毎日王冠
| 枠順 | 番号 | 馬名 | 性齢 | 人気 |
1 | 1 | コントラチェック | 牝4 | 8 |
2 | 2 | ワンダープチュック | 牡6 | 11 |
3 | 3 | アイスストーム | 牡5 | 10 |
4 | 4 | ザダル | 牡4 | 4 |
5 | 5 | ダイワキャグニー | セ6 | 5 |
5 | 6 | トーラスジェミニ | 牡4 | 9 |
6 | 7 | サンレイポケット | 牡5 | 6 |
6 | 8 | サトノインプレッサ | 牡3 | 3 |
7 | 9 | サリオス | 牡3 | 1 |
7 | 10 | カデナ | 牡6 | 7 |
8 | 11 | カイザーメランジェ | 牡5 | 12 |
8 | 12 | ヴァーディクトデイ | 牡3 | 2 |
よっしゃあ!ようやく来たぜ久々のレースだ!宝塚記念から大体3ヶ月弱……おニューになった俺のお披露目だ!正確には宝塚記念で1回見せてるけど細かいことは良い。
(楽しみだぜ、新しい俺がどこまでやれんのか……!)
「興奮してるな。気持ちは分かるけど落ち着いてねヴァーディ」
おっと、金添さんから宥められた。ちょっと入れ込み過ぎたらしい。落ち着くか。牝馬らしき馬が俺をジッと見つめているが無視しておこう。触らぬ神に祟りなしだ。
『懐かしい顔がいるなおい』
『あん?』
振り返ると……デカいな。うん、デカい。皐月賞でも思ったけどコイツデカいなホント。
『サリオス……だっけか?』
『ふん、名前は覚えてるみたいだな』
『まぁな。お前のことはラーシーから聞いてるし』
『なんでダービーにいなかったとか気になることはあるが、今日のレースは負けんぞ』
それだけ言って去っていった。宣戦布告をしに来たらしい。成程、上等じゃねぇか……!っとと、危ない危ない。また入れ込み過ぎるとこだった。走りを変えてからしょっちゅうだな。これも我慢しなくなった弊害のようなものだろうか?
とりま返し馬を済ませてパドックに入る。大外かつ偶数番なので俺は最後だ。パドックでは大人しくするぞ。金添さん曰く。
「今回も宝塚記念みたいに後方からレースを展開する。スタートに関しては入れ込み過ぎなくていいよ」
とのことらしい。宝塚記念みたいにね、了解了解。
大外枠の俺が入ってしばらく待つとゲートが開く。俺は気持ち遅めにゲートを出た。他の馬がどんどん先に進む中、俺は後方で控える形をとる。
《毎日王冠スタートしました!8番のサトノインプレッサが立ち遅れました、大外枠12番のヴァーディクトデイもやや出遅れたか?それ以外は各馬綺麗なスタートを切りました。サトノインプレッサとヴァーディクトデイ、この2頭は後方からのスタートです》
《ヴァーディクトデイは後方から。宝塚記念と同様ですね。これまでのレーススタイルを一新する形になったのか気になるところ。ヴァーディクトデイはこの後どうするか?》
《さぁまずは先行争いです。まず抜け出したのは6番のトーラスジェミニ。トーラスジェミニが1馬身のリードを取ります2番手は内から接近1番のコントラチェック。3番手は5番ダイワキャグニー、コントラチェックから2馬身離れて3番手はダイワキャグニー。そして1番人気サリオスは4番手につけています。新しい鞍上を迎えてのサリオスは4番手の好位置につけています》
《新しい鞍上はあのロメール騎手ですからね。彼の騎乗にも期待したいところ》
《5番手は2頭並んでいます。外に7番サンレイポケットがスーッと抜け出そうとしている。内に4番ザダル。後続は3番アイスストーム10番カデナ、2番ワンダープチュック、8番サトノインプレッサ。最後方はサトノインプレッサから4馬身開いて11番カイザーメランジェと12番のヴァーディクトデイという隊列。大外枠の2頭が最後方を走ります》
レースは縦長。第3コーナーを迎えている。今回の馬場は稍重ってヤツ。普段よりもちょっと重めの芝になっている。だが、俺にとっては好都合だ。
今回やるのは宝塚記念と同じこと。ただ気をつけるべきは仕掛けどころだ。
(毎日王冠は1800m。ただ、最後の直線は宝塚記念よりも長い。だから、俺の脚は活きるはずだ!)
だからまだ溜めろ……まだ溜めろ、俺!爆発させるのは金添さんの鞭が入ってからだ!
《さぁ第3コーナーを抜けて第4コーナーに入ろうとしている。先頭トーラスジェミニが3馬身以上のリードをつけて逃げている!2番手はコントラチェック。その後ろは5馬身、6馬身と開いてダイワキャグニーがつけている。1000mは57秒9で通過!ダイワキャグニーの後ろ4番手にサリオス変わらず好位置につけています!》
《サリオスの後ろからサンレイポケットがじわじわと上がってきていますね。虎視眈々と前を狙っていますよ》
《縦長だった隊列が徐々に纏まって来たぞ第4コーナーのカーブ!すでに先頭は600を過ぎました!4番ザダルもサンレイポケットの後ろから上がってきている!そして各馬最後の直線を迎えました!先頭はトーラスジェミニ!リードは1馬身!》
最後の直線に向いたその瞬間、俺がここだ!と思ったタイミングでッ!
(金添さんの鞭が入った!任せとけ、しっかりと温めてたからよぉ!)
加速の準備も終わってる!だから……こっからぶっ飛ばしていくぜぇ!
イメージするのは走ることじゃない!いかにして飛ぶかというイメージだ!全身のバネを使って、脚を鞭のようにしならせて!全ての力を前に進むための推進力にぶち込むイメージ!後は……!先頭を走る馬を全員躱していくイメージだッ!
『ぶっ飛ばしていこうじゃねぇか!』
最後方の大外から一気に他馬を躱していく!1頭、また1頭と躱していく!ハハハ、成程!最高だなおい!これを封印して走っていたのが本当に馬鹿らしくなるし、俺自身本当に馬鹿だったんだなって思うよ!
何も考える必要はねぇ。前を走る馬を躱すことだけを考えろ!余計なことを考える必要は、ねぇんだ!坂だろうが関係ねぇ、俺なら問題ねぇ!
《残り400を切って2番手コントラチェックが差を詰める!ダイワキャグニーも上がってきた上がってきた!そして楽な手応えでサリオスが4番手!外からサンレイポケットが上がってくる!サリオスの外からサンレイポケット!そして最後方ここで大外から凄まじい勢いで上がってくる馬がいる!?大外からヴァーディクトデイだ!12番のヴァーディクトデイが凄まじい末脚を見せている!?》
《あ、あの走行フォームはッ!?》
《凄まじい速さだヴァーディクトデイ!まるで
《さぁどっちに傾くか!?》
オラァ!負けられるかってんだよ!
『クソがッ!大人しく引き下がりやがれ!』
『うるせぇ!俺は二度と引き下がるかよ!』
あんな気持ちになるのはもうごめんだ!今出せる全力を尽くして、俺は勝つ!
俺とサリオスの壮絶な叩き合い。最終的には──俺の方がわずかに前に出て。そのまま少しだけ差をつけてゴール板を過ぎていった。
《サリオス粘る!サリオス粘る!サリオス粘るが、わずかにヴァーディクトデイだ!ヴァーディクトデイが前に出たゴールイン!毎日王冠を制したのは半馬身差でヴァーディクトデイ!2着はサリオスだ、サリオスわずかに届かなかった!3着は並んでゴールイン!》
《いやぁ……ヴァーディクトデイの末脚は凄かったですね!それに、あの走りはディープインパクトを彷彿とさせましたよ!》
《本当ですね!ヴァーディクトデイ、この馬の今後が楽しみです!すでに出走を表明している秋の天皇賞。ヴァーディクトデイは台風の目になれるか!?》
よ、よっしゃあ!勝った、勝ったぞ!その前にこのまま走り続ける前に徐々に減速していこ。あ、金添さんが労うように俺の首を撫でてくれてる。気持ちいいぞ、もっと撫でろ。
『おい、ヴァーディクトデイ』
『あん?なんだよサリオス』
サリオスは俺にピッタリつけるように並んで走っている。お互いに徐々に減速しているからか。
『皐月賞の時とは全然違うな。何があった?』
『……別に。ただ、良い子ちゃんぶるのは止めただけだ』
『ハッ。それが正しい。皐月賞の時はこんなのに負けたのかって気持ちが強かったが……今のお前に負けるのは納得いく』
お前そんなこと思ってたのかよあの時!?あの悔しがってるのは何だったんだ!?もしかして俺にキレてたのあれ!?
『……いや、やっぱ納得いかねぇ!もう一度勝負しろ!』
『勘弁してくれよ疲れてんだから……』
『ま、それは同感だな。ただ、次は負けねぇからな!』
『おうよ!俺だって負けねぇ!お前にも、コントレイルにだって!』
そう宣言してサリオスとは別れる。……サリオスと別れた後コントラチェックという馬に追いかけられそうになっていたのはここだけの話だ。近くに来てもなんとか我慢してその場にとどまり続けたけど。
「コントラチェック!ヴァーディクトデイから離れて!?本当にすいません金添さん……!」
「いやいや……ぶっちゃけそんな気はしてたからね」
とりあえず心を無にしておこう。どうせすぐに移動することになるし。
宝塚記念から心機一転して迎えた毎日王冠。新しい走りとともに迎えたレースは無事に1着を取ることができた。特に痛いところもないし、一安心である。
無事に怪我無く勝利。次回はウマ娘編。