おお…………勝った? マジで勝ったの?
なんか依桜君が操作できなくなった時は詰んだと思ったけど……えっぐいね、これが覚醒ってヤツですよ。いや、原点回帰したわけだからそれもまた違うか? まぁともかく勝利です!
いやぁ言っときますけど凛ちゃん戦って結構負けてる人多いっすからね? オリキャラの性能が足りないとそのまま蹂躙されるし、今回なんかメタビ覚醒しやがってマジで焦りましたよ。まぁこっちの世一君もメタビ持ちなんでまだマシだったんですけど。とにかく、これが私の全力ですよ!!
……え? 最後の覚醒は強制イベントだからお前の実力は関係ないって? ……君のような勘のいい視聴者は嫌いだよ。
“りんりんを奪ってボク達は先に進む。勝った……! 勝てた……! 今は勝利の余韻に浸りたいけど……それ以上に最後のゴールを決めた時、すごい懐かしい感覚だった”
凛ちゃんのあだ名はりんりんなのね。どこぞのビッグ・〇厶みたいだな……。
「おい凛……教えてくれ。最後の最後、俺はお前に勝てなかった。試合に勝てたのは姫宮のプレーがあったからだ。もしあれがなかったら俺達は負けてた……お前に勝つために俺に何が足りなかった?」
「……ハッ、誰の目からも明らかだろうが……“運”だ」
「待ってくれよ……! “運”なんて不確定要素じゃ割り切れない……! 俺は強くなるためにちゃんとした理由が欲しいんだ!」
「“運”という
運のカラクリの話っすね。ここ大事だから皆聞いとくように、つーかメタビ同士の対決だから運のカラクリ出てこないと思ってましたけど普通に来ましたね。やっぱ大事だからかな?
「もっとも……今の俺が何を言おうが負け犬の遠吠えにしかならねぇが」
「……え?」
「覚えておけ潔世一、姫宮依桜。この先でお前らは俺が必ずぶっ潰す。お前らに負けるのはこれが最初で最後だ」
「はは……言ってくれるじゃんりんりん。次も返り討ちにしてあげる」
「いや俺らもいるの忘れんなよ、なぁ馬狼」
「黙れクサオ」
うんうん、チームになるんだから仲良くしないとね。世一以外協調性皆無だけど。次点で話通じそうなのが依桜君か凪君なのやべぇだろこいつら。オシャとかちぎりんってお話できるだけ良かったんやなって。
さて、こっからは原作通り絵心さんによる運のカラクリ解説パートが入るんで後ろに流しつつ色々話していきましょうか。まずは依桜君のステータスを確認しましょう。勝ったことだし上がってるはず。
〖姫宮依桜〗
攻撃力S 92 +5
シュートA 88 +5
ドリブルB 76 +3
パスB 71 ±0
守備力A 87 -4
速さS 92 +2
総合評価S 91 +2
固有スキル
〖アクロバティック+〗〖マンマーク〗〖俊敏〗〖無回転〗〖スタミナ+Ⅱ〗〖裏抜け〗〖ブロック〗〖トラウマ〗 〖ダイレクトシュート〗〖トリッキードリブル〗
アクティブスキル
〖覚醒の兆し〗〖
ほぉほぉ、攻撃力方面の能力値が軒並み上がってる代わりに守備力が下がってますね。ただここはあくまで
これは……精神的にはあまりよろしくないのか? でも能力は間違いなく上がってるし……う〜ん、依桜君の全てを理解するのは難しいってことっすね!
〖トラウマ+〗がただの〖トラウマ〗に戻ってるでそれは良き、〖トリッキードリブル〗っていうのは最近のアプデで追加されたスキルでまぁ読んで字のごとくトリッキーなドリブルができるようになります。
んでアクティブスキルなんですが……〖
“ボールに強力な逆回転をかけることで空気抵抗を極限まで減らしたシュート。空気抵抗により減速せず、また途中で更に加速する”
ほうほう……意味わからん。減速しないのは百歩譲っていいとして加速するのは物理法則的におかしいやろ! まぁ凪君のトラップとかガガ様の鯱とかわりと非現実的なプレーあるからいいのか? いやそれでも意味わからんが。まぁでもカイザーインパクト的な必殺シュート持ててよかったね依桜君。
つーかアクティブスキル覚えたのに〖覚醒の兆し〗は残るんだ。これはもしかしなくても依桜君はあと1回覚醒を残しているってことっすね。透子ちゃん関連まだ全部片付いているわけじゃないから多分それなんだろうけど。
さてさて……ステ確認はこれくらいにして、絵心さんの解説終わって日常パートに入ったのでそっちを見ていきましょうか。凛ちゃん加えたカオスチームの行方はいかに! ってとこですね。
“次の選考は世界選抜……つまり世界のトップスター達との戦いだ。部屋に戻るなり世一は部屋のモニターでそれぞれ選手を確認していた”
「レオナルド・ルナ……アダム・ブレイク……パブロ・カバソス……ダダ・シウバ……マジで世界最強のストライカー達だ……! こんなすげぇ奴らと戦えるんだぞ、俺達!」
『…………』
「って、お前ら聞いてんのか!?」
「いや全員知らないし……めんどくさいし」
「ボク他人の試合なんて見ないからな〜。自分でやらないとつまんないからね」
「おいめんどくさコンビ! タオルも靴下も何もかも出しっぱだぞ! 片付けやがれ!」
(こいつらはもぉ……!!)
いたたたた!! 世一君の胃痛が痛いのが痛いほどわかります。凛ちゃんいなくてこれだぜ?
「てかマジでお前ら1人も知らねぇの?」
「知らなーい」
「ボクは顔と名前くらいなら……でも真ん中の坊主は知らないかも」
「ジュリアン・ロキだろ。フランスリーグで頭角を表してるって超新星だ」
「へー、詳しいねバロリん」
「いずれぶっ潰すべき相手の名前くらい覚えてるだけだ」
はえ〜、意外と知ってるんすねバロリん。いや違和感ないけどさ、依桜君が他人の試合観ないのも解釈一致かな。
「……そういえば凛は?」
「あ〜なんか少し前に出てって戻ってきてないね」
あ、世一と凛ちゃんのラブコメイベのフラグが立った。よ〜し、いっちょ便乗して依桜君への凛ちゃんの好感度も上げちゃぞ〜!!
……いやマジで言ってんすよ? 有識者アニキから凛ちゃんは好感度上げても兄ちゃレベルじゃないと意味ないぞいい加減にしろという声なき声が聞こえますが一旦聞け。
確かにちょっとやそっと好感度上げたくらいじゃあの拗らせブラコンは攻略できません。もしくは世一並の殺意を向けられればあるいは……? まぁそんくらいしないと好感度上げる恩恵はほぼ得られません。
ではなぜわざわざ凛ちゃんと世一のデートイベに便乗するかというと……ぶっちゃけ興味っす! 依桜君混ざったらどうなるかな〜っていうただの好奇心! だってどうせ世界選抜とやるまで暇だもん!
んじゃまぁ世一が凛ちゃん探しに行ったので依桜君も後をつけます! 行け、依桜君! ストーカー開始じゃ!
“りんりんは誰もいない部屋で1人ヨガかなにかに励んでた。世一が真似しだしたのでボクもやってみる”
「お前ら……邪魔だあっち行ってろ」
「お前ってやっぱサッカーのコトばっか考えてんの? 24時間ずっと?」
「……言ったろ、俺は兄貴を潰すためにサッカーをやってる。アイツを超えるには休んでる暇なんかねぇんだよ」
「ストイックだな……でも、お前に喰らいつけば強くなれる気がする。凛……お前は俺のライバルだ」
「……言ったはずだ、お前らに負けるのは最初で最後……次は必ずぶっ潰す」
「ちょ……てめ、ヨガにそんなポーズないだろ!?」
「お前らは一生俺に勝てない……のポーズだ」
草。絶対サッカーに必要ないだろその能力。片手逆立ちって体操選手かよ、少なくともヨガでは絶対にないっすね。当然世一君じゃ真似出来ないんですが、依桜君なら出来るんだなこれが。
「よっと! 意外と簡単だね、りんりん!」
この通りよ、依桜君の身体能力はりんりんにも引けを取らないどころか上回っていくのだよ! あと可愛い!
「チッ……!」
おおっとここでりんりん! 依桜君に対抗してか片手逆立ちの体勢のまま腕立て伏せを始めてしまった! なんという身体能力とバランス感覚、もはや新体操選手を目指した方がいいんじゃないか!
「やるねりんりん! ならこれはどう?」
さぁそして我らが依桜君! 今度は片手逆立ちのまま腕の力だけでジャンプ! 更に支えにしていた右手をジャンプで空中に浮かんだ一瞬のうちに左手に入れ替えた! すごいすごい! そしてこの神業を何度も連発! 手は疲れないのか!? そしてこれは一体何の対決なのか!?
「お、おいお前らその辺にしとけって!」
潔君がたまらず忠告! しかし煽り返された凛ちゃん、依桜君に対抗し片手逆立ちのまま……ジャンプを決めたぁ!
「あ……」
「ちょ……!!」
ここでアクシデントだぁ!! 成功したと思われた片手逆立ちジャンプ支えてた腕入れ替え(長ぇよ)! しかし着地した瞬間凛ちゃんがバランスを崩し倒れた! しかもその先には潔君が!
「お……おい凛てめぇ……ふざけんな」
「…………すまん」
なんと!? 潔君が倒れてきた凛ちゃんの下敷きに。これにはあの凛ちゃんも素直に謝った!! さすがに無実の世一に危害を加えたのには罪悪感を覚えたのか!!
そして我らが依桜君、ここで全力逃走だぁ!!
「あ、姫宮の奴逃げやがった!」
と、いうわけで凛ちゃんとのイベントでした。少しはしゃぎすぎたか? 多少尺が余ったので世界選抜との試合の前の会話イベまで消化して今日は終わりましょうか。それじゃ早速どうぞ。
♦♦♦♦♦
三次
依桜ら
「潔もしかしてビビってる?」
「まぁ……緊張しないって言ったら嘘になるな」
スパイクの靴紐を結んでいる潔に凪が話しかける。緊張からか若干顔が引きつっている潔とは違い凪は至って平常心のようだ。
「怖気付いたかヘタクソ。そんなんじゃ今日の主役は俺がもらうぞ」
「ハッ……ほざいてろよ
「ま、相手が世界選抜だろうがなんだろうがサッカーはサッカーなんだから。要は先に5点決めれば勝ちでしょ?」
「簡単に言うなお前は……」
馬狼や凪の図太さというか動じないところは見習いたいところだ。しかし彼らとの会話で潔の身体も心做しか温まったようだ。
「……で、お姫さんはなんでそんなに鏡を気にしてるの?」
「だって相手は世界のスーパースターなんでしょ? だったら取材とか来てるかもだし……大丈夫だよね? メイクとか、髪型変じゃないかな?」
「お前何しに来たんだよ……」
依桜は手鏡で執拗に自分の顔を確認していた。ピースしたりウィンクしたりポーズを取っている。潔達は全く気づかないが、どうやら普段よりメイクに気を使っているようだ。
「おいお前ら……漫才がやりたいなら他でやれ。俺の足を引っ張んなよぬる雑魚共」
「おーおー滾ってんねNo.1」
「ふん、負け犬が偉そうな口を叩くな」
「勝ったらボクらが世界一ってことでいいよね?」
「ああ……いくぞ」
覚悟を決め、5人は
「ブハ……!
「
「なんかすごい笑ってるけど、世一何言ってるかわかる?」
「いや、全然わからない」
ダダ・シウバとアダム・ブレイク。世界でも屈指のストライカー達は依桜達が入ってくるなりその貧弱そうな見た目を笑ったり、どうやら賭けをしていたのかそれを勝ち誇ったりする。
「あー、なんかすごい舐められているみたいだね俺ら」
「え!? 凪……お前英語わかんの!?」
「まぁ……学校の授業でやるし」
「へ〜、シローでもちゃんと授業受けるんだ。意外」
「いやだいたい寝てるけど。めんどくさいし」
凪が英語ができるという事実に驚く2人。進学校と名高い白宝高校に通っているのだからおかしくはない話だが、極度の面倒くさがりという凪の性格上驚かれても不思議ではない。
「
「what?」
「
「え!? りんりんも英語喋れんの!?」
どうやらダダ・シウバが言ったことが引っかかったらしく、彼に突っかかっていく凛。素人目にもわかるほど英語が堪能のようだ。サッカーしか興味無いくせしてよくやるもんだと依桜は思う。
「ああそうだぜ! 遠征の合間の小銭稼ぎ以外でこんな施設に来る理由ないだろ? な? 女狂いのおっさんも同じだろ?」
「まだ26だ殺すぞ。俺には日本人女性とチョメチョメするという真っ当な観光理由がある。サッカーはついでだ。お前もだろカバソス?」
「うん。オイラはハラジュクに行きたいんだ。カワイイ大国日本の聖地ハラジュクをこの眼で見てみたい」
「チッ……! 俺らとの試合は観光のついでかよ、舐めやがって」
「ええ!? バロリんも何言ってるかわかるの?」
「あ? だいたい何言ってるかくらいわかるだろ。英語の授業聞いてなかったのかヘタクソ共」
なんと仲間と思っていた馬狼も話せないまでも言っていることを理解できていたようだ。これで全く英語が出来ない仲間は潔と依桜だけになってしまった。なんとも頼りないものだ。
「へー、あの赤ちゃん顔の人可愛さに自信があるんだって。お姫さんと同じじゃん」
「……!? ちょっとシロー、こっち来て!」
「え?」
凪に言われた依桜は彼の手を引くとカバソスの前まで歩いていく。いきなり距離を詰められたカバソスはキョトンとしているが、構わず依桜は凪に言った。
「シロー、ボクが今から言うこと訳して!」
「え……めんどくさいんだけど」
「いいから!」
「……へいへい」
面倒くさいので断ろうとするが、依桜のすごい剣幕に押し切られて渋々了承する。そして依桜に耳打ちされた言葉をそのまま英語に訳し、カバソスに伝えた。
「あー……。
「You have the nerve to challenge me to a competition based on cuteness. I'll get my revenge!」
「……なんて言ってるの?」
「いい度胸だね、返り討ちにしてあげる。ってさ」
「へぇ……」
凪が通訳した依桜の言葉を聞いたカバソスはベビーフェイスは崩さず、しかし確かな力を込めて返答した。返り討ちにしてやると、それは可愛さ勝負とサッカーの両方の意味が込められている。それにそれに対し依桜はカバソスとの距離を詰め、やや上目遣いで彼を睨んだ。
「…………」
「どうしたのお姫さん?」
「自分で何か言ってやろうと思ったのに英語が全然わからない! ……えっと……えっと……」
ソバカスを前にして顔を赤くしあたふたと思考を巡らせる依桜。しかしそもそも英単語をろくに知らないのでいくら考えても答えは出てこない。
「こうなったらりんりん! 何か言ってやって!」
ついに言葉が出てこずに1番英語ができるであろう凛に助けを求める依桜。凪ですら呆れる丸投げっぷりだが、凛の方もこっちはこっちでバチバチの最中だった。
「ぶっ潰してやるよ。今日の日本観光がトラウマになるくらいにな」
凛もダダ・シウバに喧嘩を売っていた。普通に考えて先輩も先輩、世界の大スターを相手にこんなことを言えば確実に将来やりづらくなるのだが、凛にそんなことは関係なかった。
「もう! 肝心な時に役に立たないんだから! えっと……悪口悪口…………あ! ……ホース! ……えっと……鹿って英語でなんて言うの?」
「deerだね」
「でぃ……? まぁいいや。ホース! でぃあ!」
「……?」
「姫宮お前……馬と鹿を英語で言っても馬鹿って意味にはならないと思うぞ」
潔が言った瞬間、気まずい空気が辺りを包んだ。当然カバソスにも伝わってるはずもないし、ただその場で馬! 鹿! と叫んだだけだ。依桜の顔がみるみるうちに赤くなっていくのがわかる。もはや髪の毛と同じピンク色だ。
「あはは! 日本人は面白いんだね、こんな叶いもしない計画に人生かけちゃったり、面白い冗談を言ってみたり!」
「何言ってるかわからないけどムカつく!」
「ちょっとルナさん、失礼ですよ。すみません皆さん、この人マジで悪気ないんで」
レオナルド・ルナの無自覚の煽り。何を言っているかはわからないが口調と顔を見ればバカにされていることは想像にかたくない。しかしそれをフランスの超新星、ロキが諌めた。
「よろしくお願いします。いい試合にしましょう」
「えっと……よろしくって英語でなんて言うの? 」
「nice to meet you」
「ないすちゅーみーちゅー」
凪に挨拶を教えてもらった依桜がロキと握手をかわす。彼は礼儀正しいようだが、しかしその顔からは1mmもビビっていないのが感じ取れた。