〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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ガラクタ共

 

 

「害鳥駆除作業だぁ!?」

 

「ああ! お前のスタミナと体幹で烏を徹底マークしてくれ! そうすりゃ俺と姫宮が自由に動けるようになる!」

 

「ざけんな! なんで俺がお前らのために……!」

 

「レギュラーに選ばれたいだろ? TOP6(俺達)とのシナジーをこの試合でアピールできれば選ばれる可能性はグンと上がるぞ!」

 

「ぐッ……!」

 

 

 潔の主張を聞いて当然反発する雷市。しかしこの試合、千切や國神達のように存在証明できていない現状を鑑みて言葉を詰まらせる。今のままではいけないことくらい彼にもわかっている。

 

 

「クソが……いいぜ! やってやろうじゃねぇか害鳥駆除!」

 

「ありがとう雷市!」

 

「うるせぇ、言っとくがお前らのためじゃねぇ! 俺が生き残るためだからな!」

 

「おう!」

 

 

 典型的なツンデレのような返しだが潔は満足気に返事をした。これなら自分、何より依桜が自由に動けるようになる。そうすれば潔とのコンビネーションも使えるし、ゴールの確率もグンと上がるだろう。

 

 

「そろそろ息の根止めたるわ凡姫が」

 

「ああもう! マジでさ! ウザイんだけど!」

 

 

 試合がリスタートしてからも烏は相も変わらず依桜を徹底的にマークしている。この試合で最も危険なのは最上位ランカーである彼で、潔世一も警戒すべきだが現状は二子が封殺できている。ならば自分が依桜を止めれば、敵のランカーは二人とも機能停止するわけだ。

 

 

「オラァァァ!!」

 

「……お前!?」

 

「ライチン!?」

 

「セクシー害鳥駆除業者……開業ォ!!」

 

 

 二人の間に割って入ってきた雷市。そのおかげで依桜への当たりは軽くなった。隙を見逃さず烏を雷市に任せ前線にひた走る。

 

 

(よし、いいぞ雷市! 烏の動きを制限するだけで選択肢が無数に増える!)

 

 

 ボールを持った潔はゴールまでの最適なルートを模索する。さっきまでは烏が依桜の徹底マークについていたため極端にルートが狭まっていたが、雷市が烏を妨害している今は依桜へのパスをほぼ無制限で使える。

 

 

「走れ姫宮!」

 

「ありがとライチン、後でお礼のキスしてあげる」

 

「いらねーよキメェ! 早く行け!」

 

 

 潔からのパスを受け取り、依桜はゴールを目指す。距離にして40mと言ったところか、さすがにシュートを狙える距離ではない。単独でドリブル突破してもいいが、國神、千切、二子の3名のプレスが間に合うだろうし、乙夜も戻ってくる。大人しく諦めて左サイドの氷織にパスを出す。

 

 

「行くよひおりん、ボクに合わせて」

 

「ええよ、好きに動いてみ」

 

「くッ……!」

 

 氷織との華麗なワンツーで國神を抜き去る。潔との連携とは違い、自由に動く依桜を氷織がお膳立てするというコンビネーションだ。素早い依桜の動きにも対応できるパスセンスを氷織は持っている。

 

 

「やらせっかよ! 女顔コンビ!」

 

「はや!? ……ってかちぎりんがそれ言う!?」

 

 

 相変わらずの速さで千切が突っ込んでくる。美形3人の対面、一対一で抜くのはリスクが大きいだろうと依桜は氷織にボールを預けた。

 

 

「やる? ボクとスピード勝負!」

 

「望むところ……!」

 

 

 よーいドンという声が聞こえた気がした。依桜と千切、ほとんど同時に走り出す、だがやはり直線での速度で千切に敵う者はいない。中々千切のマークを引き剥がせず、氷織からのパスを受け取ることができない。

 

 

「ちゅーす、ニンニン参上」

 

「ここ速いやつばっかやなぁ。嫌になってくるわ」

 

 

 氷織に乙夜が追いついてくる。未だ千切を引き剥がせない依桜へのパスは諦め、他のパスコースを探すが……

 

 

「出せ氷織!」

 

「やっぱええとこ走っとるな潔くん」

 

 

 やはり氷織と一番思考を共有できるのは潔しかいなかった。乙夜の横を抜け、依桜が引き付けた千切にも届かない絶妙なコースを狙った受取主に優しいバックスピンパスを出す。

 

 

「ドンピ氷織」

 

「やらせませんよ潔くん」

 

(やっぱ来たな二子……!)

 

 

 唯一彼らの思考を読むことができる二子、彼がパスコースに割って入ってきた。だが潔はその行動にも動じず、何故かパスコースから離れた位置に走り出した。

 

 

「……!? なんでそっちに……!?」

 

「ここだよねー、二子一輝くん」

 

「……!? 柊くん!? ……いつの間に!?」

 

「君みたいなオタク君タイプは必殺技を覚えたら使いたがるって、そういう統計♪」

 

 

 いつの間にか忍び寄っていた柊零次。彼は二子のカットしようとしたパスを更に先に横取りし、ゴール前に走る潔へとパスを出した。

 

 

「もしかしてこの状況全部、君の術中なのかな? 潔世一くん」

 

(二子! お前は自分の眼に酔いすぎなんだよ! だから俺と氷織の連携は読めても、背後から忍び寄る柊には気づけなかった……!)

 

 

 柊からのパスをゴール前、それも完全にフリーな状態で受けた潔は得意のダイレクトシュートでゴールにねじ込んだ。

 

 

「シャア!!」

 

「ナイスシュート、潔くーん」

 

「柊……お前、視えてたのか? 一連のプレー全部」

 

「別にそういう訳じゃないよ。ボクには君と氷織くんの連携を全部把握することはできない。だから唯一君達に喰らいつける二子くんを利用しただけ。彼みたいな人間は一番カッコイイところを狙うだろうからね♪」

 

 

 柊は潔や氷織、二子のようにメタ・ビジョンを使うことはできない。しかし二子の動きのみに注目し、ピンポイントでメタれば頭脳派の柊は喰らいついていける。各々がフィールド上で自分を表現しようと必死なのだ。

 

 

「やっぱ姫宮・潔(あの二人)自由にさせたらあかんな」

 

「お前にも自由はやらねぇけどなァ!」

 

「チッ……! しっつこいなぁ、スタミナストーカーが」

 

 

 烏がボールを持って攻め上がるが、やはり雷市がストーカーのように張り付いてくる。ボールをキープすることは可能だが、こうも邪魔されてはやりにくい。

 

 

「行けや乙夜」

 

「チョリース」

 

 

 自分で攻めることは諦め、乙夜のサポートに徹する。元々二人のコンビネーションでここまで勝ち上がってきたのだ、マンマークされていようとそう簡単にクオリティは落ちない。

 

 

「行かせないよ乙夜」

 

「来たお姫様、めんどくせー」

 

 

 だが持ち前のスピードで依桜が立ち塞がる。いくら乙夜でもそう簡単にはかわせない。

 

 

「守備はやめたんじゃねーの?」

 

「……うっさい。どうしようとボクの勝手でしょ」

 

「ありゃ? 地雷踏んじゃった?」

 

 

 一次選考で会った時はディフェンスに固執していた依桜だが、今はその様子は見られない。積極的に守備に参加する様子もないし、以前のようなストライカーに戻っていた。その事に言及するがどうやら言われたくなかったことのようで冷たくあしらわれてしまう。

 

 

「まぁいいや、俺も勝てる勝負しかしないどこー」

 

「ナイスパス乙夜……!」

 

「しまった……! きんに君……!」

 

 

 乙夜との会話に気を取られて國神に気づかなかった。乙夜から出された依桜の横を抜けるパス。それを受け取った國神はゴールを見据える。ペナルティエリアのやや外、彼のキック力なら充分狙える位置だ。

 

 

「貫け……!」

 

「やらせっかよヒーロー!」

 

「潔……!?」

 

 

 國神の放ったミドルシュートを潔がゴール前でかろうじてカットした。弾かれたボールは無造作にペナルティエリアの外へと転がっていく。

 

 

こぼれ球(ルーズボール)……!」

 

「OK、行っとるで」

 

「俺も届くっての……!」

 

「ホンマ速いなぁ君……」

 

 

 こぼれ球を確保した氷織、だが千切が持ち前の俊足で追いついてくる。迷っている暇はない、最速で前を走る柊にパスを出した。

 

 

「あれ? もしかしてゴール狙えちゃいます?」

 

「それは早計ですよ占い師さん」

 

(……! ボクのトラップを警戒したポジショニング……!)

 

 

 ライバルリーで凛が凪相手にやっていたような柊の武器、トラップを封じ込める二子の位置取りだ。前に出してもその場で収めても対応できる絶妙なポジショニング。

 

 

「じゃあこうするまでだね」

 

 

 悠長にトラップをしていてはボールを取られる。故に柊は素早く逆サイドを走る依桜にパスを出した。ボールを受け取った依桜はすかさず横を走る氷織にボールを流し自身はゴール前にひた走る。

 

 

「チ……! やらせるかいボケ姫が」

 

「だから行かせねぇっての!」

 

「ウザイなぁストーカー、ならこれでどうや」

 

「ぐぉ……!? 強引なハンドリング……! ファウルだろ!?」

 

「一発限りの騙し討ちや」

 

 

 雷市のストーキングをファウルスレスレの強引なハンドリングで振り切った烏。二度目は使えない不意打ちだが雷市のマークを剥がした烏は依桜を妨害しに走った。

 

 

「そこやね姫宮くん」

 

「出してひおりん……!」

 

「やらせへんでNo.3」

 

「……害鳥!?」

 

 

 雷市のマークを抜け出してペナルティエリア内にいる依桜の妨害に来た烏。身体を当てられ、動きを封じられた依桜に氷織からのパスが飛んでくる。

 

 

「害鳥野郎のご帰還やで」

 

「マジでさぁ……! いい加減にしてよね!」

 

 

 烏の執念深さは想像以上だった。これではさっきのように動きを封じられてしまう。

 

 

「姫宮!」

 

「……世一!」

 

 

 そんな時だ、フリーで潔が走り込んできた。恐らく烏が雷市のマークを外れた時からこの状況を想定していたのだろう。自身のゴールを諦め、潔にパスを出せば確実に一点が返せる。

 

 

 ──だが。

 

 

(誰がパスなんか出すか……! もうこの害鳥はボクの手で殺さないと気がすまないっての……!)

 

 

 地獄の果てまで追ってくるようなストーキング害鳥にはもううんざりだ。潔にパスを出すのも助け舟を出されたみたいで気に食わない。イラつきがピークに達した依桜はファウルになってでも烏に一泡吹かせてやろうと決めた。烏の身体を起点に飛び上がり、身を翻し空を舞った。

 

 

「……!? お前、どういう身体能力してんねん……!」

 

「くふ、気になる? ボクの身体」

 

 

 そのまま飛んできたパスに対して回し蹴りの要領で足裏をぶつけシュートを放った。本来シュートなど撃てる体勢では無いので、他のフォローも間に合わず不意をつかれたブルーロックマンの横を抜けシュートはゴールネットを揺らした。

 

 

「どう? まだボクの息の根、止めれそう?」

 

「チ……! これだから非凡はめんどいねん。せめて人間にできる動きしろや」

 

 

 依桜のゴールで4-3、勝利まであと1点のところに迫っている。依桜を止められなかった烏は当然として、もうあとが無くなったことにより千切や國神、二子の顔にも焦りが見えている。

 

 

「逆回転からの回し蹴りって……アニメかよ」

 

「あのエグすぎる身体能力がNo.3たる所以……ですか」

 

(……確かに、速さ、反射神経、加速するシュート……姫宮の武器は色々あるけど、一番はあのエグすぎる身体能力だ。多分……単純な比較なら凛や士道よりも上……!)

 

 

 千切と二子の言葉を聞き、潔は脳みそを動かす。今は同じチームだが近いうちに超えなければならない存在、それが依桜だ。彼の分析をすることは潔が上に登るためには欠かせないことだろう。

 

 

(……絵心の判断基準はわからないけど……多分TOP3の凛・士道・姫宮に明確な差はない。ほぼ同率みたいなもんで、誰が一位になっててもおかしくない)

 

 

 実際潔の予想は当たっていて、TOP3の差はほとんど無いに等しい。絵心がどのような基準でランキングを決めたのかはわからないが、少し状況が違えば順位は変動していてもおかしくないと言える。

 

 

(単純なストライカー適正……もっといえばPA内での得点力は多分士道がダントツ。だけど読みや総合力なら凛、身体能力や密集した敵陣を切り崩す速さは姫宮が勝ってる。俺も含めると……大体こんな感じか……?)

 

 

 総合力・凛>姫宮>士道>潔

 

 読み・ 凛=潔>>士道=姫宮

 

 PA内得点力・士道>凛=姫宮>潔

 

 速さ・姫宮>凛=士道>潔

 

 身体能力・姫宮>士道≧凛>>潔

 

 

(俺は読みって一点だけならTOP3にも勝てるかもしれないけど、その他の能力では何一つ勝ててない。つーか読みも凛とは競るくらいだし、アイツらに勝つにはもっと……別の何かがないと……!)

 

 

 潔がTOP3に勝つために脳みそをフル回転している中、敵チームに動きがあった。烏がチームを集め、作戦会議を始めたのだ。

 

 

「お前らちょっと集まれや。このままじゃ負けるな俺ら」

 

「いい気分しないけど、まぁその通りな。萎えるー」

 

「そうならんために頭使うんやろが。まぁ聞けや」

 

 

 烏が話す作戦を千切達も黙って聞いていた。まだ自分の力の全てを出し切ったと言えるほど活躍できていない。ここらでもう一発、実力を示したいのは全員同じだ。

 

 

「……なるほどな。でも意外、お前俺たち下々にアドバイスとかくれんだな」

 

「使えるモンは全部使ったる。俺かて負けるのはごめんやわ」

 

 

 TOP6以外の面子も使おうとする烏に千切は少し驚く。試合が始まる前は守備だけ任せると言っていたが、あと一点取られたら終わりの状況ではそうもいかないのだろう。

 

 

「……! アイツら、ポジション変えてきたな」

 

「ホントだ。え〜、今度は何してくるつもり?」

 

 

 相手は烏のワントップ、サイドに乙夜と千切を置き、裏に國神と二子というフォーメーションに変えてきた。さっきまでは烏と乙夜のツートップだったのがサイドに重きを置いた布陣に変わっている。

 

 

乙夜・千切(あの二人)の速さを使う作戦にも見えるけど……烏が今更そんな単純な手を使ってくるのか?」

 

「そうやね、このままやられるほど烏は甘くない」

 

 

 潔と氷織は警戒心を強くした、このまま終わるわけがないと。そして再びホイッスルの音と共に試合が再開された。

 

 

(とにかく……烏を封じるのが最優先……!) 「雷市!」

 

「いちいち言われなくてもわかってらぁ!」

 

 

 また雷市が烏のマンマークについた。作戦を変えてこようが相手チームの主軸は彼だ、彼を封じればチームの動きを大きく阻害することが出来る。

 

 

「ホンマに鬱陶しいなぁ。逮捕状出したるわストーカー」

 

「やってみろよ害鳥野郎……!」

 

 

 ここまではさっきまでと同じ流れ、ボールを持った烏を雷市が封じ込める。だが烏の作戦はここからが肝だ。

 

 

「走れや両翼」

 

「アゲアゲでぶっちぎる」

 

「おう……!」

 

(千切と乙夜が両サイドを全力疾走……!?)

 

 

 その時、烏のアイコンタクトを合図に左サイドを乙夜、右サイドを千切が駆け上がった。乙夜には依桜がついているが、右サイドの千切はフリーだ。

 

 

「出せ烏……!」

 

「行かせねぇよお嬢……!」

 

「潔!?」

 

 

 しかし千切へのパスコースを潔が塞いだ。これでは烏から千切へのパスは出せない。しかし両翼が走ったことで開いたフィールドの中央、そこにヒーローが走っていた。

 

 

「悪ぃな横入り」

 

「ええできんに君」

 

「國神てめ……!」

 

 

 烏から國神へのパスが通り、雷市が不満そうに声を漏らす。しかし國神には氷織と柊がチェックに行っている。ドリブルにそこまで秀でている訳では無い彼では二人を抜くことはできないだろう。

 

 

「……!?」

 

「君身体強いなぁ……」

 

 

 ドリブルではなく國神の強靭な肉体を活用したボールキープ。氷織と柊の二人を同時に相手にしても崩されない協力な体幹は國神の唯一無二の能力だ。

 

 

「でも君の情報(データ)上、ここからじゃ撃てないでしょう?」

 

「クッ……!」

 

(なるほどな……中央で國神にボールをキープさせて左右の千切と乙夜のスペースを開けるのが狙いか)

 

 

 ゴールまで40m近く、いくら國神でも積極的に狙える位置ではない。故に選択肢はパスに限られる。乙夜には依桜がついているので警戒するのは千切へのコースのみでいい。

 

 

「って、君なら読んでくると思いましたよ潔くん」

 

「二子……!?」

 

 

 改めて千切へのコースを塞ごうとした潔を二子が妨害しに来た。パスをもらいに行くのではなく、あくまで潔の邪魔をするためだけのムーヴだ。

 

 

(まさか……俺が國神から千切へのコースを読むと想定して二子を張らせてたのか……!? 烏……やっぱ曲者!)

 

「行けお嬢」

 

「ナイスヒーロー」

 

 

 右サイド、開かれた広大な領域を赤豹(レッドパンサー)が駆け上がる。あっという間にPA付近までたどり着いた時、ようやく敵のディフェンスが追いついてきた。

 

 

「シュート阻止……!」

 

「遅せぇよちょんまげ!」

 

 

 柊の横を抜け、センタリングが依桜のマークをかいくぐった乙夜の元へと送られた。

 

 

「やっぱその速さ、テンションぶち上がる」

 

 

 乙夜のヘディングシュートで再び同点。一瞬目を離すことも許されない熱いゲーム展開だ。

 

 

「次取った方の勝ちだ、行くぞ姫宮」

 

「うん、決めた奴の総取りだね」

 

 

 リスタートと共に依桜は氷織にボールを預けて走り出す。最後の一点はこの試合の中でも最も印象に残るゴールになるだろう。ならば、それを決めるのは自分だ。

 

 

「いいねお姫さん、やっぱゴールバチバチの方が似合ってるよ」

 

「うっさい、引っ込んでなコソ泥忍者」

 

 

 フィールド上での煽りあいもピークに達している。潔と氷織が連携で攻め上がり、ゴール前にパスを求める依桜が走った。

 

 

(ボクはストライカーだ。ゴールを決めなきゃ、存在価値はないと同じ……!)

 

「やらせねーよ」

 

「ここで潰します……!」

 

「邪魔なんだよ、ガラクタ共……!」

 

 

 氷織からのパスが来る。しかし二子と乙夜にシュートコースを阻まれていて狙うのは難しい。だけどゴールを決めなければならない。それが自分の選んだ生き方だからと、足を振り抜く覚悟を決める。

 

 

「……!?」

 

(あれは……凪のやってたシュートフェイク!?)

 

 

 シュートをすると見せかけてボールの底を擦り、浮き上がらせるテクニック。最初に依桜達と戦った時に凪が見せたプレーだ。この中で唯一あの場にいた潔は、依桜のプレーが凪から着想を得たものだと気がついた。

 

 

「撃たせねぇし」

 

 

 しかし凪のそれと比べてさすがに精度は数段劣る。ボールを高く上げすぎたために、二子はかわせても乙夜に体勢を立て直す時間を与えてしまった。

 

 

 しかしそこは依桜、持ち前の身体能力で空を舞い、自分の肩ほどに浮き上がったボールに無理やり足を合わせ、シュートをゴールにねじ込んだ。

 

 

『試合終了! 5-4 チームBの勝利!』

 

 

 試合終了を告げるアナウンスが鳴り、選手達は肩の力を落とした。勝ったのはBチームだが、フィニッシュを持っていかれて悔しいのは全員が同じだった。

 

 

「クソ……全部持っていきやがったな天才(プリンセス)が」

 

 

 悔しそうにしながらも、依桜の才能に思わずニヤける潔。壁はこれくらい高い方が越えた時に気持ちいいものだ。まだ試合は残っている。次の試合こそ依桜に勝つと、潔は決意を改めるのだった。

 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ──日本フットボール連合極秘会議室。

 

 

 日本のサッカーを統括、発展させることを目的に活動している団体。その本部である建物の一室、機密事項を含む会議などを行う部屋で二人の中年男性が話をしていた。

 

 

「わかりました、不乱蔦会長。この法一が責任を持ってU-20代表を勝利に導きます!」

 

「さすが法一っちゃん! 任せたよ、なんたってあの糸師冴が出るんだからねぇ。ビッグニュースをビックマネーに変えるチャンスだよ」

 

 

 日本フットボール連合会長の不乱蔦と、U-20日本代表監督の法一だ。ブルーロックイレブンとの試合を控え、作戦会議という名の確認を行っていた。負ける可能性など考えていない、糸師冴を利用した金儲け、彼らが考えているのはそれだけだ。

 

 

「ちょ、冴ちゃん勝手に……!」

 

「おーおーよく来たね糸師冴くん! わざわざミーティングに参加してくれるなんて!」

 

「よろしく天才くん!」

 

 

 その時入ってきたのは話題になっていた天才、糸師冴。笑みを浮かべ握手を求める二人を見た冴は不機嫌そうな顔でマネージャーに聞いた。

 

 

「おい、誰だこのデブとオカッパは」

 

「会長と監督さんだよぉ! あんまり失礼のないように……」

 

「なら話が早いな、おいオッサンら。その日本代表とやらの映像をチェックしたがはっきりいってクソゴミだ。特にFWは使い物にならん、ヘボを煮込んだゲロしかいない」

 

 

 失礼なんて言葉じゃ生ぬるいくらいの冴の暴言に全員が固まった。しかしそんなことは知っちゃこっちゃないと冴は言葉をまくし立てた。

 

 

「俺は青い監獄(ブルーロック)の連中と試合ができるからこの招集を承諾したが……こんな小学生の習い事レベルじゃ話にならん。辞退する」

 

「私のチームを侮辱する気か……?」

 

「まーまーまーまー! ここは抑えて法一っちゃん!」

 

 

 続く暴言にさすがに反論しようとする法一だが、不乱蔦はこれ以上冴の機嫌を損ねないように彼を諌めた。本当に冴に辞退されると冗談でもなんでもなく億を超える損失があるだろう。それは何としても避けなければ。

 

 

「フォ……FWが気に入らないんだね? なら誰か新しく招集していいよ? 何ならオーバーエイジ枠……南野でも、堂安でも、中島でも!」

 

「……誰でもいいんだな?」

 

「うんうん! 日本人なら! カズでもラモスでも!」

 

「それなら……青い監獄(ブルーロック)()()()、組んでみたいFW(バカ)がいる」

 

 

 冴を逃がすまいと擦り寄る不乱蔦。それに対しての冴の要求、それはブルーロックイレブンにも大きな影響を与える重要なものだった。

 

新英雄大戦 依桜君に選んで欲しい国は?

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  • スペイン
  • イタリア
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