飛行機雲に焦がれて   作:カニ漁船

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運命のジャパンカップ

 

 

ジャパンカップ

 

 

枠順番号ウマ娘名人気

1
1ムイトオブリガート16

1
2コントレイル
2

2
3ブルーム7

2
4シャフリヤール4

3
5キセキ8

3
6グランドグローリー9

4
7オーソリティ
3

4
8ロードマイウェイ18

5
9アリストテレス5

5
10ジャパン10

6
11シャドウディーヴァ12

6
12サンレイポケット11

7
13モズベッロ17

7
14ユーバーレーベン6

7
15マカヒキ13

8
16ユーキャンスマイル15

8
17ワグネリアン14

8
18ヴァーディクトデイ
1

 

 

 

 東京レース場。ジャパンカップが開催される今日は満員御礼である。

 

「前回も凄かったけど、今回もすげぇメンバーが集まったよな!」

「あぁ!中でもやっぱ!」

「コントレイルとヴァーディクトデイの対決!楽しみね~!」

 

 同世代2人の直接対決。無敗の三冠ウマ娘であるコントレイル対日本のウマ娘として初めて凱旋門賞を制したヴァーディクトデイ。この2人の対決が大いに注目されていた。人気もこの2人が抜けている。ファンの期待は高まっていた。

 ファンだけではない。このレースは、世界のウマ娘も注目の一戦として見ている。

 

「『いい席を用意してもらってありがとう、ディープインパクト。これは見晴らしが良いね』」

「『気に入ってくれて何よりだよフランケル。さぁて、コンちゃん達の勇姿を見届けようじゃないか!』」

「『わ、私もよろしかったのでしょうか?ナサニエル様、ジェンティルドンナ様?』」

 

 ディープインパクトと共に観覧席でレースを観るフランケルとナサニエル。その中にはエネイブル達の姿もあった。恐縮するエネイブルとは対称的に、バティスタは自由に過ごしているが。

 

「『ね~!まだ始まらないのか!わたしちゃんは待ちくたびれたぞ!』」

「『アホ姉、醜態を晒さないでほしい。恥をかくだけ』」

「……『本当に、よろしいのでしょうか?』」

 

 バティスタの様子を見てさらにいたたまれない気持ちになるエネイブル。そんなエネイブルに、ジェンティルドンナは優しく接する。

 

「『構いません。あなた方も大切なご客人、それにフランケル生徒会長の知り合いでもあるのですから。ここでレースを観ても大丈夫ですよ』」

 

 微笑みながらそう告げるジェンティルドンナに、エネイブルは恐縮する。

 

「『そういっていただけると嬉しいです。それでは、遠慮なく……ついでにヴァーディ様も「『それはダメよ』」……チッ』」

 

 ついでにヴァーディクトデイを巡った争いが起きていたがそれはともかく。順調にレースは進んでいた。

 

 

 控室でコントレイルは深く深呼吸をする。

 

(パドックは終わった、体調も悪くない。後は──)

「ベストを尽くすだけ、か」

 

 もう1つ深呼吸をするコントレイル。気持ちを落ち着けて、席を立った。

 

「行こう──勝ちに」

 

 自信をもって控室を出る。その目に迷いはなかった。

 

 

 そしてヴァーディクトデイ。彼女もまた、これまでのことに思いを馳せていた。

 

(長かった……ずっとずっと、焦がれていた。この勝負に、このレースに)

 

 前世で決着を着けたかった相手。ずっと戦いたかった相手。ジャパンカップでの出走が叶わず、勝負ができなかった相手。

 ずっと後悔していた。あの日のことを。自分が不甲斐ないから、自分がダメだったから。周りの人達みんなを悲しませた。ヴァーディクトデイはそう胸に刻んでいる。

 

(……けど、今は違う)

 

 こうして戦うことができる。コントレイルとレースができる。そのことが、彼女の胸を高鳴らせた。

 

(世界一の舞台を制して、アイツとレースをする。ついに、ここまで来た)

「さぁて、行きますかね」

 

 感傷に浸るのも程々にして、ヴァーディクトデイもターフへと向かう。その目には一点の曇りもなかった。

 

 

そして東京レース場はメインレース──ジャパンカップを迎える

 

 

 

 

 

 

 パドックを終えたウマ娘達がターフに姿を現す。ファンの興奮は上がりっぱなしだった。

 

《快晴の空、世界中のウマ娘がこの東京レース場に集いましたジャパンカップ!絶好の良バ場日和、芝2400mの戦いが幕を開けようとしています!前回のジャパンカップに負けず劣らずの豪華メンバーのジャパンカップ、最注目はやはり……ッ!》

《えぇ、日本初の凱旋門賞ウマ娘、ヴァーディクトデイでしょう!ロンシャンで見せた驚異的な末脚、その衝撃はヨーロッパ中に走ったといっても過言ではありません!その末脚はこの東京レース場でも炸裂するのか、非常に気になるところですね!》

 

 実況と解説の言葉に、観客の目がヴァーディクトデイに集中する。ウォーミングアップをしているヴァーディクトデイに黄色い声援が送られていた。

 

「頑張って~、ヴァーディクトデイー!」

「期待してるぞ、ロンシャンで見せた末脚をー!」

「お前が世界一だー!」

 

 その声援を聞いて、クロノジェネシス達も鼻高々だ。

 

「頑張ってね~、ヴァーディく~ん!」

 

 当のヴァーディクトデイはレースに集中するつもりなのか、ただ黙々とこなしている。

 

「ヴァーディ、凄く集中してるね」

「はい。姉さん、過去一で集中してます」

「頑張ってー!お姉ちゃーん!」

 

 ただ、注目されているのはヴァーディクトデイだけではない。

 

《しかし!こちらも外せないでしょう、無敗の三冠ウマ娘コントレイル!こちらもかなり集中してますね、ウォーミングアップを黙々とこなしています!》

《前走の天皇賞・秋ではエフフォーリアの前に敗れ去りました。しかしこの日のために特訓してきたという情報が入っています。このレースにかける想いは十分、このジャパンカップでどのようなレースをするのか?こちらも大いに注目ですね!》

「負けるな~!コントレイル~!」

「あなたを応援しているわー!」

「お前が一番だー!」

 

 こちらもかなり集中しているのか、観客の声に反応していない。この気合の入りように、スピカのメンバーも思わず息を呑む。

 

「コントレイルさん、かなり気合が入っていますわね。ですが……」

「あぁ、今回のは大丈夫だ。秋天の時とはわけが違う」

「凄いオーラ……!これは、いけるよ!」

 

 そして、療養中であるデアリングタクトも東京レース場に足を運んでいた。周りにはディープボンドやラウダシオン達もいる。

 

「コンちゃん……、頑張って!」

「うおおおぉぉぉ!気合だー、ヴァーディー!」

「ぼ、ぼくはどっちを応援すればぁ~……!」

「どっちも応援すりゃいいんじゃねーの?ま、とにかく……頑張れよ、ヴァーディ!」

 

 レース前でありながら、かなりの熱気に包まれる東京レース場である。

 

《注目はこの2人ですが……勿論この2人だけではありません!今年のダービーウマ娘シャフリヤールもこのジャパンカップに堂々参戦!勝負服のマントを靡かせて、このジャパンカップで凱歌を轟かすことができるのか!》

「ハーッハッハッハ!余、降臨!」

《さらにはマカヒキにワグネリアン、なんとコントレイルも含めて4人ものダービーウマ娘がこのジャパンカップに参戦!さらにはオークスウマ娘のユーバーレーベン、菊花賞ウマ娘キセキもおります!いやぁ、豪華ですね!》

《そうですね。日本勢もそうですが海外勢もまた豪華メンバーです。サンクルー大賞を制したブルームにパリ大賞とインターナショナルステークスを獲ったジャパンはBCターフからの参戦。さらにはジャンロマネ賞を制したグランドグローリーもこのジャパンカップに来ました。海外勢も負けず劣らずですよ!》

《菊花賞ではコントレイルと競い合ったアリストテレスにモズベッロもおります!そしてっ、やってきましたゲートインの時間。各ウマ娘がゲートへと入っていきます》

 

 ウォーミングアップを終えたウマ娘達がゲートへと足を運ぶ。その最中、コントレイルとヴァーディクトデイの視線が交錯した。

 お互いに何かを言うわけではない。ただ、無言で語りかけていた。

 

絶対に勝つ、と

 

 数秒にも満たない睨み合い。すぐさま視線を外して、お互いにゲートの順番を待つ。1人、また1人とゲートにウマ娘が収まっていく。

 

《各ウマ娘、順調にゲートに収まります。1番人気は凱旋門賞ウマ娘ヴァーディクトデイ!しかしそれと同じくらい人気を博しているのが2番人気のコントレイル!この2人に差はありません、だがこのジャパンカップは2人の人気が突き抜けています!》

《世代を象徴するライバル、ヴァーディクトデイとコントレイル。しかし、敵はお互いだけではありません。ここに集ったウマ娘達はいずれも強者ばかり、油断すれば漁夫の利を突かれることも十分にあり得ます》

《大外という不利は彼女にとっての絶好の枠番、ヴァーディクトデイ!そして内枠につけることができたこちらも絶好の枠番コントレイル!他のウマ娘も気合十分、激戦が期待できます!》

 

 そして今、大外枠のヴァーディクトデイがゲートに収まった。静寂に包まれる東京レース場、緊張が走る。

 途方もない時間だったか、それとも一瞬だったか──バンッ!と。ゲートが開く音が鳴り響いた。それと同時に、ウマ娘達が一斉にスタートを切る。

 

《最後のウマ娘、大外のヴァーディクトデイがゲートに入って──スタートしましたッ!さぁ始まりましたジャパンカップ!芝2400mの戦い、果たしてどのウマ娘が制するのか!?この一戦、まず飛び出したのはシャドウディーヴァとサンレイポケット!そしてワグネリアンも行きます!コントレイルは好スタート、しかし内で控える姿勢を見せる!》

《秋天での反省点を活かしていますね。しっかりとレースを見るつもりでしょう》

《明確な逃げウマ娘が不在のこのレース、先頭に立つのはワグネリアンかっ、おっと!ここで抜け出したのはアリストテレス、アリストテレスだ!アリストテレスが抜け出しました!ヴァーディクトデイは最後方、こちらも定位置に着いている!先頭はアリストテレスがレースを引っ張っていきます。ガンガンペースを上げていく!》

 

 ジャパンカップが幕を開けた。




ジャパンカップ開幕
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