〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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夢の先

 

 

「そーいえばこのメンツってさ、二次選考で世一達と戦った時と同じだよね。世一いないけど」

 

「え!? お前そのつもりで馬狼呼んだんじゃないのか?」

 

「ぜ〜んぜん。ただ一番おど…………呼びやすかっただけ」

 

「今脅すって言いかけただろ……脅迫脅迫」

 

 

 依桜と黒名が緊張感のない会話をしている間、玲王の視線は凪に向いていた。今の彼が何を思っているか、誰もわからない。しかし試合するとなった以上は本気でやる、それだけは全員の共通認識だ。キックオフは依桜チームから。依桜から玲王にボールが渡りゲームがスタートした。

 

 

「行かせないよ、玲王」

 

「凪……お前ももう俺のことなんか捨てて自由になれ」

 

「嫌だね」

 

 

 ボールを持って攻め上がる玲王の前に凪が立ち塞がる。この勝負で勝つことで玲王を取り戻せるかはわからないが、少なくとも今は勝つことだけを考えるべきだ。

 

 

「……!? 上手……!」

 

「お前じゃ今の俺には勝てねーよ、凪」

 

 

 玲王がドリブルであっさりと凪を抜き去った。チームV戦で蜂楽が使った空中エラシコのコピーだ。本人と遜色ない技術に凪は一歩も動けない。

 

 

「おトリコミ中失礼、俺も入れろそのおトリコミ」

 

「来たな馬鹿俊足。黒名!」

 

「避難避難、快速警戒だな」

 

 

 すかさず止めに来る斬鉄との勝負を避け、黒名へとパスを送る。そのままボールを持ってゴールを目指す黒名に斬鉄は持ち前の超スピードで追いついてくる。

 

 

「逃がさんぞ三つ編み!」

 

「うげ!?」

 

(なんだ斬鉄(あいつ)……? さっきからボール持ってる奴に突っ込んでるのか? そんなことしても体力削れるだけだし、パス出されて終わりだろ)

 

 

 突っ込んできた斬鉄を見て黒名は即座に玲王にパスを出す。それを受け取りつつ、玲王は思考を巡らせた。確かに斬鉄の足の速さは脅威的だが、パスを回されてはそれも意味が無い。ただの馬鹿さ故の無謀か、それとも? 

 

 

「行け姫宮!」

 

「OK、速攻で片付けちゃうよ!」

 

 

 待ってましたと言わんばかりの笑顔で玲王からのパスを受け取る依桜。凪と玲王の決着のための試合だが、主役を譲る気は無いし、自分が目立ちたいから試合を勧めた面もある。

 

 

「通行止めだクソ(プリンセス)!」

 

「止めてみな王様(キング)!」

 

 

 依桜の前に立つのは馬狼。先日の試合もあり、殺意が透けて見えるほどの迫力だ。そんな彼に臆することなく、依桜は戦いを仕掛けていく。

 

 

「斬鉄大見参!」

 

「は!? ざんちゃんチョロチョロしすぎでしょ!」

 

「お前が言うなチョロピンが……!」

 

「バロリんうざッ……! てかガチャピンみたいなあだ名付けないでよね!」

 

 

 依桜と馬狼の対決にも乱入してくる斬鉄。その隙をついて馬狼がボールを奪いに来るが、依桜はボールを浮かび上がらせ間一髪でこれを回避した。しかしその直後、依桜の前に一つの影が現れた。

 

 

狩の時間(バウンティングタイム)だ、天才」

 

「ハンティングでしょ? バカ斬鉄。でもナイス」

 

「シロー!?」

 

 

 依桜が浮かせたボールを凪がカットした。恐らく全て仕組まれていたことだろう。斬鉄が初速を生かしたプレス、馬狼の守備のタイミングで依桜に隙ができるのを狙っていたのだ。今までの凪からは考えられない頭脳プレーだ。

 

 

「なにシロー、もしかしてお勉強に目覚めちゃった?」

 

「うん、俺今サッカー勉強中」

 

 

 依桜からボールを奪った凪はそのままゴール目掛けて駆け上がる。それに斬鉄も続き、利用された形になった馬狼も借りを返すべくゴールを狙いに来た。

 

 

(なんだよ……やっぱ俺なんていらなかったんじゃねぇか)

 

「行くよ、レオ」

 

 

 ドリブルを仕掛けてくる凪の前に玲王が立ち塞がる。周囲に斬鉄や馬狼がいるが、凪の目には玲王しか映っていなかった。今勝つべきは玲王一択、その選択肢に向けて突き進むのみだ。

 

 

「なぁ凪、俺がどうやって敗者復活戦を生き残ったかわかるか?」

 

「……? 知らないし、そもそもレオが残るのは当たり前でしょ」

 

「それはな……余計な物への執着を捨てるコトだ!」

 

「ウッ……! (当たり強ッ……!)」

 

 

 玲王の強烈なチャージに凪は体勢を崩されながらもボールだけは離さない。そしてこの感覚、凪には覚えがあった。

 

 

仁王(あの髭オヤジ)のコピー? ホント器用だねレオ」

 

「凪! 俺に出せ!」

 

「……! ナイス斬鉄」

 

 

 一対一は無謀と判断した凪は横を駆け抜けてくる斬鉄にパスを出す。彼の速さなら一気にゴールまで直結させることができるだろう。

 

 

「バレバレだよおバカちゃん!」

 

「む!?」

 

「マジかお姫さん……!」

 

 

 しかしそれを依桜がカットした。そのまま黒名へとボールを預けると、自身はゴール目掛けて全速力で駆け上がっていく。

 

 

「言っとくけど主役あげるつもりないからね! ボクが目立ちたいからこの試合提案しただけだし!」

 

「……めんどくさジコチュー女王」

 

「テメェにも主役はやらねぇよクソが……!」

 

 

 依桜がこの試合を提案したのは玲王と凪の仲裁……は建前であり全世界で放映されている映像で自分をアピールすること。プライベート空間以外は放映されるという絵心の言葉が事実なら、きっと今の様子も対象のはずだ。

 

 

「全く……元気になったと思ったらま〜たメンヘラってるんだからレオオ。しょうがないなぁ……ね、くろなん?」

 

「やばやば、こわこわ」

 

 

 黒名とコンビでゴール前に迫り、シュートを狙う依桜。距離、角度共に充分狙える位置だ。黒名からのパスを貰えば即シュートまで持って行ける。

 

 

「出せ黒名! 俺に!」

 

「撃たせないよ、レオ」

 

 

 依桜がゴールを狙う中、玲王も中央で黒名からのパスを待っていた。しかしそこには凪がマークについている。依桜と玲王、どちらを選ぶかの選択肢は黒名に託された。

 

 

「空気、読む読む」

 

「ちょ……!? くろなんの裏切り者!」

 

 

 黒名が選んだのは玲王へのルートだった。依桜の方がフリーではあるが、このゲーム自体がそもそも玲王と凪の因縁の為の試合。故に彼は玲王の意志を汲んだ。

 

 

「防ぐ……!」

 

「甘いんだよ天才が」

 

「……!? シュートフェイク!?」

 

 

 玲王のシュートコースに凪が足を伸ばす。しかし玲王はシュートと見せかけボールの底辺を擦り、空中へと浮かばせた。凪が度々見せていたシュートフェイクのコピーだ。

 

 

「やらせっかよおぼっちゃまくんが……!」

 

「もういっちょ!」

 

「二連……!?」

 

 

 今度は馬狼が突っ込んでくる。これを玲王がまたしてもポールを擦りかわして見せた。二連式、凪のスーパートラップを完全に再現している。

 

 

「まだだ……防ぐぞ玲王、お前のレンジでチン!」

 

「見えてんだよバカ斬鉄」

 

「……!? 更にフェイク……!?」

 

 

 三連。持ち前の初速でシュートコースを塞いだ斬鉄をこれまた素晴らしいフェイクでかわす。もう壁はない、あとは無人のゴールにシュートをねじ込むだけだ。

 

 

「ナイス時間稼ぎ、キング歯医者さん」

 

 

 しかし馬狼、そして斬鉄のプレーで凪が体勢を整えることが出来た。玲王のシュートコース前にどこでもいい、身体を持っていけば防げる。

 

 

「って……引っかかると思った?」

 

「……!」

 

 

 だが凪はあえて右足で力強く地面を踏みしめ、その場にとどまった。完全にブロックに来ると思っていた玲王は四回目のシュートフェイクを挟んでしまった。これで隙ができる、凪の予測通りだ。

 

 

「自分の技でやられる馬鹿はいないでしょ?」

 

「……やっぱ甘ぇよ」

 

「!? マジか……五回目!?」

 

 

 なんと五回目のシュートフェイク。凪ですら四回のフェイクに最後のシュート、計五発のプレーしか見せていない。コピーだけではない、玲王は凪のプレーを完全に上回ってしまったのだ。

 

 

「もうお前はいらないんだよ凪」

 

「……!」

 

 

 六連式リボルバーボレー。人智を超えたハイパーショットがゴールネットを激しく揺らした。試合は依桜、黒名、玲王の勝利で終わった。それを確認した玲王は何も言わず、その場を後にしようとする。

 

 

「待ってよ……レオ!」

 

「……もう話すことはねぇよ。俺に構うな」

 

 

 凪が引き止めるが玲王は彼に見向きもしない。これ以上何を言っても無駄、それをわからされてしまった凪は最後に精一杯の言葉を振り絞る。

 

 

「絶対追いつくよ……レオ。だから……待ってろ」

 

「……!」

 

「俺達の夢の先で……また会おう」

 

「…………」

 

 

 凪の言葉を聞いても玲王は少し表情を歪ませるだけでそのまま立ち去ってしまった。この場で引き止めることはしない、しかし玲王を諦めるつもりもない。再び二人で夢を追うために、凪は更に強くなることを決心するのだった。

 

 

 ──数時間後、ドイツ棟ロッカールーム。

 

 

 あの試合から少し経ち、今日の練習も終わったところだ。ドイツのブルーロックメンバー達はそれぞれロッカーで汗を拭いたり、着替えをしたりしていた。その時、ふと烏がある質問をした。

 

 

「ところでお前ら。姫宮とカイザー、どっちにつくつもりや?」

 

「あ? なんでどっちかにつく前提なんだよ」

 

「アホか、現実的な話や清羅。姫宮とカイザー出し抜いて王を狙うのもそら選択肢の一つやけど、残り三試合でそれやるのは難易度高いやろ」

 

 

 烏の質問に反応した清羅。それに対し反論する烏の言うことは正しいだろう。今から残りの試合で二人を追いつくのは正直厳しい。それができるのは現状だとゴールを決めている玲王くらいだろう。他の者はその土俵にすら立っていないのだから。

 

 

「俺は姫宮さんにつくっす! もう決めましたから!」

 

「俺もカイザーよりかは玲王か姫宮だな」

 

 

 七星と斬鉄は依桜、ないし玲王につくようだ。元々ブルーロックでも良識人(斬鉄は馬鹿だが)に入る二人、選ぶ選択肢も堅実だ。

 

 

「俺はどっちにもつかねぇよ」

 

「え〜、閃ちゃんボクについてくれないの?」

 

「最初はそうしようと思ったけどな……でも、それじゃ多分ダメだ」

 

 

 閃堂のどちらにもつかないと言う発言に依桜は不満そうに声を漏らした。てっきりU~20の時のように自分についてくれると思っていたのだ。

 

 

「前の試合、元U~20の中で年俸がついたのは愛空だけだ。堅実的にいくならまずは試合に出るのを優先すべきなのはわかってる……だけど、もうお前に負けるのはごめんだ……!」

 

 

「……! へぇ、ボクに喧嘩売る気?」

 

「ああ、首洗って待ってろ姫宮! 最後に勝つのは俺だ!」

 

 

 閃堂の宣戦布告に依桜はニヤリと口元を緩ませた。向かってくるのは大歓迎、返り討ちにしてやると意気込む。ブルーロックならば当然だと。

 

 

「きよらんは? ボクについてくれる?」

 

「……少なくともお前につく気はねぇよ」

 

「同じく♪ No.1につくとか在り来りすぎてつまんないっしょ! な、灰地ちゃん?」

 

「うん」

 

 

 清羅、日不見、灰地の三人も依桜につく気はないようだ。そもそもがエゴイストの集まり、他人に従うことを選ぶ者は少ないのかもしれない。

 

 

「くわ! くわ! くわぁ!」

 

「あ? 何言っとるんや鰐間」

 

「くわ!」

 

 

 鰐間が何かを伝えようとしているが、まるでわからない。彼とコミニケーションを取れるのは世界で双子の弟だけだ。

 

 

「俺は姫宮につくぞ! 弟と約束した! 俺は生き残らねばならない!」

 

「いや普通に喋れるんかい!」

 

 

 しかし鰐間、喋ろうと思えば普通に喋れる。なら最初からそうしろと烏がツッコミを入れた。

 

 

「なんかボクにつく人少なくない? こ〜んなに可愛くて更に強いとか超優良物件だと思うんだけど?」

 

「……まずはその性格治すところから始めようや」

 

 

 かく言う烏も依桜につくつもりだ。冷静に考えればカイザーにつく方が確率は高い方に思えるが、しかしたまにはギャンブルも悪くない。口には出さないが、依桜にはそう思わせる何かがあった。

 

 

 各々が生き残る方法を模索し、アピールすること10日間。ついに二試合目、VSイングランド戦の当日となった。前回同様集められたドイツメンバーはマスターノアのスタメン発表をピリついた面持ちで聞いている。

 

 

「第一試合とトレーニングの結果、導き出された最適なフォーメーション。それに相応しいメンバーを数値で選出した。では次戦、イングランドに挑むメンバーを発表する。まずは2TOP、左にカイザー、右に姫宮」

 

 

 〖ミヒャエル・カイザー〗

 

 

 攻撃力S 96

 シュートS 98

 ドリブルA 86

 パスA 81

 守備力B 74

 速さS 91

 

 総合評価S 98

 

 

 〖姫宮依桜〗

 

 

 攻撃力S 97

 シュートS 97

 ドリブルA 85

 パスB 74

 守備力S 96

 速さS 95

 

 総合評価S 98

 

 

「そして右サイドの攻撃的MFに御影玲王」

 

 

 〖御影玲王〗

 

 

 攻撃力S 92

 シュートS 91

 ドリブルS 90

 パスS 93

 守備力S 90

 速さS 91

 

 総合評価S 95

 

 

「左サイドハーフはグリム」

 

「喜んで興じます」

 

「中央トップ下はネス」

 

「は〜い」

 

 

 〖アレクシス・ネス〗

 

 

 攻撃力S 95

 シュートB 78

 ドリブルS 91

 パスS 98

 守備力B 71

 速さB 77

 

 総合評価S 94

 

 

 攻撃陣が発表された。メンバーは前回と変わらず、食い込めたのは依桜と玲王のみだった。

 

 

「アンカーのDMFは烏旅人」

 

 

 〖烏旅人〗

 

 

 攻撃力A 83

 シュートA 85

 ドリブルA 86

 パスA 87

 守備力S 90

 速さA 84

 

 総合評価S 90

 

 

「CBはメンサーとビルケンシュトック。そして右SBに……七星虹郎」

 

「……! はいだべ!」

 

 

 〖七星虹郎〗

 

 

 攻撃力A 82

 シュートB 76

 ドリブルB 75

 パスA 88

 守備力B 76

 速さA 81

 

 総合評価A 80

 

 

「これは右サイド、姫宮依桜との連携を考えて選出した。特にトレーニングでは進んで姫宮依桜をアシストし、ポストプレイヤーとしての評価を伸ばした結果だ」

 

「ありがとうごぜぇます! 精一杯やります!」

 

「その意気だ……そして左サイドに剣城斬鉄」

 

「……来たか、脳ある爪は鷹を隠していた」

 

 

 〖剣城斬鉄〗

 

 

 攻撃力A 81

 シュートA 85

 ドリブルA 83

 パスA 80

 守備力B 78

 速さS 96

 

 総合評価A 85

 

 

「能ある鷹は爪を隠す……だ。お前のスピードはUー20カテゴリでトップクラス。その速さで攻守に活躍するプレーを期待する」

 

 

 斬鉄と七星、前の試合では選ばれなかったブルーロックメンバーも選出されている。これには未だ選ばれていない者は一層焦りを強くした。

 

 

「最後にGK、バッハマン。以上がフォーメーションだ。今回のメンバー、もちろん数字を最優先に決定したが、それだけでなくミヒャエル・カイザーと姫宮依桜、二人の王を引き立てる能力を持つかどうかを考慮した」

 

「つまり……誰にも従いたくなかったらボクかカイザーに勝てってこと?」

 

「そういうことだ。だが選ばれたとしても油断するな、状況が変われば容赦なくメンバーを交代していく。姫宮依桜、お前も例外ではない」

 

「そんな状況来ないと思うケド」

 

「なら証明しろ。そろそろ時間だ、バスタード・ミュンヘン。四の五の言わず、勝ってこい」

 

 

 依桜らスタメンがフィールドへと移動していく。今回も恐らく、カイザーは妨害をしてくるだろう。しかし今度は前のようにはいかない、対策は既にすませてある

 

 

「まぐれはここまでだ、依桜。ボロボロにして風俗にでも堕としてやる。覚悟しておけクソ売女」

 

「……やってみなクソバカイザー。そっちこそホームレスにしてやるよ」

 

 

 相変わらず罵ってくるカイザーに依桜は中指を立て返す。ネオエゴイストリーグ、ドイツVSイングランド。試合開始のホイッスルが間もなく吹かれようとしていた。

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