飛行機雲に焦がれて   作:カニ漁船

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冗談抜きに過去一時間がかかった。

この話の執筆にあたり、以下の素材を参考させていただきました。素材を提供してくださった製作者様に最大限の感謝を

素材提供元

https://syosetu.org/novel/273050/

10/31 産駒成績の種付け数を変更。ちょっと少なすぎる気がしたので。

1/21 産駒の勝ち鞍を修正。ローテにちょっと無理が出てきた。


某大百科風 ヴァーディクトデイ(競走馬)

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ヴァーディクトデイ(競走馬)      

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その他

 

 

 

戦場を翔ける漆黒の撃墜王。

 

レースで走る度に、その強さは研ぎ澄まされていく。

1つのレースを勝てば、また次のレースへと挑んでいく。

その走りは人々を熱狂の渦に巻き込み。

ついには世界すら落としてみせた。

さぁ、次の戦場はどこだ?

 

「ヒーロー列伝」No.88ヴァーディクトデイ

 

 

ヴァーディクトデイとは、2017年生まれの日本の元競走馬欧州の馬でもなければ身体は闘争を求める…方でもない。日本調教馬として初の凱旋門賞制覇を成し遂げた。「漆黒の撃墜王」または「神速の英雄」と呼ばれ親しまれた。ファンからの愛称は「ヴァーディ」。

 

 

20戦16勝(うちGⅠ・7勝)2着2回

主な勝ち鞍

2019年:デイリー杯2歳ステークス(GⅡ

2020年:スプリングステークス(GⅡ)、毎日王冠(GⅡ)、天皇賞・秋(GⅠ

2021年:日経新春杯(GⅡ)、大阪杯(GⅠ)、凱旋門賞(GⅠ

2022年:日経新春杯(GⅡ)、ゴードンリチャーズステークス(GⅢ)、プリンスオブウェールズステークス(GⅠ)、エクリプスステークス(GⅠ)、KGVI&QES(GⅠ)、凱旋門賞(GⅠ

 

 

概要


父:ブラックタイド

母:ケイティーズハート(母父:ハーツクライ)

半弟に2021年の皐月賞馬エフフォーリアがいる。

 

父は日本が誇る名馬ディープインパクトの全兄でサンデーサイレンスを父に持つブラックタイド……なのだが、後述する理由により度々「ディープインパクトの方が本当の父なんじゃねぇの?」と言われることが多々あった。勿論これを良く思わないファンがいるので扱いには注意が必要。本馬の父はブラックタイドであることは留意して欲しい。

 

母ケイティーズハートは今でこそヴァーディクトデイとエフフォーリアを生んだ名牝だがこの時点ではまだ無名。母父は国内で唯一ディープインパクトに土をつけたハーツクライ。そしてハーツクライの父はサンデーサイレンスである。

 

……勘のいい人ならもう気づいただろう。そう、なにを隠そうこのヴァーディクトデイ……インブリードがサンデーサイレンスの2×3なのである!生産者はなにを思ってこんな配合をしようと思ったのか。今でこそエネイブルの例があるので一概に言えないが、種付け当時はエネイブルはまだデビューしたての頃……ほとんど前例も何もない状態、かなり危険な配合だった。

 

どうなることかと思われたが、ケイティーズハートは無事にヴァーディクトデイを出産。母子ともに健康そのものだった。生産者はホッとしたことだろう。

 

ヴァーディクトデイは成長を危ぶまれていたが、すくすくと育ち大きな病気も怪我もなかった。そしてカロットファームでの募集価格は……「一口5.5万円×400口」の総額2,200万である。後の活躍を考えれば安すぎんだろ!とツッコみたくなるがまー血統背景を考えれば妥当なところである。

 

何はともあれ、ヴァーディクトデイは有北ファームイヤリングでのトレーニングを終え、クロノジェネシスで有名な栗東の海藤厩舎のところでお世話になることになった。

 


 

 

 

デビュー戦からスプリングステークスまで

 


 

ヴァーディクトデイは利口であり、馬具の装着や引き運動、ゲート訓練も特に手間取ることなくスムーズに進んだ。また気性面に関してもお前本当にサンデーの2×3?と思うぐらい穏やかだったためゲート審査も一発で合格し新馬戦を迎えた。

 

この時の新馬戦は12頭立て。ヴァーディクトデイは……5番人気であるやっぱり血がね。馬体重438kgでのデビューだった。この時騎乗していたのはクロノジェネシスの主戦騎手だった滝村雄一である。滝村は今後、宝塚記念までヴァーディクトデイの主戦騎手として騎乗していた。

さて気になるレースの方だが。ヴァーディクトデイは道中2番手、3番手の位置を追走し、最後の直線に入るとスーッと抜け出して先頭に立つ。こうなると後は他馬を突き放すばかりであり、2着に7馬身差つけて新馬戦を勝利した。上がりタイムは勿論メンバー中最速。

 

陣営が次に選んだのは野路菊ステークス。今回は6頭立ての小数頭でのレースとなった。ヴァーディクトデイは良いスタートを切ってハナを取ると、そのまま力で押し切り勝利ついでに上がりも最速。無事に2勝目をあげた。

 

野路菊ステークスを制して次は重賞初挑戦となるデイリー杯2歳ステークス。特に何事もなくまずまずのスタートを切ると先行争いの位置につける。前をじっくりと窺う形でレースを展開すると、最後の直線で外から抜け出して内のレッドベルジュールとの叩き合いになるが、ヴァーディクトデイがわずかに押し切って3連勝。上がりタイムは勿論(ry。順調な2歳シーズンを終えた。

 

年が明けて3月。ヴァーディクトデイは皐月賞のトライアルレースであるスプリングステークスに出走。ここも先行争いの位置で展開を窺うが馬群に囲まれてしまった。あわや!となっていたが残り200を切ろうかというところで抜け出し、そのままガロアクリークとの叩き合いを制してスプリングステークスを勝利。これで4戦4勝でクラシックに乗り込むことになる。またこの年から某ウイルスの影響で無観客での開催となっている。

 

……随分薄味だなって?仕方ないじゃん。この頃のヴァーディクトデイはまだ未覚醒の状態。レーススタイルも違ければ血統以外特に見どころがあるわけじゃない普通の牡馬だったんだから。なんなら同世代のコントレイルとサリオスの方が注目されてたし。

 

なにはともあれ、ヴァーディクトデイは4連勝でクラシックに乗り込むことになった。そして、生涯のライバルとなる馬と出会うことになる。

 

 


 

 

 

宿敵との出会い

 


 

4戦4勝で迎えたクラシックの初戦皐月賞。ヴァーディクトデイは3番人気に推される。この時の1番人気は…後に無敗でクラシック三冠を制するコントレイルだった。

 

朝日杯の勝者サリオスに弥生賞を勝ったサトノフラッグ等、混戦が予想される中発走。稍重の馬場を18頭が駆け抜ける。ヴァーディクトデイは4番手で追走、コントレイルは行き脚がつかず後方からのスタートとなった。

 

道中好位をキープするヴァーディクトデイだったが、馬群から抜け出すのに手間取ってしまい仕掛けが遅れる。馬群でもたもたしている間にもコントレイルは外から上がっていき、サリオスもそれに続く形で内から上がっていった。

 

ヴァーディクトデイはなんとか馬群から抜け出して追い上げるものの、コントレイルに半馬身差で敗北。これがヴァーディクトデイの初黒星であった。この時コントレイルとヴァーディクトデイは向かい合っており、お互いになにかと意識しているような様子が見られたこの時からフラグが立ってたんですね分かります

 

 


 

 

 

NHKマイルカップ

 


皐月賞を負けたヴァーディクトデイ陣営。次に選んだのはNHKマイルカップである梅国ローテ?阪神ジュベナイルフィリーズを制した2歳女王レシステンシアがいる中ヴァーディクトデイは1番人気で出走。出遅れもなくスタートするとまた好位置につけてレースを展開する。

 

逃げるレシステンシアとラウダシオンを追いかけるヴァーディクトデイ。懸命に追いすがるものの、あと一歩及ばずラウダシオンの3着に沈んだ。

 

この時のヴァーディクトデイの課題として、気性面で闘争心が薄いことが挙げられていた。そのため競り合いに弱く、どうにも勝ちきれないレースが続いた後のことを考えると闘争心が薄いとかうっそだろお前wと言いたくなる案件であるが

 

 


 

 

 

宝塚記念~覚醒の予兆~

 


このまま日本ダービーに向かうのか……と思われていたが、陣営が選んだのはなんと宝塚記念である←!?

 

実はこの時、ヴァーディクトデイはとある問題があるんじゃないか?とささやかれていた。それは…歳上牝馬に追いかけられてトラウマになっているんじゃないか?という問題である。クロノジェネシスをあてがうことで牝馬に対する苦手意識を取り除こうと努力していたものの、やはりレースで走らせてみないと分からないもの。なので今のうちに年上牝馬との対戦を経験しておこう!ということで宝塚記念への出走が決まった、ということである。NHKマイルカップ出走も確実に出走できるようにするためだったらしい。

 

それ改善する必要ある?と思うかもしれないが競走馬として年上牝馬と走るだけで力を発揮できないというのは致命的。まさか歳を重ねるまで待つわけにもいかないし、今のうちに苦手は克服しておこう!という陣営の選択は一概に間違いとは言えないだろう結果的に陣営の心配は杞憂に終わったけど

 

そんなこんなでヴァーディクトデイは宝塚記念に出走することになったのだが…新たな問題として騎手の乗り変わりがあった。ヴァーディクトデイの主戦騎手は滝村、クロノジェネシスの主戦騎手も滝村だったのである。

 

悩んだ末に、滝村はクロノジェネシスを選択。ヴァーディクトデイは新しい騎手を探すことになったのだが…結構簡単に見つかった。あの気性難の駆け込み寺で有名な金添賢一騎手である。かねてよりヴァーディクトデイに興味があった金添騎手は自らを売り込みヴァーディクトデイに騎乗。新コンビで宝塚記念に挑むことになる。

 

そして始まった宝塚記念だが……ここまで好スタートをしていたヴァーディクトデイがまさかの出遅れ。最後方からのスタートとなってしまう。馬は焦って前に行こうとするがやはりここはジョッキーの腕の見せ所。金添がしっかりと手綱を抑えることで掛からないようにしていた。

 

しかし後方からの競馬はヴァーディクトデイは初めて。あぁ、こりゃもうだめだなと思い中継を見ているファンはヴァーディクトデイのことを意識外に追いやっていた。しかし…最後の直線でヴァーディクトデイは怒涛の追い上げを見せる。

 

最後の直線に入ってクロノジェネシスが仕掛ける。レース前ヴァーディクトデイに絡んでいたラッキーライラックも上がっていく。しかしここはクロノジェネシスが強かった。徐々に差をつけていってもう決まりだろう。そう思っていたら最後方からヴァーディクトデイがぶっ飛んできた

 

映像を見たことがない人は是非このレースを見て欲しい。誇張抜きにヴァーディクトデイが最後方からぶっ飛んでくるのが見れるから。

 

しかし猛追届かずクロノジェネシスのクビ差2着地味に3歳馬の最高着順を更新した。でも3着のキセキが6馬身も離されていることからこの2頭がいかに突出していたかが分かる。そしてヴァーディクトデイは文句なしの上がり最速だった。レース後、ヴァーディクトデイは悔しさから涙を流していたらしい。

 

ここからヴァーディクトデイのレースは一変する

 

 


 

 

 

覚醒の刻~最強女王に挑んだ天皇賞・秋~

 


 

宝塚記念後は放牧の後栗東に帰厩。順調にトレーニングを済ませ、馬体重も新馬戦から順調に増加していき、この時には468kgに成長。立派な馬体になっていた。

 

始動戦に選んだのは毎日王冠。ここには皐月賞で3着、ダービーでコントレイルの2着に敗れた同期のサリオスが出走していた。

 

1番人気をサリオスに譲ったヴァーディクトデイ。レースが始まると……出遅れた。なんかスタート下手になってね?そう思わずにはいられなかったがヴァーディクトデイは最後方でレースを進める。

 

最後の直線で各馬が一斉にスパートをかける。そんな中ファンが目にしたのは

 

大外から上がってくるディープインパクトの姿だった

 

……勿論これはただの比喩表現であり実際にディープインパクトが走っていたわけじゃない。だが、ヴァーディクトデイの走行フォームはあのディープインパクトにそっくりだったのである。ヴァーディクトデイがディープ産駒と言われたのもこれが原因の1つ。

 

サリオスとの叩き合いの末、半馬身差でヴァーディクトデイが勝利。秋の天皇賞に向けて弾みをつける。この後は放牧に出され、秋の天皇賞に向けての調整に入った。

 

そして迎えた天皇賞・秋。例年にも増して豪華メンバーが集まった本レースはそれはもう凄かった。

 

GⅠ・8勝目に王手をかけている最強牝馬アーモンドアイ、宝塚記念を制したグランプリ女王クロノジェネシス、春の天皇賞連覇のフィエールマン、香港GⅠを2勝しているウインブライト、2018年の有馬記念覇者ブラストワンピース、菊花賞馬キセキに2017年の朝日杯王者ダノンプレミアムが出走していた。改めて振り返るととんでもないメンバーである。

 

そんな中ヴァーディクトデイはというと……8番人気のオッズ41.8倍。まぁ仕方ないところはある。この頃のヴァーディクトデイはGⅠ未勝利だし宝塚記念の一発屋なんて言われてたから。一応毎日王冠勝ったんだけどね…

 

ヴァーディクトデイが歳上牝馬に絡まれるアクシデントがあったものの秋の天皇賞が始まる。ヴァーディクトデイは出遅れて最後方からのスタートとなった。

 

レースはダノンプレミアムが先頭で引っ張る展開。アーモンドアイは前目の好位置に、クロノジェネシスとフィエールマンが中団につけていた。迎えた最後の直線。アーモンドアイは残り300mを越えたところで先頭のダノンプレミアムを捕らえ、先頭に代わる。クロノジェネシスとフィエールマンが猛追するがこれは届かない。アーモンドアイの勝利だ!……と思われていた。

 

大外からヴァーディクトデイ!大外からヴァーディクトデイが上がってくる!なんて速さだ!?凄まじい末脚!外から上がってきたクロノジェネシスとフィエールマンすらも超えた末脚を発揮するヴァーディクトデイ!大外から漆黒の馬体が!最強女王に襲い掛かる!天皇賞唯一の3歳馬が現役最強を捉えんとその末脚を発揮する!残り100m!ここでヴァーディクトデイがなら、ばない!?並ばない!ヴァーディクトデイがアーモンドアイを瞬く間に躱した!

 

ヴァーディクトデイ先頭!ヴァーディクトデイ先頭!アーモンドアイ敗れる!府中の中距離で負けなしだったアーモンドアイが敗れる!皇帝越えならず!そして今ッ!ヴァーディクトデイが先頭ゴォォォォルイィィィィン!

2020年天皇賞・秋の実況から抜粋

 

なんと大外から凄まじい勢いでヴァーディクトデイが上がってきたのである。アーモンドアイも必死に粘るが、ヴァーディクトデイの末脚は次元が違った。残り100mでアーモンドアイを躱すとその勢いのままゴールイン。GⅠ初勝利を飾った。

 

クロノジェネシスとフィエールマン以上の末脚か~なんぼなん?と思われた方もいるだろう。この時のヴァーディクトデイの上がり3ハロンのタイムは

 

31.8秒

 

……冗談だと思うだろう?本当のことなんだぜ、これ。新潟ならともかく東京でこの上がりを記録するのだからいかにヴァーディクトデイの末脚が恐ろしいかが良く分かる。

 

とにもかくにも、ヴァーディクトデイはこれでGⅠ初勝利を記録。名だたるGⅠ馬達を破っての初制覇にファンは歓喜の声をあげたついでにアーモンドアイに賭けてた人達は悲鳴をあげた

 

この後は天皇賞のダメージが大きく、年内いっぱいは休養に充てることが海藤厩舎から発表。この年の戦績は6戦3勝。負けはしたものの、充実した年といえるだろう。

 


 

 

 

年明け~宿敵との再会~

 


 

年が明けての始動戦は日経新春杯。ここを軽~く勝ったヴァーディクトデイは大阪杯へと乗り込むことになった。

 

この時の相手の中にアイツがいたのである。そう、ヴァーディクトデイにとっての生涯の宿敵……無敗の三冠馬となったコントレイルが。

 

皐月賞以来ヴァーディクトデイはコントレイルを度々意識していることがあり、今回はそのコントレイルにリベンジする絶好の機会だった。あの時よりも格段に強くなっているし、陣営も是が非でもコントレイルに勝ちたいと意気込んでいたすげぇフラグっぽい

 

そんな状況の中迎えた大阪杯は……不良馬場に近い重馬場開催。重馬場はヴァーディクトデイにとって未知の世界であり、いくら雨が好きというヴァーディクトデイでも厳しいものになるんじゃないだろうかと思っていたが全く全然そんなことはなかった

 

コントレイルが重馬場に苦戦している中、ヴァーディクトデイは楽な手応えで大外から抜け出し先頭のレイパパレを捕らえる。先頭に立った後は後続との差をつけていき最終的に8馬身差の圧勝で勝利したのである。この時の上がりタイムは34秒9。お前だけ良馬場で走ってね?と言わんばかりのタイムである。

 

これでコントレイルに無事リベンジ達成!……と言いたいところだが、ヴァーディクトデイはあまり納得していなかったらしい。この後もコントレイルを度々意識しているような様子をみせていた。それはコントレイルも同様であり、この2頭は互いが意識し合う関係だったと言える薔薇?

 


 

 

 

海外挑戦~二度目のグランプリ女王と前哨戦での敗北~

 


 

大阪杯の結果を受けて陣営は海外挑戦を発表。目標に据えたのは日本馬とは切っても切り離せない関係にある凱旋門賞である。2021年の大目標に凱旋門賞を据えた。

 

そんなヴァーディクトデイの次走は宝塚記念。二度目のグランプリ挑戦でクロノジェネシスへのリベンジマッチである。オッズも人気もこの2頭に集中していた。

 

この時クロノジェネシスの主戦騎手だった滝村は落馬負傷により長期離脱を余儀なくされたため、鞍上にはC.ロメールが騎乗。そしてこの宝塚記念はロメールの神騎乗が光ったのとヴァーディクトデイの化物としての片鱗を同時に味わったレースである

 

宝塚記念ではユニコーンライオンとレイパパレが逃げる展開。クロノジェネシスが3番手に控え、ヴァーディクトデイは変わらずの最後方だった。

 

実はヴァーディクトデイ、賢すぎるという弱点を抱えており、進路がいっぱいあると逆に迷ってしまう癖があった模様。ロメールはこの弱点を突き、内側の道をわざと開けることでヴァーディクトデイの進路を増やしたと発言している。

 

この作戦は見事に的中!ヴァーディクトデイはこれで上がってこないだろう……と思われていたのだが。なんか馬群の間を突っ切って上がってくるヴァーディクトデイの姿をカメラが捉えた。これには鞍上のロメールもビックリ。というか実際にガチで驚いたとインタビューで答えている。

 

猛追したもののクロノジェネシスには届かずヴァーディクトデイは2着。昨年同様クロノジェネシスとのワンツーフィニッシュであるそしてこの敗戦でグランプリ男でもどうにもならんグランプリ適性のなさを指摘された

 

宝塚記念は敗れたものの、クロノジェネシスとともにフランスへ渡仏。前哨戦であるフォワ賞へ出走することになった。

 

現地でのコメントによると飼い葉食いも悪くなく、調子も絶好調!これは勝ちましたよガハハ!なんていうどう見てもフラグですありがとうございましたコメントもあり不安視されていたが見事にそれが的中した

 

本番のフォワ賞。なんとヴァーディクトデイは先行策に出た←!?実にNHKマイルカップ以来の先行策。大丈夫かと声が上がったが普通にダメでした

 

なんというか馬と騎手の呼吸が合っておらず、負けるべくして負けたレースになった。なんとか上がり最速はキープしたものの、11秒台で逃げ続けたディープボンドを捕らえるにはいたらず。3着という結果に終わる。

 

この敗戦をもって鞍上の金添は潔く「この敗戦は自分の騎乗ミス」と敗因は自分にあるとコメントし、ヴァーディクトデイの鞍上を降りることになった。これはレース前から決めていたことらしく、後任の騎手もすぐに手配できた。

 

その騎手とは……かつてディープインパクトにも騎乗していた、日本人騎手で最も凱旋門賞に挑戦してきたレジェンドジョッキー、鷹隆である。

 


 

 

 

凱旋門賞~長き挑戦の果てに~

 


 

鷹とヴァーディクトデイはこの凱旋門賞が初コンビ。そのため鷹騎手はできるだけ調教でヴァーディクトデイに騎乗する機会を増やしてもらっていたらしい。幸いにもディープに似た走りだったためかすぐに順応。凱旋門賞に向けて良好だというコメントを残している。それにしても

 

・凱旋門賞は鷹騎手が最も欲しいタイトルの1つに挙げている

・かつて相棒であるディープインパクトで挑戦したが3着。しかもその後の騒動も…

・その相棒と似た走りの馬に騎乗することになる

・しかし下手すれば騎乗できないこともあり得た(金添騎手がフォワ賞を勝っていたらそのまま継続だったため)

・そしてこの凱旋門賞がぶっつけ本番の初コンビ

 

どこのドラマだよと言いたくなるような出会いの仕方である。迎えた凱旋門賞は……重馬場開催だった

 

ロンシャンの重馬場はこれまで何度も日本馬が苦しめられてきた馬場。この時点ですでに暗雲が立ち込めていたのである。しかもヴァーディクトデイは最後方からの捲りを得意とする追い込み馬。かなり不利な状況だったのは言うまでもない。

 

そんな不安な状況の中開催された第100回凱旋門賞。アダイヤーとハリケーンレーンが好スタートを切り先導する。クロノジェネシスは馬群の外で追走、フォワ賞で逃げたディープボンドは控える形を取った。ヴァーディクトデイは……最後方を選んだ。最後方でじっくりと機会をうかがっていた。

 

レースが動いたのはフォルスストレート。アダイヤーが先頭で引っ張り、2番手にクロノジェネシスが追走。ディープボンドとドイツ調教馬トルカータータッソが押し上げてきた。そして最後の直線、先頭アダイヤーに食らいつくクロノジェネシス。おぉ!これはクロノジェネシスいけるんじゃないか!?その幻想は、容易く壊されることになる。

 

残り300mを越えた辺りで、クロノジェネシスは失速。ロンシャンの重馬場に脚を取られてスタミナが切れかけていたのである。なんとか粘るものの、後続に追い抜かれ始め勝利は絶望的。ディープボンドも力尽きて後方から抜け出せずにいた。

 

もうダメだ。今年も勝てなかった。結局日本馬は凱旋門賞を勝てない……そんな諦めムードが漂っていた、そんな時だった。

 

THE DREAM STAR's

 

第100回 凱旋門賞

 

誰もが勝利を諦めた、誰もが道が閉ざされるのを見た

 

だがその馬だけには見えていた。勝利への道筋が

 

常識破りの大外一気。最後方からの大捲り

 

僕らの夢を運んで、その馬は遠い異国の地を翔け抜けた

 

人々は、歓喜に震えた

 

「半世紀にわたる挑戦は無駄ではなかった」のだと──

 

勝利に向かって翔け抜けた、その馬の名は

 

ヴァーディクトデイ

CMコレクションDREAM STAR's特別編『ヴァーディクトデイ』

 

大外からかの勇者の如き末脚で猛追するヴァーディクトデイの姿をカメラが捉えた。一瞬ファンは呆然としたものの、すぐに状況を理解して声援を飛ばす。

 

残り2馬身、1馬身!その差をグングン詰めていき…残り100mで先頭に代わった。そして後続との差をつけ、2着のトルカータータッソに3馬身差つける形で。ヴァーディクトデイが第100代の凱旋門賞馬に輝いたのである。1969年のスピードシンボリから始まった凱旋門賞挑戦の歴史に、終止符が打たれた瞬間である。

 

関係者は皆涙を流していた。鞍上の鷹もヴァーディクトデイの背で大泣きしており、人目も憚らず泣いていた。秋畑代表も泣いた。その光景を見て俺達も泣いた。

 

まだ未視聴の方は是非ともこのレースを見て欲しい。公式が選んだ2021年度ベストレース1位は伊達ではないのである。

 

こうして凱旋門賞馬となってヴァーディクトデイは帰国。次の目標としてジャパンカップに出走する……はずだった

 


 

 

 

叶わなかった再戦~日本最後のレース~

 


 

凱旋門賞から帰ってきたヴァーディクトデイはジャパンカップへの出走を予定していた。ジャパンカップといえばそう、コントレイルのラストランである。コントレイルはこのレースを最後に引退するのでヴァーディクトデイ陣営としては最後のチャンス。決着を着けたい!ということもあってかジャパンカップ出走を目標に頑張っていた。

 

だが現実は非情である。ヴァーディクトデイは凱旋門賞の疲れが抜け切れず、飼い葉食いも明らかに悪くなって放牧地のしがらきでガレていたのだ。元々ヴァーディクトデイは疲労が抜けにくい馬であり、この時もモロに影響を受けていたのである。

 

こんな状態で出走させるわけにはいかない。残念だけど諦めるしかない。そのため陣営は年内いっぱいは休養に充てると宣言し、ヴァーディクトデイを昨年同様、生まれ故郷である有北ファームへと放牧に出すことを決定した。この時にひと悶着あったのだがそれは後述。

 

また、この年の年度代表馬は満票でヴァーディクトデイが選ばれた。初の凱旋門賞制覇に5戦3勝。納得の選出である。

 

さてさて年が明けてのヴァーディクトデイ。この年は大規模な欧州遠征をすると発表しており、その準備が進められていた。だが日本で走る姿を見たいというのがファン心というもの。各所で声が上がり欧州遠征の前になんとしてでも!という声が多数上がっていた。

 

流石にこの声を無視するわけにはいかなかったのか、陣営は壮行レースとして日本の重賞を走ることを決定。やったー!ヴァーディクトデイが日本で走る姿が見れるぞー!……と喜んでいたのもつかの間。なんと選ばれたレースはあの日経新春杯である

 

古の競馬民はそれはもうトラウマを刺激された。というか全員トラウマを刺激された。詳しい詳細は省くが、壮行レースの日経新春杯というだけでもう思い出したくない事件が思い起こされるのである。出走しなくていいから早く海外に行ってくれ!とまで言われる始末。なお陣営は出走を選択した

 

色んな意味でハラハラドキドキだった日経新春杯が開幕。ヴァーディクトデイは久しぶりに金添とコンビを組んで挑戦し、最後方からのレースを展開。順調にレースが運んでいる……そう思っていた向こう正面でヴァーディクトデイが突如暴走しだした

 

中京競馬場に詰め寄ったファンは悲鳴を上げる。まさかヴァーディクトデイに何かあったんじゃ!?そう思わずにはいられなかった。止めようにも止まらないであろう状況、歯噛みする状況の中ヴァーディクトデイは……普通にレースを勝った。しかもレースレコード14馬身差というおまけ付きで。

 

ファンは呆然としたものの、すぐに歓声が上がる。そりゃーこんだけの走りを見せられたわけだから上げない方が無理だろう。欧州遠征に向けて、最高の状態であることをアピールしてくれたのである。

 

そして2月。見た目だけなら絶好調を維持したままヴァーディクトデイは欧州遠征を敢行した。

 


 

 

 

欧州遠征~モンスターホースの誕生~

 


 

渡英初戦に選んだのはゴードンリチャーズステークス。……なんぞや?と思う方も多いだろう。これはプリンスオブウェールズステークスの前哨戦に位置付けられているレースだ。最も有名な勝ち馬といえば1972年の勝ち馬ブリガディアジェラードだろう。前哨戦の割には開催されてるレース場違うじゃねーかというツッコミは受け付けない。

 

そして迎えたゴードンリチャーズステークス。僅か3頭立てとなったこのレースは主戦を務める予定だった鷹騎手が日本のクラシックシーズンで忙しかったためサンフランコ騎手が代役で騎乗。この小頭数なら後ろに控える意味はないと判断したサンフランコ騎手は逃げに打って出た。

 

結果は……まーこの時のGⅠ馬はヴァーディクトデイだけでしかもそれが凱旋門賞馬だから相手にならんよね、と言わんばかりの大楽勝だった。その差実に21馬身。しかもサンフランコ騎手は一度も鞭を振るってない。つまり馬なりでの圧勝である。

 

弾みをつけた陣営は本番となるプリンスオブウェールズステークスに出走。6頭立てで開催されたこのレースには2021年の日本ダービー馬シャフリヤールがいた。また他にもコックスプレートとガネー賞の勝ち馬ステートオブレストにドバイターフでパンサラッサと同着だったロードノース、前哨戦のブリガディアジェラードステークスを含む5連勝中のベイブリッジ、ジャンロマネ賞を勝ったグランドグローリーなど中々の役者揃い。そんな中ヴァーディクトデイは1番人気に推されていた。

 

この時から鷹が主戦騎手として最後まで乗ることになる。本番を迎えたプリンスオブウェールズステークス、ヴァーディクトデイはいつも通り最後方からレースを展開していた。ステートオブレストがハナを切り、シャフリヤール、ベイブリッジ、グランドグローリー、ロードノースと続く展開。ヴァーディクトデイは隊列の後ろロードノースからさらに離れること2馬身ぐらいの位置にいた。

 

レースが動いたのは最終コーナーの手前100m付近。ここでヴァーディクトデイが徐々に進出を開始。それを見て他の馬もペースを上げるが…ハッキリ言って次元が違った

 

残り500を切ったところでヴァーディクトデイが大外から上がっていく。しかもこの時のヴァーディクトデイ、何を血迷っていたのか外へ外へと膨らんでいったのである。キプリオスかオメーは。

 

明らかにロスが激しい走り。なのに……後続との差をどんどんつけて馬なりで7馬身差圧勝を叩き出した。鞭を一度も振るわず、手綱も終始持ったまま。もう笑うしかないくらいの圧勝である。レースの映像を見れば分かるが、他の騎手は必死に鞭振るったり手綱を押したりしているのに先頭を走るヴァーディクトデイには一切そんなものが入っていない。うーんこの。

 

この圧勝を受けて次走はエクリプスステークス。このレースも勿論ダントツの1番人気。このレースには仏ダービーを制した新進気鋭のヴァデニがいた。他にもかつてドバイシーマクラシックでクロノジェネシスを下したミシュリフに前走に引き続いてロードノースも参戦しており、今度こそは!と息巻いていた。なお、その意気込みは容易く粉砕されることになる

 

ヴァーディクトデイは相変らず最後方からのレース。最後の直線辺りでヴァデニと一緒に進出を開始するのだが……ヴァデニが可哀想になるぐらいの光景が広がった

 

同じタイミングで進出したはずのヴァデニ。なのになぜかヴァーディクトデイとの差は開く一方なのである。しかもヴァデニの騎手は必死に鞭を振るって押しているにもかかわらず、ヴァーディクトデイに騎乗している鷹騎手は鞭すら振るっていないどう見ても馬なりです本当にありがとうございました。とんでもない差を見せつけられてヴァーディクトデイがレースレコード+9馬身差の圧勝でエクリプスステークスを制した。

 

なんというか、欧州芝に適性があることは分かっていたがここまで成長するのは聞いてないと言いたくなるような活躍ぶりである。またエクリプスステークスの結果を受けてレーティングは134に設定された。勿論日本馬最高評価である。

 

そして陣営は次走にヨーロッパ最高峰のレースの1つ、KGVI&QESを選択した。

 


 

 

 

さらば漆黒の撃墜王

 


 

そうして迎えたKGVI&QES。他の騎手達はリベンジに燃えていた。こうも良いように日本馬にやられて黙ってられるか!って感じだったらしい。ヴァーディクトデイの対策に燃えていた。それフラグって奴じゃ…

 

そういった状況の中迎えたKGVI&QES。パイルドライヴァー陣営が「あのモンスターは俺らが退治してやるよ!HAHAHA!」なんていうどう見ても〇亡フラグです本当にありがとうございます宣言をしていた。

 

注目のレースはというと…最早虐〇に近いレースだった

 

いつも通り最後方スタートのヴァーディクトデイ。そんなヴァーディクトデイはというと…なんと最初のコーナーを曲がった段階で加速を開始した←!?

 

そっから持つんかお前!?と言いたくなるような暴走だったがヴァーディクトデイはお構いなしに順位を上げていく。オールドマイルコースの半分を過ぎた頃にはすでに先頭に立っていた。

 

こっからどうなるんだろうな~と思いながら見ていたファンの目に映ったのは……落ちるどころか後続を引き離していくヴァーディクトデイの姿だった。もう訳が分からないよ。

 

最終的にレースレコード+18馬身差圧勝パイルドライヴァー陣営涙目。ハーピンジャーが記録した11馬身差を大幅更新する形でレースを制した。ガチもんのモンスターじゃねぇかコイツ

 

この結果を受けてレーティングは142に大幅上昇。残当である。ランキングトップに躍り出たどころかフランケルすら超えた。まぁ最終的に修正されたけど

 

そしてこのレース後のインタビューでヴァーディクトデイは凱旋門賞を最後に引退することを発表。二連覇の偉業をかけて凱旋門賞へと臨むことになった。

 

これまで凱旋門賞二連覇の偉業を達成したのは1922年のクサール、1937年のコリーダ、1951年のタンティエーム、1956年のリボー、1978年のアレッジド、2014年のトレヴ、2018年のエネイブルの7頭。ここにヴァーディクトデイが名を連ねる可能性が出てきたのである。

 

そして迎えた凱旋門賞本番。昨年よりも悪化した馬場+雨で視界不良の中凱旋門賞は開催された。この年の日本馬は天皇賞・春と宝塚記念を制したタイトルホルダー、昨年同様チャレンジしにきたディープボンド、グリマルキン絶対〇す血族のステイフーリッシュが参戦した。

 

凱旋門賞が始まった。ハナを切ったのはタイトルホルダー。タイトルホルダーが後続19頭を引き連れてレースを引っ張る。ヴァーディクトデイは相変わらずの最後方でレースを展開する形。今年は20頭立てかつ最重要で警戒されているのに大丈夫か?と思われたが全く問題なかった

 

隊列に大きな乱れはなく迎えた最後の直線。手綱を持ったままでG1・5連勝中のアルピニスタが進出を開始。タイトルホルダーも粘るがこの馬場でスタミナを削られたか失速。ディープボンドもステイフーリッシュも伸びてこずにそのまま落ちていった。そんな中ヴァーディクトデイはというと……。

 

また最後方からぶっ飛んできた。なんなら最後の直線に向いた段階ではまだ最後方に位置していたはずである。けど気づいたらどんどん上がっていき、残り200の頃には先頭に追い付きそうになっていた。やっぱコイツガチのモンスターだよ

 

アルピニスタも必死に逃げるが150m地点で躱される。ヴァーディクトデイはそのまま後続に差をつけていき…最終的に4馬身差つけて見事に凱旋門賞連覇を成し遂げた。史上8頭目、エネイブル以来4年ぶり、牡馬としてはアレッジド以来44年ぶりの快挙である。なんか不吉

 

ヴァーディクトデイは見事に有終の美を飾って華々しく引退。引退式にはかつてヴァーディクトデイに騎乗した騎手達が集まり誰が鞍上に乗るかという醜い争いが起きたものの無事に引退の花道を飾った。

 

ちなみにこの年のカルティエ賞はもめにもめた。なんせこの年にはバーイードがいたのでバーイードとヴァーディクトデイ、どちらがよりふさわしいか!という論争が起こったのである。

 

最終的に、バーイードは引退レースとなった英チャンピオンステークスで4着で敗れたという理由からカルティエ賞はヴァーディクトデイが選出されることになった。

 

総合戦績20戦16勝2着2回。複勝圏内は一度も逃したことはないというまさに歴代最強と呼ばれても文句はない名馬だった。

 


 

 

 

レースの評価・特徴

 


 

最初は王道の先行策だったが後に最後方からの捲り戦法が定着。これは金添騎手の手によるものであり、ヴァーディクトデイの闘争心の高さを活かすためのものだった。当初こそ闘争心が薄いんじゃないか?と言われていたヴァーディクトデイだが実は闘争心は並の競走馬に比べて非常に高く、圧倒的なパフォーマンスを見せてくれた。

 

大外からの捲りを得意としており、勝ちパターンは基本的にこれ。また追い込み逃げとかいうわけわからんスタイルを生み出した。これに関してはネタみたいなものなので気にしなくても良い。

 

反面、賢すぎるという弱点もあり、多くの進路があると迷ってしまって力を出しづらくなるという弱点もあった。しかしこれは5歳時点ですでに克服。隙が無くなったと言えるだろう。5歳時の圧倒的な強さはこの弱点が無くなった影響もあるのかもしれない。

 

走行フォームはあのディープインパクトを想起させる飛んでいるとまで称された走りが特徴。勝ち鞍が2000m~2400mに集中していたが、海外での勝ちっぷりから長距離もいけるんじゃないか?とも言われていた。陣営が中距離路線に絞ると言っていたので走る機会はなかったが、レースを見るに長距離にも十分適性があっただろう。

 

また凄まじいパワーの持ち主であり、どんな馬場でも、例え坂であっても加速するとまで言われている。実際坂でも問題なく加速しており、最後まで持たせていた。またスピードも突出しており、本気で走ったらどこまで出せるか分からないと、ヴァーディクトデイに騎乗した騎手達は口をそろえて言っている。このパワーとスピードは産駒にも遺伝し、欧州にサンデーサイレンス旋風を巻き起こした。

 

総じて底が知れないという評価がぴったりの競走馬。さらに2022年には欧州のマイル路線にバーイード、アメリカにはダートのフライトラインが活躍した時期であり、2022年の競走馬は10ハロン以下ならバーイード(135)10ハロン以上ならヴァーディクトデイ(140)ダートに行けばフライトライン(140)と比較され続けるという地獄のような環境だった。(()内の数字はレーティング)。というかレーティングが130越えるだけでもその年の最強を名乗っても許されるのになんでこの年はレーティング130越えが3頭もいるんだよ。

 

上記の理由からバーイード・ヴァーディクトデイ・フライトラインは世界三強と呼ばれることがある。詳細はCP記事を参照されたし。

 

気性に関してもかなり大人しく、人間の言うことに従順な馬だったお前本当にサンデーサイレンスの2×3か?。騎手の言うことにも従い、乗るのに全く苦労しないとヴァーディクトデイに騎乗した騎手達は口をそろえて言っている。まぁそれゆえにポテンシャルの全てを引き出すのがとても難しい馬なのだが。

 

そんな大人しい本馬が一度だけ暴れたことがある。詳細は後述。

 

馬体重に関しても現役時は最終的に470台後半から480台前半をキープしていた。極端な増減はなかったようである。

 


 

 

 

逸話

 


 

ヴァーディクトデイの逸話で最も有名なものは、やはり歳上の牝馬にやたら好かれるということだろう。ざっと上げるだけでも

 

・レース前に歳上牝馬に絡まれるのは当たり前

・子離れの時に暴れたのは母馬であるケイティーズハートの方

・追い運動の時に牝馬から必ず追いかけられていた

・クロノジェネシスはヴァーディクトデイとよくグルーミングし合っていた

・繁殖に上がってから我の強いことで有名だったジェンティルドンナはヴァーディクトデイがいると落ち着く

・牝馬がヴァーディクトデイを挟むと必ずといっていいほどヴァーディクトデイの取り合いが起きる

・イギリスのエネイブルはヴァーディクトデイのことが気に入りすぎていなくなるだけで鳴く。苦肉の策として彼女の馬房にはヴァーディクトデイのポスターとグッズが置かれていた

・グランアレグリアは大阪杯でヴァーディクトデイに急接近。その後もレースの度に何かを探すようなしぐさを見せる(ロメール曰く「ヴァーディクトデイでも探してたんじゃない(笑)」と言われる始末)

 

……牝馬絡みのエピソードがこれだけある。しかもまだまだある。罪な馬である。

 

実際のヴァーディクトデイはかなりのグッドルッキングホース。写真集が発売されると即完売するレベルの盛況っぷり。しかも歳上に限らず、牝馬には結構モテモテだったようだ。つまりは俺達の敵である

 

そしてヴァーディクトデイを語る上で外せないのは同期にして生涯の宿敵とまで称されるコントレイルの存在だろう。

 

片やクラシックで活躍した無敗の三冠馬。片やクラシック以降に活躍し始めた日本調教馬初の凱旋門賞馬。2頭の対戦成績は2戦1勝1敗であり、決着がつかない状態だった。また、走ったレースはどっちも2000mである(皐月賞と大阪杯)。

 

この2頭はどっちが上だったのか?という議論は今も白熱しており、ジャパンカップのコントレイルはまさに最強だった!いやいや、戦績ならヴァーディクトデイの圧勝!……などと議論されている。結局のところ決着つかずで終わったため、コントレイルの引退レースとなったジャパンカップにヴァーディクトデイが出走していたらどうなっていたのかは誰にもわからない。

 

また、ヴァーディクトデイもコントレイルもどちらもお互いのことを意識している節がある。関係者のコメントによると

 

海藤調教師「有馬記念に出走できないことに駄々をこねていたけど、コントレイルが出走しないと分かった途端急に大人しくなった」

 

矢萩調教師「大阪杯以降、ヴァーディクトデイの名前を出すと露骨にテンションを上げていた。宝塚記念にヴァーディクトデイが出走して、自分が出走できないと分かったらしょんぼりしていた」

 

鷹騎手「ヴァーディクトデイはコントレイルの幻影を追い続けていた」

 

矢萩厩舎の厩務員「冗談でヴァーディクトデイが出走しないと分かって一安心と呟いたらいつもは大人しいコントレイルに蹴られかけた」

 

上記の他にも、コントレイルの馬房にはヴァーディクトデイのぬいぐるみが置かれていたりしていた(なおヴァーディクトデイの馬房にはコントレイルのぬいぐるみはなかった模様)。

 

普段は大人しく、人間の言うことに従順なヴァーディクトデイだが、一度だけ大暴れしたことがある。それはジャパンカップ出走を断念した時だ。

 

ヴァーディクトデイは賢く、このジャパンカップがコントレイルのラストランになることを理解していたと言われている。そのため、ヴァーディクトデイとしてはなんとしてでも出たかったレースなのだろう。

 

しかし疲労が抜けずにジャパンカップ出走は断念。故郷の有北ファームで静養することになったのだが……普段は大人しく馬運車に乗るヴァーディクトデイが拒否。なんとしてでも乗せようとしているところに海藤調教師が現れた。

 

海藤調教師はヴァーディクトデイを説得。この際、ヴァーディクトデイは激しく暴れたという(スタッフもヴァーディクトデイがあんなに暴れたのはこの時が最初で最後だったと証言している)。しかしどうにもならないことを悟ったのか、ヴァーディクトデイは涙を流しながら馬運車に乗った。

 

またコントレイルも普段は大人しいことで有名だが、ヴァーディクトデイをバカにするような発言をすると激しく怒るような態度を見せたという。あら~^

 

お互いがお互いを意識し合う特別なライバル関係。それがコントレイルとヴァーディクトデイだ。

 

残りのエピソードとして、ヴァーディクトデイは現地の馬とすぐに仲良くなるという逸話がある。ヴァーディクトデイは引退後、リース種牡馬として世界中を飛び回っていたのだが、現地の馬とすぐに仲良くなったのだという。

 

サラブレッドは集団動物であり、元々いたコミュニティから別れると不安がる生き物である一部例外有り。そんな中ヴァーディクトデイは、現地の馬のコミュニティにすぐに馴染み仲良くしていたと生産牧場のスタッフ達は口をそろえて証言している。案外馬たらしなのかもしれない。騎手達を狂わせる人たらしな面もある

 

バーイードとヴァーディクトデイ。2022年の欧州を湧かせた二大巨頭だが、陣営同士は煽り合いをするような間柄だった。

 

バーイード側「白黒はっきりつけてやるからこっちにこいや」

 

ヴァーディクトデイ側「は?ふざけんなお前がこっちにこい」

 

なんて状態だったが、バーイードとヴァーディクトデイはとても仲が良く、一緒に放牧地で併走←!?したりしていたらしい。

 


 

 

 

産駒成績

 


 

ヴァーディクトデイは日本調教馬初の凱旋門賞馬として日本で種牡馬をやる……なんてことにはならなかった。これはヴァーディクトデイのインブリードが絡んでおり、サンデーサイレンスの2×3という血量が種牡馬入りを妨げていた。サンデーの血が絡むだけであっという間に奇跡の血量を超える、だがサンデーの血が絡まない牝馬はあまりにも少なく、キングカメハメハ系の牝馬をつけようにも孫世代を考えたら……と、かなりヤバい状況だった

 

日本で種牡馬入りはできない。種牡馬入りすら危ぶまれる状況で手を上げたのがイギリスのシャドモンドファームである。シャドモンドファームはサンデーの血に注目しており、そのサンデーの血が濃いヴァーディクトデイを種牡馬入りさせたかった。そして

 

「是非ウチで種牡馬としてレンタルさせてくれないか?」

 

という声で、ヴァーディクトデイは3年契約でシャドモンドファームで種牡馬入り。そしてこのシャドモンドファームで現地妻と名高いエネイブルとの邂逅を果たす。

 

初年度は日本円で800万スタート。種付けも上手く、受胎率は90%を超えていたらしい。初年度はトレヴを筆頭に150頭ほど種付け。まーサンデーの血の需要が高まっているとはいえまだ様子見の段階だろう。

 

2年目も変わらず800万。この2年目ではエネイブルとの交配が試され、サンデーサイレンスの3×4と Sadler's Wellsの4×3の配合が行われた。この年の種付け頭数はちょっと増えて162頭。

 

そしてそろそろファーストクロップがデビューする頃。どうなったかというと……かなりの産駒が勝ち上がった。また産駒の1頭であるGold VanguardがイギリスG1のフューチュリティトロフィーSを制して早々に産駒がG1初勝利を飾った。その後もGold Vanguaedは2000ギニーを制し英ダービーを2着に健闘するなどかなりの活躍。これを受けて種付け料金も上がり日本円で1,500万に乗った。

 

そして2年目の産駒。エネイブルとの子が活躍する頃。ヤツは、弾けた

 

エネイブルとの子Batistaがデビュー。デビュー戦をレース後に騎手を振り落としたものの8馬身差快勝。その後も順調に勝ち星を重ね3歳馬シーズンに入る。無敗で迎えた2000ギニー。Batistaは2馬身差で快勝。続く英ダービーも馬なりで5馬身差圧勝。その後のエクリプスステークスも古馬相手に大楽勝。英ダービーを馬なり圧勝したことから距離延長も大丈夫だろうということでニジンスキー以来となるクラシック三冠を目指してセントレジャーへと出走した。

 

久しぶりにイギリスのクラシック三冠が見れるんじゃないか?というファンの声に応えるかの如く、Batistaはセントレジャーを3馬身差で勝利。ニジンスキー以来となるイギリスクラシック三冠馬、そして無敗での三冠を成し遂げたのである。

 

そして陣営が次に出走したのは……凱旋門賞。あのニジンスキーですら成し遂げられなかった偉業へと挑戦した。

 

おいおい、それはさすがに無謀だろ。勝てない勝てないって(笑)と笑われていたがそんなの関係ねぇとばかりに出走…したはいいものの。なんとレース前からBatistaは激しく入れ込んでいたのである。

 

このBatista、気性が大人しい両親から生まれたのにもかかわらず、とんでもない気性難っぷりを見せていた。まぁどちらかといえば両親(特に父親)が突然変異なだけで本来はこれが正しいのかもしれないが……。

 

そんなもんだったから久しぶりのイギリスクラシック三冠馬にもかかわらずブックメーカーは4番人気仮にも三冠馬やぞ!。レースも終始折り合いがついてない状況でこれもうダメだろ……と皆が思っている中。

 

最後の直線、父親譲りの剛脚と母親譲りのタフさで中団11番手から差し切ってゴールした。ニジンスキー越えを成し遂げたのである。そして、この勝利を持って長年破られなかったセントレジャーの勝ち馬は凱旋門賞を勝てないというジンクスを見事に粉砕した。

 

その後Batistaはすぐに種牡馬入り。そしてこの結果を受けてヴァーディクトデイの種牡馬価値は爆上がり。種付け料金は一気に2,400万まで伸びた。理由としては、Batista以外にも数々の重賞ウィナーを輩出しており、特にイギリスのSadler's Wells系と相性が良かったヴァーディクトデイの血は重宝されたのである。しかも勝ち上がり率は常に一定のラインを越えていたのでそりゃあ重宝される。ヴァーディクトデイは種牡馬としても圧倒的に有能だったようだ。

 

シャドモンドファームもこの結果には大満足。是非とも契約の延長を!……なんて声があったが。こんな成績を残す種牡馬を他の国が黙って見てるわけもなく。各国でヴァーディクトデイの取り合いが起こる事態だった。なお、日本の馬場には合わなかったのか、勝ち上がり率は海外程良くはなかった。

 

色々あったものの、世界中で種牡馬として活躍したヴァーディクトデイ。最高種付け金額は4,000万にものぼったといわれている(諸説あり)。また、毎年300頭近く種付けしているにもかかわらず、20歳で種牡馬を引退するまで元気であり続けた。

 


 

 

 

主な産駒

 


 

Gold Vanguaed(母トレヴ)牡 主な勝ち鞍:フューチュリティトロフィーS(GⅠ)、2000ギニー(GⅠ)、アイリッシュチャンピオンステークス(GⅠ

 

Batista(母エネイブル)牡 主な勝ち鞍:牡馬クラシック三冠[2000ギニー(GⅠ)、英ダービー(GⅠ)、セントレジャーステークス(GⅠ)]、エクリプスステークス(GⅠ)、凱旋門賞(GⅠ

 

Belflame(母エネイブル)牝 主な勝ち鞍:凱旋門賞(GⅠ)3連覇、愛オークス(GⅠ)、BCターフ(GⅠ)2連覇、ガネー賞(GⅠ)、ジャパンカップ(GⅠ

 

クロノパラドックス(母クロノジェネシス)牡 主な勝ち鞍:天皇賞・春(GⅠ

 

ブラックサレナ(母クロノジェネシス)牡 主な勝ち鞍:菊花賞(GⅠ)、有馬記念(GⅠ)、メルボルンカップ(GⅠ

 

ナインボールセラフ(母ウィンクス)牡 主な勝ち鞍:ドバイターフ(GⅠ)、クイーンエリザベスⅡ世カップ(GⅠ)、ドンカスターマイル(GⅠ)、ジュライカップ(GⅠ)、香港スプリント(GⅠ

 

Bergamot(母ソングバード)牝 主な勝ち鞍:BCディスタフ(GⅠ)、BCクラシック(GⅠ)2連覇、ゼニヤッタS(GⅠ)2連覇、ビホルダーマイルS(GⅠ)、フェブラリーステークス(GⅠ)、チャンピオンズカップ(GⅠ

 

Spread Majesty(母アルピニスタ)牝 主な勝ち鞍:サンクルー大賞(GⅠ)、ヴェルメイユ賞(GⅠ)、ヨークシャーオークス(GⅠ

 

以下追記

 


 

 

 

血統表

 


 

ブラックタイド

サンデーサイレンス
HaloHail to Reason

Cosmah

Wishing WellUnderstanding

Mountain Flower

ウインドインハーヘアAlzaoLyphard

Lady Rebecca

Burghclere

Busted

Highclere

ケイティーズハート

ハーツクライ
サンデーサイレンスHalo

Wishing Well

アイリッシュダンストニービン

ビユーパーダンス

ケイティーズファーストKrisSharpen Up

Doubly Sure

Katies

ノノアルコ

Mortefontaine

 


(4代血統表:サンデーサイレンスの2×3)

 


 

 

 

その他

 


 

 

随時更新予定です。




次回からウマ娘編が本編に。競走馬編のその後もたまに書いていく予定です。

改めて勝ち鞍精査したらめっちゃ走ってるしめっちゃ勝ってる……ってなりました()。
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