ようこそ青春至上主義の教室へ   作:イノセ

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ふと読み返してて思ったんですけど、人狼ゲームは知らないのに大富豪は知ってる初期ノ小路くん何なんだろう。

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トランプで遊ぼう!

 

 

 

 

 

初日2回目のディスカッションでも思ったように話は進まず。それでも帆波は懸命に場を楽しませようとしていたのが伺えた。

 迎えた翌日、3回目のディスカッション。状況はまたも膠着を迎えるかと思われたが、帆波は意外な提案をしてきた。

 

 

「今日はみんなでトランプでもして遊ぼうと思うの。もちろん強制参加じゃないからやりたい人だけでいいよ」

「ははははは。トランプで信頼関係?くだらない」

「くだらないっていうけど、やってみると意外と楽しいもんだよ。それに今からの1時間黙って過ごすのは長くて辛いと思うんだよね。退屈しのぎって思ってもらえたらいいよ」

 

 

 Bクラスからは全員が参加表明。Dクラスからは今日も暇だと思っていたのか、パソコンを持参していた外村くんと、綾小路くんが参加表明をする。トランプ。中学の時に少しやった程度だけど、1時間机に突っ伏しているよりはマシか。

 

 

「ねー帆波。それって私もやっていいの?」

「もちろんだよ、萌ちゃん!」

「おい、赤井!?お前、勝手な行動は慎めとあれ程……」

「えー、町田くんはかたいなぁ。1時間つまらない時間を過ごすのは私も苦痛だし、要はなーんも情報を話さなきゃいいんでしょ?だいじょぶだいじょぶー」

「……くそっ、勝手にしろ」

 

 

 町田くんが苛立ったように舌打ちし、席に座る。……うん。なかなか上出来だね。

 

 

「あはは、Aクラスも大変そうだね」

「まあねー。それで、何やるの?」

「うーん、6人かぁ。じゃあ平民を2人にした大富豪でもやろうかな?ルールが分からない人はいる?」

 

 

 特にルールが分からない人はいないようで、帆波のシャッフルによって大富豪が開始する。……強いカードが全然ない。同じ数字のスート違いも少ないし、相変わらず私は運が悪いらしい。

 大富豪をしていると意外な人間性も見えてきて、外村くんは大人しめな感じの子かと思っていたが意外と勝負事に熱が入る性格らしい。ゲームはこういう側面も見えやすくなってくるからな。私は普段と変わらず飄々とした雰囲気を貫く。

 

 

「ねー、帆波。もう3回目だよ?私1回も強い組み合わせ来てないよ。イカサマ?私がAクラスだから?」

「えー?そんなことしないよー。萌ちゃんが単に大富豪が弱いだけじゃないかなー?」

「……帆波、それ昨日のヨガの仕返し?決めた、絶対帆波を大貧民にしてやる……」

「わー、ここでスート縛り!?絶対わざとだよね!?やめてよー!!出そうと思ってたカードがぁ〜!!」

 

 

 

 最終的にババ抜きまで展開されたトランプは終わりを迎え、ディスカッション終了まで少しの間の自由時間が生まれたため、私は帆波に振られ世間話をしていた。

 すると、外村くんがおもむろにパソコンを立ち上げる。観察していると、凄まじいスピードでキーボードを叩き、時折「デュフッ……」というよく分からない声を出している。……す。

 

 

「すごーい!!君すごいね!!?その板、本当に使いこなせる人いたんだ!」

「ぬおぅ!?あ、赤井殿!?!!なんでござるか!?」

「私、機械系が全然ダメでさー。有栖ちゃんにも言われたんだ。『貴女がパソコンを使いこなす?魔法をかけられるくらい天文学的な確率ですね。最も、貴女に魔法をかけてくれる魔法使いも、貴女の機械への疎さを見たら逃げ出してしまいそうですが。』って……もしかして君って、パソコンを使いこなせる魔法使いさんなの!?今だって全然手元見ずに文字打ってたし!」

「ま、魔法!?そんな高尚なものではないでござるが……ただのブラインドタッチですぞ?」

「あはは!なんかそのよく分かんない言葉遣いも異国の言葉みたいで面白い!ねえ、綾小路くん。外村くんっていつもこんな感じなの?」

「……ああ、そうだな。特定の方面に知識が深いことから、皆からは博士とも呼ばれている」

「博士!かっこいい!私もそう呼ぼうかなー。あ、でも私にとっては機械の師匠かな?」

「し、師匠……つまり拙者がマスター…悪くない響きでござる」

「綾小路くんもこんな感じで喋らないの?キャラチェンでさー、いきなりこんな感じになったら皆注目するんじゃない?」

「いや、遠慮しておく。オレは目立ちたいわけじゃないからな。それにオレには到底使いこなせる気がしない」

「むー、萌ちゃん。いきなりお話を終わらせるなんて酷いよ」

「あ、帆波。ごめんごめん、でもすごくない?博士くん、こんなに文字うつのはやいよ!」

 

 

 少し拗ねたように頬を膨らませる帆波にも、師匠(仮)のパソコン技術を見せてあげる。師匠は帆波に見られたことでやる気を上げたのか、更にすごいスピードでパソコンを使いこなし始めた。ちなみに帆波は師匠の異国の言葉に対して、困ったように笑っていた。帆波の背後から抱きつき髪の匂いを堪能しながら師匠のパソコン捌きを見ていると、帆波がいきなり立ち上がる。うお、身体が持ち上がってバランスが難しい。

 

 

「さてとー。ちょっと行ってくるね」

「どこへ、ですか?」

「このまま葛城くんに逃げ切りを許すわけにもいかないしね」

「葛城くんのとこに行くの?私、離れた方がいい?」

「ん?別にいいよー。萌ちゃんが嫌じゃないなら」

 

 

 そう言い、帆波にぶら下がってた私をおんぶする形にしてくれた。あ、暖かい。いい匂いもするし、ここが天国か……。

 

 

「もしよかったらオレもついていっていいか?」

「ん?それは全然いいけど?もしかして綾小路くんも葛城くんに?」

「そうじゃないけどな。堀北がその葛城と同じグループらしいからな」

「そっかそっか。じゃあこの3人で行こうか。また後でね浜口くん」

 

 

 同じフロアなためそれほど時間もかからず、竜グループの部屋へとたどり着く。まだ誰も出てきている気配はないため、話し合いが長期化しているのか。違うグループの部屋に入る訳にも行かないため、私達は大人しく待つことにする。もしかしなくても、葛城くんと話をするなら私は帆波から降りた方がいい?惜しみながらも私は帆波の温もりを手放した。10分程経った頃葛城くんが出てきて、帆波が話し合う。私も綾小路くんも葛城くんに話がないため暇だ。隣で帆波を待っている綾小路くんに話しかける。

 

 

「ねえ綾小路くん、あっち向いてホイしようよ」

「……ここでか?」

「帆波が話終わるまで暇だし。はい、じゃーんけーんポン。あ、勝った。あっち向いてホイ!」

 

 

 私が適当に左を指すと、綾小路くんと同じ方向を向く。

 

 

「………………一瞬で終わったが」

「まーまー、もっかいもっかい。それか指スマでもやる?」

「……指スマ?」

 

 

 私が指スマのルール説明をしていると、帆波と葛城くんの話し合いが終わったのか帆波も混じる。帆波は神崎くんを、綾小路くんは堀北ちゃんを待つつもりらしい。じゃあ私はその間の暇つぶしとして相手をするか。

 

 

「指スマいちー」

「……指スマ4」

「お、綾小路くん1つあがりだね〜。じゃあ……指スマ3!」

「あ、また帆波が1抜け!?やっぱりトランプといいイカサマしてるでしょ!?!」

「いや、単純にオレたちが弱いだけじゃないか?」

「綾小路くん、帆波に負けたままで悔しくないの!?こうなったら結託して帆波を見返そう!名付けて指スマ同盟!」

「……いや、それこそイカサマだろ」

 

 

 30分ほど待っただろうか。ようやく竜グループの扉が開き、櫛田と平田くんが出てくる。

 

 

「あれ?綾小路くん、こんなところでどうしたのかな?もしかして堀北さん待ち?」

「こんにちは櫛田さん」

「やほー、櫛田」

「わ、一之瀬さん。それに萌ちゃんも。なんだか珍しい、っていうか意外な組み合わせだね」

「堀北さんと神崎くんを待ってるんだけど、まだ話し合い中?」

「その二人なら、今も龍園くんと話してるみたいだよ。中に入ったら?」

「いいよいい……」

「じゃあ遠慮なくおじゃましまーす、ほら帆波、入った入った〜」

「えぇ?ちょ、ちょっと萌ちゃん、押さないでよぉ!」

 

 

 私が帆波を押し、綾小路くんもそれに続く形で竜グループの部屋に入る。室内では神崎くん、龍園くん、堀北ちゃんが三すくみの状態で座っていた。龍園くんは笑みを浮かべこちらを見たあと、帆波に目線を移す。龍園くんと帆波が話している間、私は帆波に抱きつきながら話を聞いていようと思っていたが、後ろから髪を引っ張られる感覚に思わず引き下がる。私は犯人に小声で抗議する。

 

 

「……何かなぁ、櫛田」

「ん?どうしたのかな、萌ちゃん」

「誰にも見えない角度でサイドテールを引っ張るの、やめてくれない?って、いっ!いた!力強めないで!」

「強めてないよ?それに呼び方が違うよね?」

「え?呼び方って、櫛田…」

「桔梗」

「くし」「桔梗、だよね?」

「……はい。桔梗」

「うんうん、それでこそ私の親友だね♪」

 

 

 ……こいつ。呼び方を矯正するためだけにわざわざ私の髪を引っ張るか?普通。櫛田に抗議の目を向けるも無視されたため、龍園くんの方に意識を向ける。

 

 

「良いところに来たな一之瀬。俺はおまえに面白い提案があるぜ」

「提案?一応話だけは聞かせてもらおうかな」

「くだらない話よ。耳を貸すだけ時間の無駄ね」

「Aクラスを潰すための提案だ。悪い話だとは思わないんだがな。鈴音と神崎は反対らしい」

「わー、大胆。ねえ龍園くん、私の事見えてる?」

「ハッ、そこにいたのか赤井。小さすぎて気づかなかったぜ」

「……む。帆波、こんなやつの話聞かなくていいよ、どうせ優待者の情報を共有して法則性を見出すだけだし」

「その通りだ。俺は既にCクラスの優待者を全員把握してるからな。怪しむなら誓約書でも何でも書けばいい」

「誓約書を書いたとしても、誰がどう裏切ったか分からない以上無意味よ。Cクラスが裏切って終わりね」

「堀北ちゃんが蹴ってるならこの話は成立しないってことで!ほらほら皆、難しい顔してないで。トランプでもしようよ。帆波が今日のディスカッションで頑張ってたんだよー」

「貴方、正気なの?空気も読めないなら帰ってちょうだい」

「正気も正気だよー。……じゃあ、ここにいる子達でゲームしない?」

「ゲーム?何をするつもり?」

「題して!クラス対抗!ダウト大会〜!!」

 

 

 

 自前で拍手し、場を盛り上げる。堀北ちゃんからは「は?」みたいな目を向けられ、龍園くんや神崎くんからは「何だこいつ」という目を向けられ、帆波からは困惑の目を向けられる。うーん、私の精神が鋼鉄製じゃなかったらこの場で壁にヘドバンしてたよ。

 

 

 

「ルールは簡単!一番最初に手札が無くなった人の勝ち!参加費は100ポイントから何ポイントでも!優勝者には何と〜、皆からの参加費の合計ポイントが貰えまーす!」

「くだらない勝負ね。それに優勝したとしても最低ポイントで400ポイント。そんなものに時間をかける必要性を感じないわ」

「えー、そう?……じゃあ、Aクラス代表として……私は10万ポイントを賭けようかな」

 

 

 その瞬間、龍園くんが面白そうに目を細める。

 

 

「ほう?面白ぇ。俺はやってもいいぜ」

「龍園くん、貴方正気なの?」

「何だ鈴音、負けるのが怖いのか?」

「下らない挑発ね。そんな言葉で私が乗ると思っているの?行きましょう、綾小路くん」

「いや……ちょっとやってみてもいいか?そんなにポイントは出せないが……」

「ちょっと、綾小路くん!?」

「100ポイントから気軽に参加できて、優勝したら10万弱貰える可能性がある。やってみる価値はあるんじゃないか」

「……くだらない。私はやらないわよ。やるなら貴方が勝手にしてちょうだい」

「DクラスとCクラスは参加表明を出したね〜、じゃあBクラスは?誰か出てくれるのかな?」

「んー……じゃあ、私が出てみようかな?いいかな、神崎くん」

「……一之瀬がやりたいのなら、俺に止める権利はない。だが良いのか?ポイントを無駄にすることになるかもしれないぞ」

「その時はその時だよ。それに……得られることもあるかもしれないからね」

 

 

 こうして私たちのクラス対抗ダウト大会が始まった。

 

 

 

 

 ____________________

 

 

 

 

 Aクラスは私が代表して10万ポイント。

 Bクラスは一之瀬が代表して1000ポイント。

 Cクラスは龍園くんが代表して100ポイント。

 Dクラスは綾小路くんが代表して200ポイントを賭ける形となった。

 ダウトをしながら龍園くんが口を開く。

 

 

「クク。それにしても一之瀬、てめぇが兎にいるとはな。てっきり俺は神崎と一緒にお前が座ってるもんだと思ってたぜ」

「やだな龍園くん。学校側が決めたことだし詳細は分からないよ。ただ、私たちは与えられた状況、情報をもとに戦うんだよ。その言い方だと順序が逆になっちゃうじゃない。学校は意図してグループ分けしたってこと?」

「気づいてないようなら教えてやるよ。今回の全てのグループ分けが、意図を持って教師連中によって決められたのは明らかだろ?となれば、Bの筆頭であるおまえが外れた理由はなんだろうな。それに赤井、お前もだ」

「え?私?」

「坂柳がいない今、ここに来るのは葛城とてめぇじゃねえのか?」

「うーん、どうかなぁ。私、派閥争いとか興味なくてあんまり勉強会とか参加してないし。真嶋先生からは協調性がないやつって思われたんじゃない?……あ、龍園くん。それダウトー」

「……ちっ、お前俺を付け狙ってんだろ」

「龍園くんの嘘の付き方が下手なだけじゃな〜い?ねえ、綾小路くん?」

「ここでオレに振らないでくれ……」

「あ、綾小路くん。ダウトだね」

「………一之瀬も中々すごいな」

「そうかな?こういうのが得意っていうのもあるかも。まあ、私が嘘をついたりするのはそんなに得意じゃないんだけどねー」

「クク、より一層お前が竜グループにいない理由が不思議だよなあ?」

「もー、龍園くんはしつこいなぁ」

「はい帆波ダウトー!!」

「にゃっ!?き、気づかれないと思ったのに……!」

「なっはっはー、みんなまだまだ甘いねー。ほいっと」

「……ダウトだ、赤井」

「えっ!?!?綾小路くん、なんで分かったの!?!!」

「いや、何となくだ。このままだと赤井が勝ちになりそうだから、ちょっとした賭けってやつだな」

「ぐぬぬ〜…もう少しで上がれそうだったのにっ」

 

 

 結果は手札枚数的に帆波と私のほぼ一騎打ちとなり、僅差で私の勝ちとなった。

 

 

 






Q.ダウト大会に勝った感想は?
「えー!龍園くんがくっっっそ弱いなって思いました!」
「おい、殺すぞテメェ」
「だって龍園くん、ダウトの時ほとんど見破られてなかった?最後の方とか自信なくして小声だったんじゃない??」
「一番の小声はそこの金魚のフンだっただろうが」
「……なんでこの流れでオレが攻撃されるんだ?」
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