〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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投稿頻度下がってるのは原作に追いついちゃいそうだからです(切実)
それでもそのうち追いつきそうなんでどうするかは考え中。またアンケート取るかもなんでその時はよろしくです。


デストロイヤー・オブ・ライフ

 

 

 その時、Uー20戦を経験した面々は目を丸くした。得点にこそ至らなかったものの糸師冴と肉薄し、一瞬とはいえ超えてみせた凛のプレースタイル。冴のそれとは真反対の、醜く壊すサッカー。それが今、再び始まろうとしていた。

 

 

「凛ちゃん……!」

 

「やっとその気になったか! 天才の弟ちゃん!」

 

 

 蜂楽や愛空、そしてそれぞれが違った反応を見せる。そんな周りの反応など知らないと言わんばかりに、凛はたった一人で進撃を始めた。

 

 

「……! わざわざ突っ込んできやがった!?」

 

 

 凛は手始めに玲王に攻撃を仕掛ける。本来サッカーでドリブルの進路上に居ない敵の所に突っ込むなど愚行の極みなのだが、今の凛に常識など通用するはずもなかった。

 

 

(映像で見たとはいえ、コイツの本能(エゴ)は未知数……!)

 

「殺す……ちょんまげモノマネ将軍が!」

 

(な……!? 糸師冴のまた抜き!? マジか……俺のコピーしたプレーをコイツも!?)

 

 

 玲王の十八番であるコピー。その中でも糸師冴のドリブルは玲王の最大の武器と言える。それを凛は一瞬でモノにしたのだ。破壊衝動が為せる執念、玲王は身震いする感覚を覚えた。

 

 

「チッ……! ここに来てベロベロモード発動かい! めんどいなぁ……!」

 

 

 今度は烏が凛を止めに入る。今の彼を好きにさせるのはリスクが大きすぎる、このような状況で時間稼ぎをするのが自分の役目だと再認識したのだ。

 

 

(邪魔だ関西弁ツンツンクソ鳥が……お得意のハンドムーヴで俺を殺してみろよ)

 

「コイツ……! 俺の間合いで無理やりに……!」

 

 

 烏が得意とする手を使える間合い、そこにあえて入り誘い込む攻め。しかも烏のハンドムーヴを無理やり突破してみせた。今の凜に1on1を仕掛けるのはあまりに無謀だ。

 

 

「非凡すぎるやろNo.1ボケまつ毛……!」

 

「マァジ? ……止めれんのアレ?」

 

 

 烏ですら勝てない今の凜を見て、日不見は冷や汗を流した。1on1で勝てる気がしない。そう思うやいなや、鰐間と二人がかりで凛を止めに入る。

 

 

「くわっ……!」

 

「挟み込んでボス退治っしょ……!」

 

(小賢しいんだよクソ雑魚共。潰れろ貧弱ゴミクズが)

 

 

 しかし凛はそこを強行突破していく。鰐間をファウルスレスレのタックルで倒し、日不見の股の間にボールを通し抜き去ってしまった。

 

 

「なんだと……!?」

 

「チートすぎんでしょ凛ちゃん……!」

 

 

 驚く鰐間と日不見には目もくれず、凛は一心不乱にゴールを目指す。しかし何かが視界に入った瞬間、進路を変えてそこに突撃して行った。目指す先は今凛が最も殺したい相手、姫宮依桜だ。

 

 

「いい心掛け! おいでりんりん!」

 

「黙れぶち殺す……!」

 

 

 二人の戦いはまさに命懸けだ。比喩でもなんでもなく、互いに今この瞬間に心臓を捧げる覚悟を持った二人の対決。それが熾烈を極めるのは当然だろう。

 

 

生命(いのち)を燃やすってコトは、姫宮(最強の敵)に最強の俺をぶつけるコト……!)

 

「ッッ……! 強引だね♡」

 

「来いよ姫宮。命を懸けて殺し合おーぜ……!」

 

 

 依桜と凛がぶつかり合う。フィジカルで圧倒的に勝る凛に対し、依桜は倒されても崩れない体幹と超反射で対抗する。お互いに譲らない激しい攻防戦、そこで凛が勝負に出た。

 

 

「……!」

 

「消えてろクソチビが……!」

 

 

 また抜きと見せかけフェイントで右にボールを動かし、そこから更に浮かせて依桜の頭上を越えさせるという離れ業。ボールは依桜の上を抜け、勝負は凛の勝ちだと思われたが……。

 

 

「まだ……ボクの勝ち!」

 

「チッ……!」

 

 

 しかし依桜は咄嗟に身を翻し、スコーピオンの要領で身体を捻らせ自らの後ろに落ちるボールに足を当てた。弾かれたボールは宙を舞い、ランダムに落ちていく。

 

 

こぼれ球(セカンド)!」

 

 

 落ちていくボールに注目が集まる中、一番にたどり着いたのは潔、そして玲王だった。二人はほぼ同時にボールに触れ、再びこぼれ球になってしまった。

 

 

「クソッ……!」

 

「……走れ指導者(マスター)

 

「ハイハイ、人使いの荒い魔王様ですね。可愛くない」

 

「……ロキ!?」

 

 

 だがそれはロキにかっさらわれてしまった。鬼の加速でバスタード・ミュンヘンゴールに迫るが、彼には斬鉄がビタ付きでマークしている。

 

 

「飛んで火に入る……カブトムシ!」

 

「……しつこいですね、メガネさん」

 

「あい、ナイスバカ斬鉄」

 

 

 斬鉄がロキを妨害しているところを清羅が刈り取る。玲王の策が再び上手くハマり、ボールを弾くことに成功した。そのボールは烏が確保する。

 

 

「非凡共が、いい加減終わらせるでこの混沌(カオス)

 

 

 ボールを持った烏は即座に前線のネスへとパスを送る。依桜もゴール前から戻ってくる、バスタード・ミュンヘンの反撃だ。

 

 

「行かせへんでチート魔術師」

 

「塞ぐよひおりん!」

 

 

(……! 二人がかりでパスコースを!)

 

 

 ネスのパスを警戒して氷織と蜂楽が二人がかりのマークについた。依桜がまだ戻りきっていない以上、攻め手に欠ける。これではパスが出せない。

 

 

「なーんて。甘く見ないで欲しいですね、ブンブン」

 

「マジ? そんな細いトコ……!?」

 

 

 氷織と蜂楽の間に生まれた僅かなスペースにネスは的確にパスを通した。凡人では到底たどり着けない発想だ。

 

 

「はい、ここぉ♪」

 

「……!? 天邪鬼……! やる気失くしてたんじゃ……!」

 

「びっくりした? イラッとしたぁ?」

 

 

 だが、なんとシャルルにパスをカットされてしまったのだ。やる気を失くしていたはずのシャルルのプレーはさすがのネスでも想定外だった。

 

 

「やっとその気になったか。難儀ですね天邪鬼は」

 

「行っくよん♪」

 

 

 そしてパスカットしたシャルルはそのまま前線へと視線を向ける。どこにパスを出すのが一番楽しく、相手の裏を抜ける場所なのか。考えてるのはそれだけだ。

 

 

「うぜぇんだよ糞ノ弱が……!」

 

「うぇ……!? 糸師凛……!」

 

「このチームはお前らのモンじゃねぇ、俺のモンだ……!」

 

 

 しかしその時だ、なんと凛がシャルルから強引にボールを奪い取った。全くの想定外の自体にシャルルは転倒してしまい、倒れながら呆然と凛の背中を見ている。

 

 

「アイツ、シャルル(味方)からボールを……!?」

 

「ハッ……! イカレっぷりは相変わらずか!」

 

「ちょっと、どーゆーつもりですか糸師凛?」

 

 

 味方から奪うという暴挙に周囲が驚く中、ロキは凛と並走しどういう了見なのかと問いただす。しかし今のベロと本能を剥き出しにした凛からまともな答えが返ってくるはずもない。

 

 

「うるせぇ臭ぇ黙れクソ坊主……! 何が魔王だ……! 何が女王だ……! 何がシャルルのための実験場だ……!! そんなモンは全部、俺が破壊してやる……!」

 

「……!!」

 

 

 凛の気迫にロキは背筋が凍る感覚を覚えた。今までの試合でもベロ凛が発言することはあったが、ここまでの集中力、迫力は初めて見る。

 

 

「止めてやる……!」

 

「引っ込んでろモブ雑魚グラドル小僧」

 

「うがッッ……!?」

 

 

 凛を止めようと閃堂が立ち塞がるが、凛の強い当たりで倒されてしまった。地面に倒れる閃堂など目にも止めず、凛は進撃を続ける。

 

 

「時間稼がせてもらうでモンスター……!」

 

「しつけぇな関西弁とんがりコーンが」

 

 

 再度烏が時間稼ぎのために凛を喰い止める。しかし今の凛は異次元だ、烏もレベルアップしているとはいえそう長く足止めできるものではない。

 

 

(くッッ……! アカン、これ以上は……!)

 

 

 しばらくの足止めの後、烏は抜かれてしまった。しかしこの時間は無駄にはなっていない、ゴール前にたどり着いた凛の前に再び依桜が立ちはだかる。依桜VS凛、第2ラウンドの開幕だ。

 

 

「懲りないねベロベロちゃん!」

 

 

 依桜は体力の問題こそあれど、少なくとも実力面では完全に凛を上回っている。そこから醸し出される余裕が凛には酷く鼻についた。

 

 

(……糸師冴(クソ兄貴)が俺じゃなくお前を選んだ理由が、今なら完璧に理解出来る)

 

 

 凛は破壊衝動に身を委ねながらも、頭の片隅では思考を続けていた。冴が依桜を選んだ理由、自分が依桜を見ると虫唾が走って仕方ない理由は恐らく同じなのだと。

 

 

(俺とお前の本質は同じ……! 自分の全生命を捨てた破壊欲……! ヤろーぜ、加減抜きの殺し合いだ……!)

 

「いいね! どっちかが死ぬまでヤリあおーよ♪」

 

 

 依桜と凛が衝突する。押されても最後までは崩されない依桜に対し、凛は足元の技術とハンドワークで何とか喰らいついている。今の依桜と戦いが成立する時点で凛も十分Uー20の頂点クラスだ。

 

 

(ああ……この不快感が欲しかった……お前とヤッてると虫唾が走るんだよ……! いらねぇキメェ……破壊獣(エゴイスト)は俺一人で十分だ……!)

 

「ッ……!」

 

 

 凛の当たりが強くなった。審判が違えばファウルを取られていたかもしれないほどだ。それに依桜は体勢を崩されかけるが、咄嗟に手を地面につけて足をボールに伸ばした。

 

 

「まだ……ボクには勝てないよ!」

 

「クッ……!」

 

 

 ボールが弾かれた。まだ凛の触れられる範囲だが、依桜も反応し動いている。先にボールにたどり着いた方が勝つ。そんな状況で、第三者の乱入があった。

 

 

「俺も混ぜなその乱癡気♪」

 

「あ……! 天邪鬼八重歯!」

 

「邪魔すんなクソ餓鬼……!」

 

「二人きりでイチャつけると思った? ざ〜んねん、俺がいるよ♪」

 

 

 なんとシャルルが割り込み、ボールをかっさらってしまった。お互いの動きに集中していた二人はこれに反応が遅れ、ボール奪取を許してしまったのだ。シャルルはすぐ横に吹かし気味にボールを浮かした。

 

 

「ホラ、いるっしょ? ここでアンタに出すの天邪鬼でしょ!」

 

「最高だシャルル」

 

「世一……!?」

 

 

 そしてこのシャルルのパスに潔が走り込んでいた。依桜と凛の対決が拮抗し、そこにシャルルが割り込むことまで。更に言えば自分にパスを出すことまで想定内だったのか。彼の頭の中はわからないが、とにかく事実として潔はこの期を待っていたのだ。

 

 

「そんな騙し討ちで……ボクに勝てるとか思わないでよね!」

 

(……!? コイツ、どんな反射神経してやがんだよ……!)

 

 

 しかし依桜はこれにも反応し、潔の前に飛び込んだ。ダイレクトシュートで決めるつもりだった潔は驚き思考する。

 

 

(いや、姫宮もギリギリだ……このまま撃ち抜けば……!)

 

「ちょうどいいぜ潔」

 

「……凛!?」

 

潔・姫宮(おまえら)まとめて……ぶち殺せる!」

 

 

 だが潔の背後から今度は凛が突っ込んできた。これには潔も驚き、そして依桜も驚いた。

 

 

(りんりん……ボクとほぼ同時に!? なんで……!?)

 

 

 そう、凛は依桜とほぼ同じ場所にいた。それなのに依桜と同タイミングで潔に反応しているということは、凛の反応速度が依桜に追いついているということに他ならない。

 

 

(まさか……りんりんもボクと同じ……!)

 

「鏖だ……!」

 

(コイツ……! 俺の身体を盾にしやがった……!?)

 

 

 まさか凛も自身と同じく命を捨てた反射を……と、依桜は考える。そうしている内に凛は潔の背後から彼に激突、依桜が手出しできないように潔を盾替わりに使って無理やりシュートを放った。

 

 

「どんな体勢から撃ってんだよ……!?」

 

 

 ブロックに入った玲王も間に合わず、美しい弧を描くシュートはGKバッハマンの横を抜けてゴールネットへと吸い込まれて行った。

 

 

GOAL!!! 

 

 

『ご……GOAL! GOAL! GOALッッ!! 糸師凛の同点弾で、P・X・G……追いつきましたァァ!!』

 

 

 衝撃圧巻のゴールにフィールドは静まり返る。潔と衝突し派手に転倒した凛は起き上がりながら、自らの決めたゴールに快感を覚えていた。

 

 

「プォー! イカレてんねぇ糸師凛! 俺のパス寝取ってクラッシュートとか!!」

 

「それなぁ! お前の態度と下まつ毛はキメェけど、今のはさすがにドピュん案件だぜ糸師凛」

 

「あ……? 知らねぇよ馬鹿共」

 

 

 凛の周りに集まり勝手に盛り上がるシャルルと士道を無視し、凛は依桜と潔の元へと歩いていく。

 

 

「なぁお前ら、死ぬまで俺を殺しに来いよ。そうすりゃ俺はもっと強くなれる。その義務がお前らにはある」

 

「……!」

 

「へぇ……言ってくれるじゃん♪」

 

 

 凛の宣戦布告に潔は驚き、依桜はニヤリと笑った。その反応に満足したのか、凛は手で汗を拭いながら彼らから視線を逸らす。その瞬間、凛は視界が歪む奇妙な感覚を覚えた。

 

 

「……凛!」

 

「ガハッ……!!」

 

 

 口から血を吐き出し、凛は前方へと力なく倒れる。潔が驚き凛の名を呼ぶが、彼は地面へと倒れていく。しかし次の瞬間、誰かが凛の手を掴み彼を起き上がらせた。

 

 

「お前も大馬鹿だったか、糸師凛」

 

「……ノア!」

 

 

 凛を助けたのはノアだった。ドイツのマスターである彼はいつの間にかフィールドに入ってきていたのだ。意識が朦朧としている凛を支えながら、彼は淡々と言葉を紡いだ。

 

 

「その脳の使い方は姫宮依桜という突然変異の天才だからこそ使える人体のバグだ。その姫宮依桜でさえ命を削っている。いくらお前が天才とはいえ、無理やり行使すれば負担は計り知れない」

 

「……」

 

「自チームの選手の管理くらいしておくんだな、ロキ」

 

「……あなたに言われたくないですよ、放任主義者」

 

 

 駆け寄ってきた潔に凛を預け、ノアはロキに視線を向ける。凛は一瞬だが依桜と同じ、全てがスローモーションに見える脳の使い方をしたのだ。しかしそれは依桜の脳が常人とは少し違う構造だからこそできること。いくら天才の凛とはいえ、反動は依桜の比ではないだろう。

 

 

「でもそうですね……少し下がってください、糸師凛。死なれたりしたら困りますから」

 

「……チッ」

 

「大丈夫、回復したらまた戻ってもらいますよ。その時、まだ試合が続いていたら……ね」

 

 ロキの命令に渋々ではあるが凛は従い、潔の手を振りほどきながらベンチへと戻って行った。本来なら簡単に受け入れる凜ではあるまいが、自分の消費くらいはわかっているのだろう。

 

 

「どうだ姫宮依桜。お前が辿る末路はあんなもんじゃすまないぞ、それでもまだ続けるか?」

 

「……その質問飽きたんだけど。言わなくてもわかるでしょ?」

 

「そうか……ああ、それでいい」

 

「……は?」

 

 

 ノアの質問に答える依桜。てっきりもうやめておけとでも言われるのかと思ったが、予想外の返答に思わず固まった。そんな依桜をよそに、ノアはチームへと語りかける。

 

 

「聞けバスタード・ミュンヘン。この際はっきり言っておく、俺はチームのためにここにいるんじゃない……俺を強くするためのライバルを見つけるためにここにいる」

 

「……急になんや?」

 

「どういう事だ?」

 

 

 その言葉に烏や玲王、それだけでなくチーム全員が疑問符を浮かべた。それに答えるかのようにノアは話を続ける。

 

 

「お前達青い監獄(ブルーロック)とカイザーの対立を静観していたのも……その結果カイザーのエゴが呼び起こされ、いつか俺を脅かす強敵になることを期待したから。つまり……俺はもっと強くなりたい」

 

「な……!?」

 

「根っからの戦闘民族かよ……!」

 

「最初っから俺らを育てる気はないっちゅうことかい」

 

 

 ノアのエゴイストすぎる発言にバスタード・ミュンヘンはどよめいた。他のマスターとは違い、ノアはただただ自分のためにネオ・エゴイストリーグに参加していたのだ。驚くのも無理はない。

 

 

「だが……今となってはお前達青い監獄(ブルーロック)にも俺は期待を寄せている。絵心甚八の元で更に強くなり、いつか俺を倒しに来い。俺はもっと強い奴と戦いたい」

 

「いいねぇ世界一! 性欲ビンビンストライカー♪」

 

「イカレてんな、向こうの指導者(マスター)は」

 

 

 それだけ言い残しベンチへと戻っていくノアの背中を見ながらフランスチームがそれぞれ思ったことを述べた。そしてノアは最後の言葉、交代指示を宣言する。

 

 

「閃堂秋人、お前は下がれ。さっき糸師凛との接触で足を痛めたろ」

 

「うッ……! ……うっす」

 

 

 凛に倒されて足を痛めた閃堂をベンチに下げ、ノアはとある人物に出場を命じる。それは誰もが驚く人選だった。

 

 

「行けカイザー。姫宮依桜を倒すラストチャンスだぞ」

 

「……!」

 

「ここでカイザー!?」

 

「何考えとんねん!?」

 

 

 その交代命令にカイザー本人も、チームも驚く。実力だけで見れば本来出場していないことがまずおかしいのだが、今の依桜中心のチームには彼の存在はノイズでしかない。

 

 

「……」

 

 

 指名されたカイザーは無言のまま立ち上がり、ゆっくりとフィールドへと歩いていく。そしてノアとすれ違う瞬間、目線は合わせず彼に問いかけた。

 

 

「……クソ指導者(マスター)。アンタはあくまで俺を覚醒させ、自分のライバルにするためにこのリーグに来たのか?」

 

「そうだ」

 

「死にかけの依桜を放置してるのも、アイツがアンタのライバルになるのを期待してか?」

 

「もちろん」

 

「指導者……いや、ニンゲンのクズめ。アンタの思い通りにはならねぇよクソが」

 

 

 そう吐き捨てるとカイザーはポジションへと向かっていく。誰とも目を合わせず、ただただ依桜を殺すためだけに。その目にはまだ、確かな闘志が宿っていた。

 

 

「姫宮、まだ行けるか?」

 

「うん……ちょっとキツイけど」

 

 

 玲王の問いかけに依桜はスポーツドリンクを飲み干しながら答えた。体力は恐らくそう長くは持たない。しかし今更やめられるわけもない、命が燃え尽きるその時まで……それでも依桜は戦うことをやめない。

 

 

 ──次回、『クソ物』に続く。

 

 

 

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