俺とパンちゃん、そしてシークレットゲストの1人はとある企画に招待されることになった。
「それじゃあ、みなさんお願いしま~す!」
ディレクター?もしくは総合プロデューサー?その辺は良く分からんけど、合図が入る。カウントダウンが始まって、0になった瞬間。俺とパンちゃんは笑顔でカメラに視線を向ける。
「パンサラッサと!」
「ヴァーディクトデイの!」
「「ご当地!グルメ旅~!」」
トレセン学園生によるご当地グルメ紹介の旅。そのメンバーに俺とパンちゃんは抜擢されたのである。
「それじゃあ!企画の趣旨について説明していくぞ「パンちゃんパンちゃん。その前にシークレットゲストの紹介」あ、そうだった!ありがとうヴァーディ!」
「はいはい、どういたしまして」
はじめっからこんな調子だが、こういうのが視聴者からの受けがいいのかもしれないな。さてさて、今回のいけに……ゲストさんはというと。
「ふふん、このあたしを呼ぶなんて分かっているわね。さぁ!レシステンシアの登場よ!」
レシステンシアである。鹿毛の髪を後ろで一つにまとめたウマ娘。見た目だけなら気難しい印象を受けるが実際には結構フレンドリー。後は芸術家気質なところがある。
さて、そんなレシステンシアも加えて俺達3人がやることは言うと。
「んじゃ、改めて企画の趣旨を説明していこうか。今回俺達がやるのはご当地グルメを紹介する旅番組。食レポは勿論のこと、ご当地の観光名所なんかも随所で紹介を挟んでいくぞ」
「へぇ、中々良いじゃない。楽しみね!」
「それにそれに!なんと温泉にも入れたりするらしいぞ!楽しみだな!」
「良いじゃない良いじゃない!至れり尽くせりね!この企画受けて良かったわ!」
レシステンシアのテンションは最高潮である……ここから急転直下するんだろうな、コイツ。
「それで?今日はどこに向かうのかしら?ここトレセン学園の前だけど」
「ふっふっふ~、それはだな……」
番組のスタッフさんがフリップを手渡してくる。さて、と。今日も頑張って決めますか!
俺達が何をしているのか分からないのだろう。レシステンシアの表情がどんどん訝し気なものに変わっていく。うん、本当に申し訳ないな。
「ねぇヴァーディ?そのフリップボードは何かしら?後、そのいかにも古臭いサイコロは何かしら?」
「古臭い言うなよレシステンシア。これが俺達の運命を決めるサイコロだぞ?」
「……え?ちょっと待って。どういうこと?詳し「さぁ!それじゃあ決めていくぞ!」決めていくって何を!?良いから説明してよ!?」
レシステンシアが取り乱す。さて、ここらで種明かしといきましょうか。
「それでは!ゲストさんに企画の趣旨を説明しましょう!パンちゃんお願い!」
「任せろヴァーディ!レシステンシア、この企画はだな……」
パンちゃんは、それはそれはもう素敵な笑顔で。
「
俺はフリップボードを掲げる。そこには、様々な行き先が書かれていた。てか今回も中々えぐいもの揃いである。
| ご当地グルメ旅!必ずどこかには行ってもらいまSHOW! |
⚀北へ北へと!東北の地青森まで! |
⚁粉もんなら任せとけ!いざ大阪へ! |
⚂いざ蜜柑を食べに!愛媛まで行こう! |
⚃いきなり北の大地へ!?北海道グルメツアー! |
⚄九州グルメを食べつくせ!まずはここ福岡から! |
⚅旅はここで終わり。トレセン学園カフェテリア! |
ここから選出されるわけだが。レシステンシアは愕然とした表情をしてる。まぁ、うん。そんな表情するわな。
「あ、あたし聞いてないわよ!?」
「そりゃ今言ったからな」
「これ!下手したら北海道に飛ばされるじゃない!?何考えてんのよ!?」
「大丈夫だレシステンシア!サイコロで良い出目出せばいいんだぞ!」
「そういう問題じゃないでしょう!?」
「言っておくがレシステンシア。この企画が始まる前にお前の同意はちゃんともらっている。故に、お前に拒否権はない」
「あ……あ……」
レシステンシアの絶望しきった表情。だけど、すぐにその表情は明るいもの……というよりは決意に満ちた表情になる。
「良いわ、やってやろうじゃない!それに、6の出目を出せばいいんでしょう!?そうすれば学園のカフェテリアで終わりだから!」
「ま、そういうこったな。ほれ、サイコロ」
レシステンシアはサイコロをぎゅっと握りしめている。すげぇ祈ってんな。気持ちは分からないでもない。
「それじゃあ振りましょう!いくぞ?パンちゃん!」
「おう!ヴァ―ディ!」
「「なにが出るかな?なにが出るかな?」」
「それはサイコロの導きのままに!」
「よしっ!振って良いぞレシステンシア!」
「えぇい!ままよ!」
勢い良く振ったレシステンシアのサイコロは──無情にも3の出目だった。3の出目っていうと。
「最初は愛媛だな。よっしゃ、蜜柑食いに行くか」
「楽しみだな~!」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
肩をがっくりと落とすレシステンシア。そんな彼女に、俺は笑顔で告げる。
「安心しろレシステンシア。さすがに移動は新幹線だ」
「それのどこに安心を見出せばいいのよ!?むしろここで夜行バスとか言ったらあなた達をぶっ飛ばしてるところよ!」
「パン的には夜行バスでもいいんだけどな~」
「冗談じゃない!というか、あんたたちは嫌じゃないの!?こんな企画!」
こんな企画て。そういわれてもなぁ。
「パンは旅行大好き!だからこの企画大好きだぞ!」
「俺も旅行好きだからな。だからこの企画は割と好きだぞ」
「気が合うなヴァーディ!」
「パンちゃんこそ!」
「「ね~」」
「あんたたちに聞いたあたしがバカだったわよ!」
レシステンシアがいくら嘆いたところで結果が変わるわけでもない。早速新幹線に乗って愛媛へと向かった俺達であった。
やってまいりました愛媛の松山、場所は道後温泉。早速温泉に入った俺達である。サービスシーン?ねぇよんなもん。
「というわけでご当地グルメは鯛めし!早速食べていきましょ~!」
「おいし~!」
「って、パンちゃんもう食べてるし。ほら、レシステンシアも早く食べないと無くなっちまうぞ?」
そんなレシステンシアは悔しさをにじませながら。
「次こそはトレセン学園を出して帰ってやるんだから!」
「おぉ、良い決意表明だな。頑張ってくれ。俺達の進退はお前にかかっているからな」
「責任重大過ぎない!?あんたたちも振りなさいよ!」
「え~?でもゲストさんに振ってもらうのが前提だからパン達は振れないぞ?」
「うるさい!」
レシステンシアは鬱憤を晴らすように鯛めしをかっくらう。そんな急いで食うとのどに詰まるぞ。
さて、鯛めしを食い終わったところで!
「「なにが出るかな?なにが出るかな?」」
「全てはサイコロの導きのままに!」
「トレセンに帰るのよあたしはぁぁぁぁぁ!」
威勢よくサイコロを振ったレシステンシアが出した目は──
「6。惜しかったな、さっきの表ならトレセンに帰れてたぞ」
「うっさいわねあんたは!……ところで臼杵ってどこよ?」
「大分だな。九州入りおめでとう」
「アアアアアアアアアア!!!」
あ、発狂した。まぁ発狂したところでダイスの出目は変わらないしこのまま続行するわけなんだけど。
そしてやってきました大分は臼杵。
「また温泉だー!」
「大分といえば温泉だからな。スタッフさん達が温泉饅頭買ってきてくれたぞ。そしてここのご当地グルメはふぐらしい」
「ふぐ食べれるの!?やったー!ありがとうレシステンシア!」
「……どういたしまして」
レシステンシアはすでにぐったりしている。ま~遠ざかる一方だからそれも当然ではあるが。
なんにせよ温泉饅頭をつまんだ後俺達はふぐを食べることに。そのお味は──
「うん!美味しいな!」
「おいしい~!」
「あ、本当ね。これは美味しいわ」
美味だった。レシステンシアの機嫌も少し良くなったので何よりである……根本的な部分が解決してないのでどうしようもないのだが。
その後もレシステンシアはサイコロを振り続けた。
「次はどこよ!?」
「福岡の博多だな。明太子食えるぞ」
「明太子ー!ラーメンー!」
「キィィィィィィィィ!」
福岡でラーメン食ったり。
「大阪だな。粉もんが美味いぞ」
「移動時間中にタマモクロス先輩に聞いておきましょうか。大阪のグルメ」
「さんせーい!」
大阪でタマモクロス先輩オススメのご当地グルメを食べたり。
「新潟!新潟!順調に中央に近づいてるわ!」
「せっかくだし新潟レース場でも見に行く?」
「いかないわよ!」
新潟でへぎそばを食べたり。つかへぎそば美味かったな。新潟でレースがあったらまたこよっと。
「青森……!通り過ぎてんじゃないわよバーカ!」
「せんべい汁ってのがあるらしいな。これ食いに行くか」
「おせんべいを鍋の具材に使ってるの!?美味しそ~!」
「味の想像がつかないわね……」
青森でせんべい汁を食べたり。
「か、鹿児島……?ここにきて、鹿児島?」
「鹿児島といったら黒豚だな。後は地鶏とか鶏飯とか」
「お肉お肉ー!」
鹿児島出してレシステンシアの目が死んでしまったり。まぁ色々とあった。そこから2つ3つぐらい県を跨いで……ついにその瞬間が訪れた。
「次こそは……次こそは……次こそは……」
「レシステンシアの目が死んでるな」
「だ、大丈夫かレシステンシア!?」
「ここで……っ!ここで出してやるわよぉぉぉぉぉ!!」
勢いよくサイコロを振るレシステンシア。その出目は……4。4の出目は。
「お、中央トレセンだな。おめでとう、ゴールだぞ」
「……ご、ゴール?」
「うん、ゴール」
「う、嘘じゃないわよね?本当に中央!?中央に帰れるの!?」
「あぁ、中央に帰れるぞ」
「楽しかったー!」
「……や、やったわー!」
レシステンシアは両手を上げて喜んでいる。まぁそりゃそうだわな。
というわけで帰ってきましたトレセン学園。これにて番組の企画も終了である。
「それじゃあお疲れ様でしたー」
スタッフさん達に挨拶をする。スタッフさん達の機嫌は上々のようだ。
「いやぁ、今日も良い画が取れましたよ!特に美味しそうに食べるみなさんの表情が良かったです!」
「それは良かったです!放送される日を楽しみにしてますね!」
「はい!任せておいてください!それじゃあみなさん、今日はありがとうございましたー!」
番組スタッフが去って俺達も寮に帰る。さて。
「「レシステンシア」」
「……なによ?」
パンちゃんと声が被る。多分、考えていることは一緒だろう。俺とパンちゃんは、とびっきりの笑顔でレシステンシアに。
「「楽しかったな!」」
「……このオタンコナス共!」
おかしい、何故かレシステンシアに罵倒された。なして?
「……まぁ、楽しかったのは認めるわよ。だけど!二度と呼ぶんじゃないわよ!」
そのままずんずん足音ならして帰っていった。なにはともあれ。
「放送される日が楽しみだなパンちゃん」
「うん!一緒にみよーな!ヴァーディ!」
「あぁ、勿論だ」
俺達も寮に帰ることにした。
後日放送されたその番組はというと。かなりの視聴率を叩き出して続編を望む声が上がっていた。
なお、一部のウマ娘達は。
「なんで!?なんでヴァーディの入浴シーンがないの!?」
「それを楽しみにしてたのに……!」
「全く使えないわね」
「ヴァーディ?今日は一緒にお風呂に入らないかしら?」
「何言ってるんですかドンナ先輩」
そんな会話があったとかなかったとか。
パンサラッサの遠征好きというエピソードを元に。