キングヘイローは顔を蒼褪めてあんぐりと口を開けていた。
何故そうしているかといえば、待ち合わせの場で待っていた友人達の姿が原因である。
……何かいかがわしい事をしているように映る。
いやいや、駅前なんて公共の場所で、同性同士でそんな事をしているわけがないでしょう。キングヘイローはそう自分に言い聞かせた。
「んっ……」
「……動くなよ……いれづらいからな……」
その言葉に一瞬思考が停止した後、すぐさま嫌な想像が沸き起こってきた。
まさか"セイウンスカイが嫌がっているのに、無理矢理している"のではなかろうか。顎に手を当てて上向かせているのをみるに、ディオスの方から迫っているように見える。
だがキングヘイローからすればセイウンスカイもまた、それを受け入れているように映るのはきっと気のせいではない。
「……だって……コレ苦手なんだもん……」
「我慢しろ……すぐに気持ちよくなるから……」
セイウンスカイはか細い声でそう囁き、それに応じるようにディオスは甘く囁く。その様子はどう見ても……。
そこまでになって、キングヘイローはとうとう我慢ならずディオスの肩を掴んだ。
「ちょっと、公共の場で何を……!!」
振り向いたディオスの手には、目薬。セイウンスカイの片目だけが妙に潤んでいる事から、それを点眼してあげていたのであろうことがすぐに想像出来た。
「…………」
「…………」
「…………」
三者三様に硬直する中で、キングヘイローは顔を赤くさせたり青くさせたり、信号機のような様相を呈していた。
セイウンスカイもまた、彼女の様子を見て、誤解の方向性を理解したようで大慌てで手を左右にヒラヒラと振る。
「あ、あぁ、違うんだよキングちゃん。目薬挿してもらってただけで。私、苦手なんだよねー。自分で挿すの」
「え。あ、そ、そうよね! いくらなんでも公共の場でそんな事しないわよね!!」
しかし一方で、まだ釈然としない様子の人物がいた。ディオスである。
「"そんな事"ってなに?」
……この子、時々話題の地雷を的確に踏み抜きにきてるのはわざとだろうか。そう思うキングとスカイの二人。
「そ、そんな事はさておいてプールに行こうよ。わたし、早く泳ぎたくってさ……」
「そ、そうね……私も早く新しい水着を披露したいわ……」
二人は協力して話題を逸らそうとするが、ディオスは興味津々さがありありと分かる表情で犬が駆けまわるように二人の周囲をぐるぐると回る。
「ねー、そんな事ってなぁに? 教えてよー。ねーねー!!」
「「おしえない!!!」」
二人が顔を真っ赤にして睨みながら叱りつけてきたのを受けて、ディオスはしょんぼりと項垂れるしかなかった。