街の森林公園。その中の木の枝の中に小さな人影が一つ。エレクトリアの華麟は枝葉の旋律に耳を傾けながら、ゆったりとした時間を過ごしている。
基本的に主の凛音と一緒に過ごすことが殆どだが、時折こうして個人の時間を取ることもある。お互い一人にしても大丈夫という信頼もあるし、今の凛音にはヨトゥンとスルトという新たなエレクトリア達が側にいる為、心配事は何もない。始めの頃は家事もままならなかった彼女達も凛音と華麟懸命な教育と本人達の溢れる意欲のおかげで、今は一人前にこなせるようになっていた。そうしたこともあり、実はこの一人散歩はかなり久しぶりである。と言っても何か特別なことをするわけではなく、本当にただのんびりブラブラするだけ。公園や水辺といった一般的な散歩と大差はない。今日も森林公園を一通り回ってから、木の太い枝で昼寝をしている。枝葉が優しく触れ合う音が耳を撫でる。そうして一時間ほど過ごす事も多い。
日が少し傾いてきた頃、そろそろ帰ろうかと木から降りると視線を感じる。振り返るとそこには黒いエレクトリア。黒の長髪で黒いロングスカートのゴスロリ風ドレスを纏い、オマケに黒いパラソルも手にして黒づくしである。野良にしては小綺麗すぎるし、何より大きい。一般の倍以上で目算50cmほど。巨大すぎるヨトゥン達に見慣れてはいるが、それでも目前の相手も十分に大きい。謎のエレクトリアはこちらを認識すると、じっとこちらを見つめてゆっくりと歩いてくる。たまたまと思いつつ方向を変えて歩くが足音は離れず、振り返ると微笑みながらついてきている。現在の武装は刀とハンドガン、飛行用の小さなバックパックという最低限の装備のみ。八重や野良といった知り合いが助けに来てくれる可能性は一応あるが、期待しないことにする。このサイズの敵はイベント等で何度か戦ったこともあるので、その気になれば戦えないこともないが、今日は面倒事に巻き込まれるつもりは無い。バックパックを起動して飛び上がり、オーバーヒートしないように枝を飛び移りながら森林を飛んでいく。瞳は進路方向を捉え、最短距離の演算を続けるとともに、聴覚は後方の敵に向ける。スタートから全力で飛んでいるのだが全く距離が離れ…いや寧ろ近づかれている。出力差があるのは予想していたが恐らくハンドガンの射程距離まで来ている。
「この…!」
このまま逃走を続けても、景色が開ける公園外に出ると逃げ切れないと判断し、急停止、急旋回して刀に手をかける。思った通りに距離は随分詰められており、射撃戦の距離はお互いに速度を出して前進すればあっという間に近接圏内に化ける。
「それっ!」
「…!」
抜刀術での横薙ぎ一閃だが、パラソルで防がれる。対エレクトリア戦において、この急旋回からの一撃はそれなりに効果を出してきたが、ここまで完璧に防がれるのは多くない。それは単純な出力だけでなく、相応の対応力を有している事の証明になる。力で不利になる鍔迫り合いになる前に素早く弾いて距離を離して着地し、様子を見る。追撃には来ず、あちらも様子を見ている様だが、警戒ではなく観察するように眺めている。
「貴女いったい何なの?誰かの差金とか?」
返答はない。不敵な笑みだけが向けられて不気味さを覚える。確かなのは敵意や嫌悪、殺意のような負の感情でない事だけ。そうなるとこの……なんというか、生暖かな瞳は何なのだろうか?とは言え状況は芳しく無い。今の武装では火力が足りない。いや万全であったとしても勝利は目視できないほど先だろう。
「華麟さーん!」
「お助けに来ましたー!」
側に降りてきたのは白髪と黒髪のエレクトリアは八重と一緒にいる野良達の一員。恐らく自警パトロール中に見かけて追いかけてくれたのだろう。
「追われてる雰囲気感じたので助太刀に来ましたー。」
「リーダーにも連絡してあるのでそのうち応援に来ますー!」
「助かる。でも注意して。数が増えたからか、アイツちょっと不機嫌になったみたい…。」
視線が険しくなり、パラソルを持つ腕に力が入っているように見える。先程の手応えを考えるに、淑女らしくないがあのパラソルを振り回してくるかもしれない。武装がそのパラソルだけなら助かるのだが、余りにも未知数だ。
「刀とハンドガンしか持ってないから、援護頼める?」
「ミサイルとビットでお任せです。」
「それではご挨拶ー!」
ポッドからミサイルを連射する。巨体が爆煙に包まれたのも束の間、パラソルで煙を振り払い、先端をこちらに向けると光弾が発射された。距離が離れていたため、三方に散らばって回避するが、着弾点にはエレクトリアを容易く飲み込む爆発が起きていた。
「あれバズーカなの…?」
「ホワイト、前前!」
「んえっ?ひゃぁ!?」
衝撃の余り目線を外した数秒の内に、距離を詰めた淑女はホワイトの胴体にパラソルを振り抜いた。咄嗟にシールドで受けるも、体重差で抵抗できず吹き飛ばされる。
「ブラック、カバーよろしく!」
背面を取ってハンドガンで牽制しつつ接近したのは華麟。淀みない剣戟の中、必死に隙を探す。しかし軽々あしらわれているだけで、余裕綽々の笑顔で見つめられている。ブラックもアサルトライフルで攻撃するもひらりひらりと躱される。何発かは命中するがそれも怯まない。
「効果なさそうですー!?」
「もっと強い攻撃じゃないと駄目ってことね…。ホワイト!」
「お任せ、というか準備万端!でっかい爆発、行きまーす!」
戦線復帰した彼女の四肢にあるミサイルポッド、その全てが前方に向けられている。パラソルで華麟を払い除けた直後、大量のミサイルが襲いかかった。始めと違い、不意をついた攻撃は確実に命中した。防御に使うであろうパラソルは払い除けていたし、ギリギリまで凝視していたのだから間違いなく直撃した。しかし先程の硬度をみるに、決め手とはならないだろう。次の攻撃に備えていると、煙からぬるりと出てきたのは黒い腕。しかし彼女の物より遥かに巨大で禍々しい。煙が晴れると先程まで身に付けていたロングスカートが変形し、腰の辺りから伸びる二本の巨大な腕となっていた。少女はミニスカートになっており、その後ろからはロングスカートに隠れていた身長程の長さの尻尾が静かに揺れている。身につけていたロンググローブやブーツも変化し、硬そうな甲殻を纏い鋭い爪を携える。まるで龍や怪物が擬人化したような姿。未知数といったが、これは異常だ。次の動きを窺っていると、先程とは桁違いの速度で強く飛び出し接近する。白黒コンビの火器による迎撃するが、巨腕を盾にして構わず前進する。ならばこちらもと前進して刀の刺突を繰り出すとヒラリと跳躍し、後方の白黒コンビの間に着地。間髪入れず巨腕を薙ぎ払って遥か遠くまで吹き飛ばしてしまった。幸い木や岩等の障害物は無かったので土草の上をゴロゴロと転がって停止する。しかし一部パーツが衝撃で破損しているため、戦線復帰は厳しそうだ。そう考えを巡らせている間にも敵はゆっくりと近づいてくる。一対一になったときだけ、ゆったりと動くのがまた不気味だ。覚悟を決めて次の手を考えていると、突然龍姫に雷撃が落とされ、動きが止まる。その直後、八重が直ぐ側に着地した。
「たまたま近くにいて良かった。すまぬが他の者達が援護に来るまでまだ十数分はかかるはずじゃ。勝算はあるか?」
「正直勝ち筋全く見えない。私の武装はこれだし、白黒コンビはダウンしちゃったし。それなのにまだ向こうは本気じゃなかったみたいだし。」
「凛音殿に通信は?」
「それが上手く繋がらないのよね…。アイツのせいかもしれない。」
高い戦闘力に加えジャミング能力まで完備。全距離対応出来る武装に加え、敵の動きに柔軟に対応できる思考力も備えると来た。可能なら二人ともフル装備で挑みたいところだが、贅沢は言えない。
「取り敢えず、妾の刀を一本貸そう。なに、お主と違って一本も二本も妾には大きな問題ではない。」
「なんか軽く煽られたけど助かる。」
刀を受け取り臨戦態勢に入る。雷撃に驚いていた龍姫は既に動けるようになっている。尻尾を勢いよく振り上げると内部に格納されていた二本の剣が取り出された。
「うわ…更に増えた…。」
「しかし怯んではおれぬ。ゆくぞ?」
同時に飛び出した華麟と八重は左右から挟み込んで挟撃するが、180°の攻撃を寸分違わず刀で受け止められる。華麟は空いた左の刀で変化した腕を斬りつけるも、あまりの硬度に金属音が響くだけでダメージは無さそうだ。
「華麟!」
呼び声に反応して咄嗟に離れると、上方から押し潰そうと迫っていた巨腕が眼の前を通過する。四本の腕の硬度は並の装備では刃が立たず、転じて強力な武器にもなる。実質四刀流。脚も同じ硬度だと推測すると攻撃が通じるのは肘膝より上の胴体と頭のみ。懐に踏み込むのは剣士として当たり前だが、類稀なる剣術を持つ二人であっても手数が足りない上に、倍以上の体格によるリーチは脅威だ。
「八重、遅れないでよ?」
「そちらこそ、妾を先走らせぬ様に気をつける事じゃ。」
今度は別れること無く走り出す。華麟の初撃を難なく受け止め反撃するも、間に八重の刀が入る。無防備な味方を守り、相方が作った隙を突く。手数が足りないなら二人が固まって立ち替わり入れ替わり攻め続ければ良い。ニ身一体となった華麟と八重のタッグは完璧に同期しているかのように乱れがない。しかし、この世界でも類を見ないであろう剣舞に見舞われる龍姫も怯まず剣と腕を振るう。流石に胴体部分に攻撃が入るのは嫌な様で、しっかりと防御回避している。現状を見る分には互角なのだが、実情はそうもいかない。なにせ倍の体躯を持つ故、攻撃に乗せられた力を見誤ればガードごと吹き飛ばされる。巨腕なら尚更だ。その為二人に迫られる判断は以下の通りになる。
・回避する
・防御する
・攻撃発動前に先の先でそれを潰す
・攻撃力が最大になる前に敢えて接近し威力を殺す。
特に最後の一つは本来なら考える必要は無いが今回はタッグ且つ、ほぼ密着状態。相方、ひいては自分の安全のためにはやむを得ない。
((見えた…!))
「八重!」
「分かっておる!」
ここに来て華麟だけが前に出る。好機と見た龍姫は腕と剣で四方向から攻める。迫る危機に対して華麟は地面と水平になりながら飛び込み、身体を捻りながら剣を身体に添わせるように回転する。さながら銃弾の様な回転運動により四本の剣を同時に受け止める。だが力の差は明らか。押さえ付けられる弾丸は少しずつ威力が消えていく。
「いっっけぇぇぇえ!!」
遅くなる回転を最後の力を振り絞って無理矢理上げる。そして剣を振り抜いて二刀二手を吹き飛ばし、その胴体をがら空きにさせる。勢いを失い落下する華麟の隣を通り過ぎた八重は既に抜刀術の体勢に入っていた。
「桜よ…散れ!」
八重の歩法と瞬間的なブーストによる超高速抜刀は胴体に直撃する。
「ッ…!」
流石に身体が大きい為吹き飛ぶことはないがバランスを崩して数歩後退する。切り抜けて行った八重に反撃するために振り向いた時にはまた懐に桜が舞っていた。
(胴体でもこの強度とは…!しかしこの好機を逃すわけにはいかぬ!)
閃光の様な剣技を繰り出し続ける八重だが、連続して繰り出すことは滅多に無い。通常のエレクトリアが繰り出せる忍者刀の一閃より速い速度なのは勿論だが切り抜けた後に反転して同じ速度で攻撃を繰り出すのはエネルギー消費はもちろん、身体負荷も大きい。本来なら一旦合間をおきたいが、転倒している華麟は一時的なオーバーフローの影響で追撃に向かう事ができない。ならばこそこの剣を止めるわけには行かないが肝心のダメージは控えめなように感じる。5,6,7回と打ち込んだところで剣を伝う衝撃が硬くなる。この異次元の速度にもう対応し防御しているのだ。そして10回を数えた時、八重は背後を取れなかった。巨腕に剣を受け止められたのだ。そのまま上へと進んで、剣ごと八重の手を掴む寸前で腕の引きは間に合ったが、二振りの剣を横薙ぎにして小さな八重を吹き飛ばした。シールドこそ間に合ったがそれごと叩き割る勢いは先の野良達よりもダメージは大きい。八重の惨状に思わず視線を外してしまい、慌てて向き直るも眼の前には黒が広がっていた。後ろに一歩引くよりも早く、触腕は刀とバックパックを掴む。このままでは身動きが取れず八重の二の舞いになるため緊急パージで取り外し、刀も手放す。しかし掴んだ物から重みが消えたのを察知したのか、それらを放り捨てて、すぐさま腕を掴まれ宙づりにされてしまう。不意をついて距離を取ろうと思っての行動だったが、完全に裏目に出てしまった。そして目の前にはもう怪腕が迫っている。八つ裂きにされるかと警戒したが、突然手足が元通りのグローブとブーツになり、そのまま抱き上げられ、巨腕は離れる。もしや鯖折りかと思ったが手つきは柔らかい。目線を合わされ、まさか視線から洗脳か?とギュッと目を瞑ったが、頬が動かされる。恐る恐る目を開くと頬ずりされていた。至高の幸せを噛み締めた最上級の笑顔が眼の前に広がっている。
「キュゥ〜♪(=´▽`=)」
聴覚センサーが壊れたかと疑った。先程までの荒々しさからは想像出来ない可愛い声が聞こえたのだから仕方ない。少しすると今度は胸元に顔を埋めてスリスリと感覚を楽しみ始めた。抱いている腕も背中からお尻の辺りまで撫で回している。流石にベロベロに舐め回されはしなかったが、それでも全身を頂かれている状態だ。これには復帰してきた八重も気が抜ける。
「華麟…これは、大丈夫な…?」
「ガァァアッ!!」
八重が一歩近付いた瞬間豹変し、咆哮と眼光で威嚇する。抱く強さは変化していないが、殺気が溢れ出している。あと一歩進めばお前をバラバラにしてやると言わんばかりだ。どうにか鎮められないかと頭を撫でてみると殺気は嘘のように消え去り、また無邪気に触れ合ってくれる。撫でるのを止めてみると、もっとちょうだいと頭を差し出されるのでまた撫でてやる。少なくとも彼女が飽きるまではこれで現状を保てそうだが、逃げ道は完全に塞がった。八重も機嫌を損ねると何が起きるか分からないので見守ることしか出来ない。どうにか出来ないかとあれこれ考えていると、通信回線が戻っていることに気づく。気が緩んで妨害を忘れているのかもしれない。本当は大事にはしたくなかったが、ついに観念して通信回線を開き凛音に連絡を入れる。
「もしもし?散歩中に連絡は珍しいですね?」
「いや、なんていうか…その…『グルル〜♪』あーー取り敢えず近所の森林公園まで来てくれない?出来ればヨトゥン達も一緒で。」
「ん…?取り敢えず分かりました。」
連絡後、5分も経たずにヨトゥンに抱えられた凛音が到着する。側にはスルトも控えている。
「お姉様待っていてください。私がソレを…。」
「待ってくださいヨトゥン。私に話させて下さい。」
「え?でも…。」
「大丈夫です、任せてください。」
歩む凛音に黒姫の警戒心は高まっていく。華麟を抱く手こそ優しいが視線は鋭い。凛音もそれは理解しており、少し距離を開けて話し始める。
「私は華麟の家族の凛音と言います。少しお話をしませんか?」
「……。」
返事はない。彼女にとって凛音は正体不明の外敵なのだから。その敵意に物怖じせず手を差し伸べるとそれを怪腕で打ち払おうと…。
「やめて!!」
「Σ(゚Д゚)!?」
「凛音を傷つけたら、アンタ許さないから…。」
「( ;゚Д゚)」
華麟の今までに無い怒号と剣幕に初めて怯んだ様子を見せる。状況は飲み込めてないが、何か機嫌を損ねることをしてしまったのは理解したようで明らかに狼狽していた。腕もピタッと停止しているが、それを凛音は握って握手する。
「驚かせてごめんなさい。私の名前は凛音。貴女が大切に抱き締めている華麟の家族です。良ければあちらで一緒にお話しませんか?」
握られた手を払うことはせず、軽く握り返す。華麟の機嫌が気になるらしく、ちらちらと視線を向ける。凛音を一応信頼してくれたのか、逃げ出すことはせず素直にベンチに座ってくれた。
「貴方の名前はなんですか?」
「あー、多分喋れないと思う…。戦闘中言葉は話さなかったし…。」
「( ゚д゚)……?」
「もしかして名前はないのですか?」
「(。'-')(。,_,)」
言葉は無いものの仕草で返事を返してくれる。YesNoの質問は答えてくれそうだ。
「どうしてお姉様を襲ったのですか?…と、これでは答えられませんね…お姉様を襲ったのは命令ですか?」
「(・ω・三・ω・)」
「命令ではない…。では普段命令する人はいますか?一緒に暮らす人とか…。」
「( ゚д゚)………(・ω・`三´・ω・)。」
「あれ?居ない…?」
これは意外な反応だった。ヨトゥンのように誰かの指示で動いていると思ったがそうではない。同居人もいないとなると野良エレクトリアのそれだ。しかし彼女の規格ハズレの設計、装備、そして華麟への執着には何かしらの根拠が必要だ。
「誰かの試作品、もしくは違法品としてみるのが妥当でしょうか?」
「それはミカさんに聞けば分かるかもしれませんね。華麟への態度ですがこれは……。」
「スルト、分かった。」
「え!?これ分かるの!?」
「一目惚れ、この前知った。だからお姉様、好き。でしょ?」
「♪ヽ(=´▽`=)ノ❤」
このご機嫌具合を見るにスルトの考えは的中しているとみて良い。まだ謎は残るが、考える土台が出来た。そこから広げていけばどうにか分かるだろう。
「じゃあ追いかけてきたのは私に興味があったと。襲って…いや私が先に攻撃したけどもあれって遊んでたの?」
「( ゚д゚)……。(。'-')(。,_,)。」
「概ね合ってそうですが、少し違うみたいですね…。お姉様に自分の強さを見せてみたかったとか?」
「(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」
「うわぁ、物騒な自己紹介…。ってことは機嫌が悪そうだったのは邪魔な奴が来たからってこと?」
「٩(๑`^´๑)۶」
「正解みたいですね…。要約するとお姉様が大好きで友達になりたかったと?」
「(・ω・`三´・ω・)。❤(つ≧▽≦)つ」
首を横に振ると、すぐさま華麟に抱きついてなで回す。体格差もあるがまるで縫いぐるみを扱う様な勢いではナデナデぽむぽむしている。
「あー違うこれ。大好きだから一緒にいたいとかじゃない?何なら家にお持ち帰りしたい位の…。」
「ヽ(*゚ー゚*)ノ」
「なるほど分かりました。でも華麟は私の家族なので出来れば連れて帰りたいのですが…。確認ですが、貴女の家はどこですか?」
「(´・ω・`)?」
「え?無反応?」
「やっぱり…。」
「もしや私達と同じ様な事例でしょうか?」
確信があったが、やはり家がないと答えた。命令する人、住む人がいないのであれば当然住む場所も無い。脱走などの線もあるので自警部のミカに確認を取ってみる。
するとこのエレクトリアと関係があるかわからないが、数日前に違法組織の施設が火事になったらしい。開発中のエレクトリアとか設備や資料も殆ど消失したそうだ。しかし、他の施設の摘発も数件あったためやはりどこと関係があるかは細かく調査しなければ不明だ。
「要約するとコイツはどこかの組織で作られて、何かしらで抜け出してきたと…。結局何もわからないじゃん…。」
「とはいえ、このままにするのはいけませんね。華麟はどうしたいですか?この娘は貴女をとても気に入ってるようですし。」
「(・ω・*)」
自分の処遇についての話だと理解したのか、華麟をじっと見つめて一緒に居たいアピールをしている。穴が空くほどの凝視に思わず目を背けるが、視線はもう突き刺さっている。
「うーん、家がない奴についていくのは嫌かなぁ…。一目惚れって言われても実感ないし…」
「(´゚д゚)!?」
「追いかけてくるわ、襲ってくるわ。挙げ句は友達まで傷つけてくるし…。」
「(´;ω;`)」
「え…?」
「ふぇ……( TДT)」
「ちょ!?そんなに泣かないでよ!?」
「びぇぇぇぇぇ! 。゚(゚´Д`゚)゚。」
「工工エエェェ(´Д`)ェェエエ工工」
溜まった涙が堰を切ったように溢れ、とうとう大声で泣き出してしまった。初対面の妖しくも美しき令嬢と言う印象は悲しみの激流に流され沈んでいった。大好きな華麟に嫌われてしまいもう駄目だという悲しみが強すぎたのだ。あまりの泣き様に凛音も抱き上げて撫でながら宥める。その様子に華麟も無いはずの自責の念に苛まれる。
「ちょっと待って泣き止んでってば!?別に付いてくるなとか、もう合わないでとか言ってないでしょ?」
「(´;ω;`)」
「取り敢えず怪しいからちゃんと調べて。それからだったらまぁ別に良いけど…。凛音もなんかもう受け入れ体制入ってるし、また増えても私は気にしないから…。」
「びぇぇぇぇ!!。゚(゚´∀`゚)゚。」
「あ、こら!潰れ、ちゃう…!」
ドン底から一転して有頂天へ。感激のまま抱きつかれた華麟の身体はミシミシと音を立てている。離れるように言っても耳には入らず、叩いても気づいてくれない。
「そこまでです。」
密着していた体に大きな指が差し込まれ無理矢理引き剥がされる。華麟が離されてしまい、またしても不機嫌にジタバタするが、ヨトゥンの怪力はそれを全く苦にしない。
「\(# ゚д゚)/!!」
「お姉様が大好きなのは分かりましたが加減をしないと駄目です。私達は大きく強いのですから壊れてしまいます。」
「( ゚д゚)ハッ!…(´・ω・`)。」
「分かってくれればいいんです…。貴女も私達もお姉様が大好きなのは変わりませんから。」
「(=´▽`=)ゞ」
思いの外あっさりと聞き入れてくれた。華麟のことが好き過ぎて暴走気味だっただけで、本質は素直な娘なのかもしれない。
「スルトも…お姉様好き。お前と…、同じ…。お前、呼ぶ...嫌。名前…どうする?」
「そう言えば本人も分からないんだった…。」
「ここまで気に入られているのであれば、華麟が名付けてあげればどうでしょう?」
「!(☆▽☆)!」
「私がつけるの?うーん……。」
「((o(´∀`)o))ワクワク」
「黒…龍、怪物?いやないない。んー…ドレスかぁ…。黒いお姫様で『クロヒメ』はどう?」
「(ノシ≧▽≦)ノシ」
またしても華麟に飛びついたクロヒメ。今度は力加減が出来ているので軋むことはないが、それでも逃げられない程度にはガッチリホールドされている。
「気に入った様ですね。」
「じゃあよろしくね。大きく強くて綺麗なお姫様?あぁ、忘れそうだった。八重、どこ行くの?」
少し離れた所ではダウンした白黒コンビを抱えている八重の姿が。本人の損傷は酷くないが、他二人はまだグッタリしている。
「む?妾は彼女らの様子を見ていたまで。他の者達が到着次第撤収しようとしていたところじゃ。」
「その前にやることあるでしょ?ほら、ちゃんと八重に謝って?」
「m(_ _;)m」
「ふふっ、構わぬよ。ふむ、少し前にも同じ様な事があったのう。妾としてはそれと同じく終わり良ければ全て良しで許すつもりじゃ。」
「前よりなんか緩くない?」
「今回は少し叩かれただけじゃ?巨大な怪物に食べられるのとは訳が違う。であろう?」
八重の視線を思わず避けてしまうヨトゥン。出来れば胸にしまっておいて欲しいところだが、この狐は結構強かである。
「では妾達は帰らせてもらう。クロヒメ殿もまたよろしく頼むぞ?」
「(`・ω・´)ゞ」
「では私達も帰りましょうか。」
「お姉様は私が運…クロヒメさんが抱いてました…。」
「じゃあクロヒメごと抱き上げれば良いんじゃない?いいでしょ?」
「(´゚д゚`)!?、(つ≧▽≦)つ!」
「ありがとうございます…。これはこれで良いものですね。」
二重で抱かれる華麟。この日の残りはほぼ常にクロヒメに抱かれ、眠る時もいっしょだったとか…。
クロヒメちゃんはサブタイトルの通り、モンハンプラモの擬人化ゴア・マガラです。だって綺麗だしカッコいいし武装も多いもん…。身長がデカい?そこは私の癖だ。
そしてエレコド特有?の顔文字会話にも初挑戦。機械音だけのキャラのほうがある意味表情豊かなのが印象的
彼女の出自は……気が向いたら書くかなぁ…?