〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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コロス

 

 

「お〜、思いつきでやってみたけどボクって左足でもイケるんだ。また楽しみ増えちゃったかも♪」

 

 

 左足をブラつかせながら笑う依桜。衝撃のゴールにブルーロックは危機感をより一層強くした。元から不利な状況ではあったが、潔のゴールで反撃の狼煙が上がったと思われた。だがそれは依桜にひっくり返されてしまったのだ。

 

 

「やばいね。あと15分で3点……勝ち越すには4点か」

 

「難易度超ハード……流石にキッチィ」

 

 

 凪や乙夜、ブルーロックの中では楽観的と言える思考を持つ二人でも焦りを感じていた。何せ点を決められたのもそうだが、さっきの潔と國神のスーパーゴール。あのレベルでなければ点は取れないのだから。

 

 

「りんりん、兄弟喧嘩仲裁してあげようか?」

 

「ほざいてろ脳内ピンク……いらねぇよ気色悪ぃ」

 

 

 試合が再開し、凛にボールが渡る。プレスをかける依桜の挑発を無視し、隣を走る潔にボールを預ける。

 

 

「だからぬりぃつってんだろ」

 

「……!?」

 

「本格的にゴミに成り下がったか……二度と俺の弟なんて名乗るんじゃねぇよ」

 

 

 しかしそのパスを冴がカットした。今までの彼とは違い、好戦的かつ自身中心のスタイルだ。

 

 

「あれ? さえち積極的じゃん」

 

「ゲームレベルを上げる……ついてこれるバカだけに次の景色を見せてやる」

 

 

 独り言のように呟くと冴は自らのドリブルで中央突破していく。凪と乙夜が止めに入るが、巧みなドリブルであっさり抜かれてしまう。

 

 

「うぇ……!?」

 

「鬼テク……」

 

「なんだよアイツ……! 本気出してなかったってコトか!」

 

 

 フィールドのレベルは試合開始から加速度的にアップしている。その状況を考慮し、冴は実力をもう一段引き上げたのだ。これが世界11傑に選ばれる男の真の力だった。

 

 

「止めるぞバカ王様(キング)!」

 

「命令すんな害鳥野郎!」

 

 

 今度は烏と馬狼のプレス。だがそれですら冴は難なくかわしていく。二人を抜き去り更に加速する冴の前に、次の足が伸びてくる。

 

 

「……」

 

(クソ……! クソ……! クソが……! どんだけ遠いんだよ……! あの時は確かに隣にいたはずなのに……! アンタはどれだけ……俺を置いて……!)

 

 

 追いついてきた凛のスライディングをもあっさりとかわしてしまう。凛には目もくれず、興味もないように前を見る冴の目が凛にはたまらなく悔しく、屈辱的に思えた。

 

 

(クソ……俺はまた……兄貴には勝てねぇのか……)

 

「どっちもぬりぃんだよ愚図兄弟……!」

 

「……潔!?」

 

 

 その時、冴が浮かせたボールを潔がカットした。凛ですら読めなかった冴の動きを読み、凛がかわされた瞬間を狙ったのだ。

 

 

(凛の主人公感は糸師冴に勝つコト……! だったら凛の動きを読めば二人の思考の裏を突ける……! 糸師冴に勝とうとする凛ごと喰って……最後は俺が主人公だ……!)

 

「全員トロイよ! 世一含めて!」

 

「姫宮……! マジかよ!?」

 

 

 潔がカットしたボールを今度は依桜が弾いた。連鎖するFLOW、潔と依桜の喰い合いは冴と同レベルまで進化しているのだ。

 

 

「来た来た俺の種♪」

 

「これ以上好きにさせるかいボケが……!」

 

「邪魔烏……!」

 

 

 ルーズボールを拾った士道、そこに烏がプレスをかける。これ以上の失点は負けに直結する。もう一点もやれないと普段冷静な烏も必死なのだ。

 

 

「いいぞ! 止めとけ害鳥!」

 

「チッ……! うぜぇなストーカー共……!」

 

 

 そこに雷市も突っ込んでくる。いくら士道でも烏と雷市の二人に挟まれては身動きが取れない。粘る士道だが烏の足が届きボールは再びフィールドに放たれた。

 

 

「まだ……攻撃続行……!」

 

「やば……計算外完全フリー……!」

 

 

 それを拾ったのは閃堂。フリーの状態でボールを取り、我牙丸が守るゴールへと迫る。逆サイドの柊は間に合わず、烏と雷市も士道のところにいるので届かない。

 

 

(右……左……いやもう勘……!)

 

「ぽっと出の青い監獄(ブルーロック)共に負けられるかよ……! 世界一のストライカーは俺だ!」

 

(上……!? 俺のギリ届かないループシュート……やられた……!)

 

 

 閃堂と我牙丸の一対一。どっちに撃つか勘で止めようとした我牙丸だが、閃堂の絶妙なループシュートで頭上を取られてしまった。予想外のシュート、反応も遅れて届かない。

 

(まだだ……一か八か……! 蠍型死守(スコーピオンブロック)……!)

 

「な……!?」

 

 

 なんと我牙丸、自身の裏に抜けたボールを咄嗟の判断でスコーピオンブロックしたのだ。ジャンピングヘッドの要領で飛び膝を曲げ、ヒールに当てるという神業をここに来て成功させた。 前に押し返されたボールは柊の元へと落ちていく。キープし、反撃に繋げたいところだがそこに依桜もプレスに来ていた。

 

 

「貰うよエセ占い師……!」

 

「……忘れてない? ボクの武器をさ」

 

(……!? 一切弾かない、足元に吸い付くトラップ……!? そっか、コイツの武器は……!)

 

 

 この試合、柊が起用されたのはメタビジョンと総計学に基づく読みを評価されたから。しかし頭脳以外にも彼には武器がある。凪と比べても遜色ないトラップの技術だ。

 

 

「さぁ、次の進化を見せてよ青い監獄達(ブルーロックス)

 

「ナイス柊」

 

 

 柊が前線に放ったパスを潔が拾った。カウンターの大チャンス、ブルーロック攻撃陣はここぞとばかりにU-20陣内へと進行していく。

 

 

(姫宮はまだ後ろ……でもトロトロしてたらすぐに戻ってくる……! アイツがいない間に速攻で決めるしかない!)

 

 

 依桜を最大限に警戒する潔は彼が戻ってくるまでが勝負だと確信していた。まだ愛空がいるので簡単ではないが、決めなければ勝利への道はギュッと狭くなってしまう。

 

 

「来るよ! 連動警戒!」

 

「わーってる! 任せろオラァ!」

 

 

 そしてU-20DF陣も警戒を強くする。依桜が戻ってくるまでの時間を稼ぐ、奪えなくても攻撃を遅らせられればそれでいい。

 

 

「氷織!」

 

「おるで。ほな行こかエゴイスト」

 

 

 潔と氷織のパスワークで中盤を突破する。ここまでは楽勝、あとは鉄壁のカルテットをどう時間をかけずに崩すかだ。

 

「……そこやね」

 

 

 氷織からのパス、それに反応する潔だが颯が詰めてきている。彼の存在に気づいた潔は咄嗟に足でパスを弾き左側へと流した。

 

 

「……!?」

 

 

 弾かれたボールの先には國神がいた。十分彼のミドルシュートの射程圏だが、ゴール前は敵味方が密集しているためコースがない。

 

 

「まだ狙えないでしょこの密集地帯じゃ……!」

 

「クッ……!」

 

 

 プレスに来る音留を見て國神は自分のゴールを諦め、前を走る凪にパスを出す。だがその凪にも仁王がピッタリと張り付いていた。どうするか考えた末、凪はある妙案を実行した。

 

 

「背中……!?」

 

「持ってけ忍者さん」

 

「ニンニンジャー」

 

 

 パスを背中でトラップする神業。そのままパスに繋げ、裏を抜けてきた乙夜にラストパスを送る。完全フリー、少々角度はあるがいい位置に辿り着いた。ゴール左隅を狙い、シュートを放つ。

 

 

「やらせん……!」

 

「マジか……坊主邪魔……!」

 

 

 しかし一か八か飛び込んできた蛇来に顔面でブロックされてしまった。ボールはランダムに弾かれ、ペナルティエリアの右側、選手の密集が薄い方へと流れていた。

 

 

こぼれ球(ルーズボール)……!」

 

「お前には拾わせねぇよ弟ちゃん」

 

「チッ……!」

 

 

 落ちていくボールの近くにいた凛、しかし愛空の妨害で思うように動けない。その時、彼の視界に一人の影が飛び込んできた。

 

 

「読み通り……!」

 

「……!?」

 

「潔世一……!?」

 

 無造作に、ランダムに落ちてきたボール。そこに潔が走っていた。その地点に落ちてくること自体を読んでいたわけではない、こぼれ球になることを読み、自分に運が味方した場合一番ゴールを狙える位置にポジショニングしていたのだ。

 

 

(掴んだぞ運を……! 超越視界(メタ・ビジョン)と主人公感、そして運のカラクリ……! 全部使ったこの感覚は無敵……!)

 

「ラッキーボーイは一人じゃないっての!」

 

「は……? 姫宮!?」

 

 

 ダイレクトシュートを放った潔。しかしその瞬間、ギリギリ足を伸ばした依桜のつま先がボールに届き、再びこぼれ球となってしまった。

 

 

「やったね世一! 今なら宝くじ当たるかも♪」

 

(コイツ……! 狙ってやがったのか……!? 俺と同じ場所に……ハトの糞が落ちてくるのを……!)

 

「喰ったぞヘタクソ……!」

 

「……!?」

 

「バロリん……!?」

 

 

 依桜が弾いたボール、そこになんと馬狼が突っ込んできた。運を味方につけた潔と依桜のプレーの応酬の先、読むことなど不可能なはずのその場所にだ。DF二枚を引き連れながらも崩されない体幹で、ルーズボールを無理やりゴールにねじ込む。

 

 

(お前)全賭け(フルベット)した俺の勝ちだ……!!」

 

 

 馬狼のスライディングシュートがゴールネットに突き刺さり、スタジアムは大歓声で包まれた。ゴールを決めた馬狼は勢いのままユニフォーム脱ぎ捨て、雄叫びを上げる。

 

 

「馬狼お前! どうやったんだよ今の……!? やべぇって!」

 

博打王様(ギャンブルキング)!」

 

「フン……寄るな暑苦しい!」

 

 

 駆け寄ってくる潔や凪を鬱陶しそうに放り投げる。孤独な王にとって仲間の賞賛は雑音でしかないのかもしれない。

 

 

「どうやったもクソもねェよ。俺は最初からお前を喰うことだけが至上命題だ」

 

「いやでも……めっちゃ上手く消えてたじゃん……。最後の一瞬だけどうやって決めたんだよ!?」

 

「消されてたんだよ。ムカつくが俺の潔だけに固執するスタイルはあのクソ(プリンセス)には通じなかった。だから俺は姫宮(アイツ)とお前が交わる一点に狙いを絞って、その光を喰らうことだけを闇の中から狙ってたんだ」

 

「ハッ……! 狂った思考回路しとんなぁ」

 

「相変わらずの潔Loveだコト」

 

 

 馬狼の説明に烏や凪は呆れながらも一部感心した。この執念がゴールという結果に結びついたのだろうと。

 

 

「え……でもさ、最後に俺のとこにボールが来たのは運だろ。俺は運を掴んだ時に一番ゴールを狙える場所にポジショニングしてたけど……他の奴のトコに落ちてた可能性も全然あったし……それに姫宮がいなかったらそもそも俺が決めてた流れだろ。なんで最後あの場所にこぼれ球が来ることがイメージ出来たんだよ?」

 

「あ? 何言ってんだヘタクソ。死ぬほど屈辱だが今このチームの中心はお前だろ。こっちの攻撃はどんな形であれお前のゴールに収束する可能性が最も高い。簡単な現象(コト)だ、俺にとっちゃ……」

 

 

 呆気に取られる潔に対し、馬狼は最終的に自分が辿り着いた結論を口にした。

 

 

「今やこの青い監獄(ブルーロック)ってチーム全体が潔なんだよ。そこに唯一喰らいつける姫宮も纏めて俺が喰らい尽くしただけだ」

 

「想像以上にブっとんでんなぁ……」

 

「執念の成せる景色かよ……」

 

「ハッ……お前らごとき下々に王様(おれ)が理解出来るかよ」

 

 

 ピ──────!!! 

 

 

「あ?」

 

「ユニフォームを脱ぐという非紳士的行為によりイエローカード!」

 

「……」

 

 

 ドヤ顔で決めた馬狼の肩を審判が叩く。なんだと振り返った馬狼の先にはイエロカードを向ける審判の姿があった。せっかくのゴールでキメきれない王様を見てブルーロックの選手は呆れ笑いした。

 

 

「もう脱ぐなよ脱衣キング」

 

「確かに理解出来んわアホが」

 

 

 ブルーロックの中に少しではあるが緩い空気が流れる中、一人だけ苦虫を噛み潰したような顔をしている者がいた。凛は点を決めた馬狼、そしてその起点となった潔を見る。

 

 

(いつの間にかこのチームは……潔を中心に回ってやがる……! 俺はまだ何も出来てない……次の一点は俺が決める……! 今日ここで……兄貴を超えるために……!)

 

 

 点を決められたU-20側のキックオフで試合再開。さっきと同じように冴はドリブルで単独突破を狙ってくる。懸命に守るブルーロックだがジリ貧は否めない。

 

 

「目障りだな……消すぞ」

 

「……!? 士道でも姫宮でもない……!?」

 

 

 國神と氷織からのプレスを受けた冴は即座にパスを出す。しかしその先は依桜でも士道でもなく、サイドを走る閃堂だった。

 

 

「俺は正常なストライカーには平等だ。今一番ゴールに熱い人間にチャンスを与える」

 

「うっしゃぁ!」

 

 

 トラップした閃堂がサイドから攻め上がる。中央のストライカー二人を警戒していたブルーロックは不意をつかれ、守備がワンテンポ遅れた。雷市が全力疾走でマークにつくが、紙一重でシュートを撃たれてしまった。

 

 

「面倒クサ死守」

 

「は!?」

 

 

 だが飛び込んできた凪の死守によってボールは弾かれた。その軌道の先には冴がいる。

 

 

「ヤバ……一番まずいトコ」

 

「撃たせねぇよクソ兄貴が……! 読んでんだよこの位置は……!」

 

 

 冴のシュートコースに割って入ってきた凛。身体全体を使って完璧にコースを切った。しかし冴は即座にアウトサイドでスペースにボールを流した。

 

 

「……!?」

 

「いい嗅覚してんじゃねぇか我儘主将(キャプテン)

 

「悪いなこちとら、元ストライカーなもんで」

 

 

 そこに走り込んでいたのはまさかの愛空。元ストライカーという経験を生かし、この瞬間一番ゴールを狙える位置に走っていたのだ。完全フリー、トラップしてシュートすれば確実に一点を奪える。

 

 

「視えてんだよクソ天才……!」

 

「おま……!?」

 

「ここだよな、お前らの一番熱くて……美しい場所は!」

 

 

 しかしそのパスを潔がカットした。凛でも読めなかった冴から愛空へのパスルートを完全に読んでいたのだ。潔の眼と脳ミソは今や冴と張り合えるほどまでに進化していたのだ。

 

 

(……ふざけんな潔。お前は俺からこの試合の主役だけじゃなく……糸師冴までも奪ってくのかよ……!)

 

「追いついたよ世一!」

 

「チッ……! クソうぜぇなアホビッチ……!」

 

 

 ボールを奪った潔の前に立ち塞がる依桜。そのマッチアップに凛は無意識のうちに突っ込んでいた。内から湧き出る衝動に駆られ、一心不乱に足を動かす。

 

 

(糸師冴は俺のモノだ……俺が……俺が殺すんだよ……! お前に奪われてたまるか……! 気持ち悪ぃんだよ……お前も……! 俺のサッカーに喰らいついてくる青い監獄(コイツら)も……!)

 

「……凛」

 

(ぬるいのは俺だった……ぶっ壊さなきゃいけないのは……気持ち悪いのは……ぐちゃぐちゃになるのは……俺自身だ……!)

 

「……!?」

 

「りんりん!?」

 

 

 無理やり突っ込んで潔と依桜のマッチアップからボールをかっさらっていく凛。ボールを保持していたのは潔なので、味方からボールを奪った形になる。凛らしくない、非合理的なプレーだ。

 

 

「コロス……コロス……!」

 

 

 凛のプレーでフィールドの状況が塗り変わる。幾度となく色を変えてきたこの戦場において、これまでで一番とも言える劇薬がぶち込まれた。日本中が見守る一戦、その戦いもいよいよラストシーンに差し掛かろうとしていた。

 

 

 U-20日本代表VSブルーロックイレブン。7-5、残り時間約5分! 

 

 

新英雄大戦 依桜君に選んで欲しい国は?

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