ようこそ青春至上主義の教室へ   作:イノセ

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最近忙しくて全然小説が書けないですね……。
何とかスキマ時間を見つけて書いてますので、お待ちいただけると幸いです。







波乱の幕開け

 

 

 

 

「それでは、今月のポイントを発表する」

 

 

 

 月初めとなり、クラスの保持するポイントが表示される。広げた紙には、Aクラス1004cp、Bクラス663cp、Cクラス492cp、Dクラス87cpと書かれていた。どのクラスも足並みを揃えていると見るべきか……50ポイント近く増やした私たちや0から87への躍進を遂げたDクラスと違って、BクラスとCクラスはそこまで伸びていないみたいだ。まあ、誤差の範囲……とも言えるか。それにDクラスは元が最悪だっただけだから、実質的な加点分は他クラスと同じと見ていいだろう。

 

「それにしても、異様にCクラスの伸びが少ないね。不良くんたちが集まってるからかなー?」

「萌さんはCクラスの様子を見たことがあるのですか?」

「んー……まあ、前にちょっとだけ。不良くんが多い印象だったかなあ、出来るだけ近づきたくないね〜」

「そうですか……ふふ」

 

 不敵な笑みを浮かべる有栖ちゃんはさておき、1004cpなら私たちに約10万ppの支給がされているはずだ。それがまだないってことは……。

 

「先生!今月分、まだポイントが支給されてません!」

「戸塚、すまない。今回少しトラブルがあって、1年生へのポイント支給が遅れている。悪いがもう少しだけ待っていて欲しい」

「え、トラブルですか……?」

 

 トラブル、か。学校運営側のトラブルなのか、それとも……。生徒間でのトラブルだと、場合によっては面倒なことになりそうだ。

 

「トラブルが解消され次第ポイントは支給される。安心しろ、トラブルはあったが影響はない」

 

 影響はない、か……。Aクラスだけ?それとも、他のクラスも?やけに引っかかる言い方だ。もし生徒間でのトラブルなら、問題を起こした生徒のクラスのポイントが引かれ、生徒も何かしらの処分が下される。……学校運営側のトラブルであることを祈るばかりだな。

 

「私たちのクラスに影響はないようですので、この件は追求しないようにしましょうか」

「そうだねー……ポイントも増えてるし、現状維持かな〜……」

「元気が取り柄のあなたには珍しく、元気がありませんね」

「最近暑くて暑くて……ほら、前に言ったでしょ?私暑いのは得意じゃなくてさ……」

「……今日はそれ程でもないと思いますが、代謝が良いのでしょうか?」

「そうかもー……はあ、それにしても……面倒なことにならないといいけど」

 

 

 CクラスとDクラスの生徒間で喧嘩のトラブルがあったと聞かされたのは翌日のことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 _________________

 

 

 

 

 

 

 数日後、私はほにゃから電話で提案され、特別棟への道のりをたどっていた。

 

「ほにゃー、本当に特別棟に行くのー?」

「うん、だって気にならない?昨日Bクラスの方に、Dクラスの生徒が目撃者の情報探しに来たんだって。何でも無実を証明しようとしてるんだとか」

「友達想いの良いクラスメイトだね〜。それで?」

「喧嘩なんてよくあることでしょ?それに、普通は無実を訴えようなんて思わない。喧嘩両成敗、なんて言うくらいだし。だから、Dクラスにとって何かしら腑に落ちない点があったり、理不尽なことがあったのかなって」

「まあ、一理あるね」

 

 Aクラスにはそんな人来なかったけど。……まあ、今のところポイント的にはAクラス独走体勢、って感じだし。厄介事に絡まない、絡みたくないって思われてるのかな、Dクラスからは。本当にその通りだけど。

 

「それは分かったけど、何で私?同じクラスの子と一緒に来ればよかったんじゃ?」

「いやー、まあそうなんだけどね。あんまり友達も乗り気じゃなかったっていうか、得体の知れない厄介事じゃない?だから頼れる萌ちゃんを呼ぼうかなーって」

「まあ、私からしても得体の知れない厄介事だけどね」

「うぐっ、痛いとこつくなあ。でも、こうやってついてきてくれるから優しいよねっ」

「私も少し気になってたから、目的の一致ってだけだよ」

「ふぅーん?じゃあそういうことにしといてあげる!」

「……いや、そういうことも何も事実なんだけど…」

 

 何を言っても聞かなさそうなので口をとざす。それにしても、本当に暑い……どうしてこう、日本の夏は高温多湿なのだろうか。どちらかだけでも厄介だと言うのに、どちらもというのは少し欲張りすぎな気がする。もっと湿度の低い地域とか、雨の降らない国とかに分け与えるべきではないだろうか。カリフォルニアにあるデスバレーとか、スーダンとか。

 

「っと、特別棟についたね」

「……うそぉ、何でこんなに蒸し暑いの?」

「授業が終わったら用はなくなるから……あはは、冷房完備の施設に頼りきってた弊害だね〜」

「……ほにゃ、帰りたい」

「ダメだよ?」

「ケチ、悪魔、妖怪スタイル良すぎ女!」

「えぇ?!というか最後のに関しては褒め言葉だよね!?」

「あぁダメだ……叫んだら余計暑さが増した気がする……」

 

 

 ふと、校舎内で感じるある感覚がないことに気づく。……そういえば、ここにはないんだな。

 

 

「萌ちゃん、急に上を見てどうしたの?暑さで頭おかしくなっちゃった?」

「……君も結構言うね、ほにゃ。いや、ここには監視カメラないんだなって。校舎の方にはこれでもかって程にあるのに」

「……確かに、言われてみればそうだね?」

「喧嘩なんて監視カメラがあれば、どちらがより罪が重いのかなんてはっきり分かるのにね〜」

「……なるほど、確かに……ってあれ?」

「……ん?」

 

 今、ピンク髪の生徒とすれ違った気がする。何かから逃げるように、階段をおりていく。……こんな所で何してたんだろう、あの子。携帯……景色を撮ってた、とか?別にここじゃなくても良さそうだけど。

 

「あ!誰かいるよ」

「なにか取り込み中みたいだけど……2人?かな」

「ねえ君たち、そこで何してるの?」

 

 振り返った二人を見て、私はまた驚く。……また、会いたくもない2人に会ってしまったようだ。こちらの事情がバレても困るので、顔には驚きを出さないでおく。

 

「ごめんね急に呼び止めて。ちょっと時間いいかな?もし甘酸っぱいデート中だったらすぐに退散するけど」

「それはないわね」

「……え、即答?それはそれで可哀想な気がするけど……」

「あはは、そうだよね。デートスポットにしちゃちょっと暑すぎるし」

 

 いきなり現れたほにゃに、堀北……堀北ちゃんは警戒心をむき出しにする。……変わってないなあ、この人。

 

「私たちに何か用かしら」

「用って言うか……。ここで何してるのかなーって」

「ねえほにゃ、それ私たちにも言えることだよ」

「え?確かに、それもそっか」

「……何となくうろうろしてただけだぞ」

 

 ……堀北ちゃんからの圧、すごいなあ。周りは全て敵だと捉えるその考え方、ある意味ではこの学校で最も大切にすべきなのかもしれない。

 

「何となく、かあ。君たちってDクラスの生徒だよね?」

「……知ってるのか?」

「君とは前に2回くらい会ったよね。直接話はしなかったけど。そっちの子も、図書館で一度見た覚えがあるんだよね」

「……ああ、確かに。あの騒ぎ起こしてた赤髪くんと一緒に勉強してた人達だ。よく覚えてたね」

「物覚えはいい方だからね」

 

 ……何となく、清隆がショックを受けている気がする。まあ、高校生活に慣れるためのキャラ作り……的な奴だろうか。きっと清隆は最後まであそこにいたんだろうし、外の生活には慣れてないだろう。

 

「てっきり喧嘩騒動絡みでここにいるんだと思ってたんだけどな。私がいなかったタイミングで、昨日Bクラスに目撃者の情報探しに来てたみたいだしね。Dクラスの生徒が無実を証明しようとしてる、って後で聞いたんだよ」

「貴方は?」

「え?んー……この子の付き添い?」

「もし、私たちがその件に関わる調査をしていたとして、あなたたちに関係が?」

「んー、関係は……あんまりないね。でも概要を聞いてちょっと疑問に思ったから。それで一度様子を見ようと思ってここに来たの。よかったら事情を聞かせてくれないかな?」

 

 清隆……いや、綾小路くん達が沈黙する。それもそのはずだろう。Dクラス側からしたら他クラスからの介入ほど警戒すべきものは無い。

 

「ダメかな?他のクラスのことに興味持ったら」

「いや、そんなことはないが……」

「裏があるようにしか思えないわね」

「裏って?暗躍してCクラスやDクラスを妨害する、みたいな感じの?」

「警戒するだけ無駄だと思うよ、ほにゃは生粋のお人好しだから」

 

 心外だなあ、というように笑うほにゃにアシストをする。私の一言がきいたのかは分からないが、綾小路くんが堀北ちゃんに問いかける。

 

「そこまで警戒しないでもいいんじゃないか?本当に興味本位って感じだし」

「私は他人の興味本位に付き合うつもりはないから。勝手にして」

「……距離置くなあ」

「にゃはは……。聞かせてよ。先生や友達からは喧嘩があったくらいにしか聞かされてないんだよね」

「私が持ってる情報もそう。喧嘩して、トラブルになってるって」

 

 少し迷った様子だったが、結局綾小路くんは説明してくれた。須藤くんという生徒がCクラスの3人に呼び出され先に殴りかかられたにもかかわらず、学校側に虚偽の申告をされ、須藤くんが呼び出し殴りかかったことにされている……と。正直どちらであったとしても相手を殴って怪我をさせている時点で弁明の余地はないと思うが、十中八九Cクラス側の策略だろう。あんな不良くんたちの塊みたいなクラスの人が3人もいたのに、須藤くんが一方的に殴れるとはとても考えずらい。多対一というのはそう簡単な話じゃないし、ね。

 

「そんなことがあったと。それでBクラスにまで足を運んでたってわけね。なるほどなるほど……。ねえ、これって結構大きな問題なんじゃない?どちらかが嘘をついてる暴力事件ってことでしょ?真相をはっきりさせないとまずいんじゃない?」

「だから一応現場に来て調べてた。別に何もなかったけどな」

「……ふーん」

 

 露骨なヒントはないにしても、何かしらの収穫はあっただろうに。隠すなんて、相変わらず人が悪いな。

 

「君たちはクラスメイトとして、須藤くん、だっけ、の方を信じてるんだよね。友達だろうし当然と言えば当然なんだけど。Dクラスにとって今回の騒動は冤罪事件なんだね」

「……冤罪かどうかなんて、些細な問題だと思うけどな」

「そうね、私も同意見だわ」

「もし須藤くんが嘘をついてたとしたら君たちはどうするの?無実どころか、有罪確定の証拠が出てきたと仮定してね」

「正直に申告するわ。その嘘は後々、必ず自分の首を絞める結果に繋がるから」

「うん、そうだね。私もそう思う」

「もういいかしら。知りたい情報は知れたはずよ」

 

 どうやら想像以上に私たちは歓迎されてないらしい。追い返そうとする魂胆が透け見えている。まあ、私はほにゃの付き添いだしどっちでもいいけど。でもどうやらほにゃも粘るつもりらしく、ある提案をする。

 

「んー。あのさ、もしよかったら私……私たちも協力しようか?目撃者捜しとか。人手が多いほど効率的でしょ?」

「えっ、私も?」

「もちろん、やってくれるよね?」

「……はい」

 

 なんだか見えない圧が……お人好しゆえか、露骨な堀北ちゃんの嫌オーラに気づいてない……って訳でもなさそうだな、これは。

 

「どうしてBクラスの生徒に手伝ってもらう流れになるのかしら」

「あ、私はAクラス……」

「Aクラス?なら尚更ね」

 

 鋭い目付きでこちらを睨まれる。ようやく視線を向けられたと思えば睨みとは、そんな恨まれることしてないぞ私。いや、DクラスからしたらAクラスなんて目の敵すぎるもんな、当然か。

 

「BクラスもDクラスも、それからAクラスも……関係ないんじゃないかな?こういう事件はいつ誰に起こるか分からないよね。この学校はクラス同士で競わせているからこそ、トラブルの危険性をいつも孕んでいる。今回はその最初の事件のようだしさ。嘘をついた方が勝っちゃったら大問題だよ。それと話を聞いちゃった以上、個人的に見過ごせないってのもあるかな」

 

 理にかなっているようで、理にかなってない。お人好しすぎるこの暴論をどうとるか。ただこの場合、リスクよりもメリットの方が大きい。Dクラス内ではなく、Bクラスという他方からの証言は信憑性が高い。致命的なダメージを負う可能性は少しくらい低くなるだろう。

 

「私たちBクラスと、そこの萌ちゃんが協力して証人になることが出来れば、信憑性はグッと高くなるんじゃない?真相を追い求める過程でDクラスが被害を受けてしまうかも知れないけど……。どうかな?私は悪い提案じゃないと思ってるけど。偽善だと思われるかも知れないけど、そんなに重いものを背負うつもりもないしね」

 

 ……さらっと巻き込まれてるし。

 当然、すぐには信用することは出来ないだろう。Dクラス側にメリットがあっても、協力するこちら側へのメリットは全くない。強いて言えば、善意を前面に押し出すことで協力関係を結ぶ、信頼を構築できる……人脈形成の基本ができる、ということだろうか。もちろん私だってこんな交渉をされたら疑うし躊躇う。一之瀬帆波という人物の人間性を知っていなかったら尚更だ。……しかし、Dクラスにとっては頼みの綱。唯一の救いの一手でもある。ここをとって多少有利に事を運ぶか、他クラスの策略にハマるか……。

 

「協力してもらいましょう、綾小路くん。そちらのAクラスの人も、信用できると見ていいのよね?」

「まあ、約束を破るのは私のポリシーに反するからね。信用してくれていいよ〜」

「うん、萌ちゃんは大丈夫だよ」

「……どこからそんな自信が?」

「何にしても、決まりね。えーっと」

「堀北よ」

「よろしく堀北さん。それから綾小路くんだっけ。君もよろしくね」

「……堀北ちゃんに、綾小路くん。よし、覚えたよ〜」

「気軽にそう呼ばないでくれないかしら」

「えー?じゃああだ名にする?」

「貴方、言葉の意味を理解しているの?」

「ま、まあまあ堀北さん。それで、目撃者だけど……」

「目撃者の件はこちらで見つけたわ。ただ、残念なことに目撃者はDクラスの生徒だったけど」

 

 あちゃー、と頭を抱えるほにゃ。

 

「Dクラスだと、証言としては弱いかなー」

「まあ、ほら、それでも目撃者なことに代わりはないし。他に目撃者がいないとも言い切れないわけでしょ?可能性は低くてもさ」

「わざわざ放課後の特別棟に人は来ないと思うけどね。目撃者がいたってだけでも奇跡だよ」

「も、もうっ!そんなこと分かってるよ〜!」

 

 

 その後Dクラスの変な担任の話を聞きながら、綾小路くんと連絡先を交換した。堀北ちゃんのも欲しかったけど、嫌だという視線を送られたので大人しく引いておいた。

 ……いつか絶対交換してやる。

 

 







やっぱり原作のセリフを入れると長くなっちゃいますね〜。
喧嘩騒動はAクラスにあんまり関係ないので無視しようと思ったのですが、綾小路くんたちと会わせておきたかったので書きました。


夏休み、誰とデートする?(一話投稿予定)

  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 一之瀬帆波
  • 椎名ひより
  • 櫛田桔梗
  • 白波千尋
  • 綾小路清隆
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