やっべー変なタイトル付けちゃった……(白目)
まあいいべ(適当)

こんなタイトルしてますけど、中身はきっかり4000字の真面目な夏目友人帳的サムシング。普通の女の子が、少し変な男の子を最終的に追いかけ回す話です。七期到来に涙しながら書きました。
え? なら夏目友人帳の二次書けって? 嫌だなあ、自分には高尚すぎて書けませんよ(真顔)

タグになんか居ますが、伝奇ゲームや怪やangelaは関係ありませんし、TSUBAMEやNOUMINみたいなヤバい奴も出ません(え

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タグが何の意味も為してないとはたまげたなあ……


やっぱ付き合ってるわコレ

 

 

「えーっと……大丈夫?」

「へ?」

 

 斜陽が背を照りつける山道で、私は奇妙な出会いをした。

 

 土だらけで目の前に飛び出してきたその人に、とりあえずハンカチを差し出す。

 目を何回か瞬かせると、受け取って顔や手を拭いた。

 

「あ、ありがとう……?」

「ぷふっ、なんで困惑気味なの。……はい、返して」

 

 すると、彼はハンカチを見て、気まずそうに頬を掻いた。

 

「……ああいや。なんだか悪いし、うちで洗ってから返すよ。それじゃあ、また」

「え、ちょっ……」

 

 聞く耳も持たず、私に一瞬だけ手を振ると、そのまま走って山道を下っていった。

 

 ……面倒くさいし、そのまま返してくれてよかったんだけどな。

 

 遠ざかる背中を眺めていると、突然、強烈な突風が後ろから吹き付け、木の葉が舞う。

 まるで、何かが勢いよく通り過ぎたように。

 

「天狗風……」

 

 無風なのに、いきなり強い風が吹いて木々や小屋を揺らすというこの風はとても珍しく、天狗様のご利益があるとか。

 

 天狗様が実在するのかはさておき、この風は人生でそう何度も経験するものじゃない。

 

 一転して得した気分になると、そのまま家路に就いた。

 

 

 ***

 

 

 私の高校には、一風変わった生徒がいる。

 

 入学以来、奇妙な噂の絶えない男子生徒だった。

 評価は、総じて問題児という言葉が似合うらしい。

 

 ──よく窓ガラスを割っている

 

 ──山の中を走り回っていた

 

 ──一人で何もいない所に話し掛けていた

 

 ──あいつと関わると碌な事がない

 

 彼に関する噂話は枚挙に暇がない。

 でも、私はその人を問題児だと思ってはいなかった。

 

 まあ、大した関わりもないのに、噂を鵜呑みにするのは気が引けるよねってだけで、私から積極的に関わろうとは思わなかったんだけど。

 

 でも、学年集会の度に見かけて、男の子なのに綺麗な人だったから、顔はずっと覚えていた。

 

「うーん……」

「あれ、麻友子なんか元気ないじゃん。どうしたの?」

「え、ええ〜? そんな風に見えた?」

「なんか、恋煩いって感じ?」

「いやないない、絶対ないって」

 

 恋、って訳じゃないんだけど……男関係ってバレてるのはなんでだろ。

 

 当てずっぽうに同級生の名前を上げる友人の言葉を右から左へ受け流しながら、スマホを手に取って……

 

「──あっ、まさか相田君とか!?」

「……っ!」

 

 相田くん。

 それが、つい昨日ばったり遭遇した、噂の絶えない男の子の名前だった。

 

「えっ、嘘マジ? だって相田くんってアレだし……塩顔イケメンなのはよく分かるよ? でもさあ」

「別にそういうのじゃないってば……」

 

 充電したイヤホンで耳を塞ぐと、軽く溜息をついた。

 

 ──なんだか悪いし、うちで洗ってから返すよ

 

 この時ばかりは、友人の言葉を聞きたくなかった。

 

 

 

 HR終了と共に、私は真っ先に相田くんの居るクラスを訪ねた。

 もうとっくにHRは終わっていたのか、人が何人かぱらぱらいるだけで、彼の姿はどこにも無かった。

 

 そうなると、学校中を探さないと……って、そんな手間掛けてもしょうがないか。

 また明日返してもらえばいいや。

 

 いつものように、帰りの山道を歩いていると、その道端の木に寄り掛かっている彼の姿を見つけた。

 そこは、昨日私が彼と遭遇した場所だった。ここに来れば、また会えると考えてくれたんだろう。これだから、噂は信用ならないのだ。

 

 そうして私が視界に捉えている一方で、相田くんはまだこっちに気付いていないようだった。

 

 鞄からフィルムカメラを取り出すと、絞りをいじり、狙い澄ましてシャッターを押す。

 満足感と共にカメラをしまっていると、目の前を影が覆い被さった。

 

 顔を上げると、相田くんがいた。

 

「やっほ」

「……いきなり撮られるとは思わなかったよ」

「ごめんごめん。綺麗だったから、つい」

 

 そう言うと、相田くんがちょっと顔を赤くした。

 なんか可愛い、この人。

 

「私、小宮麻友子」

「あ、ああ……おれは相田、相田優希。まあ、多分知ってると思うけど……」

「いーや、下の名前は初めて知った。よろしくね、相田くん」

 

 私が手を差し出すと、彼は自分の学生鞄をまさぐって、汚れ一つないハンカチを取り出した。

 

 今の流れで、どうして「ハンカチ渡して」って受け取っちゃうかなぁ。

 

 盛大に溜息を吐くと、仕方なしにハンカチに手を伸ばし……

 

 暖かい手の感触が伝わった。

 

「あっ、待て!!」

「え?」

 

 見上げると、ハンカチが空を飛んでいた。

 命でも吹き込まれたみたいにふわりふわりと浮かんで、森の中に逃げ込んでいく。

 

 ……なに、今の。

 

「くっ……!」

「ちょっと待って、相田くん!」

 

 そのハンカチを追って、相田くんも森に入っていった。

 

 何が何だか分からなかったけど、スカートを内側に丸めて、私も相田くんの後を追う。

 

 森の中を進んでいくと、ひらけた場所に出て、そこで相田くんとハンカチが向かい合っていた。

 

「それは、知り合いの大切な持ち物なんだ。お願いだから、返してくれ」

 

 そう語り掛ける彼を見て、私は確信した。

 

 ……相田くんは、私には視えない世界が視えるんだ。

 

 気付けば、私はカメラを握っていた。

 ファインダーを覗き込み、焦点を合わせてじっとこらえる。

 

「返さないのなら、おれも容赦はできない」

 

 ハンカチがぴくっと揺れる。

 その時、私の人差し指も震えた。

 

「うわっ……!」

 

 竜巻でも来たかのような強風が吹き荒んで、思わず身体をぐっと縮こめる。

 

 ハンカチは天高くに吹き飛ばされ、相田くんの手元に舞い降りた。

 

「お前は……昨日の」

 

 何かと話をしているようだった。

 でも、目を擦っても目蓋を窄ませても、そこにはやっぱり虚空しかなくて、私には何も視えなかった。

 

 フィルムを巻き上げ、カメラを構え直す。

 レンズ越しになら、いつか視えるかもしれない。そう信じて、私はこのカメラを取ったんだ。

 

「取り返してくれてありがとう。これで、やっとあの子に返せる。……本当にありがとう、八咫樹の天狗」

 

 ……天狗!

 

 シャッターが切られた瞬間と、突風が吹き荒れたタイミングは同時だった。

 

「あっ……」

 

 飛び去ってしまう。

 

 どうして、私は視えない世界を視たかったのか。

 その理由を、すっかり忘れていた。

 

 この一瞬を切り取るより前に、私はその天狗に言わなくちゃならないことがあったはずなのに。

 

 風の余韻が、わずかに髪を擦り抜けていく。

 猶予の一つすら、与えられなかった。

 

「小宮さん、大丈夫?」

「……うん、へーき」

「って、足に傷が……」

「大丈夫だって。茂みに引っ掛かっただけだし」

 

 ちょっとした掠り傷だよ。

 こんなの、中学校の陸上部時代に比べればなんてことない。

 

 相田くんは苦い顔をすると、しゃがみ込んでいた手を差し伸べた。

 引っ張ってもらうと結構な力を感じて、男の子なんだなあ、って実感が湧いた。

 

「ひとまず、早くここから出よう。……それと、これ。遅くなってごめん」

 

 左手に握られていたハンカチが、私の手に落ちる。

 一日無かっただけなのに、随分と長く感じてしまった。

 

 ふふっ、と笑みが溢れる。

 

「ありがとね。こんな布切れ一枚のために、走り回ってくれて」

「あー、えっと……さっきの事なんだけど、できればクラスの人には言い触らさないで、そのまま忘れて欲しいなあと……」

「あははっ、言わないよー。撮った写真も、自分でこっそり持っておくだけにするから」

 

 そんな軽い口約束だったけど、相田くんはあからさまに胸を撫で下ろしていた。

 

 あんなに腫れ物扱いされて、それでもこうして人を信じられるのは、素直に凄いなって思う。

 私なら、どうせ人間なんて……とか思って、誰との関わりも絶って孤独に生きてそうなのに。

 

「あ、でも」

「……ん?」

 

 そうそう。

 一つだけ、さっきの口約束に訂正しておくね。

 

「今日のことは、絶対に忘れないよ」

 

 その時に浮かべた彼の表情も、忘れられない記憶になった。

 

 

 ***

 

 

『おい、わっぱ。返事ぐらいせぬか。……コノスミ、これはどうなっている』

『これは人の子によくある熱というものにございますよ。この雨の中、身体を冷やしながらさまよえば、いとも容易くこうなるもの』

『しかし天狗様、こやつをどうなさるのです。いっそ喰らってしまいましょうか』

 

 霞んだ視界。朦朧とする意識。

 覚えているのは、私を覗き込む赤っ鼻のお爺さんがいて、周りから色々な声が聞こえた事だけ。

 

『ええい、ワシが棲み家で面倒を見る。ヌシらは薬になりそうなものを持って来い』

『分りました。いくつか心当たりが在ります故、探させましょう』

 

 声が散り散りになっていくと、その赤っ鼻のお爺さんは私を撫でながら独り言ちた。

 

『まったく……人の子とは誠、貧弱なものよ』

 

 

 

 目が醒めてカーテンを開けると、外は日が昇っていた。

 

 天狗たちの夢を見るのは、もう四年ぶりくらい。

 小学校の頃、彼らにお礼を言いたくて、ずっと探し回っていたんだ。

 

 身体を起こすと、傍に置いていた写真を手に取る。

 

 そこに写る相田くんの視線の先に、うっすらと、赤顔で長鼻の頭もいる。もう一つの写真も、ハンカチと一緒に天狗のお面みたいな顔が写っていた。

 

 いつもプリントをお願いしてる写真屋の店員さんから、「心霊写真ですねえ」と冗談めかしく言われた。

 ただ、「好きな人の盗撮は程々に」とも揶揄われて、流石に笑えなかったけど。

 

 それらをアルバムに戻して、朝の支度をする。

 カメラを忘れず鞄に入れて、ローファーを履いた。

 

「いってきまーす」

 

 あれから二週間。私を取り巻く色々が一変した。

 

 毎日、別クラスの相田くんに絡みに行くようになった。

 お昼も一緒だ。そうすれば、私の評判も悪い方に傾くのは当然。

 

 でも気にしないし、気にならなかった。

 寧ろ、理解されない立場を知れて良かったと思ってるんだけど……

 

「えーっと……大丈夫?」

「あ、あはは」

 

 朝日が眩しいこの山道で、私は運命的な出会いをした。

 

 土だらけで飛び出してくるいつも通りな彼に、ハンカチを差し出す。

 

「おれの、持ってるから」

「……優希くんのバカ」

「え?」

 

 彼の世界は私には視えない。でも隣りにいたら、きっと見せてくれる気がするから……

 

 手を繋ぐと、強かな風が、勇気付ける様に私の背中を押し出した。

 

 




(続きは)ないです。

でも感想欲しい……くれない?(乞食)
いやくれませんか(土下座)

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