Ensemble_BLUE's   作:korotuki

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 連続更新~!そしてストック切れ()

 タイトルに関してはSSSS.GRIDMANのオマージュ。特に思い付かなかったの……


生徒を救うための特別な名前

 

 キヴォトスに秩序を取り戻すため、先生と五人の生徒はシャーレの部室がある建物近くで屯し暴れる不良たちと。その首謀者である七囚人の一人"狐坂ワカモ"の撃退のため出撃。各々の活躍と先生の指揮により、順調に足を進めていた。

 

「フッ~――ついに、奪還完了ね」

 

「ビークルの違法流通が増えている。のは承知していましたが…まさかその中に我が校のクルセイダー1型が混じっているとは……」

 

 そして現在は、奪還目標であるタワーの前に陣を張った生徒たち五人が一息ついていた。

 

「七囚人。噂に違わぬ強さと、凶悪さでした。撤退してくれたのは正直助かりましたね」

 

「同感~、機動力はもちろん。火力も凄かったし…戦車よりも苦戦したわ」

 

 リラックスした表情を浮かべていることから、戦いは既に終わったことを察せられることができる。

 

 事実先生の指揮により破竹の勢いですすんだ急造チームは先程話題に出たトリニティ総合学園の制式戦車"クルセイダー1型"と、七囚人の一人である災厄の狐、"狐坂ワカモ"すらも退け、五体無事に先生をシャーレの部室へと送り届けた。

 

「でも、ミキト捜査官が前線を張ってくれたから。だいぶ楽できた方なんだろうけど」

 

「…ミキト捜査官は、色々と雑事を兼任している関係で、何回か面識はありましたが。あそこまで強いとは思いませんでした」

 

 そして、生徒たちの話題は現在は離れて――合流したリンと共にタワー内部へ入った先生を追いかけていったため――いる秋茜ミキトへと移る。

 

 狐坂ワカモとの戦いにおいて、一般の生徒とは一線を画す能力を持つワカモに対して先生が取った手段は。「これまでの戦いと装備から総合力が最も高いと判断したミキトがワカモの足止めをし。その間他の不良や戦車を片付ける」というシンプルなものだった。

 

 結果、作戦通りワカモ以外の全ての敵を撃破した後、残ったワカモは周囲の状況を顧みて撤退。無事に作戦終了を相成ることが出来た。

 

「…男子生徒は強い法則でもあるのかしら?リッカくんもなんだかんだ身体能力には目を見張るものがあるし」

 

「レイ書記は…どうなんでしょうか、仕事では大変助かっていますが……便利屋のあのバカはあまり言いたくはありませんね」

 

「カオルさんは…まぁ確かに強いですね。委員長とマトモにやりあえるのは、学園でも数えられるほどですし」

 

 ユウカがふと溢した法則に、一人一人己の学園に居る男子生徒の強さを当てはめていくと。大体該当することに気付いた。

 

「何というか、リッカというか男子は――すごいがんばり屋さんよね?」

 

「あー…理解できます。アコ先輩と一緒に、どうヒナ委員長を休ませるか苦心していますからね」

 

「彼はどちらかというと…努力というよりも優雅ですね。彼の役割上そうした振る舞いが求められるのもあるとは思いますが……」

 

 そして各々、この場に居ない三人について語り出す。それはまるで普段一緒に居ることが多い友人だからこそ言えるような。少し気恥ずかしいながらも微笑ましい内容だった。

 

 そうして会話を交わすことで時間を潰していると――

 

「――あっ!」

 

 ふと、ユウカが大きな声をあげ立ち上がる。

 

「復旧、終わったらしいわよ!これで一件落着~!!」

 

 ユウカの言葉に押され、チナツやスズミも自身の携帯端末を確認すると…確かに連邦生徒会からのキヴォトス全域に渡りサンククトゥムタワーの制御権を取り戻したこと。これよりそれらを用いて治安の回復や暴れまわる不良の逮捕をすること。そして、今回の制御権奪還にて多大な役割を果たしたのは連邦捜査部シャーレである…という内容のメッセージが送られていた。

 

 それを確認してから、ユウカたちは顔を合わせて笑みを浮かべる。

 

 これでようやく元通りの学園生活に戻れるという安堵…ももちろんあるが、自分達に効果的な指揮をして勝利へと導いた。先生の功績が大々的に発表されたことへの嬉しさのほうが大きかった。

 

"――みんな!"

 

 そんな時に、ビルの入り口から話題の人の声が聞こえ。皆その方向へ振り向く。そこにはビル内でのあれこれによって正真正銘シャーレの顧問となった先生の姿があった。先生の背後にはリンとミキトが控えており、二人も普段の冷徹な顔を僅かに緩め安心したような表情を浮かべていた。

 

「先生!おつかれさまでした」

 

"お疲れ様、タワーを奪還できたのはみんなのおかげだよ。ほんとうにありがとう"

 

 先生は労うように手を振りながら歩み寄り。五人とそれぞれハイタッチを交わして回る。

 四人は激励もほどほどに、まだ残っている問題を片付けるためにも各々の学園へと戻っていった。

 

 手を振りながら去っていく彼女達に、先生も手を振りながら見送り――見えなくなったところでフゥと彼は息を吐いた。

 

「改めて、今回はお疲れ様でした。先生」

 

"リンも、ナビゲートとかお疲れ様。もちろんミキトも"

 

「ありがとうございます。……しかし七囚人、まさかあそこまでとは――遅延戦術での足止めしか出来ませんでした」

 

 悔しげにそう呟き拳を握るミキトに先生はそっと肩に手を置き。大丈夫とばかりに首を横に振る。

 

"別に、倒すことが目的じゃなかったからね。私の指示を、ミキトは完璧にこなしてくれたよ"

 

「…どうも」

 

 労いとフォローが織り混ぜられたその言葉に、ミキトは自分がもつ自尊心と。先生にフォローさせてしまったという負い目に挟まれ苦々しい顔をしながらを礼を言う。

 

「では…私達はこれで。と言いたいのですが、もう1つだけ伝えることがあります」

 

"ん?何かあったっけ?"

 

「いえ。こちらは先程決まったことですから――ミキト捜査官」

 

「ッ、はっ!」

 

 リンが少し冷々とした声音をかけると、悶々としていたミキトは一瞬驚きを見せたもののすぐに冷静さを取り戻し敬礼をする。

 

「ミキト捜査官。貴方は今日からシャーレの部員として、先生と共に活動をしてもらいます」

 

「了解しました……これまでの職務は?」

 

「仕事を割り当てることはほぼありません。私たち連邦生徒会はこれから、失踪した連邦生徒会長の捜索と治安の建て直しに力を注ぎますので。貴方が手を振り下ろすようなモノを、暫くは洗い出せないでしょう」

 

「しかしそれでは…問題は溜まる一方なのではないでしょうか」

 

「えぇ、ですが先程あげた案件に手を抜けないのも事実です。そのため貴方は――」

 

 クセのようなものなのか、言葉を交わす内に距離を詰め声量を小さくして喋り出した二人の会話を。先生が全て聞くことはできなかった。

 

「…から―シャーレの活動―――用し――調査を続――」

 

「了解、それでは――――任を継続――権限は―」

 

 僅かに漏れ出た会話に、少々物騒なきな臭いものを感じた先生ではあったが。二人ともあくまで秩序に立つ存在であるから、あくまで秘匿性の高いというだけなのだろうと判断して詮索することはなかった。

 

「――以上です。頼みましたよ」

 

「お任せを、リン先輩。それと雑務にて人手が足りない場合は、いつでとお声掛けを」

 

「いやしかし……いや、やはり受け取っておきます」

 

 最後に「仕事が多いときは呼んでください」という後輩からの言葉を受け取ったリンは僅かに微笑み、そこで会話は終わった。

 

"話の流れからして、ミキトは早速。シャーレの部員になってくれるのかな?"

 

「はい。秋茜ミキト、これから先生の元でお世話になります」

 

"うん、よろしくね。ミキト…もっと軽くてもいいよ?"

 

第一印象(ファーストインプレッション)ですので、このぐらい固くてもいいかと」

 

 "第一というには濃密だったんじゃないか"そんな言葉を返そうとしたが、生徒からの自己紹介を無碍にするものではないかと思い直した先生は手を差し出し握手を求め、ミキトもそれに応え二人は握手を交わした。

 

 シャーレ最初の部員。入部の瞬間であった。

 

「では先生。シャーレの活動での活躍、期待しています。それと――ミキトを、どうかよろしくお願いします」

 

"お願いされたよ。大丈夫、生徒を守るのも先生の仕事だし"

 

「いや、それは自分の立場がないってものなんですが?」

 

"むっ"「ムッ」

 

「…この分なら、大丈夫そうですね。私はこれで失礼します」

 

 そんなやりとりをして、リンは連邦生徒会の本部へと戻っていく。

 残された二人は意見の対立から少しの時間顔を合わせ牽制しあっていたが、それも長くは続かず。クスリと笑い合った後、建物の中へと入っていくった。

 

 シャーレの部室のあるエレベーターまでの道のり、エレベーターの中。そして部室までの廊下。

 

 最初こそにこやかに、これから起こる事への予想などを話し合っていた二人だったが。シャーレの部室までの距離が近くなるにつれその表情には少しの“翳り”も現れた。

 

“ねぇミキト”

 

「はい……」

 

“シャーレの業務ってなんだっけ…”

 

「連邦生徒会へと寄せられた嘆願の中でも優先度が低い、生徒会の手が回らない、特殊性の高いものを。連邦生徒会に代わりシャーレが対処する…というものですね」

 

 二人はリンによる案内の元、既一回にシャーレの部室へと足を踏み入れている。

 その時の所感としては「異様に設備が整っていて、生徒会長からのシャーレに対する期待が分かるな」と言ったものだった――部屋の中心の、一際大きな“執務机”と呼ぶべきデスクの上に置かれたもの以外は。

 

“…ミキト行きなよ”

 

「先程リン先輩が言ったように、ここの主は先生です。早く入ってあげては?」

 

"い、一緒に行かない?"

 

「――了解」

 

 そう言って、ミキトは部室の扉を開け。先生と共に中へと入る。

 

"……これはまた、凄いね"

 

 扉から直線上の位置に置かれた先生用の机の上には、高く聳え立った紙の山。それが1つや2つではきかずいくつも積み重なってさながら白い山脈(・・)を形成していた。

 

 見ただけで気の滅入りそうな光景。だがしかしそれらは面倒な仕事であると同時にまだ見ぬ、しかし大事な生徒達から頼られているという証拠なんだと己を鼓舞した先生は。頬を軽く叩くと勇み足で机へと向かう。

 

 その様子に、隣にいたミキトは一瞬呆けたような顔を浮かべるもすぐに元の顔に戻り、先生の後ろを追う。

 

「先生。決意を固めてもらって所に水を差すようで悪いですが、書類仕事の経験は…」

 

"…実のところあまり"

 

 早速手に取った一番上の書類に目を通しながらも、バツの悪そうな顔をして先生はそうこぼす。

 

「了解――では自分は補佐として書類を整理し、先生の決断が必要そうなものを優先して渡します。それと、先生のモモトークの友達欄を確認しても?」

 

"何するの?"

 

「幾人かと連絡先を交換していたようですので、頼ろうかと。ユウカさんなどは書類仕事は大の得意でしょうし」

 

 そう言いながらもミキトは先生が持っていたタブレット――リンから渡されたシッテムの箱と呼ばれる由来、材質、OS一切不明のもの――を手に取りスリープを解除する。

 

「…網膜認証じゃないのか。先生、ロック解除を」

 

"はいはい…大丈夫だよアロナ、使わせてあげて?"

 

 ロックを解除したのちにタブレットへ何かを言い聞かせるような内容の言葉を呟いた後、先生はミキトに画面を見せる。そこには先生のモモトークの友達一覧が表示されており、先生の許可によりミキトはその中を吟味し。可能であれば協力を要請した――無論あたかも先生が打ったような文言で。

 

 秋茜ミキト、17歳。連邦生徒会直属捜査官。

 

 シャーレの部員第一号である彼の初仕事が、俗にいう"なりすまし"であることを知る人物はそう多くはない――

 

 

 

 

 

 

 

ピロンッ♪


 

キヴォトス男児の集い

 

"ミキト"さんが入室しました

"アクタ"さんが入室しました

"トウジ"さんが入室しました

 

ミキト>

そんな感じで一件落着です。

<トウジ

こっちも粗方鎮まった。

つっても元より無法地帯、たかが知れてるかな。

<アクタ

いえいえ。

ブラックマーケットはキヴォトスのヨハネスブルク、それを一区画とはいえ睨みを効かせて犯罪を抑止する。というのは素晴らしいことですよ

ミキト>

では、ゲヘナの方は?

<アクタ

いつもの四割増しぐらい忙しかっただけ(・・)ですかね。暫くは缶詰めになりそうです

<トウジ

……それ、一般論的には"修羅場"なんじゃないか?

<アクタ

ワタシは普段裏方ですし、実務の方には休んでいてもらいですからね。無理をすべき時にしてるだけですよ。エスプレッソが沁みます

ミキト>

書類は…辛いですよね

 

"道征"さんが入室しました

 

<道征

こんちわー!あ、アクタ先輩もお疲れさまでーす!!

ミキト>

()

<トウジ

……オイオイ。

<アクタ

仕事に戻ります。

皆さまも根を詰めすぎずに。何事も"ほどほどに"が大切ですからね

ミキト>

はい。書類仕事頑張ってください

<トウジ

まぁ、おつかれさんとだけな

<道征

残念!今度機会があったらお話しましょう!もちテーブルの上とかで!!

<アクタ

…えぇ、ええ。是非に。

出来れば言葉ではなく、鉛玉であることを願いますよ。便利屋ぁ…

 

"アクタ"さんが退室しました

 

ミキト>

宣戦布告されてますねこれは。

<トウジ

役職柄あんまこんなことはいいたかないんだがそれでも言わせろ。

バカかお前?

<道征

?寧ろ俺としてはバッチこいって感じですよ。

秩序を守る番人がいてこそ、また俺たちアウトローも輝くってもんですから!!

ミキト>

豚に真珠。

<トウジ

猫に小判。

<ミチユキ

アウトローに六法全書てとこですかね!

<トウジ

無敵かこいつ。

ミキト>

しかも分かっててやってますねこれ。

<トウジ

一番タチ悪いな。

<道征

褒め言葉として受け取っときまーす!

あ、一応言っときますけど。自分は悪役(アウトロー)ではありますが、分別のない無法者(アウトレイジ)ではないので!目的がカチ合わない限りは喧嘩は売りませんよ!!

ミキト>

そうなったらシャーレとしてお相手しますよ。

 


 

 

「…正直、親好があるなし関係なしに。彼とは戦いたくないですがね」

 

"ミキトー!書類の確認、お願いしてもいいー!?"

 

「っ先生?たった今、私が確認しましたよね…!」

 

"いやいや、ダブルチェックは大事だからさ。別にユウカを信じてないわけじゃないよ?寧ろ頼もしいユウカの"万が一"を無くすために。ミキトにお願いするんだ"

 

「そ、そうですか…」

 

「…人たらしが凄い――今行きます」





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