ダンテ著:囚人が違う世界の鏡   作:何処にでもある

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 ワンダーラボもとい、C社の巣にあるL社支部の懲役部門チーフにキャットという人がいます。
 ワンダーラボは無料で読めるプロムンなマンガです。
 独自設定は多いですがそれはそれでこれはこれの精神で押し通します。説明回。


囚人の違う鏡 キャットの人格VI 人格〖XX社 設計部門 部長〗

 

「それで、納得できる説明をして貰いましょうか」

「カロンのバスブルンブルン出来ない。カロン、ご立腹」

『…そうね、先ず何処から言えばいいか…長くなるでしょうね。椅子と飲み物を用意しましょう』

 

 彼女…アンジェラはそう言うと机の周りに椅子が3つ現れ、カランっとガラス同士がぶつかる音のした後にはいつの間にか深い緑色の飲み物が入ったコップが用意されていた。

 ヴェルギリウスとカロンは躊躇なく座り、私も慌てて近くの椅子に座った。それを見たアンジェラは、一度目を閉じた後本を一つ何処からか取り出して、一緒に出てきた羽ペンにインクをつけて本を書き始めた。

 

『では、ご自由に質問を。暫くはそうする時間がありますので』

「お前はなんだ?よく出来てはいるが機械だろう。何の目的で俺達を助けた」

『私はアンジェラ。此方の…貴方達の言い方では『あっち』の世界の住民です。目的は救助、此方の問題を持ち込んだ事への責任です』

「嘘はやめろ。都市では路地で起きるどんな問題も見て見ぬふりをして自分の事だけ考えて歩く物だ」

『事実ですが…意図を知った所でどうすると?私はただやらなければならない事をしただけです。ゲストの皆様にはおかれましてはどうぞご自身の事を考えて行動して下さい』

「それなら此方も相応の振る舞いをする必要がありそうだな?」

 

 ヴェルギリウスが持つ剣が赤く、白く光り熱を持ち始める。どうやらこのままでは争う事になりそうだね?

 そうなってはまずいので慌てて説得する。

 

[ヴェルギリウス。此処は私に任せてくれないか?このまま戦いになるのはまずいし囚人も蘇生したいから]

「…管理人、カチコチと音を鳴らしていても何も分かりませんよ。…ですがその様子で代わりたい事は分かります」

『何方でも私は構わないわ。言葉も分かるし…見た所其方の方が上でしょうし』

[ありがとう]

 

 早速時計の針を回した。

 

 

 

「へー、じゃこの人は命の恩人って訳ね」

「やっぱり…僕が人格の侵食に呑まれたから…」

「んーそうでも無いんじゃ無いですか?ほら、僕たちも呑まれてた訳ですし」

「ファウストとしても其方の方の話には十分な注目度があります。お聞かせ貰えますか」

「…カロン飽きた。探検に行く」

「…もうちょっとそこで座っててくれ」

 

 一気に騒がしくなり、カロンが席を立つもヴェルギリウスに咎められる。このままだとずっと騒いでいそうだ。空気を変える為早速質問をする。

 

[アンジェラ、私達が囚人達を取り戻し、その上で其方から今後襲われない様にするにはどうすればいい?]

『いい質問ね。やるべき事は3つ、此方の世界の何処かにいる攫われた囚人を見つけて殺し正気にさせる、私の戦力が整うまで此処を防衛する、最後は貴方達、全員が本を一冊ずつ書き上げる事よ』

[其々の意図は?]

 

『1つ目は貴方も身に覚えがあるでしょう?囚人は此方の人格を使うとより強く侵食される。此方のダンテの囚人じゃないもの、同期の負担を全てダンテを経由せずに受ければ…個人差はあれど今頃此方の物でよく使っていた人格通りの振る舞いをしている筈よ。叩いて戻しなさい』

「それだと僕たちが無事だった理由はなんでしょう?」

『此方の囚人がダンテの代わりに負担を持ってくれたからよ。代わりにその囚人の過去と上書きが襲って来て大変だったらしいわね?そこのファウストは違う理由みたいだけど』

『ああ、強襲は人格の侵食率が高くなりすぎたのが原因よ。それを基点にした転移…交換かしらね?使わないならこれは起きないわ』

 

 アンジェラは変わらず本を書き続ける。

 

『2つ目は今後襲われない為の根本の治療ね。今此方では都市の住民が脳の洗いすぎで全員が悪い記憶が飛んで昼夜問わず笑い続け、満足し続け、絶望も死ぬ事も虚無に堕ちる事も出来ずに日々を変わらず過ごしているわ。変わらずに殺し合い、奪い合い、騙し合い、それをずっと笑いながら、それに満足しているの、細切れになり、赤い糸になっても尚、死ぬ事も出来ずに』

「それがどう俺達を襲う事になるんだ?」

『行き過ぎると毒、いい言葉よね?彼等が貴方達を襲ったのは少しでも過去が欲しいから。過去こそがこの病の特効薬で、これは()()記憶がないもの、つまり全部無いわ、名前と技術くらいよ。どんな手を使ってでも、どれだけ耐えてでも過去がある貴方達は襲われるわ。どんな手でも使ってね』

「…あなたは大丈夫何ですか?」

『要はエピソードが無いだけよ。記録や事実は残る…機械は無事よ。…私は人間に成りたかったけど、今の1秒前も記憶出来ない様な生き物にはなりたく無いわ。だから先に人間という種族を修理するのよ。それから人間になるの』

「なぁんかさ、めっちゃ喋ってくれるじゃん。それで、手段とか考えとかある訳?」

『黒昼を最低7日、光を回収する。その手段も準備も終わってるわ。後は7日間以上防衛するだけ。ただ、始めると彼等は襲いに来るでしょうね。これは希望を回収する間凄まじい不安と恐怖が襲うから、考えられない彼等は本能で潰しにくるわ』

『貴方達が戦力になってもいいし、手を少し貸して後を私に任せるだけでもいい。そこは其方が決めてちょうだい』

『喋るのは質問に答えてるだけよ。生憎、事実しか伝えられない欠陥機能が取り付けられているから喋り過ぎるけれど』

 

本を一冊書き上げたのか傍に本を置き、新しい本を取り出して書き始めた。

 

『3つ目は…治療と免疫作りって所かしら。此方の世界にいる以上息をするだけでも過剰な光が脳を洗うし記憶を消すわ。だから自分の本を作って本棚に入れる、そうする事でこれは一時的に克服し正常で在れる。少なくとも30日は。貴方達が帰る迄は持つから、やっておきなさい』

「カロンつまんない。何か面白いのちょーだい」

『なら、指定司書を呼びましょうか?総記の階が今暇になってるでしょうし…』

「呼んで」

『そう、なら…』

 

 アンジェラが指を鳴らすと、全身を黒いスーツで固め前髪を切り揃えた男性が宙を現れ放り投げられた。

 

「うわ!…アンジェラ、急に呼ぶなってこの前頼ん…おじさん?」

「…ガーネット…いや……始めましてだな」

「ん、カロンと遊ぶ。探検」

 

 黒い男性…ガーネットはそのままカロンに引き摺られてこの場を去っていった。一連の流れにヴェルギリウスは何か感じる事があったみたいだけど、ため息の後、此方に続ける様視線で促した。

 

[色々と知っているみたいだけど、どうやって知ったんだ?]

『本を読んだの』

[本って?]

『幾何学的器官の根絶よ』

Extermination of Geometrical Organ(幾何学的器官の根絶)、E.G.Oですか。この様な大規模なE.G.Oを観るのは二度目ですね」

『…正直、この辺りの話は私の失敗談でしか無いわ。貴方達がやるべき事はさっき言った3つ。全て此処で待っていれば向こうから来て解決する事よ。…さあ、もういいでしょう、貴方達が来た時点でもう既に黒昼は初めているの』

『…来客よ。社会科学の階で今は防いでいるけど、突破されれば終わるわ』

 

 二つ目の本も書き終わったのか一つ目の本の上に重ねて置いたアンジェラは、赤い蝋で封をした手紙を取り出して何処かに向かって歩き出した。

 

「最後に一ついいですか〜?」

『何かしら。手短に言ってちょうだい』

 

 ホンルが声を掛けアンジェラを止める。

 

「その喋り方ってどうやってるんでしょう?僕は両親に翼の商品を沢山使わせて貰ってたんですけど、そうなる特異点は知らなかったものですから〜」

 

 確かにそうだ。『あっち』の人格の話では普通に喋っていた。それは確かに私も気になる事だ。

 アンジェラは少し此方を見ると、目を一度閉じた後、話し出した。

 

「さあ?何の事かしら」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

囚人の違う鏡の物語VI

LCB ドンキホーテ→LCB キャット

 

 

 

[L社 会議室]

 

 

「ですから、貴女方にはこの契約書にサインして頂きたいのですよ」

 

 分厚い紙の束を差し出される。そこにはL社の開発班と他複数の会社との合同商品開発に参加する同意書があった。

 L社、翼にはなったばかりでその勢いは凄まじく、5ヶ月に及ぶ煙戦争の最終勝者との契約は間違いなく此方に莫大な利益を齎すだろう契約だ。

 では何故こんなにも躊躇しているのかと言えば、これに契約する事は即ちXX社として生き残ろうと資産を丸ごと持っていって独立した設計部門が取り込まれ、完全なXX社の消滅を意味するからに他ならない。

 それは困る。此処まで来るのにも苦労してきてこの最後は余りにもあんまりだ。

 

「迷っておられる様ですが、貴女に残された選択で一番善いのはこれです。生産ラインに必要な工場も無く、人と金を残すのみとなった貴女達を高待遇で向かい入れるのは、これ以上無い未来であると私は確信しておりますが」

 

「キャットは設計部門の部長。これまでだってオールアラウンドヘルパーと何でも変えて差し上げますを作った功績がある。これからだってすごい家電を作って再起出来る」

 

「片方は生産中止になる所を大口で私達が買ってあげたお陰でしょう?それをさも自身の力と言うのは…成功体験に溺れる優秀()()()方々を想起させられますね?」

 

「ッ…」

 

 この青い空の様な髪を持った女の言った事は事実だ。第二弾の商品は致命的な欠陥を抱えて販売してしまい、その対応で莫大な赤字が出る所を全て買い取り補填までしたL社にはXX社は下手に出るしか無い。私がXX社の後釜を自認する以上其処を突かれると大分辛い事になる。

 

「なりより、これは貴女達を取り込む為の契約では御座いません。ほら、合同開発陣一覧に貴女方の会社名が乗ってあるでしょう?これはあくまでも契機、我々含め幾つもの翼が共同して新たな市場を、ブルーオーシャンを共に仲良く分け合おうという約束とその参加権何です。…ここを逃せば次に再起する契機は果たしていつになるんでしょうね?」

 

「………」

 

 どうしたものか。言われた内容が本当とは限らない…事は無い。この場にはご丁寧にも契約専門のフィクサーでもかなり有名で実力のある協会の人がいる。それも嘘や違反、契約の意図に反する事を言えばすぐ様剣を抜く人物が、だ。

 つまり、先程の言葉は事実だ。だが言ってない事に保証は無い。しかし言われた内容は都市では見かける事は無い余りにも甘い話、聞いただけでも金と再起のチャンスだと分かる。全身が、脳が直感でこれに乗ろうという気になってくる。

 何らかの特異点かと疑うも、契約の紙に書かれた内容を見れば純粋たる私自身からくるもの、つまりは家電会社であるXX社の設計担当としての感がそう言っていると判るのだ。

 

「ゲーム制作…」

 

「はい、より詳細に言えば遊べる通信機。これまで電子機器は仕事に使う物、通信機器は通話する為の物とされてきました」

「それによるゲームも有るにはありますがどれも一部の巣の特定施設や身体を動かす、視界に映し出す、ゲームの世界に入って遊ぶ、体験型が圧倒的に多い」

「なので、我々が作るのは高くとも欲しくなり、創造性があり、何より夢中に必ずなるゲーム、そして何処でもやれて知らない誰かと繋がる事が出来る、日々の不満を誰かに吐き出せる電子による日記、楽しむだけで巣の会社に入社できる夢と希望の箱」

「仮ですが名付けてLobotomy Mental Time Warp Xray Xerox。固有名詞にするか各社の頭を取るかは後にして、これを作り上げれば裏路地すらも市場になる。新たな翼になり社員を必要とする我が社も人材の確認が出来る。なにより我が社はエネルギー会社、として既に全ての巣で土地の確保と販売権を得ている。」

「W社で繋ぐ為の空間的問題を解消し、T社でラグを消し、M社と我が社で夢中にさせ、通信環境とアプリケーションを整える。後は貴女達、肝心の商品本体をこれらの特異点を駆使して作り上げればいい」

「無論幾つもの特異点が関わる以上、最後はブラックボックスにしますし記憶は消して貰いますが…悪い話では無いでしょう?」

 

 言葉を尽くした様に、飲み物を飲み此方の返答を待つ。

 …どうにも、これしか道は無いようだった。

 

 

 

 それから暫くして…

 

「キャット部長!特異点を奪おうとする襲撃です!」

「分かった。キャットが行くから引き続き開発を続けてて」

 

 あれから何日か経ち、研究所でポケットに入るサイズのコンピューターの設計に私は関わっていた。設備も充実しており、秘匿する為か寝泊まり出来るスペースも用意されていた。

 しかし都市ではそれだけでは対策は不十分だったようで、何処からか情報を嗅ぎつけたフィクサーや翼のスパイが代わり代わりに襲撃してくる事となった。

 一応対策として護衛に事務所や協会の人員も配備されてはいるが、それでも突破された時はこうして私が前に出て戦う事になる。

 

「行くよ、オールアラウンドヘルパー」

 

 キュイキュイと鳴る機械の駆動音と共に着込んだE.G.Oスーツが稼働し全身を白く流線状の装甲で覆う。L社から貸与されたこれは私の処女作であるオールアラウンドヘルパーから作られた物らしく、私にはまるで手足の様に力を振る舞う事が出来る武器だ。

 背中から刃を抜き、目が赤く光る。それだけで十分だった。

 

「キャット、掃除完了」

 

 凄まじい速度で駆け抜けて全てを切り刻む。足を止めれば其処には血が辺り一面に広がっていた。

 ああ、掃除が必要そうだ。

 


 

 

「此処まで登って来た様ね」

「あれは…大丈夫何でしょうか?」

「イサーン。こう急に正気に戻ったりしない?」

 

 あれから私達はアンジェラの後をついて行き、真っ白な宗教を題材に作られた建築物のある階に降りると、そこには〖L社 ネツァク〗の人格になったイサンが待っていた。

 心拍を図る電子音がこの広い空間に響く。命がある事を証明するその音は、何故だかとても虚しい音の様に感じた。

 

『安全なる止まり木は無けり』

 

 そう言うとイサンは膨れ上がり巨大化し、緑の目を覗かせる非対称な切り株みたいな見た目になってしまった。

 

「ダンテ、迅速な対応が必要です。指示を」

[ああ、そうみたいだ]

 

 そうして私達はイサンと戦うも、中々有効打が見つからない。釘や出血は即座に傷が塞がれ、ならば打撃はとスパナで殴るも効果が薄い、どうにも下手なダメージでは返って回復する様だった。

 

[ロージャ、氷の脚、overで行く]

「了解〜。さーて、一発ぶちかましますか!」

 

 手を変えて一発高いのを当てる事にする。その為に沈潜をため、他はエンケファリン対策で守りに回す。次々と溶けて死んでいく中、アンジェラに合図を送った。移動の最中にどの様に戦うか聞いておいてよかったみたいだ。

 

「3回すれば十分よ。後は任せなさい」

 

 そう言うとアンジェラは目を一度閉じた後、本を1冊取り出して放り投げた。頭から股に掛けて青い亀裂が走る。

 

『ラピスの本、人格複重形態、幕間3、未来45』

 

 左に彼岸花を咲かせたシ協会の制服、右に壇香梅の花を咲かせた和服を着た姿になると駆け出し、気分でも悪いのか動きの鈍い触手の攻撃を難なく避け、或いは壇香梅の枝を刺して牽制しシ協会の方の刀を抜いて構える。

 

死の境界

 

 羅生門の幻影と共に赤い線が死と生の境目を切り結んだ。それでもイサンはまだ触手を動かし攻撃を続け、切り結ばれた体は傷が塞ぎ始める。

 

『…なら、貴方の友人の方が最適って事ね』

 

『血を宿した香り』

 

 壇香梅の香りが全てを包み、その最後にはイサンが静かに眠っていた。

 






火傷で全体を斬るのが〖リウ2課 部長〗
速度でマッチ率高めて斬るのが〖XX社 設計〗
分岐
家族全員亡くした上で裏路地を彷徨って低い確率を打ち抜く
『あっち』分岐2
鬱になったカルメンが徘徊して恍惚境を拾う
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