Ensemble_BLUE's   作:korotuki

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 更新! 
 ガチャについては大方勝利!別の生徒もお迎えする形で100連あたりで撤退しました。


物事は準備が肝心

     

"運んでもらって悪いね…"

「ん、困ったときはお互い様」

「ほんっとうに助かります…」

 

 雲一つない太陽が地面を焼き、その熱を吸収しま砂漠がその熱を放出しようと熱気を放出する。

 

 ならば砂漠を歩く人間はさながら熱気というバンズに挟まれた哀れなパテか。そんな下らないことを考えなくては気も滅入りそうな日中の砂漠の中の住宅街。

 

 そこで装備も心構えも、なんなら土地勘とない状態で立ち往生(正確には倒れた先生をリッカが看病していた)していた先生と立花リッカだったが、そこで趣味のサイクリングの途中だった砂狼シロコに助けられた。

 

 二人を助けたシロコは「なんでこんなところに?」と質問し、それに対して先生はアビドス高等学校に用があると告げると。自分こそがそのアビドス高等学校の生徒だと明かし道案内を申し出でで、案内してもらえることになった。

 

 今現在はその道すがらであった。

 

 途中先生がシロコの飲みかけのエナジードリンクを躊躇いもなく飲んだり、動けないということで後部座席に乗らせてもらった際はこれ幸いと首筋の裏…つまりうなじの匂いを嗅いだりといろいろあったが。それ以外は談笑を交えながらも順調に進んでいた。

 

「…それにしても、すごい健脚」

「はい?」

 

 ふとシロコは、ロードバイクに乗る自分と当たり前のように並走するリッカに感心したように声をかける。

 

 現在は市街地に入っており、慣れない。また本来の仕様外の2人乗り(タンデム)であることや先生の体調を考慮してある程度速度を落としている。しかしそれらを抜きにしても、リッカの走力と持久力はシロコから見て常軌を逸しているように思えたようだ。

 

「身体能力には自信あります!走攻守、なんでもできますよー!」

 

"野球……"

 

「ん、実際すごい…サイクリングとか、興味ない?」

 

 走りながら話を続けるシロコに対し、リッカもまた笑顔で応じる。

 ちなみに後ろに座ってる先生は体力的に限界なのかぐったりしており、とても会話に参加する余裕はない様子。

 

 そして当の本人から「運動機能に自信アリ」の申告されたシロコは、大きく表情を変えることこそなかったが僅かに眼を煌めかせながらバイク越しにリッカに迫った。

 

「あります!エアロバイクとかママチャリは経験あるんですけど、シロコさんが乗ってるマウンテンバイクみたいなのはないんですよ!カッコいいですよね…!」

 

「ん。なら今度貸してあげる」

「やたー!――ペェッ砂入った!?」

 

 パアと花開くような笑顔を見せたがそれも束の間。大きく口を開けたリッカの口内に砂塵が侵入し大きくえずく。

 

 唾とともに砂を追い出そうと苦心しるが、中々うまくいかないらしい。

 

“リッカ、お水いる?”

「へ、平気です……や本音を言えばほしいですが。砂漠で水分が生命線なのは知ってるので!」

 

「一応、学校には水道が通ってる。あと少しだからそれまで我慢して」

 

 ペットボトル飲料を差し出す先生だったが、リッカは僅かに躊躇するが辞退し。シロコはそんなリッカに対して事実を織り交ぜた励ましをしながは三人は遠くに見え始めた。僅かに砂の被った校舎へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「カァ…ペッ!ペッ!!ペッ――!」

 

 アビドス高等学校の校舎内。あの後無事に学校までたどり着いた先生にリッカ、案内役のシロコは。とりあえずと凄い顔をしていたリッカに口を濯がせようと手洗い場に案内し。リッカはこれ幸いとハデな音を立てながら口の中の砂塵を追い出していた。

 

「…シロコ先輩?さっきから凄い声が聞こえますけど、なにか――あれ?」

 

「ぷへー…んぬ?あっ、アビドスの生徒さんですか?水場お借りしてます!」

 

 最後にうがいをして、綺麗サッパリ砂塵を追い出し清々しい顔をしていたリッカ。そんな彼が出していた音を同学校のシロコが発生させていると勘違いしたのか、黒髪に赤い縁のメガネが特徴的な少女――アビドス高等学校一年の奥空アヤネが曲がり角から顔を出す。

 

「はじめまして!僕は立花リッカ!ミレミアムの一年生で、今回はシャーレの先生の仕事についてくる形できました!!」

「えっ?あっはいはじめまして……?」

 

 奥空が二の句を告げる間もなく自己紹介を始めたリッカ。

 勢いに押されて思わずといった様子で礼に対する返事をした彼女であったが、すぐに疑問符を浮かべる。

 

「し、シャーレ?まってください。つまり支援が――」

 

 そこまでいいかけた時、二人の耳ざ甲高い。しかし妙な重厚感を伴った音を拾う。

 

「――銃声?」

 

「まさか、また不良達が!?」

 

 キヴォトスで数えきれない程鳴り響いた、いやでも覚えてるその音に対する反応はそれぞれ。

 

 リッカはなぜ校内で?と疑問を抱いたが、一方アヤネは銃声を発生させた――つまり銃を撃った存在に心当たりがあるのか。怒りと焦燥感がないまぜになった表情で銃声の方向を向く。

 

「とりあえず、教室に行って皆さんと合流しないと…!」

 

「その必要はないよー。いや、アヤネちゃんは別かな?」

 

 事態究明のためにもすぐさま駆け出そうとしたアヤネを諌めるように、三人めの声が響く。

 声の方へ振り向いたアヤネはそこで、小さな体躯に長いピンクの髪。そして神秘的なオッドアイを持った己の先輩にして、アヤネを含めた五人で廃校寸前のアビドスを建て直さんと奮闘する対策委員会の委員長。小鳥遊ホシノの姿を認めた。

 

「アヤネちゃんおはよー。リッカくんも、さっき先生から聞いたよ」

 

「ホシノ先輩!状況はどうなっているんですか!?」

 

「まーまー落ち着いてよ。それを話すために来たんだからさ」

 

 寝起きなのか、少々抑制のない声でホシノは説明を始める。

 

 第一に、とりあえず先生とは会い。その後別用で離れていたリッカの存在も知らされた。

 第二に、銃声の正体はアビドスを狙うヘルメット団の仕業であり、現在は迎撃するための準備期間である。

 第三に、物資が心許ないことがネックだったが、それらはシャーレの先生からの補給物資によって解決できている。

 

 要点のみを捉え迅速に伝えてみせたホシノに、アヤネは短く頷き把握できたことを伝えた。すると伝達中は少し冷たい色を備えていたホシノはその相貌をほにゃりと崩した。

 

「じゃ、アヤネちゃんは教室でサポートおねがいね?先生もいるからー」

 

「はい!任せてください。――立花さん、また後で」

 

 そう告げると、踵を返し小走りで廊下を走り階段を上り。消えていった。

 

「自分も手伝います!」

 

「おっ?いやー意欲のある若者おじさん大好きだよー。……でもさ」

 

 間髪いれず助太刀を申し出たリッカに対しホシノは嬉しそうな声をあげた。しかし数秒後に彼の顔から視線を外し手や腰部分に視線をやると……とたんに神妙な顔つきに変わった。

 

「…さすがにおじさんも、銃を持ってない(・・・・・・・)子に"一緒に戦って"とは言えないなー」

 

「…はい?いやいや何を、僕の武器はこの――」

 

 ホシノの言葉に本日何度かのクエスチョンマークを頭上に浮かべたような顔をしたリッカは、そんな言葉とともに己の身体を見下ろし。固まった。

 

「………」

 

 そのまま棒立ちのまま数秒固まったリッカは、本当にものがないことを確認するかのように手をグッパーと握り。足のかかとをトントンと鳴らした。

 …だが、流石にビスケットのように増えることも、どうやら無いらしい彼の装備が現れることもなかった。

 

「な、ななな…無い!両方とも!?」

「あーやっぱりそうなんだ…うん。まぁ今回は見学してなよー。先生はアヤネちゃんと同じ教室にいるからさ」

 

「えぅ!?う、いやでも確かに…!」

「いいからいいから、それじゃあねー」

 

 ホシノはなお食い下がろうとするリッカを宥めながら、自らは戦いにいくためか得物であるショットガンとタワーシールドを手に持ち外へと飛び出していった。

 

 それを見ていたリッカは反射的にホシノの後を追おうとするが、さきほどホシノにかけられた言葉で足が止まる。

 

「さすがに、約束を破るのは気が引けるし…うぅ~ウズウズするけど仕方ない!!」

 

 拳を強く握ったリッカは、大きく息を吐くと共に肩の力を抜き。気を取り直すと、アヤネの後を追い校舎を駆ける。

 

 外から響く銃撃の音に、身の危険を感じるのとはまた別の焦燥感を胸に抱えながらもリッカは四段飛ばし(・・・・・)で階段を駆け上がった。

 

 …砂嵐の影響か、校舎内にも多くの砂埃が入り込んでしまっているためかアヤネが残したのだろう足跡を辿ったリッカは。ほどなくして一つの教室の前にたどり着く。

 

「すみません。おまたせしました!」

"おかえりリッカ。砂は取れた?"

「バッチリ!アヤネさんもさっきぶりです――先生!!」

 

 焦っていたのもあるのだろう。腹からでた先生を呼ぶ声は教室内に響き、近くで情報機器片手に戦況を把握しようとしていたアヤネは驚きの声をあげ、その後インカムに向かって謝罪の言葉を投げかけていた。

 

 「ごめんなさい!驚かせるつもりはなかったんです!」

「い、いえ大丈夫ですよ。…ノノミ先輩はそこで威嚇射撃をして敵を釘付けにしててください、すぐに救援を……ええっと」

 

"シロコ。校舎裏をグルっと回れば、ちょうど敵の裏手に出れるよ。ノノミを助けてあげて"

『ん。了解』

『待ってますよーシロコちゃん!』

 

 アヤネが出した指示を引き継ぐように、先生がそう告げると。通信越しに二人の声が聞こえてくる。

 

「ありがとうございます先生!」

"うぅん。私も指揮をしないと、ここにいる意味。なくなっちゃうからね"

 

"それで、どうしたのリッカ?"

「大事なこと伝え忘れてました!僕の武器は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 一台のバイクが砂漠に包まれた市街地を駆ける。

 

 赤いバイクにそれち会わせたカラーリングのサイドカー。極致に対応できるように改造されたそれらは砂埃舞うこの環境でも普段通りのスペックを発揮していた。

 

『…地図によればそろそろ近いはずですが』

 

 そんなバイクのハンドルを握り操るのは、先生とリッカとの合流兼救出を目的としてアビドス高校へ向かう秋茜ミキト。ヘルメットを被っているからか少しくぐもった声を出しながら、脳内に記憶した周辺地図とにらめっこしながら進んでいく。

 

 心構えに装備があった彼は、二人と違って確実に目的地へと近づいていた。

 

 そのためかしばらくして、目的地であるアビドス高校の校門が見えてきた。

 それと同時に、何かに気づいたのか急ブレーキをかけつつサイドカーを停止させた眼を凝らす。

 

『…戦闘中?』

 

 そう呟きながら、ミキトはヘルメットの奥にある瞳をさらに細めた。

 遠目からでもわかるほどの激しい銃撃戦。アビドス高校の周辺では派手な砂埃や銃弾が飛び交っており、正門前から侵入してきたのであろうヘルメットを被った武装集団が、学校の敷地内へ突入していく様子が見えた。

 

『さすがに、先生がいる。もしくはいらっしゃる予定の場所が不良の溜まり場になってるってのは容認できないですかね?』

 

 その光景を見てそう決断したミキトはサイドカーとバイクの結合部を外し連結を解除して、サイドカーに突っ込んでいた己の愛銃を掴み不調がないか確かめる。

 

 それが終わるとショルダーホルスターを使い背に背負うように担ぐと再度バイクにまたがりアクセルを踏み込み、戦場となっている学校へ向けて加速した。

 

『…ふう』

 

 加速することによりこれまでよりも強く体を打つ風に心地よさを感じながら、それ以上に"己はこれから戦場に入るのだ"という自制をかけ気を引き締める。

 

 そんなことをしている間にも、ミキトはどんどんと接近していき、そしてついに襲撃者――ヘルメット団の姿を視界に捉えられた。

 

 当然だが、それは向こうも同じことである。

 

 ミキトとヘルメット団は、奇しくも同じ顔全体を覆うフルフェイスヘルメットを被っていたどうしということもあり最初の数瞬こそ発砲はなかったが。流石に数秒もすれば事前の打ち合わせにもなく、今かお報告もなしに自分達に突っ込んでくるバイク乗りは敵だと判断されたのか弾幕が張られる。

 

 だがミキトは冷静に対処する。

 弾幕が張られた瞬間に車体を傾け、右に左に蛇行運転を行い敵の照準を惑わせながら徐々に距離を詰めていく。

 

 しかし流石に、いつまでも続けられるものでもない。チュイン!と耳元を掠めた銃弾の音に顔をしかめた彼は、最後の数十メートルを走破するため姿勢を低くしさらに加速する。

 

『さすがに避けてくださいね…!』

 

 祈るような言葉と共に突撃するミキト、ちなみにビークルを使っての突撃はシャーレの部室を取り戻す際もやったが。あの時は連邦生徒会の共有物であったが今回のバイクは彼の私物である。

 

 つまり、もし何かがあれば彼の愛車はスクラップになってしまう可能性があるので、ミキトはより一層気合を入れてハンドルを握りしめる。

 

 そんな必死さが伝わったのだろうか、あるいは偶然なのか。

 ヘルメット団の面々は分が悪い、もしくはそこまで必死にやるのは割に合わないという風にミキトの進行方向にいた物資や人員を避難させた。

 

 その結果ミキトは障害物のない道を一直線に進むことが可能となり、特に損害もないままアビドス高等学校の中へと進入することができた。

 

「うおっ!?誰だよ――ウゴッ」

『失礼!』

 

 たまたま近くにいたからという理由で足を引っ掻けられ吹っ飛んでいくヘルメット団員を横目に、ミキトは校庭のスペースを広く使って大きく回りながらも減速、なんとか停車させバイクから降りた。

 

『…乱戦ですし、ヘルメットはつけていた方が良さそうですね』

 

 そう判断したミキトはマガジンを銃に叩き込みスライドを引き安全装置を外すと、遮蔽物を目指して走り始める。

 

(元より一人、アビドスの方とは面識もありませんし。あちらの無線に割り込むのも現実的ではない)

 

 校舎の外壁までたどり着いた彼はその身を滑り込ませ周囲を索敵、やがて小隊規模で行動しているヘルメット団を見つけた。

 

(なら、やるべきは遊撃。多くの敵を叩き――)

 

 結論の一歩手前で思考を止めたミキトは大きく息を吐き、それはヘルメットによりいくらか阻まれ僅かな息苦しさを覚え。再度深呼吸をした。

 

『――数を、減らす!』

 

 そして、覚悟を決めると彼は手に持っていた銃を構え引き金を引く。

 

 不意の一撃は吸い込まれるようにヘルメット部分を撃ち抜き、何かに激突したかのように一般団員は仰け反る。そこから先は一瞬だった。

 

『フンッ!!』

「ガッ――」

 

 遮蔽物から飛び出したミキトは。まるで1本の矢のように集団へと飛びかかり、ショルダータックルによって一人を吹き飛ばし昏倒させる。

 

「んなっ」「ちょっと待っ――」

ダダダダダッ!

 

 反応の早い二名に銃弾を浴びせ無効化する。

 

「っ!」

『遅い!』

 

 最後の一人はちょうど真後ろを向いており、仲間の悲鳴から機器を察知しミキトへと銃口を向けようとする。

 

 しかし銃を手放しフリーとなった左手によるフックによって銃を弾き、振り切った体勢を利用したエルボーを食らわせ。ヘルメット越しに一般団員の意識を揺さぶった。

 

「うぅ……」

『はぁ…』

 

 地面に倒れ伏した団員達を見て、ミキトは小さく安堵のため息をつく。

 しかしまだ戦いが終わったわけではない。すぐに気を取り直して、次の敵を求めて走り出す。

 

 その後ミキトは遊撃の役割、そして名前に恥じず。ミキトは戦場という遊び場でまばらに敵を次々食い散らかしていった。

 

 一見彼の実力が突出しているかのように見えたが、それはヘルメット団の本来の標的があくまでアビドス廃校対策委員会であるため。ミキトの存在はヘルメット団にとっては完全に予想外であったことが大きく影響している。

 

 それは彼自身も把握しており、自分は想定外の存在であることをいいことに奇襲を繰り返したことも。戦果を伸ばした要因となった。

 

『思ったよりもヘルメットって息苦しい…ちょっとヘルメット団のことを尊敬しそうだ……』

 

 その後しばらくして、決着がついたのか高校の敷地内がかなり静かになっており。ミキトは頬にあたる部分のヘルメットを撫でながらそう言葉を溢した。

 

 なら次はアビドス高等学校の方々との顔合わせだなと思い直した彼は、あごひもを弄りながらも校舎裏から校庭に出よう足を踏み出して――

 

「うん?」『ん?』

 

 曲がり角にてバッタリと、黒髪のツインテールと赤い瞳の少女と出くわした。

 

(っ、いや待て。アビドスの生徒の方という可能性もある)

 

 反射的に構えそうになったが、それが堂に入る前になんとか抑え込んだ彼は…まず話しかけようと友好を結びたいことを示すために手でも振ろうかと右手を上げようとした。

 

「動かないで!」

『……はい?』

 

 しかし、上げようとした腕はピシャリと雷のような鋭い声で制止され。思わず固まった。

 

「あんた達、撤退したんじゃなかったの!?なんでまだここにいるのよッ―――ヘルメット団(・・・・・・)!」

 

 そこで彼は、今日己がバイクに乗ってヘルメットを被って来たこと。さらによりにもよってそれがフルフェイスヘルメットであったことを強く後悔した。

 

『ちょ、自分は違――!』

「そのヘルメット姿が動かぬ証拠よ!さっさとアビドス(ここ)から出て行きなさい!!」

 

 弁明をし潔白を証明せんとヘルメットに手をかけるが、おそらく元来の性格が直情的。何より戦闘が終了した直後で気が立っていたのだろう少女は、銃のトリガーを引いた。

 

 パシュン

 

『っ、聞かん坊ッ!』

 

 ミキトがほぼ反射的に避けた放たれた弾丸がつい先ほどまで自分がいた場所に突き刺さったのを見た瞬間。彼の思考が“説得”から“制圧”に切り替える。

 

 避けて、その後反射的に逃走へ動かそうとしていた足を前に踏み出し、下げていた銃口を跳ね上げ構える。

 

 反撃の指切りによって制御された幾多の弾丸がセリカに迫るが、それを彼女は横にかわし。瞋恚の炎が宿る瞳でヘルメット団の残当(ミキト)を強く睨みつけ撃ち放つ。

 

 明らかに神秘によって強化されたその弾丸。それを受けるわけにはいかないとミキトもまた素早く身を翻し空かせる。

 

(埒が明かない――なら…)

 

 急制動の動きを安定させるため手をついた地面を強く握る。するとミキトの手には、砂漠によって運ばれた細砂があった。

 

 細やかで、風や砂同士で研磨された結果丸みを帯びて。こぼれ落ちそうなそれを強く握り固めた彼は、アンダースローで勢いよく投げつけた。

 

「うわっぷ!?」

 

 顔に張り付くようにして飛来したそれに驚いて目を瞑り。事実顔面を中心にかかった砂に驚くセリカ、その隙を逃さんとミキトは駆け出した。

 

「ッ、こんの…!キャッ」

 

 セリカは無論抵抗を試みるが、二人のこれまでの攻防を考えると視界を閉じた状態での無闇矢鱈な反撃は児戯にも等しく。重心が片側に寄った瞬間を狙い足を引っ掻けバランスを崩し、更に肩を掴み倒れるのと同じ方向に強く押し出し加速。

 それにより反射的な受け身を封じられ、なすがままに後頭部を地面に強打したセリカは悲鳴をあげるとともに目を開き……目前に置かれた銃口と目があった。

 

「何よ。やりなさいよ」

 

 セリカの力強い視線と、肝の据わった言葉にミキトは軽い畏怖の念すら覚えながらもトリガーから指を離す。

 

『やりませんよ。そもそも自分はヘルメット団じゃないですし』

 

「……じゃあそのヘルメットはなによ」

 

『ヘルメット着用者=ヘルメット団なら、キヴォトスのビークル乗りは全員ヘルメット団ですね…っと」

 

 ミキトは自身のヘルメットを外し、汗を拭いながら言う。

 その言葉にセリカは呆気に取られたような顔をしてから、みるみるうちに顔を赤くし。自分の早とちりを誤魔化すような大きな声をあげた。




・立花リッカ
武器を忘れたおっちょこちょい。
ヘイローの形は水色に白の差し色で構成されたメビウスの輪。

・秋茜ミキト
このあと暁のホルスと遭遇し後輩の眼前に銃を突き付けられてたので即座にショットガンをブッパされる。
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