ああ…………負けてもうたよこんちきしょう。
頑張ったんだけどなぁ……負けたらストレス値エグいことになるのはわかりきってたし、ここで原作主人公ぶっ倒してこのゲーム乗っ取ったるわくらいの気概でやったんだけど。
あの
「で……どーする潔?」
「だな、選ぶぞ。誰を引き抜くか」
「……ああ」
……まぁ負けちまったもんはしょうがないっす。まだゲームオーバーになったわけじゃないんで切り替えるしかないですね。ここで選ばれるか、それとも落とされるか非常に重要になってきます。
落とされたらどーなんだろ……ワンチャン依桜君ストレス値MAXで廃人ルートあんじゃね? さっきから全然喋んねーし、現時点でもやばそうなのにさ。
「まぁ正直、能力だけ見れば一択だと思うがな」
「確かに……俺は玲王が欲しいって思ったけど、アイツなら俺達の化学反応に入ってきても消えないでしょ」
「ああ……俺達の化学反応に混ざっても消えない
あ、これはそういうことっすかね。
「来いよ姫宮。お前はまだ力の全部を出し切ってないだろ」
「……!!」
なんで自分を……って顔してますね依桜君。まぁ正直玲王君や黒名君も活躍してたんで誰が選ばれるかはわかんなかったんですが、結局依桜君が選ばれましたと。
“なんでボク……? ボクは結局、潔には勝てなかったのに”
「行けよ、姫宮」
「……くろなん」
「俺達の中心はお前だった、そのツケが
「……うん、次会う時は……ライバルだね」
「おう、負けないからな。リベンジリベンジ」
ああ……くろなん。私は君と離れるのが残念でならないよぉ……。だけどしょうがない、これが
“……楽しかったんだけどな、
さて気がかりなのがもう1つ。これ玲王君の精神状態どうなんすかね? いや依桜君もヤバそうだけどやっぱこの試合でメンタルブレイクされるの彼なんで。
「面倒くさいよ玲王……もう知らない」
あ、ちょうどめんレオしてる。やっぱエグい顔してますけどこれは原作通りなのでまぁいいです。
「なぁ玲王。選ばれる方じゃなくて、選ぶ方になれよ。なんのためにサッカーやってんだお前」
「……!!」
「世界一のストライカーになる人間しか、
世一がトドメ刺してら。エピ凪によると、玲王くん的には凪くんの言葉より世一の言葉がグサッと来たっぽいッスね。……ん? 依桜君、レオオの方に歩いてどした?
「レオオ……先に行ってるね。でもすぐに来るでしょ? ボクもレオオも、こんなところで終われないんだから」
「……姫宮……俺達は……なんでアイツらに勝てなかったんだろうな」
「わからないよ……ねえ、レオオ……余計なお世話かもしれないけどさ、思ってることは全部伝えた方がいいと思うよ。本当にいなくなってからじゃ遅いから」
「……!!」
ああ……依桜君が言うと説得力が違いますね。まぁ何はともあれ、次に進めるのでいいってことで……とはならないっすね。まず依桜君のストレス値確認しないと不安で夜も眠れませんわ。
「……! おい潔!?」
「悪い凪……少し肩貸してくれ」
あ、潔君オーバーヒートしてら。そりゃまあこの時点でメタビなんて使ったらそうなるわな。悟空がサイヤ人編で超サイヤ人になるもんだし、気絶しないだけマシでしょう。
さて……リザルト画面確認しますかね。いうて負けたんで期待できないけど……んにゃ、やっぱ経験値はほぼ入ってないっすね。でもこの時点でゲームオーバーの表示出てないってことはストレス溜まって脱落ってことはなさそう。まずそれは一安心です……こっからどうなるかはマジで予測出来ないけど。
♦♦♦♦♦
「それにしてもすっごい試合でしたね絵心さん。特に潔世一君と馬狼照英君、彼らの覚醒も計算済みだったんですか?」
「いや全然、だけど当然の結果だよアンリちゃん。俺ははなから
セントラルセンターのモニターで試合の様子を観察していた帝襟アンリと絵心甚八。試合中に覚醒を果たした選手達に興奮するアンリとは対照的に、絵心は至って冷静にカップ麺を啜っている。
「いいかアンリちゃん、
「え!? でも彼らのプレーは凄かったじゃないですか」
「大事なのは敗北から何を学ぶかだ。大抵の凡人は敗北という絶望を正しく胸に刻まない。そして無意識に言い逃れをするんだ、諦めないのが正解だと己を錯覚させることで。そうなったらそいつはもうお終いだ、夢を追い続けるだけの亡霊の完成」
「……それと彼らの覚醒に関係が?」
「アイツらは正しく絶望した、そして諦めたんだ。そうすることでしか見えない道筋があり、それが新しい己の可能性になると気づいた。絶望しても尚、戦おうとする者にしか成長は訪れない」
そう言うと絵心は残っていたカップ麺を全て啜り、飲み込んだと思うと大きな溜息を吐いた。その視線の先にあるモニターには姫宮依桜が映し出されている。
「その点コイツは最悪だな。叶いもしない誓いにいつまでもこだわり続けてる……まさに亡霊だ」
「……でも姫宮君の能力は
「ああ……だからこそ惜しい。自分の
♦♦♦♦♦
『ねぇ依桜! このスパイクかっこよくない? 絶対依桜に似合うと思うんだよね!』
『ナイシュー! さっすが、私の見込んだストライカー!』
『え? ディフェンスのコツ? ……う〜ん……フィールドを広く見ることかな、たくさん首振ってどこで何が起こってるか見極めるの。……でもこれはディフェンスじゃなくても同じか……あ! 相手をよく観察することじゃない? ほら、例えば相手が依桜だったらドリブルじゃなくてゴール前の抜け出しを警戒するでしょ? そんな感じで相手を知れば絶対抜かれないよ』
『次はいよいよ全国だね! 私達最強コンビで絶対日本一! それで最後は
『これからもよろしくね、私の最高の
『透子が……事故に……!?』
「……ッッ!! ……ハァ……ハァ……!」
大量の汗を流しながら、依桜は目を覚ました。透子が亡くなってから定期的にあの頃の夢を見る。楽しかった日々の思い出、そしてそれが突然失われる恐怖。透子のことは絶対に忘れないと心に誓ったが、やはり思い出すと辛いこともある。
(ボクは……透子との約束のために……透子のプレーを忘れさせないために生きてきた)
依桜の視線の先には隣のベッドで眠る潔世一がいた。彼らに引き抜かれた依桜は当然、同じチームとして同室で生活することになっている。しかしあれだけ自分を打ち負かした相手と生活するというのも変な気分だ。
(だけど潔世一……コイツはボクを喰って透子そっくりのプレーをした。ボクがやらなきゃダメなのに……どれだけ練習しても出来なかったのに、すぐに適応した)
ベッドから降りて潔の目の前に立つが、電気を消しているので顔はよく見えない。本当は今すぐ蹴り殺してやりたいくらい憎い存在だ。しかしそれが身勝手な憎しみだというのはわかっている、潔は透子の真似をしている訳ではないのだから。多分2人は元々持っていた才能が近いのだろう、それならば潔が透子のプレーをしようとしていた依桜を喰えば似てくるのも当然だ。
そして引き抜かれた後、この部屋に入った時に潔とした会話が依桜の頭から離れなかった。
『ごめん姫宮……お互い熱くなってたとはいえ、色々言いすぎた。ごめん』
『……ねぇ潔……ボクが力の全てを出し切ってないって言ってたでしょ? あれ、どういうこと?』
『……え? ……そうだな……お前を喰った俺だからこそわかることだと思うけど、多分お前のやりたいプレーとお前自身の持ってる才能は噛み合ってない。だからプレーがチグハグになって才能を発揮できてないんだ』
『……は?』
『だけどお前はもっと上に行ける。そう思ったから俺達はお前を選んだんだ』
(……何それ……ボクじゃ一生透子みたいなプレーは出来ない……そう言いたいの?)
無論潔にそんなつもりは無い。そもそも依桜の事情を知る由もないし、ただ思ったことを言っているだけだ。
(何があっても透子との約束は果たしてみせる……だってボクの人生は……透子から貰ったものだから……そのためには)
寝ている潔に顔を近づける。いつかは透子に少し似ているかも? なんて思ったが今はそんなこと微塵も感じない。
(コイツを喰う……それが透子のプレーを再現する鍵になるはず……! だから……ダメだからね……ボクが君を喰らい返すまでは、誰にも負けちゃダメだから。君はボクのモノだからね……世一)
♦♦♦♦♦
……は?
すまん何が起こった? なんかやべえムービー流れたと思ったら朝になりました。我らが依桜君は潔君のベッドに潜り込んでそのまま就寝されたんですけど。
ええ……なにこれ? 憎しみ通りこして愛が産まれたってそういう話? それかベジータさんのカカロットは俺の物だ発言みたいなもん?
……とりあえず現状を言いますと可愛い男の娘が潔君に抱きついておねんねしてます。寝顔可愛いなおい! 言ってる場合じゃないけど可愛いな!
「ん……え!? 姫宮!?」
あ、潔君起きた。そしてだいぶ困惑してますね、まぁ当然だけど。起きたら完璧美少女(男)が自分に抱きついてんだもん。
「なんで俺のベッドに……姫宮、起きろって!」
「……おいうるせぇぞ潔。俺の睡眠を妨げる…………」
あ、
「おい待て馬狼、何か勘違いしてないか?」
「……ふわぁ〜……ん……あ、おはよ……世一♡」
「世一……!?」
最高のタイミングで依桜君起きたんだけど。よく見たら寝相悪いのか知んないけど可愛いパジャマがはだけてるし、傍から見たら事後にしか見えないんだが。
「……おいクサオ起きろ。顔洗ってメシ行くぞ」
「え〜……眠いしめんどくさい〜」
「いいから行くぞ! 動け面倒クサオ!」
へぇ、バロちゃんが凪君連れてくなんて珍しいこともあるもんすね。ぼっち飯とかでも気にしなさそうなのに。
「あー……おい潔。俺とコイツは顔洗って朝メシ食ったらトレーニングしてくる。2時間は戻んねぇから……終わったら換気しとけ」
「おい馬狼!! お前とんでもない勘違いしてないか!? 待てっておい!!」
「なんでお前俺のベッドで寝てんだよ!?」
「ん? 世一を超えるにはどうしたらいいかな? って考えてたら眠くなっちゃって。一緒に寝たら何か掴めるかなぁって思ったんだけど」
「そんなんで掴めるわけないだろ!」
君ほんま試合中と性格変わるね。クソビッチとか言ってた奴のセリフとは思えねぇな。
「とにかく、変な誤解される前に俺達も朝ご飯食べに行くぞ!」
「は〜い」
……なんか依桜君割と平気そう? 試合終わった直後は地獄みたいな顔してたけど、実は意外と平常心保ってたり? とりまステータス画面確認してみましょうか、何かわかるやも知れません。
〖姫宮依桜〗
攻撃力A 87
シュートA 83
ドリブルB 73
パスB 71
守備力S 91
速さS 90
総合評価A 89
固有スキル
〖アクロバティック〗〖マンマーク〗〖俊敏〗〖無回転〗〖スタミナ+Ⅱ〗〖裏抜け〗〖ブロック〗〖トラウマ+〗 〖ダイレクトシュート〗
アクティブスキル
〖覚醒の兆し〗
ん〜、特に変わったところはなさそう? パラメータ上がってるわけでもないし……スキル獲得してるわけでもない
……! ちょっと待って、〖トラウマ+〗!? なんか強化されてません? 1番いらないやつが!
あ〜、これ結構ストレス溜まってるやつだな。多分数値に現れてないだけで結構デバフかかってんなこれ、どうすんのよ。特に次の試合は十中八九凛ちゃん戦だし、試合中に覚醒させないと終わる気しかしない……いやメタビ世一いるから割と五分?
てかメタビ世一で思い出したけど、この時点で世一君メタビ習得してんだよね。それ自体はいいんだけど、これから先ちょっと弊害になりそうなとこがありまして。
それが運のカラクリのとこと主人公感のとこっす。あんまり世一君が強すぎるとかえってこの辺りのピースを手に入れられない可能性が微レ存。……いや天下のサッカー大魔王潔世一ならなんだかんだどっかで習得しそうな気するけどね。もう私の予想できる範疇超えてんでどうにでもなれって感じ。
んじゃ、とりま飯食って部屋に戻ってきました。練習の時間まで自由時間っすな。
「そういえば確認してなかったけどさ、次の対戦相手は凛達でいいよな?」
“糸師凛……あの時の糸師冴の弟。1回世一達に勝ってるんだもんね。でも今度は負けないから……負けちゃいけないもん”
負けちゃいけないもんって可愛いかよ。でも返事してあげて依桜君……凪君も馬狼君も返事しないから世一君可哀想じゃんか。
「おいコラ! 誰だここに靴下脱ぎっぱなしの奴!」
「あ、それ俺のだ。洗濯機入れといて」
「自分でやれ! それにこの……なんだこりゃ……誰だここでメイクした奴!」
「そんなん姫宮しかいないじゃん」
「あ〜ブラシとスポンジは洗って乾かして、他はこのポーチに入れといて〜。よろしくバロりん」
「誰がバロりんだ! 自分でやれクソ
メイド馬狼フルスロットルッスね。とりあえず世一君可哀想すぎんか? 誰かまずさっきの質問答えてあげて。
「ねぇシロー、スマホの充電器貸して」
「いいけど……シローって何?」
「凪誠志郎でしょ? 髪白くてせいしろーだからシロー。嫌?」
「めんどくさいからなんでもいい。クサオよりはマシでしょ」
シローって犬かな? それでいいのか凪君。ま、なんだかんだ馴染んでるみたいで良かったっすね。まぁ色々問題山積みなチームだけど。
あら、世一君どっか行っちゃった。さすがにあんだけ無視されたら怒るか? いや、試合外の温厚モード世一が怒るなんてこと……あるにはあるか。つーかこれはあれっすかね。
あ、世一君視点に切り替わった。
「よぉ蜂楽……探したぞ」
「潔……」
「約束通り奪い返しに来たぜ」
お、蜂楽君と凛ちゃんだ。
やっぱりここでマッチアップっすか。他とやることはまず無いとは思ってましたが、実際その場面を見るとテンション上がりますね。
「戦ろーぜ凛」
「……ああ、対戦相手なんて誰でもいい」
つーこって凛ちゃん達と対戦っすな。ここで負けたら3連敗なんでさすがに勝たなきゃやばい。つーかまた負けたら今度こそ再起不能になりそうだから勝たなきゃマジで終わるよな……。
んじゃキリがいいので今回はここまでにしましょうか。次回は凛ちゃんチームとの試合からっすね。テンポいいな。
そんじゃまた次回の動画で、アディオス! 才能の原石共!