければならない程の事態なのか。

 

 ───いや、きっと事情があるな違いない。それに行けば分かると言っていたんだ……師匠を信じよう。

 

 膨らむ不満を押し殺そうとアレンは納得できるだけの理由を自分に作り上げる。

 レイナもまた同様に不満を募らせつつ、ため息をついて気を落ち着かせた。

 

 悪感情も過ぎれば、諦めと似た何かへ至る。

 

 特に付き合いの長いアレンは、最早その境地に足を踏み入れつつあった。

 

 「行けば分かるね……まあそりゃそうだろうが、大事な仲間が身体張ってんのに変わらねぇな」

 

 「ですね……で、口振からして聖騎士なのは察しましたが、まだ貴方の名前を聞いていません」

 

 「そうよ、というか任務の内容も教えてくれるんでしょうね?」

 

 「応とも!我が名はルトワール、聖王猊下に選定されし聖騎士にして第二十五席、聖槍の騎士である!ってな」

 

 ルトワール。

 そう名乗った金髪の男は、背中に背負った棒を抜き取り地面に叩きつけて名乗りをあげる。

 

 「聖槍……」

 

 聖剣と並んで語られる、御伽の神器。

 その時代における最も猛き者のみが振るう事を許される一雫の奇跡。

 

 聖剣が魔を裂く神の威光ならば

 

 アレンは瞬時に悟る。

 

 

 ───行けば分かる

 

 

 師の言葉を今にして理解できた。

 

 「そうか、貴方が……」

 

 聖槍とは、時代を切り拓く希望の穂先。

 

 そしてその担い手とは勇者と何らかの血縁関係を有する者に限られる。

 

 「ああ、よろしくなアレン。好きに動け、お前のフォローは俺がやるからな」

 

 「こっちこそ、よろしく()()()()

 

 「おいおい。叔父さんは勘弁してくれ、俺はまだ28だっつーの」

 

 「え、ちょ、はぁあ?どう言うことよ!?」

 

 「そこは……おいおい説明するよレイナ」

 

 アレンは山賊王との戦いの後から、自分が酷く臆病になっている事に気がついた。

 初めて見る救えなかった無数の屍。蝿の羽音、噎せ返るような腐敗臭、心を病んだ仲間、いつやってくるかも分からないような襲撃者。

 

 いつだって光の指す道(おうどう)を歩いてきた彼にとってはいずれも初めての体験だったのだから。

 

 しかし運命のような出会いというものは人を変える。

 立ちこめる暗雲に差し込む光のように、アレンの心境は澄んでいく。

 

 何となくそれを察してか、顔つきの変わったアレンを見たレイナは薄い笑みを浮かべていた。

 





次回から新章です。

おさらい感覚でのまとめです。

《山賊》

レン……一応主人公。山賊団のトップで転生者。転生時を直接見た事であらゆる知識を埋め込まれ、無事発狂。不快度MAXのまま転生したためいつもイライラしている。幼少期に人狩りに遭い、何とか返り討ちにしたところ、当代の山賊王ユリアにその才能を見初められ山賊団に加入、頑張って成り上がる。多分存在している犯罪の8割はやってるし、言い訳のしようもないほどの屑。人間としては強い部類だが、レベルは中の上程度であり、そこそこ止まり。身体能力やスキルを無視した殺し合いなら多分一番強い。これでも元日本人らしい。実は孫がいるが、認知していない。嫌いなものは神と魔王と魔人と魔獣と山賊と勇者と聖騎士とその他全て。元々表舞台に立つつもりはなかったが、因果の巡りで勇者に襲撃された事により嫌々引きづり出された。

アヤカ……故人。先代山賊王。数年前までは準人類最強でとてつもなく強かったらしい。晩年にレンと子を成していらしい。

ルカ……剣術指南担当ではなく、ただの酒飲み。山賊団の中では古参だが幹部の地位に立っておらず、フラフラしている。勇者襲撃時はたまたまレンと居合わせていた為、一緒に略奪していた。レンの師だけあり、技量だけなら作中最上位。ホモだが象徴をレンに切り落とされた。最近は〜っすねぇと語尾につけていることをレンに気色悪がられている。

オズ……山賊団副首領。歴史史上類を見ない畜生で少し前までは実験感覚で国を滅ぼしたりしてた。全く慕われてない。黒髪ロングで滅茶苦茶美人だけどサイコすぎるのと、前科が多すぎて団員からは嫌われてる。

エルム……そこそこ古参の幹部。魔法使いだけど近接もokな人。身内をマルスに殺されており、復讐を誓っている。野垂れ死にかけていたところをレンに拾われているため恩を感じている。クール担当兼苦労人枠。何気に稼ぎ頭。

マルス……弱肉強食万歳系の戦闘狂。戦いよりも弱者を蹂躙したいし、不利になったらすぐに逃げる畜生。弱者が嫌い。剛毅な人柄だが差別主義者で彼を慕う部下のことは肉壁以前に、生きる価値もない塵屑未満の存在だと思っている。一騎打ちこそ誉だけど、勝つ方が気持ちいいので伏兵は設置するタイプ。

ウルスタート……水に溶けるタイプのロリコン。穿○みたいな技を使う(アニメ勢なので当時はそんな技あるとは知らなかった)。何よりも少女への愛を重んじ、場合によっては任務を放棄したりする。愛した少女の魂を体内に取り込む性癖を持ち、死にかけた際はストックとして消化することで復活できる。

スヴェン……非戦闘要員、最古参の団員で会議の際はあまり顔を出さないレンや不真面目なオズに代わり、議長として進行役を務める。常識人枠。

アデル……レンお抱えの諜報機関である隠密衆のリーダー。エルムと同時期に拾われ、レンに深い忠誠を誓っている。常に鎧を守っており、レンを除いて誰一人として彼の素顔を知るものはいない。エルムとは仲が良いつもりだが、口下手なので空回り気味。

オニキス……隠密衆の連絡係。燕尾服を着た紳士で数少ない常識人。レンに対しては忠誠よりも恐れを抱いており、彼の近くにいた時は呼吸する事を意識しないと倒れかねない。アデルに内心で心労で倒れてないかと心配されている。

ゴンズイ(兄)……多分暫く出番なし。弱いし、ロリコン。正確には貧乳好きでナルシスト。肥満体型。ちなみに唯の弟のおこぼれを預かっているだけであり、幹部でも何でもない平団員。周りからは幹部だと思われている。

ゴンズイ(弟)……レンお抱えの諜報員。基本的にレンの作り出した異空間である宝物庫の門番をしている。たまに宝物庫から出て風呂に入っている。レン曰く、ずっと門番をしていたら臭くなるから風呂に入れとのこと。本人は風呂にハマっているが、呪いの影響で湯船が無くなっていくことが悩み。

小柄な少女……痩せこけた白髪でツーサイドアップの小柄な少女。最近拾われたらしい。名前はまだない。レン曰く見込みが有るらしいので絶賛訓練中。呪いの影響で声を発せない。気配を消すことが得意で、奇襲で大体終わらせる。近接戦闘は苦手、実は魔法の才能がある(詠唱できないので無意味)

ティナ……元勇者パーティの賢者担当、銀髪ロリ。三年前に山賊団に囚われ輪された後、レンの画策によって何とか逃亡、復讐を誓って旅をする最中運良く勇者と出会い、リベンジマッチを挑むも無事敗北。現在はちょっとした試験期間中で、そのうち出番があるはず。執筆当初は出オチ要員。1%の確率でヒロインに化けるが多分ない。得意な魔法は禁術で、発動に事前の申請が必要な戦略級の魔法を無許可で使ったりしている。上記の点から通常なら魔法使いの免許的なものを剥奪されているにも関わらず、いまだに賢者を名乗れるのは勇者パーティの一員であったから。

《聖都サイド》

アレン……聖剣に認められた勇者。イケメンで女たらしだが心に決めた女性がいるので鋼の意志と理性で揺るがない。極めて善性の人間だが、呪い持ちや魔人に対しては苛烈。聖剣の加護もとい呪いで死なないため、基本的に我武者羅に突撃して戦闘不能になりがち。ステータスはともかく戦闘技術はお粗末。レンと遭遇して大敗を喫した事で、呪い付きや戦闘についての認識を大きく変える。心を病んでしまったカノンや離れ離れになったパーティメンバーの事を心配に思っている。

アンナ……幼馴染の呪術師。条件次第では世界最強クラスだがレベルが低いため、条件が整うことは稀。呪いを蒐集して再利用する事で戦うため、魔人との戦闘が人生の潤いであるもののその度に死にかけるのはご愛嬌。最近は山賊団のロリコン幹部であるウルスタートに目をつけられている。ネクロフィリア。神への信仰はトイレに流すくらいはある。

カノン……音痴の精霊術使いのエルフ。精霊術で味方を支援するよりも口から発する怪音波で敵を倒すことの方が多い。エルフの村一番の弓取りであり、視力が良すぎる事が災いして、大好きなアレンのエッグい死に様(頭部を半分欠損)を見てしまいSAN値チェックに失敗。今は要介護の廃人。

レイナ……自称姫騎士の本業遊び人。悟れそうな本を読んでも悟れないのが欠点。アレン曰くHP以外のステータスが1であり、絶望的に弱いがその代わりHPがオーバーフローしている。倒すより封印を考えた方がいい程のタフさ。ルカ曰く、何度と首を刎ねたつもりでも何故か薄皮一枚を軽く斬るのが限界らしい。状態異常は通りやすいのでRPGの敵で出てきたら即死技を使って黙らせるのが正解。
 実は亡国の姫。

モモ……武闘家。言葉がぶつ切りなのが特徴。退魔士に拾われ、育て上げられた事で戦闘経験豊富かつ優れた技術を持つ反面人類の行末にそこまで興味がない。武人気質の人間であり、より高みを目指して鍛える事がライフワーク。ダメージの通りの悪い魔人戦ではアレンと共に前衛を務める。

クリス……聖女(もんだいじ)。余程死体の損傷が激しくない限りは死後1時間以内であれば何度でも死者を甦らされる怪物。死んだとしても気合で何度も起き上がってくるタイプの化外の類なので、この女がいる限りは勇者パーティの攻略はほぼ不可能。神を崇めるどころか性欲の対象としており、禁止されている偶像をこっそり作り上げては、偶像崇拝(意味深)をしている。再生の奇蹟が得意で欠損程度なら瞬き間に再生できる。勇者パーティが存続できているのは9割こいつのおかげ。レンとは幼馴染であり、神の存在はレンを通じて教わった。運良く異端認定を免れている。何となくで生んだ作者的には一番扱いにくい。

ユリア……最強の聖騎士。レベルは150と問答無用のチートキャラでこれまでに数百年生きてきたとされている。現代の魔王の顔を知る最後の人物であり、勇者の指南役を任されている。魔王討伐と()()()()()のためにレンとてをくんでいる。無数の剣を模した魔法による連撃や極太ビームで世界に風穴を開けたりできる。

フレック……第六席の聖騎士。初老の紳士であり、見た目や言動がその几帳面さが窺える。未来を見る事が可能で魔人襲来を知らせる。強い。

ルトワール……第二十五席の聖騎士。祝福などの異能を持たない戦士の中で殺し合う神前試合で優勝して聖騎士の位と聖槍を手に入れた猛者。公私はきっちり分けるタイプ。職場では丁寧に話すが、自領などでは人の良い兄貴分。


《用語解説》

聖剣……魔人や魔王に対して特攻効果を有し、所有者である勇者不死の権能などを授ける。吾輩は聖剣である。名前はまだない(叫べ!!我が名は───)

聖槍……聖樹から作られた槍。作者のお気に入り。

レベル……よくあるRPGで使われるやつとほぼ同義。経験の積み重ねで上昇し、その者の強さを指す数値。怠けると下落する。レベル差が5開けば相当不利な戦いを強いられ、10も開くと多数で挑んだ場合であっても苦戦は必至。20開けばほぼ不可能。

祝福……一部の神からの恩恵を受けたものが有する異能。

呪い……生まれつき抱えた障害や業、体質など。稀に強力な祝福が反転して呪いと化すこともある。その力の根源が魔族と近い事から忌むべき存在として扱われる。山賊団の構成員の多くはこれを有する。魔人の持つ呪刻との違いについては後述。

言霊……魔法学院の極一部で提唱される理論。あらゆる言葉には意思が宿り、より強い者や強い意志を持った言葉が現実となる事象を言霊という概念を用いており、魔術言語も言霊によるものではないかと考えられている。

魔法……神の言葉である魔術言語による詠唱を介して発動される超常現象。その由来は言霊に起因するとも考えられている。威力は使用者の込める魔力や、感情の昂りによって左右される。魔術のみならず精霊術もこれに該当し、全てをひっくるめて魔法と呼称する。

奇蹟……祈りを通じて巻き起こされる神の御業。再生や蘇生などが該当する。蘇生については現状クリスの専売特許であり、簡易な再生程度の奇蹟を学ぶのが聖騎士内でのトレンド。他にも補助系の効果を持つ奇跡もあり、おいおい登場予定。

呪術……魔法や奇蹟とは異なる別の法則に従った技能。呪いや呪刻を触媒として利用することで発動する。発動条件は様々だが基本的に触媒なしに使用することは不可能。呪い持ちが使用する異能めいた超常現象については呪術に該当しない。
(基本的に○○術などは努力すれば誰にでも扱えるというのが拙作でのセオリー、呪いなどは本人独自のものなので"誰にでも扱える"わけではない)

魔術言語……神の言葉とされ、魔法の行使に必須とされる。これを唱える事で詠唱となるが、神の手によりその意味の解読や音としての認識は不可能となる。詠唱を止めるなら喉を潰すのがセオリー。

魂の拒絶反応……通常一つの肉体に宿る魂は一つだけであり、何らかの事故で一つの肉体に二つ以上の魂が入った場合、両の魂が肉体から弾かれてしまうことを指す。

大結界……神が自ら大国ルクスと魔界との境界に張り巡らしたとされる巨大な結界。魔人の侵入を拒むが、徐々に綻びつつある。

聖都……大国ルクスの首都。大結界の起点であり神の降り立った地とされている。歴史はかなり古く、創世の頃から存在されたと伝えられる。

ウストレナ……かつてレイナの親族が統治していた国家。上位魔人三体の襲撃によって滅んだらしい。

魔法都市バーレン……魔法都市とは名ばかりの小さな街であるが、世界でも数の少ない魔法学院が存在しており、禁書庫に空間魔法について記された禁書が眠っていたり、大聖堂には儀式場があったりと色々曰くつき。ティナの故郷でありレンに滅ぼされた。

オーラス……かなり古い歴史を持つ港町。ガヌート海へと繋がる唯一の海路が隣接する事から聖都を除いて人類圏の中では数少ない安全地帯ともされる。オーラスの港を出た先にある海域は非常に危険度が高く、並大抵のダンジョンの遥かに凌駕する魔獣や海獣が潜んでいる。世界全体の冒険者の死亡率の6%がこの海域によるものである。実は死体漁りを生業とする者にとっては絶好のスポットとなっている。難破した船に積まれた財産を目当てにしたものは殆ど生還しておらず、船に同乗していた者によるハイエナ行為が基本である。

ガヌート海……魔界を除き、世界で最も危険とされる海。国境付近に存在するものの、人類軍も魔軍も近寄らない海域。そこはかつて人魔大戦時の魔王と勇者の決戦が繰り広げられた土地でもあったと伝えられる。超常の闘いの果て大地は沈み、重力に異常を残したガヌート海に立ち入るのは危険極まりない。

ゴーリエ山脈……退魔士が住み着いた山脈。ルクスと魔界の狭間にあり、モモ曰く夜空が綺麗。結界の綻びた地点であり、緩衝地帯といいつつ常日頃激戦が繰り広げられている。

魔界……魔王の治める魔人達の領土であり、世界に存在する領土の内、約六割を占領している。無数の魔人達が跋扈しており、勇者達が将来的に赴く土地でもある。

神……万物の支配者であり、森羅万象そのもの。概念的な超越者。とある事情で()()()の異世界人を招いた。

勇者……聖剣に認められた者。勇者が聖剣を持つのではなく、聖剣を持つものが勇者である。天井知らずに強くなる。役割は魔王の盗伐。

聖騎士……強力な祝福を持つ騎士であり、上位のものには席次が与えられ、人類の切り札となる。

魔術協会……魔法使いが所属する団体。危険すぎる魔法の存在を取り締まったり、魔導書を管理したりしている。バーレンが陥落した際には一騒ぎがあり、派閥争いが激化した。魔法使いと名乗るためにはこの団体に加入する必要があるが、復讐しか頭のないティナは手段を選ばず、禁術を扱うことから除名処分を受けている。本人はまだ知らない。

呪い付き……呪いを宿した者達であり、呪いを持った時点で背信者とされる。迫害対象でり、大半は山賊団に所属している。

退魔士……国境にあるゴーリエ山脈に住まう戦闘民族。竜を信仰しており、神敵である魔族とは敵対的ながら人類とは中立。信仰故か、古竜の亡骸の捜索に参加している。

魔獣……いわゆる魔物。分類は広範であり、スライムからドラゴンなどもカテゴライズされている。聖徒では呪い付きも魔物として扱われたている。野生的な存在で意思疎通が不可能な個体が多い。魔人達からも割と雑な運用をされている。

魔人……世界的な強者であり、呪いの上位的な異能である呪刻を有し、身に纏う呪装により並大抵の攻撃を無効化する。低位から超位の魔人が存在し、魔人の強さは生まれた頃から決定されている。個人ごとに多少の誤差はあるが、余程の例外でもない限りは成長することのない不変の強者。人類とは敵対的で、撲滅を心掛けているが魔王が行動を起こさないので、痺れを切らした魔人達が独断で行動をとることが多い。

魔王……絶対的な強者。油断や隙を突こうとも無意味で、他者の攻撃が攻撃として成立しないほどには無敵。技術や運、人数、戦略といった要因でどうにかなるレベルを超越しており、戦闘にすらなり得ない。作中の異常現象が自然に起きたり、トチ狂った自然現象などが存在している場合は大抵魔王が暴れた後。ゲームクリア後のエンドコンテンツに出てくるような隠しボスもびっくりな性能をしているにも関わらず、ラスボス的な立ち位置にいる。どうしても倒したいならチートを使おう。その場合、制作者が直接喧嘩を売ってくる。

呪殻……呪刻を有する者が身に纏う透明な鎧のようなもの。通常の武器でこれを破壊することは困難であり、聖剣などの魔神への特攻効果を有するなどの特殊な武具や、単純に呪殻の耐久を上回る一撃を与える必要がある。魔人毎に強度は異なり、格下の魔人であっても侮ることはできない。

呪刻……根源的には呪いと近しい概念だが、厳密には異なる存在。呪いに関しては生まれつき以外にも後天的なものが存在するが、呪刻に関しては生まれ持ったもの以外存在せず、それこそが魔人を魔人たらしめるのである。



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