〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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ヘタクソ

 

 

 ども、私です。前回依桜君のゴールでスタートした試合ですが、今後重要な試合は実況無し、アニメスタイルでお送りします。熱い展開に私の奇声で水を差したくないですからね。動画の冒頭で前回の振り返りをして、後は皆さんアニメを見ている感覚でお楽しみください。

 

 

 それじゃ……いきましょうかね。

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 姫宮依桜の得点で始まったTEAM・RED VS TEAM・WHITEの試合。ハイタッチをして盛り上がる依桜と黒名、凪を取り戻すために冷静に潔達を分析する玲王。好調のTEAM・REDに対し、潔と凪は馬狼の自分勝手なプレーに頭を悩ませていた。

 

 

「馬狼!」

 

 

 試合が再開され、潔が馬狼にボールを渡す。いくら馬狼がパスを出さないとはいえ、TEAM・RED相手に馬狼を使わず勝つのは不可能だ。起こすべくは馬狼との化学反応、潔・凪・馬狼のトライアングルがこの試合の勝利の鍵を握っていた。

 

 

(……とか考えてんだろうな、頭でっかちが)

 

 

 しかし玲王はそれを見透かしていた。そして馬狼がそんな考えに乗っかる様な男ではないことも把握済み。故に潔と対峙しながらも凪との連携を徹底的に警戒し、馬狼の警戒は依桜に任せている。

 

 

「ボクに1人で勝てる未来(ビジョン)見えてる? 独裁者は引きずり下ろされるよ?」

 

「ほざいてろチョロチョロピンクが……!」

 

 

 ボールを持つ馬狼には依桜が付いている。彼を単独で抜き去るのは先程の攻防から鑑みても非常に難しいだろう。潔は馬狼の隣を走り、パスを出すように要求する。

 

 

「馬狼! 出せ、俺に!」

 

「出さないんだろ、ワンマン王様(キング)!」

 

 

 馬狼がパスを出さないことはお見通しだ。潔のマークを外し、馬狼の足元からこぼれたボールを玲王が奪い取った。

 

 

「くっ……!」

 

「あ、レオオ! ボク1人でも取れるのに!」

 

 

 割って入ってきた玲王に文句を言いつつも、依桜はゴールへと走り出す。その動きを警戒していた潔がマークに付いた。同じ手は喰わないと、身体全体を使ってマークをして依桜に飛ばせないつもりだ。

 

 

「やらせるかよ!」

 

「そっちのバカ王様(キング)と一緒にしないでよね」

 

「本命は黒名(こっち)だ、凡人野郎」

 

(……姫宮(コイツ)は囮!? 本命は逆サイドの……!)

 

「ドンピドンピ、完璧だ玲王」

 

 

 玲王の出したパスは依桜の頭上を大きく通り越し、逆サイドの黒名の元へ。依桜に付いていた潔、近くにいた馬狼はフォローが間に合わない。後は凪と黒名の1VS1だ。

 

 

「抜いてみろ、スピード三つ編み」

 

 

 普段ぼんやりとしている凪だが、意外にも身長190cmと恵まれたフィジカルを持っている。天性のセンスも相まって、黒名も簡単には抜けない。

 

 

「ならよーいドンだ、競走競走」

 

「うわ……俺の周りチョロチョロすんな」

 

「うっとおしいか? 光栄だな」

 

 

 フィジカルでは勝てない。故に得意分野で勝負だと、ボールを前に蹴り出し凪の右をすり抜けると見せかけて重心を左に素早く移動させる。重心を崩され、不意を付かれた凪の左を抜けて後はキーパーとの対決だ。

 

 

「楽勝楽勝」

 

 

 飛び出してきたブルーロックマンを回避し、ボールをゴールの中へと置くようにシュートする。ゴールに吸い込まれたボールはネットを揺らし、得点を知らせるホイッスルが鳴り響いた。

 

 

(クソ……! オフ・ザ・ボールと死角、俺の新しい概念(ピース)を使いたいのに……! 馬狼と何とか化学反応を起こさないと何も始まらない……!)

 

 

 潔は悔しがりながらも思考を止めないでいた。どうやったら馬狼との化学反応を起こせるか、どうすれば自分のゴールに繋がるのか。TEAM・REDに勝ち切るビジョンを視ようとしている。

 

 

「おい、いい加減にしろよ馬狼! 潔が完全にフリーだったろ! なんでパス出さなかった!?」

 

「あ? 誰が他人のゴールのためにパスするかよ」

 

「バカかお前? 勝たなきゃ意味ないだろ!」

 

「俺のゴールでな? お前らこそもっと俺の動きやすいように動け!」

 

 

 自分勝手な馬狼のプレーにさすがの凪も馬狼を睨み文句を言った。しかし馬狼が聞く耳を持つはずもなく、逆に自身の動きやすいようにしろと言い返す始末だ。

 

 

「ナイシュ黒名、一気に決めるぞ」

 

「だな、向こうが勝手に揉めてる間に勝ち切る」

 

 

 ハイタッチして言葉をかわす黒名と玲王。そしてそのやや後ろで潔達を見ている依桜。思い出しているのは最初に潔を見た、あの時だ。

 

 

(潔世一……これで終わりなの? あの時の目……透子に似てた気がしたのは気のせい?)

 

 

 依桜が目指すのは透子のプレー。しかし何年練習しても彼女のプレーを再現することは出来なかった。だからこそ、彼女と似た目をしていた潔に期待していたのだ。彼とサッカーをすればなにかヒントを得られるのでないかと。

 

 

「くろなん、レオオ。この試合、5ー0で勝つよ」

 

「ハッ……滾ってんなお姫様」

 

「圧勝圧勝」

 

 

 

(……情報追加(インプット)し直せ……! 凪と馬狼の動き、姫宮・玲王・黒名(アイツら)の動き……! 俺から視える景色を更新しろ!)

 

 

 再びホイッスルで試合再開。潔は冷静に、フィールドを見渡しゴールへの道を模索する。凪へのルートは無数にある。潔からのパスをいつでも受け取り、ゴールを目指す準備が出来ているからだ。

 

 

(マジか……馬狼へのパスコースが完全に死んでる……どこに出しても姫宮に止められる……! それに比べて凪へのルートは無数……! 凪の動きに合わせて……最適な場所は……)

 

 

「ここだろ!?」

 

「……速いパス……!」

 

 

 潔が凪に速いパスを蹴り出す。凪だからこそ取れる、手加減無用のキラーパスだ。

 

「だけどギリ届く……止められるぞスーパートラッパー」

 

「知ってる? いくら俊敏でもさ、人間は急に後ろには進めない」

 

「な!?」

 

 

 追いついてくる黒名。それをかわすために反対方向へのトラップ。高速パスを完全に足元へ収めた凪にしか出来ないスーパープレーだ。

 

 

(俺の想像の上を行くプレー! これが俺達の化学…………)

 

「残念、追いつけるんだねこれが」

 

「……な!? 姫宮!?」

 

「マジか……どっから来たお姫さん……!」

 

 

 凪が黒名を完璧に出し抜きシュートまで行ったと思われた直後、彼の後ろに迫っていた依桜がボールをカットしフィールドの外へと蹴り出した。完全に決まったと思っていた潔と凪は突然現れた依桜に目を丸くして驚いた。

 

 

(今の凪との連携は完全にハマってた。凪の動きまで読んでなきゃ絶対に取れなかったはずだ。それでも防がれたってことは……姫宮(アイツ)は俺より上の何かを視てるってことか!?)

 

 

「どーする潔? あのお姫さんマジでやばいよ。堅いし速いし、黒名と玲王もいる。2人だけで点決めるの難易度高すぎでしょ」

 

「やっぱり……馬狼との化学反応を起こさないとこの試合には勝てない」

 

「それしかないか。でもあの我儘王様(キング)絶対にパス出さないし、ましてや化学反応なんて無理ゲーだぞ」

 

「それでもやるしかない。一旦俺がパサーやるから、何とかゴールまで繋いでいくしか」

 

 

 凪に言った潔は思考を回したながら馬狼の元へと歩く。イラついているのか青筋を立てている馬狼に、冷静に提案する。

 

 

「なぁ馬狼聞いてくれ。今のお前からはゴールの匂いがしない。お前が俺や凪のゴールも考えたプレーをすれば互いのプレーが生きる。化学反応を起こせるかもしれないんだ!」

 

「……うるせぇぞヘタクソ。俺は俺のゴールのために生きる。他人のためにプレーするなら死んだ方がマシだ」

 

「……ッ! でもそれで潰れたら元も子もないだろ! お前はすげぇ才能を持ってるのに、自分でその才能を潰してんだぞ! 俺はお前の才能を見込んでお前と組んだんだ! だけどこのままじゃ終わるぞ、お前!」

 

「おい……口を慎めよヘタクソ。俺に1番イラついてんのは俺なんだよタコが。化学反応だ? そりゃお前がやりたいサッカーだろ? 俺の言う通りに動けって言ってるようにしか聞こえねぇんだよ」

 

「な……ッ!」

 

「俺もお前も所詮は同類(エゴイスト)。やりたいようにしかやれねぇ生き物なんだよ」

 

 

 ガラスが割れるような音が聞こえた気がした。決裂の2文字が頭に浮かび、潔は馬狼の背中を見ていることしか出来ない。なぜ分かり合えないのか、なぜあそこまで1人で戦うことに固執するのか、理解できない。

 

 

「もういいじゃん潔……俺ら2人で勝とうよ。鬼難しいかもしれないけどアイツに頼るよりは可能性あるだろ」

 

「……ああ」

 

 

 凪のスローインで試合再開。潔にボールが渡り、パスコースを探すが相変わらず馬狼へのルートは死んだままだ。攻めあぐねている潔の前に、玲王が立ち塞がった。

 

 

「なぁ潔世一、俺には理解できねーんだわ。なんで凪がお前みたいなダイレクトシュートしか能のないヤツを選んだのか」

 

「……知るかようっせえ! じゃあお前には凄ぇ能力があるのかよ!?」

 

「俺はお前や……凪や姫宮みたいな特別な武器は持ってない。だからこの試合……勝つことに執着する!」

 

「くッ……! 切り返し速ぇ!」

 

 

 凪を取り戻すべく、玲王はスロットルを上げる。特別な武器はなくても、玲王のステータスはどこをとっても優秀、欠点のないオールラウンダーなのだ。

 

 

「レオオ、いいとこちょうだい!」

 

「おお! 決めろ特攻(プリンセス)!」

 

 

 ゴール前、依桜にボールが献上される。フリーのところに抜け出した彼はシュート体勢を取るが、あと一歩のところで後ろから一回り大きな影が現れた。

 

 

「やらせっかよ下民姫が!」

 

「余裕なくなってきたね。周りが見えてないよ底辺王様(キング)

 

 

 馬狼のディフェンス、それに依桜は気づいていた。シュートフェイク。空中に跳躍し撃つと見せかけ、足でボールを右前に送り出す。そこに走り込んでいたのはもう一人の秘密兵器(サブウェポン)

 

 

「ごちそうさまだ。おこぼれおこぼれ」

 

 

 そこに走り込んでいた黒名がダイレクトで合わせ、ゴールの左下に叩き込んだ。ブルーロックマンの反応も間に合わず、3ー0。潔達にとっては絶望的な点差がついてしまった。

 

 

(クソ……やっぱり俺と凪の2人じゃ勝ちきれない……! せいぜい1点か2点取って負けるのがオチ! どーすればいい、ここから逆転する方法は……!)

 

 

 潔世一は思考する。どうすればここから逆転し勝利を手にすることができるのか。そうして思い出した、自分がどのようにここまで生き残ってきたのか。

 

 

(そうだ……生かすんじゃない。喰うんだ、馬狼を! 戦場(フィールド)における適応は相手に合わせることじゃない!)

 

 

「凪、俺ら2人で勝ちに行くぞ」

 

「お、やっとその気になった?」

 

「俺をちゃんと視てろ」

 

「あいあいさー」

 

 

 潔が変わろうとしていた。思考を切りかえ、意識を変化させ、この混沌とした戦場に適応する。それを感じ取っていたのは、味方の凪だけではない。

 

 

「……? こっちにドリブル?」

 

 

 試合開始と共に潔はパスコースの死んでいる馬狼の方へとドリブルで進んでくる。最初は馬狼に付いていた依桜は、右サイドを駆け抜ける潔へとマークの対象を変更した。

 

 

「やけになって単独突破するつもり? 君じゃボクをかわせないでしょ」

 

(黙れ姫野郎、そんなんわかってんだよ。俺の狙いは馬狼の向こう側の天才だ!)

 

「な!? 逆サイドの凪か!」

 

 

 近くに走り込んでいた馬狼、依桜が馬狼のマークを外したことで代わりに警戒していた玲王の頭上を通り抜け、ボールは逆サイドの凪に託された。しかし彼には黒名がピッタリマークに付いている。

 

 

「喰わん喰わん、同じ手は2度は喰わん」

 

「……あ、そう。じゃあこういうのはどう?」

 

 

 黒名に迫られていた凪はボールを右足でピタリと納めた瞬間、ボールごと反転し黒名の逆をついた。咄嗟のトラップに置いていかれそうになる黒名だが、即座に身を翻しシュートコースに身体を入れた。

 

 

「やらせんやらせん!」

 

「マジか、その小回りズルすぎだろ」

 

「ナイスだ黒名、挟んで止めるぞ」

 

「こっちだ、出せクサオ!」

 

 

 黒名のサポートに入ろうとする玲王。その隙を突いてパスを要求する馬狼。しかし玲王の動きはフェイクだった。黒名のサポートに行きつつも、馬狼へのパスをカットできるポジショニング。彼の動きの本質は戦場をもたつかせることだ。

 

 

「どーだ!? こんだけ時間作りゃギリ届くだろ姫!」

 

「うん、マジ最高だよレオオ」

 

「……どこにでも現れるねお姫さん」

 

 

 脅威の速さで凪に追いついた姫宮。黒名と挟めばトラップを失った凪を止めるのは容易だ。

 

 

(あ、そーゆーことか。そこにいるね、潔)

 

 

 だが凪からしか視えていないフィールドの死角。馬狼の更に裏から潔世一(ストライカー)は走り込んでいた。凪はそれを視認し、エゴイストへとラストパスを送った。

 

 

「な!? 潔、いつの間に!?」

 

「まだ……ギリ……触れる!」

 

 

 TEAM・REDは全員、潔の存在を見失っていた。だが依桜だけは凪が出したパスにギリギリで反応し、足の先で触ることに成功した。僅かにコースが変わったが、それでもボールは潔世一の元へと運ばれた。

 

 

「ちゃんと視てたよ、潔世一(エゴイスト)

 

 

 走り込んでいた潔の数歩先に着弾したボール。キーパーとの1VS1を制するのは、潔世一のダイレクトシュートだった。

 

 

(ゴールへの光が見えないなら、自分がその光になればいい! 見ろ馬狼! お前が作ったフィールドの闇は、俺が喰って光に変える!)

 

 

 ゴールネットに突き刺さった潔世一のダイレクトシュート。それを見て顔を歪ませたのは敵チームだけではなく、馬狼照英も同じだった。

 

 

「さぁ、追いつくよ」

 

「ああ……それと馬狼、お前は今まで通りプレーしろ。足手まといになるなよ」

 

「……は?」

 

潔・凪(俺達)の邪魔すんなつってんだよ。ヘタクソ」

 

 

 未だ状況は3ー1。しかし確かに入った1点が、この試合の命運を大きく変える得点であったのは疑いようがない。

 

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