〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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女王の名の元に

 

 

 ──年棒ランキング発表直後、ユーヴァースVSマンシャイン・シティ試合会場。

 

 

 試合を終えての年棒価格ランキングが更新され、選手達は固唾を呑んでそれを見守っていた。そして自身の価格に安堵する者、危機感を覚える者、悔しさを身に刻む者、反応様々だった。

 

 

「クソ……俺はまだ、姫宮や潔より下なのかよ」

 

 

 年棒価格2億円、糸師凛と並んで3位の好成績を収めた凪誠士郎は満足などしていなかった。何故なら彼らイタリアチームはこれがラストゲーム、これ以上はないのだから。

 

 

(だけど……待ってろエゴイスト共。次こそ俺が……No.1になってやる……!!)

 

 

 姫宮依桜や潔世一は更に先の世界にいる。まだ終わりじゃない、その世界の景色を俺も見てみたい。エゴの炎に熱が入った彼の衝動はこの程度では止まらなかった。

 

 

「……終わった」

 

「!」

 

「クソッッ……!! クソォォ!!」

 

 

 その時、凪は気づいた。涙を流し地面を握りしめる五十嵐や西岡の姿に。

 

 

(あ、そうか。俺らはこれが最後の試合……てことは)

 

 

 現時点で年棒価格が23位内に到達していない五十嵐栗夢、西岡初、超健人、劈大河。彼ら四名は脱落が確定してしまったのだ。試合がこれ以上ないので、後は上の者が落ちてくるのに賭けるしかないのだが、残念ながら現実的ではないだろう。

 

 

「お、俺たちにとっても他人事じゃない……よね?」

 

「ああ……ほぼ安全圏にいる乙夜や國神と違い、俺! たちも次の結果次第で同じ結末を辿る可能性はある」

 

 

 その姿にユーヴァース、そして対戦相手のマンシャイン・シティも危機感を覚えた。特に年棒価格的に安全とは言えないラインにいる時光や蟻生はその思いが強く、またイングランドの低年棒組も同じだろう。

 

 

 ──そしてそれは他のチームでも同じことだった。

 

 

「…………」

 

「七星……」

 

 

 場所はドイツ棟、モニタールームに変わる。年棒ランキング24位に落ちてしまった七星虹郎は前回の試合で足を怪我しており次の試合への出場は不可能。つまりイタリアの脱落組と同じ末路を辿ることになるということだ。

 

 

「一応……まだ24位だから誰かの年棒が下がれば可能性はある……けど」

 

「ま、十中八九上がってくる連中の方が多いやろな」

 

 

 そう、可能性は0%ではない。だが限りなく低く、望みはかなり薄い確率なのは間違いないだろう。しかも今は七星の下にいる選手達が次の試合で七星を上回る年棒を貰うかもしれない。というかそれはほぼ確定事項だ。

 

 

「……ッッ!!」

 

 

 七星は言葉にもならない呻き声を上げた。涙を堪えたいのに、悔しいという感情が溢れ出てきてそれを許してくれないのだ。

 

 

「う……うゔゔァァ!!」

 

「……」

 

 

 七星の慟哭に誰も声をかけることはしなかった。慰めなどなんの意味もない、落ちてしまったのは本人の実力不足。気休めの言葉を投げかけたところで状況が良くなるわけでない。

 

 

「姫宮さん……お願いします。俺の分まで……姫宮さんが世界一のストライカーに……!!」

 

「え? 嫌だけど」

 

 

 依桜の肩を必死に掴み、彼に全てを託そうとした七星。だが依桜はそれをあっさりと断ってしまった。その対応は流石に玲王も口を挟まずにはいられない。

 

 

「おま……せめてもうちょいオブラートに……!」

 

「だって“誰かのため”とか、“誰かの分まで”とか、そんなの辛いだけだよ。託された方も託した方もね」

 

「……!」

 

 

 依桜の声は普段とは違って落ち着いていて、なおかつ芯のある声だった。その正体不明の迫力に、一同は言葉を失った。

 

「それに、青い監獄(ブルーロック)で脱落したからって日本代表に入れなくなるだけで、サッカーできなくなるわけじゃないんでしょ?」

 

「……まぁ、七星は入札もあるしそこのクラブでプレーするのは自由だな」

 

「じゃあまだ終わったわけじゃないじゃん。世界一のストライカーになるために絶対日本代表にならなきゃいけないってこともないし。ま、ボクが生きてる内はムリだけどね♪」

 

「……姫宮さん」

 

 

 依桜は真面目に、しかし最後はいつも通り可愛らしくその場を締める発言をした。依桜の言うことは実際的を得ていて、ブルーロックで脱落すること=サッカー人生の終了ではない。今の世評的にブルーロックで生き残ることが大きなアドバンテージになるのは間違いないが、それだけでサッカー選手の価値は決まらない。

 

 

「……わかったべ! 俺、絶対姫宮さんの所までたどり着いてみせます!」

 

「うんうん、エゴイストならそう来なくっちゃね!」

 

「ホントにいいのかな〜? ライバル増えちゃってるじょ、姫ちゃん♪」

 

「強者の特権ってやつ? ま、強い敵は多い方が燃えるしね!」

 

 

 奮い立った七星に依桜は満足気だ。日不見のからかいにも余裕をもって対応している。絶対的な自信と、後は七星のことは嫌いじゃないのでより強くなって向かってきてくれるなら臨むところだ。

 

 

「条件は出揃ったな」

 

「……ノア!」

 

「ボーダーラインに立つ者、一発逆転を狙う者、圧倒的No.1を示す者、個人の目的は様々だがチームとしてはたった一つだけだ。集まれ、新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)優勝を勝ち取るための作戦会議を始める」

 

 

 ノアの招集によってバスタード・ミュンヘンの面々はミーティングルームに集められた。ブルーロックだけでなく元のチームメンバー、そしてしばらく練習に顔を見せていなかったカイザーの姿もそこにあった。

 

 

(わ、バカイザー久しぶりに見た……)

 

「……」

 

「揃ったな。ではこれより最終戦、VSフランスに挑むスターティングメンバーを発表する」

 

「え……もう!?」

 

 

 ノアの発言に驚くネス。それは当然で、今までは試合当日に発表されていたので今回も当然そうだろうと思い込んでいたのだ。

 

 

「ああ……今日から10日間はスタメンを中心に対フランス用のトレーニングを行う。選ばれなかった者はその補助に回れ」

 

「なるほど……」

 

「最初に言っておく。今回のメンバー、これまで通り数値を重視し選考したが……全員わかっている通り、今このチームの王は姫宮依桜だ。だから当然、姫宮とシナジーのある武器を持つ、あるいは姫宮とプレーすることで限界以上に能力を引き出すことのできるメンバーを選んだ」

 

「わかってるじゃん♪」

 

「では発表する。まずはGK、バッハマン」

 

 

GK(ゴールキーパー) バッハマン

 

 

「次にCB二枚だ。左に鰐間淳壱、右に日不見愛基」

 

「……くわっっ!!」

 

 

CB(センターバック) 鰐間 淳壱

 

 

CB(センターバック) 日不見 愛基

 

 

「やっと来たか、俺の出番が!! と、俺が言っている!!」

 

「……うっせ。ねぇ、どっかに耳栓な〜い?」

 

 

 〖鰐間 淳壱〗

 

 

 攻撃力A 83

 シュートB 73

 ドリブルB 75

 パスA 80

 守備力A 86

 速さA 81

 

 総合評価A 83

 

 

 〖日不見 愛基〗

 

 

 攻撃力A 82

 シュートB 78

 ドリブルA 84

 パスA 80

 守備力S 91

 速さA 81

 

 総合評価A 85

 

 

「次にSB、左に剣城斬鉄……右に灰地静」

 

 

LSB(レフトサイドバック) 剣城 斬鉄

 

 

RSB(ライトサイドバック) 灰地 静

 

 

「お任せあれ……(ここでメガネをクイッ! 頭良さげでかっこいい!)」

 

「うん、頑張る」

 

 

 〖剣城 斬鉄〗

 

 

 攻撃力A 84

 シュートA 88

 ドリブルA 85

 パスA 84

 守備力A 80

 速さS 97

 

 総合評価A 87

 

 

 〖灰地 静〗

 

 

 攻撃力A 82

 シュートA 88

 ドリブルB 78

 パスA 81

 守備力B 75

 速さB 77

 

 総合評価A 84

 

 

「DMFは烏旅人」

 

 

DMF(ディフェンシブミッドフィールダー) 烏 旅人

 

 

「ハイハイ、まぁわかっとったわ」

 

 

 〖烏 旅人〗

 

 

 攻撃力A 89

 シュートA 87

 ドリブルA 85

 パスS 90

 守備力S 94

 速さA 86

 

 総合評価S 92

 

 

「そして両サイドのMF……左に閃堂秋人、右に清羅刃」

 

 

LMF (レフトミッドフィールダー) 閃堂 秋人

 

 

RMF(ライトミッドフィールダー) 清羅 刃

 

 

「うっす!」

 

「……あい」

 

 

 〖閃堂 秋人〗

 

 

 攻撃力S 90

 シュートA 87

 ドリブルA 82

 パスA 82

 守備力B 77

 速さA 87

 

 総合評価A 87

 

 

 〖清羅 刃〗

 

 

 攻撃力A 83

 シュートS 90

 ドリブルA 85

 パスA 81

 守備力B 76

 速さA 84

 

 総合評価A 84

 

 

「次に両サイドの内から王を支える()()の支柱。中央のMFにアレクシス・ネス、御影玲王」

 

 

OMF(オフェンシブミッドフィールダー) アレクシス・ネス

 

 

OMF(オフェンシブミッドフィールダー) 御影 玲王

 

 

「はい、喜んで♪」

 

「……あれ? これで残りは一人……だよな?」

 

 

 〖アレクシス・ネス〗

 

 

 攻撃力S 96

 シュートS 90

 ドリブルS 92

 パスSS 101

 守備力B 73

 速さA 80

 

 総合評価S 96

 

 

 〖御影玲王〗

 

 

 攻撃力S 95

 シュートS 93

 ドリブルS 92

 パスS 95

 守備力S 93

 速さS 92

 

 総合評価S 96

 

 

「CFは当然……姫宮依桜。以上がスターティングメンバーだ」

 

「な……!?」

 

 

CF(センターフォワード) 姫宮 依桜

 

 

「あは♡皆よろしくね、ボクのために全部ちょうだい♪」

 

「……はい、もちろんです依桜」

 

 

 〖姫宮 依桜〗

 

 

 攻撃力SS 107

 シュートSS 106

 ドリブルS 94

 パスB 76

 守備力SS 103

 速さS 98

 

 総合評価SS 105

 

 

 スタメンが全て発表された。それぞれ、思うことはあるだろうがやはり全員が驚いたのはカイザーの落選だろう。能力的には依桜に次ぎチームトップクラス、このリーグでも2得点を上げているにも関わらずだ。本人も唖然とした顔で目を見開いている。

 

 

「カイザー、俺がお前の非合理的なプレーを見逃していたのは、お前が毎試合ゴールという結果を出していたからだ。どんな形であれ、能力を数値で示せる奴を俺は使う。だがお前は前回の試合、何もできなかった」

 

「……ッッ!!」

 

 

 反論できない。いや、できるはずがない。カイザーが前回のイタリア戦、何もできていなかったのは紛れもない事実なのだから。屈辱に血が出るほど拳を握りしめるが、今のカイザーにそれを気にする余裕はなかった。

 

 

「ゴールを奪えないストライカーに存在価値はない。堕ちたな、青薔薇元皇帝」

 

「……クソがッッ…………!」

 

 

 冷たく言い放たれたノアの言葉を受け、カイザーはその場を後にした。死ぬほどの屈辱と悔しさ、そして閉塞感を噛みしめながら。

 

 

「……」

 

「な〜に、元ご主人に思うことでもあるのかな?」

 

「別に……」

 

 

 カイザーの後ろ姿を見つめるネスに日不見が探るように問いかける。しかしネスからは煮え切らない返事しか聞けなかった。裏切ってしまった後ろめたさか、それとも哀れみか、その感情は日不見でも読み切ることはできない。

 

 

「よろしく静ちゃん♪ 可愛い同盟結成ね!」

 

「うん」

 

「俺はやるぞ!! 見ていろ計助!! 俺は必ず生き残る!! くわァァァ!!」

 

「うっさいなぁ、ワニちゃん。そっちはりんりんとブラコン同盟でも結んでれば?」

 

 

 最後の試合、生き残るか脱落か……運命を決める一戦のスタメン発表にバスタード・ミュンヘンは大いに盛り上がっている。それは対戦相手、P・X・Gも同じだった。試合を終えた彼らは、ロッカールームにて次の相手への昂りを募らせていた。

 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ──フランス、ロッカールーム。

 

 

「おつかれさまです皆さん。特異点となれ、P・X・G……いつも通り改善点伝えていきまーす」

 

 

 スペインとの試合を終えたフランスチームはマスターロキの元、ロッカールームで反省会を行っていた。試合中にロキが思った改善点を選手一人一人に話していく。

 

 

「まずは千切さん。走り出しからトップスピードに乗るまでの時間はかなり短縮できていますが、それに気を取られてボールタッチがおざなりになっています。加速しつつも、トラップやドリブルの精度をもう少し高めてください」

 

「はい」

 

「蜂楽さんは自分の世界に入りすぎです。ドリブルテクニック自体は素晴らしいですが、二度目やり合う相手には対応される傾向にある……もっと自分と相手の間合いを意識する努力をしてください」

 

「あいあい♪」

 

 

 ロキはあくまで淡々と感情を乗せずに指摘を続けている。ロキはマスターの中で唯一ブルーロック達と同世代で、何なら年上もいるのに遠慮は一切なかった。

 

 

「氷織さんはパスに繋げるまでのトラップの精度を、愛空さんは前線との連携を、そして凛さん士道さんに関しては……ってシャルル、どこ行くんですか?」

 

「ぶぇっ!」

 

 

 こっそりと抜け出そうとするシャルルをロキは見逃さなかった。ノールックでボールをぶつけ、彼の逃亡を阻止した。

 

 

「え〜! 長いんだよいつもいつも〜! テキトーでいーじゃんこんなのさ〜!」

 

「……何度言ったらわかるんです? ボクは君を育てるためにここに来た。将来のフランスを僕と共に背負う、君にはその才能があるんです。でもそのためには圧倒的に経験が足りないから、君はここに勉強しに来た……でしょ?」

 

「あーあー、聞こえなーい! 俺が天邪鬼なの知ってるでしょ〜、そんな言われたら逆にやりたくなくなるし〜!」

 

「じゃあもう聞かなくていいです」

 

「え? じゃあ聞く!」

 

 

 シャルルの扱いにはロキもほとほと困り果てていた。才能はずば抜けているのに、いまいちそれを活かしきれていない。天邪鬼な性格がロキとのコンビネーションを阻害しているのだ。

 

 

「ハァ……続けますが、凛さんと士道さんは得点能力に関して言うことはありません。だけど試合中の暴力は問題外ですよ。さっきは愛空さん達が止めてくれたからいいものの、このままじゃいつかレッドカード貰って退場です」

 

「簡単だ、このベロベロモンスターが俺に合わせりゃ解決すんぜ♪」

 

「お前に合わせるくらいなら死んだ方がマシだ日焼け虫」

 

 

 シャルルもそうだが、凛と士道の扱いも難しい。ちょっとでも噛み合いが悪くなればすぐに殴り合いに発展する、エゴイストというのも行き過ぎると困るものだ。

 

 

「最後に潔さんですが……試合を支配(コントロール)する読みとオフ・ザ・ボールの動きは文句なしです。が、要所要所で欲が出て判断が鈍くなっています。余計なことは考えず、アナタに与えられた役目をこなしてください」

 

「……」

 

 

 最後の潔の改善点を伝えたところで、ロキは総括に入る。このチームでの戦い方のおさらいだ。

 

 

「いいですか皆さん。僕らの一戦目はそれはもう酷い有様でした、凛さん士道さんという決して交わらない才能がぶつかり合い、危うく二人も退場者を出してしまうところでした」

 

「ああ、ありゃ冷や冷やしたぜ」

 

 

 ロキの言葉を愛空が肯定した。一戦目、凛と士道を同時起用したフランスチームは勝利こそしたものの一歩間違えば凛と士道が退場する事態になっていたのだ。プレーも噛み合わず、チームとはとても呼べないものだった。

 

 

「でも潔さんが二人の間に入り、連動させることによってチームは格段に強くなりました。シャルルの能力を引き出すための実験としても申し分ないほどに。このチームの最適解はこれだと、僕は確信しています」

 

(確かに……この形がベストだと俺も思う。俺が凛と士道を使えれば千切や蜂楽、そしてシャルルとの化学反応も起こせる。でも……これは俺がやりたいサッカーじゃない)

 

 

 潔は葛藤していた。チームとしての最適解はこれで間違いない、それは認めている。しかし潔はストライカーだ。こんなチームのためのプレーじゃなく、自分のゴールのためのサッカーがしたい。

 

 

「ですから潔さんは自我を出さず、勝利のためにベストな選択を……」

 

「嫌だ」

 

「……は?」

 

 

 ロキの言葉を遮り、潔は思わず言い返した。キョトンとするロキと周囲にも気を止めず、潔は己の本心をさらけだした。

 

 

「確かに今の形がこのチームのベストだって俺もわかってる。でも、俺はストライカーだ。こんな……チームのためのプレーなんかもうしたくない。俺は……俺のゴールで勝ちたい……!!」

 

「……このチームの指導者(マスター)は僕です。チームの一員である以上、僕の言うことには従ってもらいますよ」

 

「うっせぇな……勘違いすんなよロキ。今このチームを支配してるのはアンタじゃない……俺だ。俺がいなきゃまともにチームとしての形にすらならなかったクセに」

 

 

 潔の主張はただのわがままではない。今現在、チームの支柱として一番評価されている人間の主張だ。少なくともここまでチームを形にしてきたのは潔なのだから。

 

 

「アンタもストライカーならわかるだろ? 次の試合、俺がゴールを決めて勝つ……! アンタは指咥えて見てろクソ指導者(マスター)……!!」

 

「……!?」

 

「だよね、そう来なくっちゃストライカー♪」

 

 

 ロキに向けて堂々と言ってのけた潔。蜂楽はそんな様子を嬉しそうに見ていた、潔ならきっとそうすると確信していたのだろう。

 

 

「いいねぇ潔世一♪ 俺ァお前のそーゆーとこ大好きだ! 次はあのクソ女王も入れて四つ巴大爆発バトルといこうぜぇ! なぁ! ベロりんちゃん!」

 

「どのみち全員ぶち殺すことには変わりねぇよクソ虫が」

 

 

 士道も潔の発言にテンションが上がったのか、潔と無理やり肩を組み、凛にも絡もうとする。それに対し凛は鬱陶しいそうに返答するだけだった。

 

 

「……わかりました。まぁどのみち次の相手はノア率いるバスタード・ミュンヘン。現在、新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)圧倒的No.1の姫宮依桜有する最強チームです。正攻法じゃ勝ち筋はない」

 

 

 そんな状況にロキはあくまで冷静に次の試合に向けての話をしだした。現在、依桜のいるバスタード・ミュンヘンこそが最強だと言うのが世間の見方だ。それほど間違っているということもないだろう。

 

 

「正攻法でダメなら博打に出るのも悪くない。でも難易度MAX、失敗すればこれまでの勝利も無価値のウルトラハードミッションです。それでもやりますか?」

 

「ああ……臨むところだ!!」

 

「なら全てを賭け、姫宮依桜を倒してバスタード・ミュンヘンに勝利してください。これが僕からこのチームへの最後の宿題です」

 

 

 ロキから課された最後の宿題。難易度は段違い、失敗すれば今までの勝利が水の泡と化す大博打だ。だが臆している人間などここにはいない。胸のヒリつきを感じ、全員が武者震いをするのだった。

 

 

(俺と姫宮の年棒差は2億以上……一回の試合でひっくり返すのはほぼ無理ゲー。でも……No.1にならなきゃ意味は無い。二番手なんかいらない……! 俺は俺のゴールで、姫宮に……勝つ!!)

 

 

 自分のゴールで依桜に勝ち、No.1の座を奪う。傍から見れば無謀な挑戦だが、潔は本気でそれを成し遂げようとしていた。女王と魔王の決戦はもうまもなくだ。

 

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