〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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ファック・オフ

 

 

「シャッハー!! ホラホラ冴ちゃん、約束通り連絡先教えろよん♪ インスタ? X? LINEも全部繋がるぞ!」

 

「……チッ、うぜぇ悪魔だな。試合終わったら教えてやるから俺に触るんじゃねぇよ」

 

 

 ハットトリックを決め、冴に抱きつく士道。約束していた連絡先の交換を熱心に訴えるが、冴的にはやはり士道のノリは好きじゃないようだ。

 

 

「くッ……!」

 

「柊……惜しかったな。お前のディフェンスは二子の代役として十分に機能してた。でもそれだけじゃ止められない。士道・姫宮(アイツら)を止めるには、超越視界(メタ・ビジョン)だけじゃダメだ……他に何か、特別な武器がないと」

 

「ええ……だからボクは巨大情報網(ビッグデータ)超越視界(メタ・ビジョン)を組み合わせるという新スタイルで彼らとの戦いに臨んだ。実際……ある程度は通用していた。だけど……」

 

 

 頭脳派かつ、同じメタ・ビジョン使いである潔と柊が思考を巡らせる。今の士道と姫宮の攻撃力は異次元のレベルだ。FWとしての能力だけなら冴と同じ新世代世界11傑(ワールドベストイレブン)の一角にすら食い込めるかもしれない。そんな二人を止めるのは、いくら潔達でも至難の業だ。

 

 

「そういやお前とちゃんと話すの初めてだけど……その巨大情報網(ビッグデータ)ってなんなんだ?」

 

「ああ……知ってます? 占いの基本は統計学ってコト。性格、思考、行動パターン……人間の歴史の膨大なデータを分析して、そのヒトの未来を確率で予想する。ボクはそれをサッカーに当てはめてるだけです」

 

「なるほど……性格とかまで含めて分析してるのか」

 

「だけど……統計学は所詮過去のデータから推測するだけ。爆発的に進化するエゴイスト相手には通用しない。そんな時のためのサブプランとして超越視界(メタ・ビジョン)を取り入れてみたけど……上手くいかないもんですね」

 

「いや待てよ……性格…………もっと広く考えるべきか? ……てことはつまり…………」

 

「……潔くん?」

 

 

 柊との会話を途中で区切り、潔は自分の世界へと入っていってしまった。顎に手を当て何かをブツブツと呟いている。怪訝に思う柊だが、もう試合が再開されるのでそれ以上潔には話しかけなかった。

 

「ねぇねぇさえち! ボクもハットトリック決めたら連絡先教えてくれる?」

 

「は?」

 

「だって士道とだけしてボクとはしてくれないのは不公平じゃん!」

 

「……タラレバじゃなく結果を出してから言え」

 

「は〜い! じゃあすぐにもう一点取るから待ってて♡」

 

 

 依桜にとってはどうやらもう一点取るのは確定事項。なんならその先すら見えているようだ。それがブルーロックイレブン、特に凛は癪に触った。試合再開、二点をリードされているブルーロックは前のめりに攻め上がってくる。

 

 

「まだわからないのか愚図弟。士道・姫宮(アイツら)に勝てないお前はここで惨めに沈むだけだ」

 

「うるせぇよゴミ兄貴が……! てめぇの勝手な杓子定規で俺の限界を決めつけんじゃねぇ……!」

 

 

 前半に続く兄弟喧嘩第二ラウンド。凛のドリブルを冴が止めるというさっきとは真逆の構図だ。しかし今の凛のサッカーは所詮冴の真似事。兄には当然勝てるはずもない。

 

 

「今のお前のサッカーを見てるとイライラすんだよ。あの日からお前は1mmも成長してない。凛……やっぱり俺にとっちゃお前はカスで目障りなクソ弟だ」

 

「……!?」

 

 

 二度目の兄弟対決、その軍配はまたしても冴に上がった。凛からボールを奪った冴は地面にうずくまる凛に対して最後の言葉を放つ。

 

 

「よく見とけ。これが世界一のストライカーを目指す……バカ共の姿だ」

 

「……は?」

 

 

 ボールを奪った冴は前線、依桜と士道が走るペナルティエリア内を見る。蟻生と柊がそれぞれマークについているが関係ない。もしも彼らが世界一のストライカーになる器ならば、そんなもの苦にならないと。

 

 

「行け……ストライカー共」

 

 

 冴からのラストパスが出される。ブルーロックの警戒は頂点に達していた。依桜か、士道か、一体どちらへのパスなのだと。しかしその答えは意外な形で示された。冴の出したパス、その狙いは依桜、士道、その両者だったのだから。

 

 

『……!?』

 

 

 パスに追いつこうとした依桜と士道は驚く。同じ場所、同じタイミング。冴のパスは二人の理想のゴールの形にピッタリハマるもの。つまり相容れない二人に共通するゴールという結果に結びつくパスだったのだ。

 

 

女王の全壊一撃(クイーン・ストライク)×龍聖・直下蹴弾(ドラゴン・ドライヴ)

 

二重破壊衝撃波(ツインインパクト)!!! 

 

 

 冴のパスに反応した依桜と士道。彼らが辿り着いた結論、パスの着地場所は同じだった。世界級のミッドフィールダーと世界級のストライカー。この三人の夢中が重なった瞬間、誰にも予想できないツインシュートが誕生した。

 

 

「いや無理だろ……」

 

 

 二回加速して尚且つ落ちるドライヴシュート。今このフィールドで最も熱いストライカー二人のシュートはさすがの我牙丸も一歩も動くことが出来ない。前代未聞の軌道を描いたシュートはゴール右隅に突き刺さり、ゴールネットを突き破りその先の壁に激突した。轟音と共に破裂したボールはプスプスと焦げ臭い匂いを放っている。

 

 

『ご、……ゴ──ール!!! なんというパス! なんというシュート! 士道龍聖と姫宮依桜の放つツインシュートが決まったァァァ!!』

 

『いやいや……ゴールネット破るとかアニメじゃん。ははっ!』

 

 

 驚愕のミラクルシュートに観客と実況席は大盛り上がり。高いところから見下ろしているサッカー協会のお偉いさん方もどんちゃん騒ぎだ。

 

 

「おい冴ちゃん! 天才かよお前! あ〜脳汁ドバドバ〜♪」

 

「やっば……! パス来た時はまさかと思ったけど、ボクと士道二人同時に狙うパスとかインチキ過ぎでしょ! ま、咄嗟に合わせられたボクが一番凄いんだけどね!」

 

「……どけ馬鹿共!」

 

 

 ゴールが決まったのを見届けた二人はすぐに冴の元に駆け寄って彼に飛びついた。二人分の体重を支えられず倒れた冴はイラついた顔で二人を押し倒して拘束から脱出する。

 

 

「最高だコノヤロウ! これで4点目! 俺史上最強に気持ちいいゲームだっつーの!」

 

「……は? いやいや、今のはボクのゴールでしょ。士道はアシスト! てことでさえち、ボクとも連絡先交換ね!」

 

 

 なんだかんや盛り上がっていた空気。それは依桜の言葉で崩れ去った。依桜と士道はそれぞれを強く睨みつけ牽制する。

 

 

「あ? どー考えても俺のゴールだろクソ女王様。目ん玉腐ってんのか? お?」

 

「は〜〜あ……これだから性欲モンスターは嫌いなんだよね。ボクが! そっちに合わせてやったのわからない?」

 

 

 二人の間にバチバチと火花が飛び交う。そもそもツインシュートなどルールで想定されていないので、この場合どちらのゴールになるかは主審の判断に委ねられるのだが、そんなこと関係ないと自分のゴールだと彼らは主張し続ける。

 

 

「ハイハイその辺にしとけお二人さん。VARの結果女王様のゴールって判定らしいぜ。姫宮の方がボールに触れてた面積が広いってな」

 

「ほ〜ら! 残念無念また来世ってやつだよ悪魔ちゃん!」

 

「ハイ殺す……!」

 

「だからやめろっての」

 

 

 主審の判断はどうやら依桜のゴールという結果らしい。それを愛空が伝えた時、遂に士道が依桜に飛びかかるが愛空がそれを間一髪で止めた。依桜は士道を煽りながらも若干距離を取っている。

 

 

「ま、ナイスゴールだったぜお二人さん。俺らも負けてられねぇな」

 

「そうだよ、あと3点は取るからアシストよろしく♪」

 

「あいあい」

 

 

 依桜と士道のゴールはU-20にも強い刺激を与えている。特に閃堂は苦虫を噛み潰したような、そんな顔をしている。悔しいという感情が言葉にせずとも伝わってくるのだ。

 

 

「クッソ……止めれるかよあんなモン」

 

「やってくれるやないかボケが……」

 

(クソ……クソが……! 俺じゃダメなのかよ……! 糸師冴は俺じゃなく士道・姫宮(アイツら)を選んだ……! 日本を変えるのは俺じゃなく……アイツらなのか……!)

 

 

 対して点を決められたブルーロックは一様に表情を乱している。3点差、しかもあんな強烈なゴールを決められてはそうなっても仕方ないのかもしれない。それは冷静沈着な凛も例外でなく、誰よりも悔しそうに依桜達を睨みつけていた。

 

 

「わかったぞ……アイツらのゴールのカラクリ……!」

 

「潔?」

 

 

 だが絶望的な空気が流れる中、潔だけは希望を見いだしていた。頭の中でいくつものパズルのピースを当てはめていく。隣の凪の声も耳に届かないほど、彼は集中力を高めていた。

 

 

(カラクリはわかった……あとはアイツらを上回る化学反応……FLOWを起こすだけ……! 凛……? 凪……? 蜂楽……? いや違う……! 俺と……()()()()を喰い合えるのは……アイツだけだ……!)

 

 

 なにかの結論に達した潔。まだなんのことなのか彼以外知る術もないが、確かに彼は勝利へのピースを見出していた。そしてそれに欠かせない悪役王(キング・オブ・ヒール)が座るベンチに彼は目をやった。

 

 

「絵心さん……どうしますかこの状況? あんなゴールは……青い監獄(ブルーロック)にいた時の士道くんと姫宮くんではありえない……まさに覚醒中の数値……! 点差は3点……早く対策を考えないと……!」

 

 

「……対策なんてありっこない。こっから先は無計画(ノープラン)

 

 

 ベンチではアンリが逆転の為の新たな策を絵心から聞こうとしていたところだった。しかし彼の返答はノープラン。まるで試合を投げるかのような言い方だ。

 

 

「は……? ……何言ってるんですか!? 負けたら全部終わるんですよ!」

 

「冷静に状況を見ろ。今のあの二人……特に姫宮依桜の総合能力は新世代世界11傑(ワールドベストイレブン)にも匹敵するだろう。士道龍聖も攻撃力だけならそこに並ぶ。単純に糸師冴が三人に増えたようなものだ。勝ち目があると思うか?」

 

「でも……それでも……! このまま負けていい訳が……!」

 

「絵心さん……!」

 

 

 絵心の説明を受けても諦め切れないアンリ。何とかしようと口を開いた時、フィールドから潔が走ってきた。

 

 

「このままじゃ終われない……! 俺に考えがあるんだ……! 無謀だけど……やらなきゃ確実に負ける……!」

 

「……バカかお前ら。青い監獄(ブルーロック)はもう既に勝っている」

 

「……へ?」

 

 

 熱弁を振るった潔に対する絵心の答えは意外なものだった。思わず気の抜けた声を出したアンリをよそに、絵心は口を動かす。

 

 

「誰の目からも明らかだろ。序盤の圧倒、士道龍聖と姫宮依桜の躍動。ここまでは完璧に俺の台本通りだ。確かに負ければ青い監獄(ブルーロック)は消滅し、俺は日本サッカー界から永久追放されるだろう」

 

 

 絵心の言うことは正しい。この試合を見て、ブルーロックを低く評価する者がいるだろうか? いるとすれば弄れた逆張り人間くらいだ。ブルーロックの価値、そして絵心の育てたエゴイスト達の実力は日本中に証明された。

 

 

「だが……お前らは消えない。士道龍聖と姫宮依桜は新たなエースとして日本サッカーの中心となり、糸師凛と潔世一……お前もU-20日本代表に入るだろう。そして他のメンバーも多方面から声がかかり道は開ける」

 

 潔とアンリは黙って聞き入っていた。負けることは最初から織り込み済み、その後の選手達の未来を絵心は見据えていたのだ。たとえ自分が消えても、この試合で負けても、選手達の未来は確かにあると。

 

 

「胸を張れ。青い監獄(おれたち)は既に勝っている」

 

「……何言ってんだお前。知るかよ、どーだっていいんだよそんなコト」

 

 

 今度は絵心の話を聞き終えた潔が口を開く。その口調は強い、そして奥底に固い意思が込められた声だ。

 

 

「これからの保証とか……日本サッカーの未来とか……関係ない。俺達は……いや、俺は……今ここで勝ちたいんだよ」

 

「……!?」

 

 

 潔の迫力、そしてその瞳にアンリは身震いした。何か得体の知れない……恐ろしいものとでも出会った気分だ。

 

 

「負けるコトは死ぬコトだ。次なんて必要ない……世界一以外いらない……! まだ死んでないだろ……俺も…… 青い監獄(ブルーロック)も……! 例えお前が負けを認めても、俺達は最後まで戦い続ける……!」

 

「……」

 

帰れ(ファック・オフ)だクソメガネ……! 自分の未来は……自分自身で決める!」

 

 

 潔の魂の叫びは絵心にも確かに届いた。絵心は見誤っていたのかもしれない、自ら育てたエゴイストが、ここまで強く、エゴくなっていたことを。

 

 

「そうか……ならお前ならどうする潔世一(エゴイスト)?」

 

「必要なのは俺を……いや、青い監獄(ブルーロック)を喰い殺せるヤツだ。それはお前しかいない……!」

 

 

 潔はベンチにいる王に指を指す。指名された彼はジャージを脱ぎ捨て、フィールドに降臨する。

 

 

「出てこいよ馬狼……! そろそろ暴れたいだろ、お前も」

 

「上等だ、待ちくたびれたぜヘタクソ……! 望み通り……喰い殺してやるよ……!」

 

 

 馬狼照英の投入により試合はまた波乱の展開を迎える。点差は3点、だが結果は誰にもわからない。少なくとも……諦めている人間はブルーロックには誰一人いなかった。

 

新英雄大戦 依桜君に選んで欲しい国は?

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