ようこそ青春至上主義の教室へ   作:イノセ

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書けるうちに書いてしまえがモットーです、イノセです。
今回から無人島試験に突入するので、坂柳さんの出番はマジでなくなります。こればかりは仕方ないので帰ってきたら萌ちゃんにデートさせましょう。







無人島試験
いざ無人島へ


 

 

 

青い空!白い雲!澄み渡る海!

初めての海に私の気持ちは高揚……するわけでもなく、この船の独特なリズムに体調を崩していた。

 

 

「うぇぇ、何だこれ……頭痛い……」

「典型的な乗り物酔いじゃないの、それ。酔い止めは?」

「…………船なんて初めて乗ったから、そんな対策持ってないよ……」

「何だ赤井〜、三半規管弱いのかー?」

「知らない……睡眠不足はあるかもしれない」

「てか、船酔いしてるなら部屋で休んでなさいよ」

「折角の景色なんだから見てみたいじゃん?外の空気を吸ってた方が良くなる気がするし」

「……いいけど、吐いたりしないでよね」

「大丈夫大丈夫、そこまで行かな……うぅ、頭痛い」

「ま、頭痛だけなら初期症状って感じだし軽度なんじゃないか?」

「はあ、私も有栖ちゃんと一緒に学校で待機したい……」

 

 

 今回有栖ちゃんはその身体的不利によって学校が自称するバカンスを欠席している。何とも、この眺めが見れないのは可哀想だ。……あ、写真で残してあげよう。

 

「……それにしても、バカンスか」

「予定によれば最初の1週間は学校が所有する無人島で自由にできるって話だよな」

「……この学校がなんの裏もなく、ただ休みを満喫させてくれるとは到底思えないけど」

「私も同じ意見かなー。無人島か、この船内か。何かあるだろうね」

 

 私がそう言い終わったところで、船内アナウンスが流れ始めた。

 

『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まりください。間もなく島が見えてきます。暫くの間、非常に意義ある景色をご覧頂けるでしょう』

 

 デッキ……デッキってここか。やっぱり景色を眺めていてよかったのかもしれない。……あ、でも今からここにたくさんの人が集まる可能性があるってことか……それはそれで面倒くさいな。

 

「意義ある景色……かぁ。2人は見たいと思う?」

「ま、見ておくに越したことはないんじゃないか?どうせ今回その島で何かやるとしても、葛城が指示をとるんだから俺達には関係ないけど」

「……あいつの指示じゃ、とことんまで足を引っ張れって話だったけど」

「おーこわ。そんなこと話してたんだ、有栖ちゃん」

 

 数分後、生徒が集まりだしたと同時に島が姿を現す。船はそのまま島に着くわけでもなく、浅橋をスルーして島の周りを回り始める。

 

「メモでもしとこーかなぁ」

「紙持ってるわけ?」

「うん、紙と書くものは常に持ってるよー」

「……うわ、気持ち悪」

「なんで!?」

 

 『これより当学校が所有する孤島に上陸いたします。生徒達は30分後、全員ジャージに着替え、所定の鞄と荷物をしっかりと確認した後、携帯を忘れず持ちデッキに集合してください。それ以外の私物は全て部屋に置いてくるようお願いします。また暫くお手洗いに行けない可能性がありますので、きちんと済ませておいてください』

 

 そんな丁寧なアナウンスが上陸が近いことを伝える。……とりあえず、この船酔いから解放されるならよかった。

 ジャージに着替えた私たちはAクラスから順番に下船するよう指示される。携帯の持ち込みは禁止、荷物の検査も行うようだ。……って、名前順だから私からか。全く、あ行は辛いなぁ。

 

「赤井。携帯はここで回収する。それと、余計な私物の持ち込みがないか、念入りに確認させてもらうぞ。いいな?」

「どうぞー、引っかかる物もないと思うので」

 

 その真面目さ故か、いちいち確認をとる真嶋先生。最近はこういうところも几帳面に確認をしていかないと、訴えられるケースもあるらしいから仕方ないのかもしれない。私は待ってる間に2つ後ろの葛城くんに声をかける。

 

「ね、葛城くん。楽しみだね」

「楽しみ?この島でなにか行われることは事前のアナウンスで明白だ」

「うん、だから楽しみだなあって。ただのバカンスだっならやること無くてどうしようって感じだったし」

「……呑気なものだな。何が行われるかも分からないというのに」

「葛城くんも薄々この島の地形をいかしたものって事は分かってるでしょー?……っと、荷物検査終わったっぽいから先並んでるね〜」

 

 そうして4クラス分、全ての生徒が荷物検査を終え、並び終わった。……暑い。1番最後に荷物検査を終える人も地獄だろうけど、1番最初に終わって待っているだけというのも中々に辛いものだ。

 

「今から点呼を行う。欠席は……坂柳だけのようだな。この後説明があるので、各自静かに待っているように」

 

 真嶋先生がそう言い終わると、戸塚くんが葛城くんに話しかける。

 

「葛城さん、何やるんすかね?ペンションで過ごせると聞いてますけど……」

「弥彦、その考えは今すぐ捨てろ。それと私語を慎め」

 

 真嶋先生が白い壇上に上がったことで、戸塚くんも口をとざす。……さっき真嶋先生から言われたばかりだろうに。

 

「今日、この場所に無事につけたことを、まずは嬉しく思う。しかしその一方で1名ではあるが、病欠で参加できなかった者がいることは残念でならない」

 

 有栖ちゃんのことだ。

 ……それにしても、さっきから遠くでテントを設置してるのはなんだろう。体調不良が出た時用、とかだろうか。

 

「ではこれより___本年度最初の特別試験を行いたいと思う」

 

 Aクラスだけでなく、全クラスで起こる疑問、騒動。真島先生の口から発せられた言葉に、脳が追いついてないようだった。

 

「特別試験かぁ。何やるんだろうね?」

「さぁ。それを今から説明されるんでしょ?」

「期間は今から1週間。8月7日の正午に終了となる。君たちはこれからの1週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく___」

 

 そこから押し問答が繰り返され、不服を漏らした生徒に対して興味深い一言が真嶋先生から発せられる。

 

「だが安心していい。これが過酷な生活を強いるものであったなら批判が出るのも無理のない話だが、特別試験と言ってもそれほど深く考える必要はない。今からの1週間、君たちは海で泳ぐのもバーベキューをするのもいいだろう。時にはキャンプファイアーでもしながら友人同士語り合うのも悪くない。この特別試験のテーマは『自由』だ」

「自由がテーマ……?」

「この無人島試験では大前提として、まず各クラスに試験専用のポイントを300支給することが決まっている。このポイントを上手く使うことで1週間の特別試験を旅行のように楽しむことが可能だ。そのためのマニュアルも用意してある」

 

 そういい、他の教師から受け取ったマニュアルであろう冊子を私たちに見せる。

 

「このマニュアルには、ポイントで入手できるモノのリストが全て載っている。生活で必需品と言える飲料水や食料は言うに及ばず、バーベキューがしたければ、その機材や食材も用意しよう。海を満喫するための遊び道具も無数に取り揃えている」

「つまり____その300ポイントで欲しいものが何でも貰えるってことですか?」

「そうだ。あらゆるものをポイントで揃えることが可能になってくる。無論計画的に使う必要はあるが、堅実なプランを立てれば無理なく1週間を過ごせるよう設定されている」

 

 何とも甘い話だ。特別試験と銘打った割にはかなり簡単、生徒たちにとって心を躍らせる内容しか無い。だが……上手い話には裏がある。この学校は上げてどん底まで落とすのが好きだし、何か別ルールが並行していると考えた方がいいだろう。

 

「で、でも試験なんだから難しい何かがあるんじゃ……」

「いいや、難しいものは何も。2学期以降への悪影響もない。保証しよう。勿論集団で生活する上での最低限の決まりはあるが、基本的に全てお前達の自由だ」

 

 そして加えて、もう一言。

 

「この試験終了時に各クラスに残ったポイントを、そのままクラスポイントに加算し夏休み明けに反映する」

 

 もう一度、そして過去最高のうるささで生徒達が騒ぐ。とはいえ、これは私も想定外だった。先程の説明で残ったポイントが何かに使われるかもしれない、ということは想定していたけど……でも、それだとクラスどうしにあまり差が出ない。特別試験というには少し物足りない気もする。

 そう思っていた矢先、真嶋先生の話が終わり、クラスごとに分かれて追加ルールが説明された。以下の内容が、その追加の特殊ルールである。

 

 一. スポットを占有するには専用のキーカードが必要である

 一. 1度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用できる

 一. 他が占有しているスポットを許可無く使用した場合50ポイントのペナルティを受ける

 一. キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される

 一. 正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない

 

 

 ……なるほど。この特別試験は、この追加ルールが肝となりそうだ。特に目をつけるべきは、正当な理由無くリーダーを変更することは出来ないこと。そして先程説明されたリーダーを的中すれば50ポイント、当てられたらマイナス50ポイントということ。この2つを念頭に置いて試験に挑まなければ、予定外の損失というものが生まれるだろう。……とはいえ、私は今回モブのひとりだし。葛城くんの戦い方だと、スポット占有に重きを置くだろう。

 ……ここは目立たない為にも、流れに身を任せるのが得策だろうなぁ。有栖ちゃんならガンガン他のクラスのリーダーを当てたり、スポットを占有したりしそうなものだけど……当の本人は病欠だし。そういえば有栖ちゃん派閥の人って今回どうするのかな?普段対立する彼ら彼女らが素直に協力してくれるのだろうか……いやまあ、協力してくれなきゃ困るけど……。

 

「今は坂柳が病欠でこの試験に参加出来ていない。よって今回は俺が指揮をとらせてもらうが、構わないか」

 

 そう、坂柳派に向けて一言。基本的なスペックはみんなより葛城くんの方が上回っているため、誰からも文句は出ない……というより、文句を言えないの方が正しいのかな。もしかしたら有栖ちゃんが事前に指示していたのかもしれない。

 

「……沈黙は肯定とみなす。まずスポットだが、船の旋回の時に見えた洞窟を拠点とし、無人島での生活を展開していく。ポイントの使い道は洞窟に着いてからだ。行くぞ」

 

 葛城くんのその一言で、葛城くん派閥の人たちを筆頭に立ち上がり、葛城くんについていく。時を同じくして、Bクラスも移動の準備をしているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……にしてもあっつい……」

 

 葛城くん派閥と有栖ちゃん派閥はどこまでも仲が悪いようで、少し距離をあけて集団と集団が歩いている形になっている。私はありがたくその間で歩かせてもらっている訳だが。……私と同じ無所属の人は、こういうときどんな気持ちなのだろうか。私もクラスの子と交流深めようかなぁ。そう思っているとすぐ隣から気配を感じる。顔をあげると、いつの間にか美紀が隣に立っていた。……相変わらず、この影のうすさはどこかで使えそうだ。

 

「……大丈夫、ですか?」

「んぇ、何が?」

「いえ……下を向いていたので」

「あーいや、ちょっと考え事」

 

 ……失礼ではあるけど、美紀に人と仲良くなる方法を聞いても答えられなさそうだしな。交友関係の広い人に聞いてみるのが得策か。せっかく隣に並んだことだし、という思考でありきたりな質問を投げかける。

 

「美紀はこの無人島試験、どう思う?」

「どう……ですか?」

「うん。不安だーとか、楽しみーとか、そういうの」

「私は……正直不安ではあります。身体能力は元々高くないですし……こういう経験は初めてなので」

「そっかぁ、やっぱりそういう人が多いよねぇ」

「赤井さんは……何と言うか、あまり不安そうではありませんね」

「まあ、体を動かすことは元から好きだし、サバイバル……アウトドア?そういう経験も少しはあるから」

 

 そういう点で懸念することがないというのは、それだけで精神的な安定剤になるだろう。私の精神的負担は今のところ、有栖ちゃんに目をつけられていることだけ……。

 

「あっ」

「……?ど、どうかしましたか?」

「…………いや、何でもない」

 

 

 ……有栖ちゃんに船内で1回は連絡か通話を入れろって言われてたの、忘れてた。……言い訳、考えとこ。

 

 

 









有栖「……帰ってきたらお仕置しておきましょう」







夏休み、誰とデートする?(一話投稿予定)

  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 一之瀬帆波
  • 椎名ひより
  • 櫛田桔梗
  • 白波千尋
  • 綾小路清隆
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