Ensemble_BLUE's   作:korotuki

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 更新です。

 いや水着シロコ強くなぁい!?おまッ…ハーフアニバーサリー前に出す性能じゃないでしょ!!!
 ん、先生はハフバ前に破産するべきってことかシロコォォ!


部室解放戦

     

 無政府状態へと陥ったキヴォトスを救う。

 

 そんな初手から重要な業務を請け負うこととなった先生と連邦生徒会の一員である秋茜ミキト、そして早瀬ユウカを筆頭とした。各学園を代表する、立派で暇そうな方々(七神リン談)の六名を乗せたSUVが、シャーレの部室がある外郭区へと疾駆する。

 

 時速で言えば70キロはとうに越しているような速度でSUVは走る。車窓から見える景色はあっという間に流れていくが、走れば走るほど…つまり目的地に近付けば近付くほどに銃撃音や爆発音が多く、強くなっていく。

 

"ミキト!なんか鳴ってるけど!?"

 

「呼び出し音ですね、緑色に着色された斜め45度の受話器が描かれたボタン押してもらえるとッ」

 

"……これ?"

 

『こちら七神リンです。聞こえていますか?』

 

 先生が緑色の受話器ボタンを押すと、車内のスピーカーから先程自分達を送り出したリンの声が聞こえた。恐らく、車に備え付けられた通信機器からの音声だろうと先生と生徒はあたりをつける。

 

「お話でしたらすみません!あんまり答えられそうにはないですリン先輩!」

 

『流石に、戦場で運転中の人に話しかける程鬼じゃないわ。先生か…それこそ後部座席の方達でもいいわよ?』

 

 …しかし、答える人間は誰もいなかった。

 

『?』

 

"あー…さっきユウカがミキトに文句を言おうとして、派手に舌を噛んじゃってね。そういう私もちょっとおっかなびっくり"

 

「~~~ッ!?」

 

『成る程…ではこちらが一方的に喋ります。返答も首肯も結構です』

 

 すると、SUVのフロントガラスにウインドウが表示された。それは車載型の情報端末らしく。一人でに動き出しシャーレのある建物の周辺地域の地図とそれに赤い点が次々と追加されていく。

 

『赤い点は敵性存在です。散在してはいますが、やはり目標値点には多くの不良達が集結しています』

 

『その多くは不良らしく練度や連携は粗悪ですが…不正流出品を拾ったのか装備やビークルは不相応なほど整っています』

 

『周辺地域は騒ぎが起きてからしばらく経っているので、避難は完了しています。……そして、現地の監視カメラやヴァルキューレからの情報によって、主犯とも呼べる元凶の存在も確定しました』

 

 誰かはともかく、ゴクリと唾を鳴らす。

 

 如何に現在のキヴォトスが無政府状態であろうとも、シャーレの部室がある建物はそれ即ち都市を総括・管理する連邦生徒会のお膝元と同義。

 

 下手すると悪口よりも先に銃弾が飛んでくること請け合いのギヴォトスの不良共(トリガーハッピー)であっても。そこまでするということは余程のバカか向う見ず、もしくは……それほど自身の手腕に自信があるかのいずれかである。

 

『主犯の名は狐坂ワカモ。先生以外の方はご存知と存じますが…悪名高き"七囚人"の一人、"災厄の狐"とも呼ばれる超特級の危険人物です』

 

「……ヴァルキューレ警察学校にて勾留している筈では?」

 

 舌を噛むことを恐れてか、小さくか細い声で口の動きを最小限にしながら火宮チナツが疑問を呈する。

 

『脱走しました』

 

 簡潔、かつ衝撃的な回答。

 

「フゥー……」

 

 怒りか、それとも呆れか。チナツが絞り出すように発したため息は轟音が外から響く車の中でもよく聞こえた。

 

『ともかく彼女達を戦闘不能。または撃退しない限りは、ギヴォトスの外から来て銃弾一発でも致命傷になりかねない先生を無事に送り届けるのは難しいでしょう』

 

「百も承…フン!」

 

 生徒達がその言葉で真面目な顔に切り替える中。リンの報告を聞いたミキトは拳一つが入るかどうか程度に窓を開けながら相づちを打とうとして、目の前に迫った障害物を急ハンドルで回避した。

 

『ミキト、目標の一団と接敵まで残りの300メートル。分かってるとは思いますが…』

 

「もちろん、自分が前(・・・・)です」

 

"ミキト何を……"

 

「今度こそ黙って方がいい!舌を噛み切りかねませんよ!!」

 

 そう言うとミキトの駆るSUVのエンジン音が強く鳴り響き、車体が加速する。

 

"ちょっ……!?"

 

 先生が言葉を続けようとするも急加速により背もたれへ押し付けられたことにより封殺されてしまう。

 

「ん?……んなッ、なんだあの車!」

「自爆特効か!?」

「スッゾこらー!!」

 

 明らかに自分達をめがけて法定速度を無視した速度で走るSUVの姿に、不良達は驚きと共に怒りの声を上げる。だが、そんなことで止まるような彼ではない。

 

「クッ…!」

 

 ある程度近付いたところでミキトはブレーキと共にハンドルを左へ切る。タイヤのスリップ音を響かせながら、進行方向に対して左ハンドルを握るミキトが()の車は横を向いたままスライド。不良達へと迫る。

 

「うわわわわ!?」

「う、撃て撃て!止めろー!」

「無理だよあれ!エンジン撃ち抜いたところで慣性はそのままだ!!」

「「「のわあああああ!!?」」」

 

 迫り来るSUVに向けて発砲する不良達だったが、防弾仕様の外装によって弾かれる。

 

 すわダメかと目をつぶり衝撃に備える不良達だったが…彼女達の予想とは裏腹に、SUVはその目前で停車する。

 

 コトン……。

 

 そして停車と同時に、地面に硬質なナニカが落ちる音がした。

 

「?」

 

 それは何だろうかと、疑問に思いつつも全員が落ちたソレに瞑った目を開け視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――閃光手榴弾(スタングレネード)だった。

 

「「「~~~~ッ!!!」」」

 

「車から降りてください!!」

 

 眩い光と耳を聾さんばかりの爆音。不良達は一瞬にして視覚と聴覚を奪われる。

 その隙をついて、ミキトは閃光手榴弾投下のため僅かに開いた窓を全開にし、ドリンクホルダーにおざなりに突っ込んでいたハンドガンを取り出し発砲。至近弾によって目の前の不良を制圧。

 

 そのまま、混乱に乗じて車を降りるとドアをロックし車を固定し。移動手段から味方を守る防壁へと早変わりさせた。

 

「先生!あとほかの四名、お怪我は!?」

 

「ない…って、あんなことするなら早く言いなさいよ!」

 

「反論がなかってもので…」

 

「…貴方が『舌切れるぞ』と封殺したのでしょう?」

 

 ジトリとした目でユウカが睨み付け躱そうとするも、ハスミからの援護射撃によりばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。

 

「先生、大丈夫か?聴覚と視覚に異常はないか?」

 

"平気だよ。ありがとうスズミ"

 

「連邦生徒会の方は、もっとスマートに事を運ぶのかと思ってました…」

 

"あ、あはは……"

 

 チナツとスズミは先生の心配をしていたが、先生に目立った外傷はなかった。

 

 仮に銃弾が飛んできてそれが車を貫通しても、前に自身を置いたミキトが物理的な壁となる…というのは発案者の頭の中だけの光景だった。

 

「苦情はあとで受け付けますので…さて、先生の護衛兼。ビル奪還作戦開始しましょうか」

 

 追求から逃れるようにミキトはそう言うと、いつの間にか装着していたショルダーホルスターからアサルトライフルを抜き構える。

 

「…はぁ。あぁそうでした。先生、先生は隠れててください。銃弾一発でも大変な被害となりますので、安全な場所に退避をしてくれると助かります」

 

 何か言いたげな顔をするも言葉自体には同意なのか、自身も得物であるサブマシンガンの調子を確かめながらも先生に向けてそういった。

 

"ううん。ここか…みんなの移動にあわせて前線指揮を執るよ"

 

 しかし先生はそう言うと、これまでとは一変した鋭い目付きで戦場を見渡す。

 

「なっ…指揮を!?いやでも確かに、シャーレの先生なら出来て当然なのかしら……」

 

「…願ってもないことですが」

 

「生徒は先生の指揮に従う…当然ですね」

 

 そのことに騒然こそすれど、ユウカ、ハスミ、チナツの三名は特に疑い無く受け入れる。

 

「いや、でも…先生は護衛対象だから。なるべく離れてもらったほうがいいと思う」

 

「同感です。それに現場の指揮官という敵に看破されれば真っ先に狙われかねない役割に先生を置くというのは――反対です」

 

 だがスズミとミキトは、侵攻作戦であることと同時に防衛戦でもあるという事実に基づき反対する。

 

"そうだね。それも一理あるよ"

"だけどスズミ、敵を一対ずつ各個撃破して敵がいないことを確認しながら進めば。私の安全も確保しながら進めると思うんだ"

 

「分かりやすいですね、しかし暴論だ。出きるのでしょうか?」

 

"できるさ"

 

「……信じます」

 

 先生の力強い断言に、スズミもそれ以上異論を挟むことはなく。携えた閃光手榴弾の位置を確認しながら、己の愛銃を握った。

 

 "それで…"と先生は視線を横にズラし。先生に敵意なく、しかし強い視線を浴びせるミキトと向かい合う。

 

"心配してくれて、それとさっき守ってくれてありがとう"

 

「配慮については当然。ですが、守ってとは?」

 

"私の盾になってくれたでしょ"

 

「…バレてましたか」

 

 自身の頭の中だけの予防策を見破られて少し驚くが、しかしそれだけだとミキトは引かない姿勢を見せる。

 

「その言葉通り、自分は先生の盾です。ですので、守る対象自体は目立ちかねないという行為は容認しかねます」

 

"うん。でも私はシャーレの先生で…大人なんだ"

"本来守るべき子どもに大人が逆に守られるっていうのは本当は嫌なんだ。でももっと嫌なのは…守られっぱなし、頼りっぱなしで何も出来ないことなんだよ"

 

"だから、私にも頑張らせてほしい……大人の義務と責任を。全うさせてほしいんだ"

 

「…………」

 

 先生の…というより大人としての彼の本質から来る言葉を、ミキトは目を静かに閉じて受け止める。ともすれば我儘・傲慢とも捉えられるその言葉だが、だからこそその願いに込められた意思をミキトは直に感じた。

 

(…このタイプには何を言っても自分の意見を曲げない、曲げられない。先生はトウジと同じ匂いがする)

 

 納得も勿論ある……が。それとはまた少し小さい程度の割合の経験則、予測から来る諦めを持ってミキトは納得することにした。

 

「…分かりました。先生の指示を受けます」

 

"ありがとう!"

 

「ですが、あくまでご自身の安全が最優先ということをお忘れなきよう。お願いします」

 

"もちろん。みんなのすべき事を蔑ろにするほど愚かではないよ。それにいざとなったら――"

 

 先生はそこで一旦区切ると、ふぅと息を吐いて気合いを入れ直す。そしてその視線をミキトに向けるといたずらっぽく微笑んで言った。

 

"「銃弾一発でも当たったら死んじゃうから撃たないで~」って言って躊躇わせてみるから!"

 

 

「プッ、ハハ!なるほど純情と罪悪感が最後の盾ですか、それはあくどい"大人"のやり方だ。相手のためにも自分達で脅威を止めなくてはいけませんね?」

 

 先生の物言いに、思わず笑みをこぼすミキト。

 

"…じゃあ、よろしくね?ミキト"

 

「お任せを、陸上戦艦にも道を開けさせ、瓦礫一粒通しません」

 

 朗らかな雰囲気となるが、ここは戦闘区域ど真ん中。いつまでも呆けてはいられないと二人は空気を引き締めた。

 

"ごめんねハスミ。状況は?"

 

「然程時間は経っていませんよ。状況なら…先程ユウカさんの決死の調査によって、敵がホローポイント弾を使用してることが分かった。ぐらいでしょうか」

 

「ちょっと楽しんでない!?も~痕が残る…!」

 

 ハスミの少し冗談めかした言葉に対し、ユウカはぷんすかと頬を膨らませながら敵方への使用弾丸に抗議する。

 

「ホローポイント…ダムダム弾ですか。貫通力はないですから、この遮蔽物がもっと長く持ちそうで助かりますね」

 

「私はよくないのよ!」

 

「ユウカさんに対しては……化粧品の商品券いりますか?」

 

 軽口を叩きながらもミキトは銃声から大まかな位置を決め、車の端から銃と手だけ出し適当に乱射し――俗に言うブラインドファイア――、幾らか当たったらしくまばらに響く断末魔を尻目にリロードする。

 

「い…~っる!後で嘘だったら、許さないわよ!それで先生。指揮は!?」

 

"…取り敢えず。みんな持ってる銃と、得意な事を順番に教えてもらっていいかな?待機してる子たちで。牽制射撃は続けて"

 

『了解!』

 

 返事と同時に、自分達は後でいいと考えたのかミキトとハスミが銃撃を続けた。

 

「では私、ユウカから…武器はサブマシンガン。一応二丁持ってます。近距離での弾幕制圧が得意で、敵の銃弾を反らすシールドも展開できるので。ガンガン前線に置いてもらって構いません」

 

「チナツです。持っているこれは…すみません。あくまで支援対象の設定と、敵位置の大まかな把握が目的です。直接的な戦闘能力は期待しないでください、しかし後方支援には自信があります」

 

"二人ともありがとう。頼りにさせてもらくよユウカ。それとチナツも支援はすごく助かる"

 

「「はい!」」

 

 二人の返事を聞くや否や先生はメモ帳にペンを走らせる、記録とともに本人の特色を記憶に焼き付ける。

 

「スズミです。武器はアサルトライフルと、閃光弾を。特に後者は扱いにはそれなりの自信があります。機動力による撹乱と閃光弾による敵の無力化が得意です」

 

"うん。今回は敵の数も多いみたいだから、面で制圧できるスズミはとても効果的になるだろうね、ありがとう"

 

「ふふっ…なんだか、嬉しいですね」

 

 先生の素直なお礼に、スズミは少し照れくさそうに顔を赤らめる。

 

"じゃあ、後は……"

 

「そうですね、――ハスミさん!代わります」

「ミキト捜査官!代わるわよ!」

 

「分かりました。あと二発で弾切れとなるので、その際に」

「助かります。ユウカさん――呼びにくいのでしたら呼び捨てでどうぞ」

 

 ミキトとハスミはポジションを譲り渡し、譲られた二人がそれぞれの得物から鉛の塊を吐き出し始める。

 

 引いた二人はそれぞれ予備の弾倉を懷から出し銃へ食わせながらも先生の前に立った。

 

「私のは見ての通り、スナイパーライフルです。得意なのは狙撃ですので…後方からの射撃支援はお任せください。いざとなれば強力な一撃を見舞うことも可能ですので、大型兵器の際は頼ってください」

 

"一人はいなくちゃいけないスナイパー役。大変で責任も多いと思うけど、私も指揮を頑張るから。一緒に頑張ろう"

 

 先生は励ましの言葉をかけながら、ハスミと握手をする。

 

「…鉄臭いですので、あまり触らないほうがよろしいかと」

 

"気にしないよ。私を助けてくれるありがたーい手だからね"

 

「お上手、ですね」

 

 クールな雰囲気を崩しかすかに笑ったハスミは、ちらりと先程まで共闘していたミキトに目を向ける。

 

「では、最後になりましたが…ミキトです。得物はアサルトライフル、アンダーバレル部分に色んなモノを仕込めるようにはしていますが、今回はフォアグリップですね。スコープを切り替えての一定精度の狙撃、アサルトライフルらしく中距離からの制圧射撃。近接戦闘の心得もあるので、弱みを埋めるも強みを補強するもお好きなように」

 

"…長いね"

 

「自分、色々。できる」

 

"なるほど分かりやすい"

 

「…先生も、ミキトさんも。それでいいのですか?」

 

 ハスミは呆れた表情で二人を見る。

 

"うん…みんなそれぞれ役割がバラけてて助かる。おかげて戦略も組み立てやすいよ"

 

 顎に手をあててニコリと微笑んだ先生は、"急造で、みんな自身の判断に委ねる場面も多々あると思うけど"と前置きをしてから、作戦を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「私が銃弾に当たる確率――極めて低い!」

 

 遮蔽物から飛び出したユウカが手元の電卓を叩き、己の計算を元にした電磁シールドが青白いスパークとともに展開される。

 

 無論まんまと身を晒した獲物に対して不良たちは銃弾を浴びせるが、本人の言葉通り大抵の銃弾は彼女の手前で不自然な軌道で曲がりそれていく。

 

 しかしあくまで"大抵"。幾つかはシールドを持ってしてもそらしきれずに僅かな傷を作ってしまう。

 

 それに気をよくした不良たちは更なる攻撃を与えようとしたが、緩和攻撃を意識せずに全員トリガー引きっぱなしで撃った結果。ほぼ同じタイミングで弾切れを起こす。

 

「リロード!」

 

 当然撃てない銃器など鉄の鈍器と同じ。射撃を中止しリロードを始めるが――その出来た隙間を逃さず、またユウカの頑張りを無駄にしないために仲間たちが動いた。

 

「行きます!」

 

「続こう」

 

 同じ突撃銃(アサルトライフル)を携えた二人。ミキトが前に立ちその3メートル程後ろからスズミが追従し、両陣営の距離を詰める。

 

「ッ迎撃、迎撃しろ!」

 

「でもリーダー!アタシらリロード中だぜ!!」

 

「その腰のサブアームはアクセサリーかっての!誰でもいいから撃つんだ!!」

 

「わ、分かっ――ウゴワァ!?」

 

 慌てて武器を持ち替えようとした一人が、遮蔽物の上から銃口を除かせるハスミの放った銃弾により吹き飛ばされる。

 

「手練れ…の判断はつきませんね。お二人から離れた位置の人たちから狙います」

 

"お願い。チナツ、ユウカの回復は今すぐじゃなくて大丈夫だよ。二人が前線をあげて、安全をある程度確保してから動こう"

 

「分かりました」

 

 二人に大まかな指示を出した先生はユウカに避難の指示を――出そうとしたが既に彼女は巨大なコンクリートブロックの裏に身を隠し、復習/復讐するように再計算を始めシールドの強化に努めていた。

 

"そのままでいいよユウカ!ちょっと休んでて!"

 

「はーい、うぅ…何なのこの変数……」

 

 思ったよりも元気そうだと先生は胸を撫で下ろし、前線――ミキトとスズミへと視線を戻す。

 

「甘い!遅い!ぬっるい!!」

 

「閃光弾投げます!」

 

「了解!なら――次はあちらだ!」

 

 色々できる。そう豪語したのが嘘ではないようにミキトは次々と不良たちを伸していく。

 

 リロードを終わらせかけた敵を的確に判断し、先んじて狙撃により牽制。突撃により混乱に浮いた烏合の衆を一人きっかり三発で沈め、破れかぶれに突っ込む猪を躱しざまに足を引っ掻け転んだところに銃弾を浴びせかける。

 

 スズミもまたミキトの少し後方から彼を援護し、走りながらとは思えない正確さで閃光弾を投擲し確実に敵を無力化。銃の構えを解き蹲る不良たちはあっという間に二人に食い散らかされていく。

 

 閃光弾により周囲一帯が白く塗りつぶされた場所へ強襲をかける白い髪のスズミと連邦生徒会としての白い制服を来たミキトの二人は、先生の脳裏に白い雷を連想させた。

 

 そしてハスミも一発撃つ毎に一人を無力化する一射一倒の活躍を見せ、チナツの応急処置によって快癒したユウカもサブマシンガン二丁という無法っぷりで不良たちを倒し――数分後に観測できる範囲での敵影は完全に消失した。

 

"よし、じゃあ。私も前進しようかな……"

 

「その…先生、なんだかいつもより動きやすかった気がする」

 

「先生の指揮の賜物でしょう、ありがとうございます」

 

 同じ姿勢で指揮を執り続けていた弊害か、凝り固まった肩や腰を伸ばしながら。安全を確認した先生が前進を始める。

 

「最後は完璧に計算しきって、被弾をゼロに抑えられました!先生の指揮で再計算する時間が出来たおかげですね」

 

"お礼なら、ハスミにスズミ。あとミキトにもね?直接時間を稼いだのはあの子たちだし――ミキト!チナツが周辺の索敵してくれてるから、あんまり気は張らなくていいよ"

 

「恐縮です」

 

 携帯型の索敵端末を操作していたチナツが短く礼を言い。そして先生と生徒たちよりかは少し離れた位置で、ライフルのトリガーに手を掛けつつ周囲を警戒していたミキトが銃を下げ。小走りに先生の元へ走る。

 

"どうしたの?"

 

「いえ、ただのお礼と今後の確認を。先生の指揮、お見事でした。そしてこれからの道中は基本この作戦で進んでいくということでよろしいでしょうか」

 

 防御力に秀でるユウカが飛び出し敵の注意を引き、その隙を縫って機動力に優れた二人が接近。ハスミは火力支援によって敵の遠距離攻撃手段や指揮系統を潰しチナツが傷付いた生徒を治療し先生の補佐をする。

 

戦略というにはおざなりだなと組み立てた先生自体も考えたが、生徒たちの練度が想像以上に高いのもあって面白いくらいにハマっている。だから、というわけではないが――先生は素直に口を開いた。

 

"うん、その方針で行こう。でもビークルとか、ワカモ?って子が来たときは多少変更するけどね"

 

「了解」

 

"ところでミキト……強いね?"

 

「それはどうも、一応キヴォトス中の企業や組織に恐れられてないといけない立場なので。舐められない程度の実力はあるつもりです」

 

 そう言い力こぶを作ってみてそれをパンパンと軽く叩くミキト。

 

"頼もしいね。もちろんほかのみんなも……よし!じゃあこのまま前進!目指すは建物の奪取だよ"

 

『お~~!!』





・ミキトの武器
大本は「M16自動小銃」
彼の職務上、室内戦を意識したカスタムがなされており。コンパクトな取り回しが可能。
アンダーバレル部分に様々なアタッチメントを装着できるようにしており、今回はフォアグリップ。単純に両手で持つことによる疲労の軽減、精度の向上などの効果がある。

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