〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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天才

 

 

「これは……脳がかなり疲弊しているね。オーバーヒートしてると言ってもいい……このまま酷使し続ければ…………姫宮くん、聞いてるかい?」

 

「ふぁぁぁ…………ん?」

 

 “やば、寝てた。難しい話聞くと眠くなるんだよね(っ﹏-๑)”

 

 

 どうも、私だ。今回もブルーロックRPG実況やっていきます。さて、とりあえず現在は依桜くんがお医者さんの診察を受けています。何やら海外の著名な名医らしいですよ、イケおじだし。絵心さん頑張ってくれたんすかね、依桜くん全然聞いてないけど。

 

 

「いいかい? 人間という生き物は無意識のうちに力をセーブするようにできているんだ。いくら全力を出しているつもりでも、出している力は20〜30%が限度。でも君の場合、その機能が十分に働いていない……あくまで推測だけど、君の脳は40%程の力を出せている。だからその眼で見たもの全てを瞬時に超高速処理することができている。だけどその反面、脳にかかる負担は常人の比では無いけれどね」

 

 

 おお、色んなレントゲン写真や資料を見せて説明してくれてますね。私は見てもよく分からないんですが、依桜くんは理解して……ないよな。

 

 

「もし君がこのままプロになって、こんな無茶を続けるなら……正直あと10年も生きられない可能性が高い」

 

 

 うわ……わかっていたとはいえ、こうはっきりと医者の口から聞かされると重みが…………大丈夫かこれ、さすがの依桜くんでも相当メンタルに来るんじゃ……。

 

 

 “40%……ってことは、あと60%引き出せてないってこと? ”

 

 

 おいちょっと待て、そういうこっちゃないぞ依桜くん。君の覚悟は認めるけどさすがにこれ以上命を削るのは私見過ごせません! だって長生きして欲しいもん! 

 

 

「姫宮くん。君の人生だ、最終的にどうするかは君の意思……だけどね、君が早くに亡くなってしまったら悲しむのは君だけじゃない。ご家族や友人、そして君を応援してくれる人達もとても辛い思いをするだろう。君の夢を否定する訳じゃないが、生きるということは素晴らしいことだ。もう少し、考えてみないかい?」

 

「…………」

 

 

 いいこと言うじゃないっすかこのお医者様。イケメンで著名な名医でしかも人格者ときたもんだ、少しくらい一つだけでも要素を分けて欲しいねまったく。

 

 

 さてさて、診察も終わったことだしトレーニングといきますか。次の試合までにバカイザー超えを果たさなきゃいけないので一瞬も無駄にはできません。

 

 

「あれ、レオオと烏ちゃん。何やってんのこんなとこで?」

 

「おお、お疲れ姫宮。自主練してたんだよ、俺と烏で」

 

「誰かさんらと違って、俺の入札価格じゃ安全圏とは言えへんからな」

 

 

 お、これは面白い組み合わせ。だけどどっちも頭脳派だし、つーか原作だと日常回でつるんでたし納得のコンビですね。そして烏くん、現状10位でまぁ安泰ではあるんだろけど、確かに完全に安心できる訳じゃないですよね。彼なら更に上を目指そうとして当然です。

 

 

「姫宮の方こそ、医務室から出てきてどうしたんだ? まさかどっか怪我でもしたのか?」

 

「別にそーゆーのじゃないけどさ、なんかボクの寿命あと10年もないらしいよ」

 

「……は?」

 

 

 おいおいおいおい!!? 何サラッと言っとんねん依桜くんΣ\(゚Д゚;)。さすがのお二人でも硬直してるし!! そらそうよ、いきなり寿命10年とか言われたらそーゆー反応になりますって!!? 

 

 

「いや……意味わからんわ。どういうことや姫宮」

 

「あ〜なんて言ったっけ? 滝……サイ……? とにかく、そのナンタラ現象ってのでね。試合中すっごい集中力引き出せるんだけど、脳みそへの負担がやばいから寿命削ってるらしいの」

 

「……タキサイキア現象の事か?」

 

「それそれ! さっすがレオオ!」

 

 

 お、玲王くん知ってるんだ。さすが進学校のトップ頭脳、頭の出来が違うんですね。

 

 

「俺も聞いたことあるわ。あれやろ? 自分の身が危険にさらされた時に周囲の動きがスローモーションで見えるってヤツ」

 

「え? 二人とも知ってるの? すご!」

 

 

 烏くんも知ってるのか……てか割とみんな知ってる感じ? 私が無知なだけ? 依桜くんのこと言えなくなってきたな……。

 

 

「……てことは、お前には試合中の動き全てがスローモーション見えてるってことか?」

 

「うん、まぁそんな感じ」

 

「あのイカれた反射速度のカラクリはそれか。でも……脳の負担は尋常じゃない……そんな無茶を続ければお前は……」

 

「人間がホンマにヤバなった時の緊急機能を試合中ずっと使い続けとるんやろ? そんなん脳みそぶっ壊れるに決まっとるわ」

 

 “なになに? 2人共深刻そうな顔しちゃって……”

 

 

 君の心配をしてるんだが? なんだかんだお優しいお二人ですな、それに引き換え依桜くん。前々から思ってたんですけど、な〜んか自分の命を軽く見てると言うか……いや、それだけ世界一への夢が強いって話ではあるんだろうけど。

 

 

「姫宮……死ぬのが……怖くないのか?」

 

「……別に? 世界一のストライカーになれるならむしろ安いモンでしょ」

 

「ブッ飛んどんなぁ……その大非凡エゴ。俺には絶対真似出来へんわ」

 

 

 もうちっと命を大切にしようや依桜くん。いや、操作してる私が言えた口じゃないんですけどね。たかがゲームと思うかもですけど、私依桜くんにめちゃくちゃ愛着湧いちゃってるんですよ。まるで弟のように思ってます、うん。

 

 

 “確かに……普通は死ぬのが怖いんだよね。でも、なんでだろ……? 10年以内に死ぬとか言われてるのに、全然怖くないんだよね……ボク。ビックリするくらい落ち着いてる”

 

 

 マジか……依桜くん、あれか? 子供の頃の経験から命に対する価値観が……いや、劣悪な環境を生き抜いてるんだから、むしろ生きたいと思うはずか……? う〜ん、わからん。

 

 

「あ! ヤバ、この後CMの撮影があるんだった!! じゃあね二人共、あんまり無茶なトレーニングしたらダメだよ!」

 

「いや……どの口が言うとんねん。相変わらず騒がしいヤツ」

 

 

 むむむ……こっからどうすべきか。いやね、結局ゲームシステム上プレイヤーである私が寿命削らなくてもいいくらい頑張ってカイザーを倒せればいいんですが……でもなぁ、依桜くんは覚悟を決めてるしなぁ……長生きしてくれって気持ちと依桜くんの覚悟を尊重したいという気持ちがぶつかり合ってる感じです。

 

 

 ……一旦気持ちを切り替えますか。前回の動画でですね、興味深いコトを聞きました。このゲームの機能の一つである称号、私はあんまり興味無いので長らく放置していたんですが、ある称号を手に入れると強いスキルをゲットできると教えていただきました。

 

 

 それは〖覚醒の兆し〗です。そうですね、以前依桜くんが習得していたスキルで、これがあるとどこかのタイミングで新たなアクティブスキルを習得できるようになります。やはりカイザー相手に勝ち切るには、ステータスをちょびっと伸ばすよりは新武器を手に入れた方が効率がいいって訳です。

 

 

 んで……肝心の称号ってのがコレ。

 

 

 ▽〖天才に見初められし者〗

 

 

 はい、これは冴くんに選ばれUー20側で代表戦に出場すると得られる称号です。冴くんに選ばれたのに、大した活躍出来ずに終わっちゃった!! ってことがないようにするためだと一部界隈では言われてますが……依桜くん元から持ってたので意味なかったんですね。

 

 

 つーこって称号獲得の報酬貰って……てかこの際他の称号分の報酬もまとめて受け取っておきますか。

 

 

 んでんで、この〖覚醒の兆し〗があることによってどこかのタイミングでアクティブスキルを習得できるんですが……ネオエゴ中に覚えるかは完全に運ですね。しかもこのスキル、二回目三回目と覚える度に安定しなくなるというか……アクティブスキルを覚えられない可能性が出てくるらしいんすよね、聞いた話だと。その辺含めて、天運に身を委ねましょう。

 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 ──青い監獄(ブルーロック)再開初日、イタリア棟。

 

 

「ようこそ少年たち。俺がイタリア・ユーヴァースの指導者(マスター)。スナッフィーでぇーす、よろしくー」

 

 

 イタリア、ユーヴァースに割り振られた凪を初めとしたブルーロックメンバーたち。彼らはイタリアの指導者、マルク・スナッフィーの軽い態度に困惑していた。世界トップクラスのストライカーと聞けば、もっと厳格な人物像を想像してしまう。

 

 

「トレーニングの前にさ、ちょっとだけ質問。キミらにとってサッカーって何?」

 

 

 突然のスナッフィーの質問。それにブルーロックたちは一瞬言葉を詰まらせるが、少し考え各々の答えを口にした。一番最初に答えたのは雪宮だ。

 

 

「絶対に叶えたい夢」

 

「だな、ドリームドリーム」

 

「寺を継がない為の最後の希望!」

 

「最高に気持ちいい没頭できるコト……ですかね」

 

 

 黒名、五十嵐、二子と順番に答えていく。そんな中凪は無言で聞いていただけだったが、ある程度で満足したのかスナッフィーは話の続きを語り始める。

 

 

「なるほど……若者らしい凄ぇピュアな答えだね。でもじゃあそれが叶わなかったらどうする? サッカーを失ったら、キミたちに何が残る?」

 

 

 そこからスナッフィーが語ったのはある種の現実。夢に生きるブルーロックたちにサッカーとは仕事であり、ユーヴァースは会社、そして選手は社員。社長であるスナッフィーの導き出した戦術パターンを全て頭に叩き込み、遂行すれば絶対に勝てる。もしも想定外の事態に陥れば、それは社長の責任だ。

 

 

「『仕事狂(ビジネスライク)』にいこーぜ。戦術の手足となれ、少年たち」

 

『はい!!!』

 

 

 スナッフィーの言葉にユーヴァースの選手たちがさながら軍隊のように答える。ブルーロックでは見られないその光景は、ある意味新鮮だった。

 

 

「でも凄いですね。ちゃんと僕らの個性を取り入れた戦術になってる……ここで生き残れば、ド成長できる気がします」

 

「郷に入れば郷に従え……だね」

 

 

 頭脳派の二子や柊は、スナッフィーの戦術を見て感心していた。確かに素晴らしい出来だし、これを導き出したスナッフィーの頭脳も信用するに値するだろう。

 

 

「ねぇスナッフィー。つまり頭使う面倒くさいことは全部アンタがやってくれて……俺らはアンタに従ってれば絶対勝てるってこと?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「なら俺はいいや……多分ここにいても強くなれないし」

 

 

 そう言って凪はスナッフィーに背を向け歩き出した。面倒くさいことを嫌がるはずの彼がスナッフィーの言うことを拒否するなど、皆考えてもいなかった。

 

 

「待ってよ。俺の言うことが不服か?」

 

「うん。だってそれじゃ昔の俺と同じだ。俺は潔や姫宮に勝ちたい、アイツらみたいに生まれ変わりたいからここにいる。だからアンタの言うことは聞けない」

 

 

 凪の表情は動かない。しかしその言葉には確かな熱が宿っていた。今までの彼にはなかったはずの熱が。それを聞いたスナッフィーは否定されたことを怒るわけでもなく、むしろ笑っていた。

 

 

「面白いね凪誠士郎。いいよ天才、俺もキミの才能に興味がある。ならこうしよう……俺はこのチームをキミにパスを送る為のシステムに作り直す。そしてキミには俺の培ってきたサッカー全てを叩き込む。キミは俺の戦術に従わなくてもいい、キミの才能と俺の頭脳……二つがぶつかり合った時に何が起こるのか見せてくれ」

 

「……OK、俺にサッカーを教えてくれスナッフィー」

 

「契約成立だね。よろしく青い監獄たち(ブルーロックス)

 

 

 こうしてブルーロックたちはスナッフィーの戦術の手足となるためのトレーニングを始めた。その中でも凪はスナッフィーとのマンツーマントレーニング、まだサッカーをろくに知らない雛をスナッフィーは成鳥へと導くつもりだ。

 

 

「凪、キミは紛れもなく天才だ。俺が今まで見てきたフットボーラーの中でもトップクラスにね。でもキミは天才である前に一人の人間だ、それを履き違えちゃいけない」

 

「何それ……どういう意味?」

 

「キミの才能は両親が与えてくれたタダの贈り物、それを理解しなきゃ本物じゃない。人間、堕ちる時は一瞬だ……もしもキミが天才じゃなくなった時、キミは自分を好きでいられるか?」

 

 

 トレーニング中、ふとスナッフィーが凪に問いかけた。そして自らの過去の話を、才能にあぐらをかいてしくじり、親友を無くしたコトを打ち明けた。

 

 

「……別に天才とか才能だとか、そんなのどうだっていい。俺はタダ知りたいんだ……あの時見た、光の正体を。俺も生まれ変わることが出来るのか確かめたい。タダそれだけだ」

 

 

 ──そして最後は……レオの隣で一緒に世界一になりたい

 

 

「やっぱり面白いね……凪誠士郎。なら、俺の後継者として……ユーヴァースの王にならないか?」

 

 

 そうして凪誠士郎はネオ・エゴイストリーグ初戦で一点をもぎ取り、ユーヴァースの王として名乗りを上げた。ただ、このチームで王座につきたいわけじゃない。怜王の隣に立つため、世界一の夢を見るために彼は強くなることを望んだのだ。

 

 

 そして凪の信じた通り、御影玲王は戻ってきた。だが早速玲王に会いに行った凪ははっきりと拒絶されてしまった。あの頃の共に夢を見ていた玲王はどこにもいなかったのだ。

 

 

「凪くん、昨日からずっとあんな調子ですね」

 

「……」

 

 

 ネオエゴイストリーグ二戦目を控えたユーヴァース。トレーニングにもより熱が入るが、凪はまるで怒りをぶつけるかの如くシュート練習を行っていた。事情を知らないチームは困惑する、唯一凪と玲王が接触した場にいた黒名も何も言えなかった。

 

 

(なんでだよ……ずっと俺はお前ともう一度夢を見るために……!)

 

 

 ぶつける場所のない怒り。だがこれは玲王に対する怒りだけじゃない、潔に負け、凛に負け、姫宮に負け、そして今度は怜王に負けた。弱くてちっぽけな自分自身への苛立ちだ。

 

 

(玲王が落ちたと知っても、絶対這い上がってくるって信じて俺はここまでやってきた……なのにまた勝手に拗らせて…………)

 

 

 シュートを放つ足の力が増す。苛立ちを抑えるのに精一杯で、周りのことなど見えていなかった。

 

 

(……いや、違うか。玲王は俺に強くなった自分を見せつけた。もう俺なんていらないって……だったら俺はもっと強くなって……玲王に勝って……それから言うんだ……アイツに……俺はお前といたいって、お前と一緒に世界一になりたいって……!)

 

 

 こうして天才は更なる強さを求めた。玲王に伝えるために、生まれ変わるために、そしてもう一度二人で夢を見るために。このユーヴァースで、天才の蕾は花開くのかもしれない。

 

 

(クソ……クソッッ……! なんでアイツばっかり……スナッフィーはこのユーヴァースの王に俺じゃなく、凪くんを選んだ……! 俺に……何が足りない……!?)

 

 

 そんな中、人知らず焦燥感に駆り立てられる少年がいた。雪宮剣優には時間が無い、彼の持病である目の疾患は日に日に重くなるかもしれない。一刻も早く世界一のストライカーになりたい、その思いはブルーロックに来てからも加速していった。

 

 

(今、このチームでレギュラーに選ばれるためには凪くんをサポートする駒になるしかない。でも……それじゃ世界一にはなれない。認めなきゃいけない……自分の弱さを……でも、俺はまだ終われない。乗っ取ってやる……このチームを……!)

 

 

 この感情は凪への嫉妬なのかもしれない。TOP6に選ばれず、Uー20戦にも交代枠ですら出られず、そしてこのネオエゴイストリーグでも成果を出せていない。だからこそ、無類の才能を持つ凪誠士郎が妬ましい。認めなければならないのかもしれない、己の弱さを。そしてその上で乗り越えるのだ。この試練を。

 

 

(待ってろ……玲王!)

 

(凪くんから王の座を奪い取って……俺の存在を証明する……! 夢と心中する覚悟ならできてる……!!)

 

 

 二人の別々の覚悟は決して交わることはなく、しかしユーヴァースに確実に影響を及ぼすことになるだろう。

 

 

 

 

 ──だが、この時の彼らには知る由もなかった。この強い想いを全て無に帰す程のストライカーの誕生を。ドイツ、バスタード・ミュンヘンを乗っ取り、新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)を破壊する女王が現れるコトを。

 

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