Ensemble_BLUE's   作:korotuki

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 今回話の都合上、また私の描写力の至らなさにより普段よりも「・ ・ ・」を用いた場面転換が多めです。ご了承ください。


郷愁する間もない急襲

セリカのバイトが終了したと思われる時刻。

 

 他のアビドスの面々やミキト、リッカのシャーレからの出向組と先生はそれぞれの居所にてセリカの帰宅を待っていた。

 

 しかし……

 

「セリカちゃん、遅いですね…」

 

「…専門知識はありませんが、ラーメンは閉店後翌日の仕込みによって遅くまでかかると聞きます。それでは?」

 

「いんや。セリカちゃんはあくまでホールスタッフみたいだし、そもそも柴大将も遅くまでシフト組ませるような人じゃないよ~」

 

「「むぅ……」」

 

 上からノノミ、ミキト、ホシノの順で。セリカの身を案じる発言をする。

 

 三人……そしてセリカ以外のアビドスの問題に立ち向かうメンバーは一様に対策委員会の会議室に集まっていた。

 

 時刻は既に日を跨ごうとしており、そんな中みなが集まった理由は先程の会話から分かる通り未だ戻らないセリカについてだった。

 

 大規模なチェーン店ならまだしも。少人数で切り盛りする小中規模のラーメン屋が経営するには既にいささか無理のある時間帯、事実本日の柴関ラーメンは閉店となっていることを彼女たちは確認していた。

 

 有り体にいえば、黒見セリカは行方不明だった。

 

 シロコとリッカは表面上静かにしているが微動が多く落ち着いていないことが容易に分かり、アヤネは唯一の同級生とだけあって議論を交わす三人を尻目に飛ばせる限りのドローンを飛ばし周囲の索敵を行っていた。

 

 先生もまたシッテムの箱の能力を使用し周辺の監視カメラを一時ハッキングし映像データを抜き取るなどして情報収集に励んでおり、その顔からは僅かに冷たいものが感じられる。

 

 だが、そんな健闘も虚しく。ただ時間だけが過ぎていった。

 

"ホシノ、それと……ミキト。少しいいかな"

 

「ん?どしたの」

 

「何か」

 

 ふと先生が二人に声をかける。先生の真剣な眼差しを受け、二人は言葉少なめに立ち上がる。

 

"セリカの居所、何とかなるかもしれない"

 

「ッ本当ですか!?」

 

 その言葉にいの一番に反応したのはアヤネだった。ほんの僅かに血走った――それほど彼女の捜索に尽力していたのだと分かる――目付きで先生に詰め寄った。

 

"うん。そのために今いった二人についてきてもらいたいんだ"

 

「ならっ、私も…!」

 

「アヤネちゃんすとーっぷ」

 

 ついていかせて下さい。そう言おうとしたアヤネを止めたのはホシノだった。

 

「わざわざおじさんと、補佐官のミキトを呼ぶってことはそこそこあれ(・・)な方法を取ろうとしてるんだと思うよ~?」

 

「関係ありません!たった一人の、同級生なんですよ…ッ」

 

 ゆったりとした手つきでアヤネの肩に触れ撫でるホシノの言葉に、しかしアヤネはスカートの裾を強く握りながらも言い返す。

 

 そんな彼女の姿に、ホシノは小し目を細める。

 

「その気持ちはおじさんも一緒だよ。仮に何かに拐われたのだとしたら……」

 

 

 

 

 

「おじさん。すこぉ~し怒っちゃおうかな?」

 

『!』

 

 言葉だけなら、おどけたような。

 だが一瞬とはいえ放たれた猛烈なプレッシャーはその場にいる全員が反応してしまう程で、正面から受けたアヤネの震えはぴたりと止まる。

 

「まっ、だからここはおじさんに任せてよ。まだ柴関ラーメンの制服でセリカちゃんのことからかえてないしね」

 

「…お願いします、ホシノ先輩」

 

「任された~!」

 

 普段通りに。しかも茶目っ気たっぷりにウィンクまでして見せて冗談を言うホシノに、アヤネはぺこりと頭を軽く下げる。

 

 それを見届けたミキトが最初に部屋を出て、先生が"ホシノ、先に行ってるね"と声をかけながらミキトを追い。彼女もまた先生を追って部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

「で、先生?何とかってどうするのさ」

 

 会議室からそれなりに離れた廊下の一角に三人はいた。

 場を照らすのは窓ガラスから漏れでる月明かりのみであり、仄暗い雰囲気はどこか後ろめたさを感じさせる。

 

 

"今から説明するね。カギになるのはセリカちゃんの持ってる端末"

 

「…、電源は切れていたようですが?」

 

"うん。でも痕跡は辿れる"

 

 先生の言葉に、ミキトはぴくりと眉を上げた。

 

"端末の位置情報は、基本的には契約先の通信会社が持ってることが多い"

 

「えー、今からセリカちゃんの端末の契約会社探してサポートセンターに通信するの?事情も説明して説き伏せては…手間かかりすぎない?」

 

"うん。そうするには私たちはあまりにも切羽詰まってる。だからもう一つの、位置情報を握ってる場所にアクセスする"

 

 その場所を言おうとした先生だったが、顔を険しくしたミキトがそれを引き継いだ。

 

「――キヴォトス全土、全ての生徒を管理する連邦生徒会のセントラルネットワーク」

 

"さすが。うん、そう"

 

 ミキトの言葉に、先生は大きく頷く。

 しかし褒められたはずのミキトの顔はさらに険しくなる。

 

「…本気で?そこまでの権限、先生には――まさか」

 

"もちろん。やる気だよ私は"

 

「ちょいちょい。おじさん抜きで盛り上がらないでよ」

 

 語気を強くし始めた二人に、ホシノが割ってはいった。

 

「つまりは、ハッキングするんでしょ?なら早く――」

 

「ホシノ委員長。名乗っていませんでしたが、自分は連邦生徒会(・・・・・)です」

 

 唐突に告げられたミキトの所属にぴたりとホシノの動きは止まり、顔に僅かな怒気が籠る。

 

 当然だろう。連邦生徒会はその名の通り全ての学校を纏め、各学園の運営・維持を支援するための組織にも拘わらず。追い詰められたアビドス高等学校に対しロクな支援を行ってこなかった。

 

(こうなりそうだから黙っておきたかったのに…)

 

 内心舌打ちしながらミキトはホシノの視線を受け止める。

 

"ホシノ、ミキトは……"

 

「いや、分かってるよ先生。分かってる」

 

 先生の声に、ミキトが思っていたよりも冷静そうなホシノは一息つく。

 

「アビドスの問題は、ここ数年が発端じゃないしね。そのときの自分たちが無視した案件を上げ続けるほどおめでたくないだろうし、ミキトくんが就任するころには他のどーでもいい問題と一緒くたになって埋もれてたんでしょ?」

 

「……だからと言って許されるわけではないことは、若輩の身でも理解しています」

 

「まー名乗らなかったことに怒る気も、過去の謝罪を求める気もないよ。で?」

 

 そこで言葉を切ったホシノはゆっくりと、しかし隙のない足運びで先生とミキトの間に割って入る。

 

「連邦生徒会さんは、自分たちのネットワークに無断で入ろうとしてる私たちに対してどうするつもりなのかな?」

 

「……はぁ~、先生。なぜ自分を連れてきたので?」

 

 ホシノからの問いには答えず、深くため息をしたミキトは先生に声をかける。

 

「自分を呼ばずホシノ委員長だけを呼べば、そもバレずに何とか出来たのでは?」

 

"ミキト相手に隠し事をするのは難しそうだからね。なら最初から明かした方がいいかなって"

 

「理由になってなくないですか…」

 

"それに、仲良くなりたいって言った手前だったから。……それで、どうかな?"

 

「~~っハァー!あーもう、尽力を誓ったのは自分です。ならベストを尽くしましょうか!!」

 

 再度のお願いを受け、ミキトは半ばヤケクソ気味にそう吠えた。

 

(元より先生には従う所存。これはおそらく先生なりの筋の通し方ってことか……?)

 

 そんなことを考えながら、彼は普段使いしているものとは別のデバイスを内側の胸ポケットから取り出した。

 

 艶消しの黒いそれを少し操作すると、先生に手渡す。

 

「自分の…ちょっと言えない仕事の時のデバイスです。通常のものより高い権限があります……それこそ、平常時のセントラルネットワークへのアクセスとか」

 

「!?」

 

"……いいの?"

 

 ミキトは渡すと同時に即座に背を向けた。まるで何も見えないかのように。

 

「いいわけないでしょう!?言っときますけどこれバレたら自分の首じゃギリギリ足りませんからね!」

 

 叫ぶように言ったミキトは頭の後ろで手を組むと、ゆっくりと一歩を踏み出した。

 

「自分はこれから三分間散歩(・・)に行きます。その間その端末をロックを解除したまま落とし、勝手に使用されても自分はそれを知ることはできませんねハイ行ってきます!」

 

 最後の方はやや早口になっていたものの、そのままミキトは廊下の向こうへ、曲がり角の向こうに消えていく。

 後に残ったのは先生、ホシノ、そして……先生の手の中にある、デバイスだった。

 

「…うへ。じゃあ早速悪いことしよっか、先生?」

"そうだね。持ち主が帰ってくる前に、さっさと終わらそう"

 

 そうしてたまたま(・・・・)リッカが不用心にも落とした端末から、セリカの電源が落ちる寸前の。最後の位置情報を入手。

 

 きっかり3分で戻ってきた彼は「落ちてたよー」と偶然(・・)自分のデバイスを拾ってくれたホシノに対して「どこにいったかと…探してくれてありがとうございます」とお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ……」

 

 セリカが目を覚ましたのは、ガタガタと揺れる狭い空間の中だった。

 

 最初こそ混乱したものの、それが車の振動であり。ここはトラックの荷台の中なのだと察するのにそう時間はかからなかった。

 

 克己心の強いセリカは無論脱出手段を模索する。そして僅かな明かりから外が視認できることを発見し、彼女は外を除き――自分が今どこにいるのかを知った。

 

『そんな。旧線の線路があって、砂漠って……郊外!?』

 

 土地勘の薄い、それこそリッカあたりなら「なるほど!どこかは分かりませんけど誘拐だこれー!」となっただけだっただろうが。一年生ながらにもアビドスで暮らし、普通より多くのことを知るセリカは……現地点が自身の生活圏からバカのように離れていることを自覚してしまう。

 

 そして、荷台から運転席が見える除き穴からは。昨日――外が明るいので一昨日か、それ以上の可能性もある――自分たちが退却させたカタカタヘルメット団員がハンドルを握っていた。

 

(どうしよう…自力で脱出できたとしても、ここから徒歩は絶望的だし。そもそも丸腰で脱出は……)

 

 最初こそ息巻いていたセリカの心中を暗いものが染め始める。

 覆せない窮地にいるという現実、微かな光があるとはいえほぼ真っ暗な閉鎖空間というのは容易く少女の心を蝕んだ。

 

(このまま、誰にもバレないように埋められて。終わっちゃうのかな……みんなにはきっと「他の人たちと同じようにアビドス(ここ)を見限って出てっちゃったんだ」って思われるんだ)

 

 イヤな想像ばかりが、セリカの脳内を走り回る。

 

(ほかの皆に、誤解されちゃうし。柴大将にも事前の連絡なしで辞めちゃうから迷惑かけちゃうよね……それに)

 

 ふと、これまではいなかった三人の顔を思い浮かべる。

 こちらの領域にズカズカと入ってくる大人、イマイチなに考えてるのよく分からない補佐官。声がデカく動きもデカい同い年。

 そしてその三人がうまいうまいと言って柴関ラーメンを食べる姿も。

 

(先生に…あの二人にも、もしまた来たら他のラーメンも食べてほしかったし。リッカの方なんか知り合い連れてくるとかほざいてたわよね……)

 

 そこまで考えたところでセリカの胸の内の寂寥感が許容量を突破し、ホロリと涙が落ちる。

 

「このまま会えないで死ぬなんて、そんなの……やだよ…!」

 

 ブロロロロ……

 

「…?」

 

 ふと、セリカの耳朶がこれまでとは違う音を捉える。自分を乗せている。また周囲を囲むように走っているトラックに比べると細い音。

 

 違和感のまま、外を覗く。

 

 そこに移るのは、砂と廃墟におおわれたいつもの景色。そこに異常なものは見えない。

 だが違和感の始まりである音は未だセリカの鼓膜を叩き続けており、彼女はそれを知りたいと尚目を凝らす。

 

「っ!アレ……?」

 

 ようやく見つけた違和感の正体たるそれは、遠くにあった。

 

 セリカとそれの距離はそれなりのものであり、下手をすれば陽炎に紛れて見えなくなっていてもおかしくない。

 事実色合いはまったく分からず、シルエットのみだ。

 

 なぜ見えたかは……今はまだ分からなかった。

 

「んーよく見ても分からない……輪郭からして」

 

 バイク(・・・)か。と言おうとしたとき、シルエットに変化があった。

 それは一度左右に大きく揺れたかと思えば、ニョキりと何かが生えた。

 

 いや、仮にそれがバイクとすると。どちらかと言うと――

 

「立った?」

 

 そしてその立った何かは、大きく伸びをしたかと思えば身構えたように動かなくなる。

 

「……はぁ。いよいよ頭も諦めて、幻覚でも見てるのかな」

 

 そこでセリカは顔に手を当てて頭を振る。

 

 これまで彼女が見てきた光景を予測と共に当てはめるなら、「見えるか見えないか分からない位置からバイクがこちらに向かって走ってきてて、しかもその上で人が立っていた」というものだ。

 

 もはや陽炎ではなく蜃気楼による幻覚という方が現実味がある。とセリカはため息を吐く。

 

「……みんなに会いたいな」

 

 そう言葉をこぼしたセリカは空を隙間から空を覗いた。雲一つない、しかしキヴォトス全土から見える巨大な白い輪があるいつも通りの空。

 

 ――ふとそんな空に一筋の赤い線が奔った。

 

 ドオオオォン!!

 

「きゃっ!?」

 

 直後、轟音。

 車体が僅ながらに揺れ、セリカは尻餅をついてしまう。

 

『なんだ!なにがあった!!』

 

『わ、分かんないよ!なんか急に目の前が爆発して――』

 

 車の外がにわかに騒がしくなる。セリカも、カタカタヘルメット団も。誰一人として現状を理解できていなかった。

 

 …………。

 

 起こした張本人なら、無論話は変わるが。

 

「ウ、オオオオオ!!」

 

「ッ!」

 

 叫び声じみた気迫の声に、セリカは聞き覚えがあった。

 

 忘れられる訳がない。今まであった中でもダントツに声が大きく、よく通るその声の持ち主は……

 

「リッカ!?」

 

 思わず叫んだその声は、駆けつけた彼ら(・・)の耳に届いた。

 

『ッ、セリカちゃんの声帯パターンに類似する音声をキャッチ!右から二番目のトラックです!』

 

『"ノノミの弾幕で牽制、ミキトは足が止まったところに隙をみて制圧。ホシノとシロコで捜索して救出を!"』

 

「「「「了解!」」」」

 

 異口同音にアヤネからの情報を把握し、先生からのオーダーを聞いた四人が物陰から飛び出し駆け出す。

 目標のみに注力する強引な作戦。人質救出作戦でありながら、危地である敵の只中で行う無茶な作戦を可能とするのは、

 

『"リッカ―――暴れて!"』

 

「アビドスのみさなんのため!先生のため!柴大将さんに、――ミレミアムのみんなに食べてもらういつかのラーメンのために!!」

 

 無茶を可能とする存在に他ならない。

 

 それを体現するようにアッパーカットによって放たれた砂の壁がセリカのいるトラックと他のカタカタヘルメット団を視覚的に断絶し。

 

 バゥン!!

 

 その壁を抜けたリッカは、セリカぎ囚われているのとは別のトラックの荷台に着地する。

 セリカが見たシルエット、そして赤い線の正体――武器のブースターを全開にし短時間ながらに空を飛び上から奇襲をしかけたリッカはトラックを下段突きで殴り、大きく凹ませた。

 

「覚悟しろ、カタカタヘルメット団!」

 

 ブースターの冷却なのか、大きく巻き上がった砂嵐を砂ごと四肢に吸い込みながら凄むリッカ。

 

「じゃあ、始めちゃいます☆」

 

 その動乱に乗じて。救出班も動き出す。

 

 砂に紛れてそれぞれの配置についた四人。まずはトラックの正面に陣取ったノノミが手に持ったガトリングを駆動させ撃ち放つ。

 

 ズガガガガガッ!

 

 例えトラックの中にいようとも、その脅威はあまり変わらない。

 おおよそ対人とは思えない得物を自分たちに向けて撃っているのに、少しも変わらない微笑を携えたままのノノミと。フロントガラスにヒビを入れドアミラーを粉砕する銃弾の威容に押され、ただでさえリッカの強襲によって鈍足となっていたトラックの足が完全に止まる。

 

「ハイ失礼。勝手ながら下車してもらっても?」

 

 その隙に車のすぐそばまで近づいたミキトが、その手に携えたエスケープハンマーでサイドウィンドウを速やかに破壊。

 

「んなぁ!?」「ぐえー!」

 

 空いた穴に手を突っ込みドアロックを解除して開かせると、開けた側にいた一人を強引に引き摺り下ろし。助手席のもう一人を銃によって黙らせた。

 

「ええと……エンジン止めました!確認を」

 

「おっけー」

 

「ん、いい手際」

 

 最後の詰めだとシロコとホシノの二人が荷台部分に駆け寄る。当然その扉には鍵がかかっており、それを開けようお、おそらくはミキトが制圧した二人のどちらかが持っているハズだと考えたシロコはミキトに声をかけようとする。

 

「セリカちゃん。もしいるなら…なるべく下がってね」

 

 しかしその前に普段の気だるげな様子は鳴りを潜めた、芯の入った硬い声でホシノは荷台の中へと呼びかけた。

 

 数秒後、その手に持ったショットガンを突きつけ。そのトリガーを引く。

 ズガンズガンズガン!と、都度三度鳴り響いた銃声の後。ホシノは扉を蹴り開ける。

 

「ほ、ホシノ先輩……」

 

「おっ!目標(セリカちゃん)はっけーん」

 

「……いいとこなし。でも、よかった」

 

 ホシノの言葉が届いたのか、荷台の奥の方で頭を抱えて小さくなっていたセリカを見つけ、ホシノは頭上のくせ毛をリズミカルに揺らす。

 シロコは作戦が始まってから特に活躍できていないことを残念に思いつつも、後輩が無事だったことに安堵の息を吐いた。

 

『セリカちゃん…!みなさん、最優先目標は達成しました!先生、退却しますか?』

 

『"……いや、ここで叩こう。退却するにしても相手は車を持ってるから追い付かれる可能性もあるからね"』

 

『なるほど…では、このまま掃討作戦に移行します!』

 

『"みんな。もうひと頑張りしよう!!"』

 

「了解。ビークルなら、リッカが大体潰してる気もしますけどね」

 

「借りは、返してあげるべき。……痛い目をみてもらおう」

 

「はーい!ノノミ、もっと頑張っちゃいますね!」

 

「セリカちゃん動けるー?」

 

「動ける。けど、武器が……」

 

 それぞれが息巻く中、セリカは申し訳なさそうに何も持っていない自分の手元を見つめる。

 

「こちら、セリカさんが拐われた付近で回収できました……分解も。目立った傷もなかったのでそのまま持ってきました」

 

「あっ私の…!こ、コホンッ。その……ありがとう」

 

「いえ。例を言うなら、他の方々…それと、わざわざご自身も捜索に加わった先生にも」

 

 そんな時、ミキトが誘拐現場近くで回収することができたセリカのアサルトライフルを手渡す。

 

 喜色満面といった表情を咳払いで誤魔化し、言葉少なげにお礼を言ったセリカは。頬をパンッと張って気合いを入れる。

 

「よし!散々好き勝手やってくれて……存分にやり返してあげるわ!!」

 

『"作戦開始!"』

 

 再び、先生の号令に合わせて全員がそれぞれ行動を開始。

 

 もとよりリッカが戦場を存分にかき乱していたためか、決着もまた早く。とんでもない動きで強襲してくるリッカに何とか対応しつつあったヘルメット団の面々は、突如として牙を剥いたアビドスの面々にあっという間に鎮圧・拘束された。

 

「まー、リッカくんが暴れてたら当然っちゃ当然だよね」

 

 これにはホシノも苦笑い。




・立花リッカ
【Meteor Breaker】は極短時間なら飛行が可能。軟着陸する機能はないので着地はリッカのフィジカル任せである。
今回はミキトが運転するバイクに2人乗りになり、対象と距離が近づいた所から飛び立った。
ちなみにセリカからは見えなかったが華麗な三点着地(superhero landing)を決め先生が沸いた。

・秋茜ミキト
決断の末とは言え先生イエスマンとなった。
"言えない仕事"用の端末はかなり薄く、普段は服の内ポケットに入れて存在を誤魔化している。

・????????
"依頼主"に言われヘルメット団の残党狩りを実施。職場の同僚たちと共に依頼を遂行した。
次なる仕事場に向けて準備をし、明け方出発することになった。
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