〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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女王と魔王

 

 

「全部持ってかれちゃったね、玲王」

 

「……」

 

 

 試合終了後、泣きじゃくるネスと依桜のやり取りを横目に凪が玲王に声をかけた。玲王は背を向け、無言を貫いているが凪は構わずしゃべり続ける。

 

 

「この試合でお前との決着をつけたかったけど、まだお預けみたいだ」

 

「……なんでだよ?」

 

「え?」

 

「なんでそこまで俺にこだわる……!? お前は潔と出会って……変わったんだろ……アイツに変えられたんだろ!? なのに……なんでまだ……!」

 

「玲王……」

 

 

 玲王の本心からの叫びにさすがの凪も表情を乱した、しかしすぐに立ち直り玲王に向き合う。もう、伝えられずに離れ離れになるのはごめんだ。

 

 

「俺は……お前から離れて、強くなろうと思ったのに……なんで今更」

 

「……別に、俺は潔に変えられてなんてない」

 

「…………は?」

 

 

 凪の言葉に玲王は顔を上げ呆然とした表情をしている。凪の言っていることの意味がわからないのだ。

 

 

「俺は青い監獄(ブルーロック)で生まれて初めて熱くなった、変わりたいと願った。確かにきっかけは潔だったのかもしれない」

 

 

 めんどくさいがり屋で、何にもやる気を出せない凪誠士郎は潔世一に負けた瞬間にいなくなった。変わりたいと願ったのも、潔が変わる瞬間を見たからなのかもしれない……だが。

 

 

「でも俺が変わったのは……俺が変わりたいと思ったからだ。潔でも玲王でもない……俺自身が俺を変えたんだ」

 

「……!?」

 

「そして俺が変わりたいのは……玲王、お前と一緒に世界一になりたいから。お前と一緒にいたいからだ」

 

 

 今までは天才ゆえの対人経験値の圧倒的少なさから選択肢を間違え続けてきた凪だが今は違う。自分の思っている本人を目の前のパートナーに伝える。一切の曇りなき眼差しで。

 

 

「俺、玲王といるのが好きだよ。めんどくさくないし、楽しいし……お前と一緒にいられるなら……俺はどれだけでも変われる」

 

「……なんだよ、ずっとそんな風に思ってたのか?」

 

「ああ、それだけは変わらない」

 

 

 玲王は拳を握りしめ、身体を震わせている。その様子を凪はただ見つめていた。

 

 

「……だったらよ──」

 

「?」

 

「最初からそう言えってんだこの超絶めんどくさボケ赤ちゃんが!!」

 

「……え?」

 

 

 いきなりまくし立ててきた玲王に凪はキョトンとした顔で黙ってしまった。しかし玲王はお構い無しに言葉をぶつけ続ける。

 

 

「俺がどれだけ悩んだと思ってんだ!! お前が最初っから全部言葉にしてりゃ解決だったんじゃねぇかよ!!」

 

「ごめん……玲王ならわかってくれてると思ったから」

 

「わかるか!! 俺はエスパーじゃねぇんだよ!! お前みたいなポーカーフェイスの考えてることなんてこれっぽっちも読み取れねぇ!!」

 

 

 今まで凪の真意がわからなくて悩んでいた部分もある。それがこんなに簡単に伝えられたのでは不満の一つも言いたくなるだろう。

 

 

「ふざけんな……じゃあ俺は勝手に拗らせて、意固地になってただけかよ……クソが」

 

「……自分勝手は俺も同じだ。玲王ならわかってくれてるって、勝手に信じてた……ごめん」

 

「…………」

 

「玲王……!」

 

 

 玲王は凪に背を向けるとゆっくりと歩き始めた。その背中に凪は手を伸ばして止めようとするが、玲王の言葉によってその行動はかき消された。

 

 

「……ホントは気づいてたんだ。潔に負けて、悔しさを知って、変わっていくお前に。嬉しかったんだよ……でも、それを認めたらお前の隣にいられなくなる気がして怖かった」

 

「……」

 

「俺が弱かったのが悪いんだよ……だから、俺も強くなりたい。強くなって……いつの日か……」

 

 

 そこで玲王の言葉は止まった。だが凪には玲王の言いたいことがわかった気がする。すれ違い続けてきた今までとは違う、だからこそ凪はこの言葉を玲王に送る。

 

 

「うん……夢の先でまた逢って……一緒にサッカーやろうぜ、レオ」

 

 

 凪の言葉に玲王は答えなかった。しかし僅かにだが確かに頷き、玲王はその場を後にした。まだ完全に和解したとは言えないだろう、だが彼らの間にあった亀裂は少しずつ埋まりつつある。

 

 

「できたのか? 仲直り」

 

「わかんない……けど、前には進めた気がする」

 

 

 何かと二人のことを気にかけていた黒名からの問いに、凪はふわりとした……しかし確かな声で答えた。少なくとも今までとは何かが違うと。

 

 

『ただいまの時間を持ちまして新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)第五、第六試合が終了しました。続いて年棒ランキング発表に移ります』

 

「向こうの試合も終わったみたいやな」

 

「キタキタ♪ ボクの年棒いくらかな〜?」

 

 

 依桜達の裏の試合、フランスVSイングランドもどうやら終了したようだ。アナウンスが入ったあと、緊張の年棒価格発表の時間に移行する。

 

 

『今回入札希望のあった選手は35名です。それではまず、35位〜24位までの選手を発表します』

 

 

35位 西岡 初 230万円

NEW

 

34位 不角 源 300万円

NEW

 

33位 五十嵐 栗夢 500万円

NEW

 

32位 颯 波留 650万円

NEW

 

31位 超 健人 700万円

NEW

 

30位 音留 徹平 800万円

NO GAME

 

29位 蛇来 弥勒 900万円

NO GAME

 

28位 仁王 和真 1000万円

↑600万

 

27位 清羅 刃 1100万円

NEW

 

26位 日不見 愛基 1500万円

NEW

 

25位 氷織 羊 1800万円

NEW

 

24位 蟻生 十兵衛 2400万円

↑500万

 

 

 日本代表内定圏外の24位までが発表された。今回初出場の選手達はほとんどがこの中にいるだろう。

 

 

「500万……! 俺低い!」

 

「……あい」

 

「あれ? もしかしてヤバいんじゃね?」

 

 

 五十嵐や清羅、日不見などはこの順位に危機感を覚えていた。彼らに残された試合はあと一回のみ、そこで結果を示さなければならないのだから。

 

 

『続きまして、23位から12位までを発表です。なお、ここからが現時点での暫定日本代表入り選手となります』

 

 

23位 時光 青志 2550万円

↑450万

 

22位 雷市 陣吾 2600万円

NO GAME

 

21位 剣城 斬鉄 2750万円

↑1000万

 

20位 千切 豹馬 3100万円

↑ 1100万

 

19位 我牙丸 吟 3150万円

NO GAME

 

18位 七星 虹郎 3250万円

↑2150万

 

17位 閃堂 秋人 3300万円

↑750万

 

16位 黒名 蘭世 3500万円

↑1100万

 

15位 柊 零次 3750万円

↑800万

 

14位 オリヴァ・愛空 3800万円

↑1600万

 

13位 二子 一輝 4000万円

↑900万

 

12位 蜂楽 廻 4500万円

↑1600万

 

 

「俺が……3250万」

 

「……21位か、ギリだな」

 

 

 ここから先はほとんどが既に年棒を貰っていた者達。個人差はあるが、勝ったチームの選手の方が上がりやすい傾向にあるのかもしれない。

 

 

『そして最後に現状のTOPイレブンを発表します』

 

 

11位 雪宮剣優 4600万円

↑3000万

 

10位 國神 錬介 4700万円

↑500万

 

9位 乙夜 影汰 5500万円

↑700万

 

8位 烏 旅人 6200万円

↑2300万

 

7位 馬狼 照英 7800万円

NO GAME

 

6位 御影 玲王 9500万円

↑2000万

 

5位 士道 龍聖 1億500万円

↑6500万

 

4位 凪 誠士郎 1億4100万円

↑2000万

 

3位 糸師 凛 1億5000万円

↑1億200万

 

2位 潔 世一 1億7000万円

↑1億2400万

 

 

「よし……!」

 

「おーおー、頑張っとるやんフランスのボケ3兄弟」

 

「なんだよ、玲王とアップした金額一緒じゃん」

 

「……」

 

 

 大幅アップを喜ぶ雪宮、そして点を決められずに不完全燃焼で終わったことを悔しがる凪と玲王。そんな中烏の意識は自分よりもフランス勢の金額に行っていた。裏の試合はどうやらフランスが勝利したらしいが、恐らく点を決めたであろう士道、凛、潔の上昇幅がかなり大きい。つまりそれだけの試合内容だったのだろう、警戒せずにはいられなかった。

 

 

『第一位の姫宮依桜選手ですが……前回入札希望のバスタード・ミュンヘンから変わり、スペイン「レ・アール」により最高入札価格が更新されています』

 

「……!?」

 

1位 姫宮 依桜 4億8000万円

↑3億2500万

 

オファークラブ 『レ・アール』

 

 

「4億8000万って……ヤバすぎだべ」

 

「4億……カイザーの1.5倍以上やんけ!?」

 

「それだけの金額で世界最強クラブが姫宮を欲しがってるってことか……」

 

「てかレ・アールってあれじゃん! さえちのいるとこ!」

 

 

 依桜の規格外の年棒に周囲は驚きを隠せない。カイザーでさえ3億円だというのに、それよりも2億円近く多いのだ。しかもそのオファーを出しているのはあの糸師冴有するレ・アールだというのだから驚きだろう。

 

 

『なお同じく「レ・アール」からアレクシス・ネス選手にも1億円の入札希望が更新されています』

 

「……あぇ?」

 

 

アレクシス・ネス 年棒価格1億円

↑5000万

 

 

「へ〜、やるじゃんおネス」

 

「あ……」

 

 

 依桜と同じくネスにもレ・アールから今までの倍の金額でオファーがあった。それを聞いたネスは喜ぶよりも、横目でカイザーを恐る恐るといった様子で見た。カイザーは他のクラブから更に上の条件でのオファーを貰いバスタード・ミュンヘンを退団することを目的にしていた、それを先にネスが達成してしまったのだ。

 

 

「…………」

 

 

 だがカイザーは何も反応せず、ただ黙って俯いてる。ネスは何かを考えると、そのまま彼から目を逸らした。そうしている間にカイザーは何も言わず何処かへと消えていってしまった。

 

 

 バスタード・ミュンヘンVSユーヴァースは3ー1という結果で試合終了となった。この試合で依桜は大躍進を遂げ、他の面々を置き去りにしてしまった。そんな波乱の試合の裏でも、大激闘が繰り広げられていることをこの時の依桜は知らなかったのだ。

 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 ──数十分前、新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)第六戦。マンシャイン・シティ VS P・X・G。

 

 

 バスタード・ミュンヘンVSユーヴァースの裏で行われていたこの試合、既にP・X・Gが二点を奪い、2ー0でリードしている状況だ。

 

 

「行っくぜ魔物(クリーチャー)共! (⃔ •̀ᵕ•́ )⃕↝」

 

「クッッ……! もう一発デカいの来るぞ!!」

 

「その悪魔止めろ!」

 

 

 中盤でボールを持つのは若干15歳でありながらフランスの中核を担う若きパサー、シャルル・シュヴァリエだ。彼は前線に目をやると爆走する悪魔を補足した。

 

 

「孕ますぜラストスパート♪」

 

「これ以上はやらせない……!」

 

 

 士道のこれ以上の躍動を阻止するべく、アギがマンツーマンでマークについた。これだけで士道を止められるとは思えないが、やらなければ確実に点を奪われる。

 

 

「♪」

 

「来た……悪魔に!」

 

「どけ、イかせちまうぞ白眼ノッポ」

 

 

 シャルルからのパスに走る士道、それを止めようと身体を入れるアギ。身体をぶつけ合う二人だが、それを越えてパスはゴール前に伸びていく。

 

 

「あら? 俺じゃないん?」

 

「ここだよね魔王(デーモンキング)! ψ(*`∀´)ψヒヒッ」

 

「いいぞ天邪鬼」

 

 

 シャルルのパスの先に走っていたのは潔世一だ。士道に意識が向く中裏から抜け出していたのだ。ゴール前、完全どフリーでダイレクトシュートまで持って行ける。

 

 

「お前は自由にさせねぇよ潔……!」

 

「マジそれ、ヤバヤバね」

 

「……!?」

 

 

 しかし抜け出したはずの潔に喰らいついてくる者が二名。同じチームZ出身で、潔の危険性を誰よりも認識していた國神と、裏抜けが武器であることからこのタイミングも予測できた乙夜だ。

 

 

「止める……!」

 

「……甘ぇんだよ脳筋共」

 

「……!?」

 

 

 國神と乙夜のシュートブロック。にも関わらず潔はダイレクトシュートのモーションに入った。警戒する二人、しかし潔はシュートを空振りと同時に足を戻す勢いを利用しバックヒールでボールを後ろへと戻した。

 

 

「な……!?」

 

「ホラよ、餌だ。喰え野獣(ビースト)……!」

 

「うっせぇ潔……壊す殺すぶち殺す!!!」

 

 

 そこに凛が舌を出しながら鬼のような形相で突撃してくる。勢いのまま潔、國神、乙夜と衝突(クラッシュ)しその体勢のままシュートを放った。

 

 

「……猛獣かよ!」

 

「あんな体勢から……超高精度のカーブシュート!? 空中でフリーキック蹴ってんのかコイツ!?」

 

 

GOAL!!! 

 

 

『決まったァァァァ!! 破壊獣糸師凛のスーパーゴールで決着!! 3ー0、P・X・Gの完封勝利だァァァ!!』

 

 

 凛のカーブシュートが突き刺さり決着。一点奪われることなくフランスの完全勝利だ。これには乙夜始め、イングランドの選手達は呆気に取られながら悔しがることしかできない。

 

 

「ちぇ……どいつもこいつもチートすぎ」

 

「士道と凛も人外じみてたけど、やっぱ潔だよな」

 

「だな、オシャ魔王の称号を与えよう!」

 

 

 この試合、潔は自分で1ゴールを決めただけに留まらず先程のアシスト、そして士道のゴールの起爆剤にもなっていた。マン・オブ・ザ・マッチは間違いなく彼だろう。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

「おい凛、来るのが遅ぇぞ。お前ならもっと激しく俺と衝突できただろ」

 

「……あ?」

 

「破壊するならもっと真面目にやれ、中途半端に理性なんか残すなエセ野獣(ビースト)。そんなんじゃ一生俺は殺せないぞ」

 

「……!!!」

 

 

 それだけ言うと潔は凛の前から立ち去った。煽られた凛は怒りに身を任せ青筋を立てている。一見ただの煽りだがこれも必要なこと、凛の破壊衝動を焚きつけるには自分への殺意を高めさせるのが一番だ。

 

 

「ハッッ……! もう完全に魔物を支配する魔王じゃねぇか潔」

 

「潔大魔王! 次はどいつを潰しやすか?」

 

「やめろって蜂楽……恥ずいだろ」

 

 

 愛空と蜂楽にいじられ、さっきとは打って変わって高校生らしい照れ方をする潔。温度差で風邪をひきそうだが、潔世一とはこういうフットボーラーなのだ。

 

 

「潔くん、年棒ランキング発表されるで」

 

「……! ああ」

 

 

 氷織に声をかけられ潔は頭上にあるモニターに目をやる、自身は1億7000万円で2位。前回の4600万円から3倍以上の大幅アップだ。だが──

 

 

「姫宮の年棒……4億8000万ってマジかよ」

 

「やるねぇお姫ちゃん」

 

「盛り上がってきたね!」

 

「相手にとって不足なし……やな」

 

「孕ませがいがあるねぇ、女王サマちゃん♪」

 

 

 千切の言葉を皮切りにそれぞれが驚きや賞賛の声を口にする。潔や凛の年棒でさえ周りからかなり抜けているというのに、依桜はそれを軽々と超えてきてしまったのだ。

 

 

(俺は姫宮の……3分の1程度の評価かよ……! 意味ねぇだろ、どれだけ自分の中で手応えがあっても……世界から見たら2位以下はゴミでしかない!)

 

 

 客観的に見て潔の年棒も相当なものだ。普通なら喜ぶところなのだろうが、このエゴイストには世界一以外見えていなかった。

 

 

(このチームにはまだ俺が喰える可食部が残ってる……! 喰らい尽くしてやるよP・X・G……! そして最後は姫宮をぶっ潰して……俺が世界一だ!)

 

(コロス……! 触角害虫も……! ゲロシャブピンクも……! 潔も……! 全員まとめて俺がぶち壊す……!!)

 

「バチバチだねぇ魔王&野獣。そういうの好きだぜ魔界コンビ♪」

 

 

 姫宮依桜の台頭にP・X・Gの主力である潔、凛、士道は対抗心を高めていく。直接対決はまだ先だが、この戦いは未だかつて無いカオスになるであろうことは誰でも予想できる確定した未来だ。

 

 

新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)第六戦

 

P・X・G VS マンシャイン・シティ

 

 

3ー0

 

 

『GOAL』

 

 P・X・G

 

 ・SHIDO (アシスト CHARLES)

 

 ・ISAGI (アシスト BACHIRA)

 

 ・RIN (アシスト ISAGI)

 

 

 

 

試合終了!!! 

 

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