〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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ターニングポイント

 

 

(クソ目障りなんだよ……依桜)

 

 

 國神のゴールで再び突き放されたバスタード・ミュンヘン。中心人物である、ミヒャエル・カイザーは自身がゴールを決めるための手段を模索していた。しかし思考の対象は敵チームではなく、今最も厄介な相手姫宮依桜だ。

 

 

(ヘタな位置でシュートを撃てばかっ攫われる。依桜の目の届く範囲でシュートは撃てない。だがそれはアイツも同じコトだ……俺やネスに妨害されながら点を決めるのはほぼ不可能)

 

 

 さっきのシーン。メタ・ビジョンで敵味方の位置を把握した上で、最適な場所でのシュートまで持っていった。しかし依桜の反応速度、身体能力はそれすら上回ってきたのだ。依桜も依桜で、いくらなんでも敵DFに加えカイザー、ネスという本来味方なはずの存在まで警戒しなくてはならない状況でゴールを狙うのは無理がある。

 

 

(つまりこの状況で俺や依桜が点を決めるには……あのクソインチキゴールのように物理的にお互いの干渉できない場所で撃つ他道はない)

 

 

 依桜が決めたあの超ロングシュート。あれを決めることが出来たのはカイザーが前線に上がっていたという前提がある。もしあの場にカイザーがいれば、阻止されていた可能性が高い。そして今はカイザーにも同じことが言える。依桜の絶対届かない、彼から離れた位置でのシュート、それがカイザーがゴールを決めるために求められる条件だった。

 

 

(先にその状況を作り出した方が勝つ……! あのチョロピンがアホみてぇにボールを追ってる隙を狙えば……俺が有利なのは間違いない)

 

「どーしますカイザー!? 依桜がクソウザすぎます! 止めようにもチョロチョロ動き回って捕らえきれない……! クソクソのクソです! クソビッチ! クソ売女!」

 

「黙れ犬ッコロ。足りない脳ミソで余計なコトを考えるな。お前は俺の言う通りに動いてればいい……信じろ、俺に不可能はない」

 

 

 騒ぐネスを黙らせ、カイザーはただ一点に集中する。即ち、ゴールを決めることだ。それだけが依桜を潰す手段であり、自分の価値を世に知らしめることにも繋がる。

 

 

(……何となくわかってきたぞ。マンシャイン・シティのサッカー)

 

 

 そして時を同じくして、カイザーと同じくメタ・ビジョンを使える玲王も冷静に戦局を分析していた。

 

 

(クリスがいる時、アイツらはクリス・國神・時光(筋肉馬鹿三兄弟)のフィジカルゴリ押しで中央突破してくる。それでシュートを狙えれば撃つし、真ん中にマークが集中すればサイドから乙夜が抜けてくる。つーかそもそも乙夜がいる時点で中央だけ警戒すんのは不可能……つまりこっちは脳筋共を止めながら乙夜にも常に眼を向けてなきゃいけない)

 

 

 マンシャイン・シティの哲学、スピード&ラッシュを体現した強力な布陣だ。止めるのは至難の業、しかし次の点を決められたら終わり、止めるしかない。

 

 

「ポジションチェンジだ、御影玲王」

 

「……ノア」

 

「お前はポジションを下げてボランチに入れ。烏旅人と連携し、その眼と脳でマンシャイン・シティを抑えろ」

 

「……はい!」

 

 

 ここでバスタード・ミュンヘンはポジションを入れ替え。玲王の位置を下げて烏とWボランチ、空いた右サイドには依桜が入り、カイザーの1TOPという布陣だ。

 

 

「レオオが守るのはいいんだけど……ボクのポジション下げるのはなんで?」

 

「……どこにいようがお前はポジション関係なく動き回るだろ?」

 

「ま、それはそう。キーパーにされてもゴール狙っちゃうかも」

 

 

 確かに依桜はFWの位置にいたが、常に走り回り守備にも貢献していた。どのポジションにいようがやりたいようにやる、それが今の依桜のスタイルだ。

 

 

バスタード・ミュンヘン Newformation

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 バスタード・ミュンヘンのフォーメーションチェンジが完了し、両チームの準備が整ったところで試合が再開された。バスタード・ミュンヘンはノアにボールを預け、一気に攻め上がっていく。

 

 

「ぶっ壊してあげよう世界一位さま!」

 

「黙ってろクリス、暑苦しいんだよ」

 

 

 ノアを止めるために立ちはだかるクリス。だがノアは冷静に、最も合理的な手段を選択する。

 

 

「ナイス指導者(マスター)♪」

 

「……!」

 

「姫宮依桜、お前の理論を俺に示してみろ」

 

 

 ノアと依桜の連動、ノアのフィジカルと両利きを活かす立ち回り。依桜のスピードでノアの周りを駆け巡り、ワンツーの形を作っていく。これにはさすがのクリスも一歩も動けず突破を許してしまった。

 

 

「やべぇ! コイツら止まらねぇって!」

 

が防ぐ!」

 

 

 そのままフィールドを突破していく依桜とノア。二人だけの連携にも関わらず、マンシャイン・シティは止めることができない。それだけレベルの高いコンビなのだ。

 

 

「ホラ、出して世界一!」

 

「ほう……この俺を使い捨てるか」

 

「……くっ」

 

 

 ノアに対しプレスを仕掛けた蟻生。しかしそれにも動じす、ノアは合理的に依桜にラストパスを送った。ゴール前どフリー、GKとの駆け引きを征すれば依桜のゴールだ。

 

 

「視えてんだよクソコンビ」

 

「……バカイザー!?」

 

 

 しかしノアからのラストパスの着地地点、そこにカイザーもたどり着いていた。身体をぶつける依桜とカイザー。ゴールを賭けての争いが始まった。

 

 

「チッ……邪魔だ依桜、どけ」

 

「ハァ!? そっちが割り込んできたんでしょ大バカイザー!」

 

 

 二人が身体をぶつけ合いながらボール目掛けて足を伸ばした。二人の足はほぼ同時にボールに当たり、放たれたシュートは全くランダムな軌道でゴールへと向かっていく。

 

 

 ──ガンッ! 

 

 

 二人のシュートはゴールポストに弾かれた。それをマンシャイン・シティDFが確保し、前線へとロングパスを送る。

 

 

「……! カウンター警戒!」

 

「せめてどっちかが勝てやアホボケクソコンビ……!」

 

 

 ボールはアギへ。ネスがチェックをかけるが、彼はすぐにパスを出した。

 

 

「行くぞジュウベエ」

 

「その名前で呼ぶな……オシャ! じゃない」

 

「ぐッ……高いべ!」

 

 

 アギと蟻生、高身長二人によるハイタワー連立政権。単純な高さは何よりも強い、二人のヘディングパスだけでボールは前へ前へと押し込まれていく。

 

 

「これにて終幕」

 

「終わらせるかいボケ。こうすれば飛べへんやろ」

 

「チッ……!」

 

 

 しかし烏がアギのマークにつきハンドリングで動きを封じた。それに対し、アギは咄嗟にパスをスルーする。そのボールの行先には時光がいた。

 

 

「OK、そろそろ終わらせようか」

 

「終わらせないぞ弾丸!」

 

 

 時光にパスが届く前に斬鉄が追いついてきた。このままボールロストは避けたい、そう考えた時光はボールを右サイドに流した。その先には完全ノーマークの忍者がいる。

 

 

「ちゅーっす、終幕のハーレムよろ」

 

「しまった! 忍者フリー!?」

 

 

 完全に抜け出した乙夜。パスを受け取り、少し切り込めば乙夜の隠密シュートが使える。しかし彼にボールが届く前に、別の影がボールに触れた。

 

 

「な訳ねぇだろバレバレ忍者!」

 

「カメレオン……」

 

 

 乙夜へのパスを玲王がジャンピングヘッドで防いだ。テレビ越しに見たUー20主将、オリヴァ・愛空のコピーだ。

 

 

(狙い通り……! 烏と斬鉄のプレスで選択肢を減らせば自ずと乙夜にボールが渡る。そこを狩った俺の勝ち──)

 

「アイアムスーパーラッキーボーイ」

 

(な……!? マジか……よりにもよってクリスの所へ!?)

 

 

 しかし玲王のクリアしたボールは偶然にもクリスの元へと落ちた。バスタード・ミュンヘンにとっては最も最悪な展開。位置はPAのやや外、だが十分に狙える位置だ。

 

 

「定時だクリス。タイムカード切ってさっさと帰ろうぜ」

 

「……コース切り。実に合理的だなノア」

 

「血迷ったか、コースねぇだろ」

 

 

 ノアがクリスのシュートコースを的確に潰した。狙えるルートはない、にも関わらずクリスはシュートモーションに入った。

 

 

「合理性ではな! そこでお前と勝負するのは愚か! これはお前を超えるために開発した非合理の新撃(ニューウエポン)だ!」

 

「……!」

 

 

 噴かした。誰もがそう思うようなシュートだ。しかしクリスの放ったシュートは高速で揺れながら落ちる無秩序軌道。誰にも予測できないスーパーシュートだった。

 

 

「GO! 世界一の無秩序変球(ランダムショット)! 俺にすら読めない制御不能(アンストッパブル)歪曲弾(ナックル)!」

 

(右……!? 左……? いや、無理だろこんなん……!)

 

 

 GKバッハマンはそのランダムなブレに全く反応できていない。一か八かでボールに向けて飛ぶが触れないだろう。いや、そもそも反応したところで止められるような物でもない。これが世界No.2、クリス・プリンスの実力だ。

 

 

「まだ……ギリ届くよ!」

 

「姫宮!? アイツいつの間に……!?」

 

 

 だがただ一人、そのシュートに反応していた者がいた。さっきまで反対のゴールにいたはずなのにもう戻ってきている彼に國神は驚く。姫宮依桜、ブルーロックNo.1プレイヤーが頭からクリスのシュートに飛び込んだ。

 

 

(ホントは顔面ブロックとかやりたくないんだけど……! ギリ間に合う、あとは上にブレるか下にブレるか……!)

 

 

 顔面から飛び込むことによってシュートには間に合っている。問題は下に行くか上に行くか、ランダムな軌道のシュートだからこそ発生するギャンブルだ。

 

 

(あ……ヤバ、上行く?)

 

 

 シュートは上へとブレていった。下なら届いたが、上は防げない。だがまだ終わってはいない。依桜は咄嗟に手を地面に叩きつけると、逆立ちのようなポーズでシュートコースを塞いだ。

 

 

(一か八か……ガガちゃん直伝! 逆立ちお腹死守(ブロック)!)

 

「うぉぉ!? スーパーブロックだべ!」

 

 

 何と勢いのまま逆立ちすることによって腹でシュートを受け止めてしまった。依桜の腹に当たったボールはコロコロとその場を転がっていく。

 

 

「うげぇ……!」

 

 

 だがさすがに無理があった。依桜は腹にシュートをくらって呻き声をあげると地面に倒れ込んだ。あのクリス・プリンスのシュートをモロに受けたのだ、中々のダメージだろう。

 

 

『防いだぁぁ!!? クリス・プリンスの必殺ナックルを姫宮依桜がスーパーブロックッッ!!』

 

「……What's?」

 

 

 まさか止められるとは思っていなかったのか、クリスは凄い表情で依桜を見る。だがまだルーズボールだ、ゴールにねじ込まれたら終わってしまう。

 

 

「ルーズボール!」

 

「今度こそ終幕だ」

 

 

 いち早く対応したのはアギ。そのまま足を伸ばしてボールをゴールにねじ込もうとする。

 

 

「入ってて良かった……斬鉄保険!」

 

「……!?」

 

 

 そこに斬鉄が突っ込んできた。爆発的な加速でアギより先にボールにたどり着くと、依桜の弾いたこぼれ球をクリアした。

 

 

「ビフォー&アフターもお任せ下さい」

 

「アフターフォローやろ? リフォームしてどうすんねん」

 

 

 クリアボールを確保した烏は斬鉄に対し軽口のようにツッコミを入れると、すぐにフィールドを見渡した。依桜はまだ自陣ゴール前、彼なしで決めるしかない。

 

 

「こっち使ってください烏さん!」

 

「ええやん、使ったる女王の下僕」

 

 

 烏と七星の連携。マンシャイン・シティがカウンターに人数をかけている今、カウンター返しをすれば一気にチャンスとなる。一秒も無駄にはできない。

 

 

「やらすかよ!」

 

「うぇ……!? 國神さん……!」

 

「……! さすが寄せ速いな」

 

 

 烏から七星へのパス、そこに國神が寄せて来ている。トラップしたら追いつかれる、だが肉弾戦で勝てる見込みもない。

 

 

「せめて…………ボールロストだけは……!」

 

「……マジか!?」

 

「ナイスガッツ七星」

 

 

 七星が無理やり左足をボールに伸ばし、前線にパスを送った。かなり無理のある体勢だったのでバランスを崩し七星は転倒してしまう。だがその根性は無駄ではない、前を走る玲王へとパスが渡る。

 

 

(……姫宮はまだ来れない。他の奴ら待ってたら向こうの守備が固まるし……どうする? 単独突破か?)

 

「行くぞ御影玲王」

 

「……!」

 

「言ったろ、俺は一番合理的な奴につく」

 

「あざっす!」

 

 

 いち早く戻ってきていたノア、彼のおかげで玲王の選択肢が無数に増えた。今ならゴールへの道筋が無限大だ。

 

 

「やーっと隙を見せたな依桜」

 

「……!? な、カイザー!?」

 

「この瞬間を待ってた……クソピエロが」

 

 

 だが玲王からノアへのパスをカイザーがカットした。そのまままだ守備が固まりきっていないマンシャイン・シティに速攻を仕掛ける。

 

 

「ネス!」

 

「はいカイザー!」

 

指導者(マスター)から奪うとか……イカレてんのかアイツら」

 

 

 ノアへのパスを奪うという合理的とかけ離れた選択肢。カイザーはネスと共に素晴らしいパスワークで敵陣を切り抜けていく。そしてゴール前、ネスからカイザーへのラストパスが送られた。

 

 

「クソッ……! 俺の裏に!?」

 

「クソノロマ」

 

 

 最後の敵DFとの駆け引きを制し、カイザーは完全フリーで抜け出した。あとはキーパーとの1VS1、カイザーインパクトをぶち込むだけだ。

 

 

「! カイザー!!」

 

「……!?」

 

「ダーメ。だよ、カイザーくん」

 

 

 クリスだ。凄まじい身体能力でもうここまで戻ってきていたクリスのプレスでカイザーは体勢を崩されてしまった。

 

 

「ちょ……! あれファウルじゃ……!」

 

「これで俺を抑えたつもりかナルシスト?」

 

「は?」

 

「クッッソ安易なんだよ老害が」

 

 

 体勢を崩され転倒しかけたカイザー。だが序盤でカイザーに体勢を崩された依桜のように地面に手をつけると、そこを軸に身体を回した。倒れながら地面スレスレで放つボレーシュート、それは確実にゴールを捉えていた。

 

 

皇帝衝撃波(カイザーインパクト)低空這弾(グラウンドショット)!!! 

 

 

 地を這うような低空飛行のカイザーインパクト。キーパーの反応すら許さない超速の蹴りが生み出す弾丸がゴールネットを突き破る勢いで撃ち抜かれた。

 

 

GOAL!!! 

 

 

 

『ご、ゴ──ル!! 決めたのはやはりこの男! 新世代世界11傑(ワールドベストイレブン)! ミヒャエル・カイザーぁぁ!!』

 

 

「マジか……」

 

「やるね皇帝さん」

 

 

 クリスがいてもなお決めてきたこのゴール。カイザーの実力に敵味方問わず驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

「流石ですカイザー! 神! 神! スーパーゴッドォォ!」

 

「……黙れネス。喚くなクソ犬が」

 

「はぇ?」

 

「まだ一点……依桜と並んだだけだ。それ以前に今のゴールはあのクソナルシストが冷静さを欠いていたから決められただけのコト。依桜のシュートブロックがなければ成立しなかったクソゴールだ」

 

「で、でも……そこを上手く利用できたのはカイザーの実力があっての……」

 

「クソ黙れ、喋んなっつってんだろ。俺が依桜と並んだのがそんなに嬉しいか? 俺が依桜に負ける可能性があったと?」

 

「あ……あえ」

 

 

 言葉を失うネス。シュートを決めてもなおカイザーは満足していないのだ。むしろ屈辱だ、依桜がいなければクリスに止められていたかもしれない。依桜の存在が自分のゴールに影響を及ぼしているのが気に食わない。

 

 

「ラストだ。次のゴールを決めた方がこのチームの王になる。死ぬ気でついてこい、ネス」

 

「は……はい! どこまでもついて行きます!」

 

 

 次の点を決めた方、つまりこの勝負に勝利した方がバスタード・ミュンヘンの王になる。カイザーか、依桜か。どちらがこのチームの覇権を握るかが、この試合で決定されるのだ。

 

 

「痛った……! もう、せっかく止めたのにさぁ!」

 

「凄いぞ姫宮。大丈夫か?」

 

「大丈夫だけど……バカイザーずっとあれを狙ってたの? ムカつく」

 

 

 腹を押さえながらも斬鉄の手を借り立ち上がる依桜。痛みはあるがプレー継続に支障はない。それよりも、自分の干渉できないところでカイザーにゴールを持っていかれたことにムカついていた。

 

 

「ラスト一点……決めた方の勝ちってコト? バカイザー」

 

 

 依桜もカイザーと同じ結論を持っていた。次のゴール、それがこの試合の全て。そして決着の方法だ。

 

 

「くっっ……!」

 

「おい七星! お前、さっきのプレーで足を……」

 

「すみません玲王さん……大丈夫です。いっっ……!」

 

 

 無理なプレーをしたのが原因か、どうやら七星は足を挫いてしまったようだ。玲王が手を貸すが、プレー続行は難しいかもしれない。

 

 

『3分が経過しました。指導者(マスター)ストライカー二名は速やかに選手交代をしてください』

 

 

 このタイミングでちょうど3分が経過、ノアとクリスの交代の時間だ。

 

 

「ちょうどいいか……俺と交代でグリムが左サイドに。そして七星虹郎、お前も下がれ」

 

「え……!? 俺はまだやれます! やらせてください!」

 

「ダメだ、今のお前は役に立たない。チャンスはまだ二試合あるんだ、次の出番のためにも引き際を見極めろ」

 

「……はい」

 

 

 ノアと交代でグリムが戻り、そして負傷した七星も交代。抗議する七星だったが、ノアの言葉を聞いて潔くピッチを去っていった。

 

 

「おつかれにじまる。後は任せときな」

 

「ありがとうございます姫宮さん。お願いします」

 

 

 最後に七星は依桜とハイタッチをしていった。負傷の原因の一つには依桜のプレーに無理やりついて行った反動もあるだろう。そこまで自分に尽くしてくれたのだ、労いの言葉をかけないほど依桜は薄情ではない。

 

 

「代わりに入るのは……閃堂秋人、お前だ」

 

「……! 俺?」

 

「どうした? 早く準備しろ、それとも不服か?」

 

「……いえ、行きます!」

 

 

 突然の指名に一瞬戸惑った閃堂。しかしすぐに気合を入れ、ジャージを脱ぎ捨てアップを始めた。

 

 

「ラストチャンスだお前ら。余計なことは言わない、勝ってこいバスタード・ミュンヘン」

 

(やってやる……この試合で俺は……もう一度ストライカーとして!)

 

 

 マスターの交代、そして新たなピースの投入。戦況はまた変化する。誰が一番に適応し、英雄となるか。全く予想できないこのゲーム、試合再開を告げるラストホイッスルが鳴り響いた。

 

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