〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

78 / 80
原作もある程度進んだんで、とりあえずネオエゴ終了までは行きたい所存


マイ・ベストピース

 

 

 ──潔世一はこの試合、ずっと姫宮依桜のことを観察していた。彼にとってこの試合はNo.1になるための決戦、依桜を倒し自分がTOPに躍り出るための布石だ。

 

 

(見つけたぞ。姫宮を倒す為の……最後の欠片(ラストピース)!!)

 

 

 そしてついに、ミヒャエル・カイザーのプレーから姫宮依桜を倒す理論を思いついたのだ。これならいける、後は実戦で証明するのみと己を鼓舞する。

 

 

 試合も後半戦、後一点を奪えば勝利確定のバスタード・ミュンヘンは依桜を中心に今までよりも更に激しく攻め立てる。対するP・X・Gは愛空を中心に守るが、防戦一方だ。

 

 

(やっべぇなコレ。カイザーっていう選択肢が増えたことで攻撃の組み立てが格段にやりやすい!)

 

 

 カイザーが依桜の支配下に加わったことで、玲王のゲームメイクも更に進化した。玲王のメタ・ビジョンから漏れ出た異物をカイザーが狩ることにより、隙のない最強の布陣が完成したのだ。

 

 

「連携エグいって……!」

 

「チートやんこんなの!」

 

「引っ込んでろクソ水色」

 

 

 玲王からのパスで氷織の裏を抜け、カイザーがゴール前に躍り出た。彼は依桜に従うことを決めたが、それはあくまで自身の進化のため。己のゴールを狙えるのであれば、狙いに行く反逆者でもある。

 

 

「クソ一筋……!」

 

「はい、ダメダメ」

 

「……!?」

 

 

 カイザーのシュートをロキが止めた。世界一の振りの速さを誇るカイザーインパクトをも上回るロキの瞬足、まさに人間離れした超人的身体能力だ。

 

 

「カイザーインパクトおっそ♪」

 

「チッ……!!」

 

「速けりゃええもんちゃうやろ」

 

「……!」

 

 

 しかし速さで勝てなくても他では喰らいつける。ロキが弾いたボールは烏が確保し、バスタード・ミュンヘンの攻撃は継続された。

 

 

「行くで女王!」

 

「来て下僕カラス!」

 

 

 烏からPA内、依桜へのグランダーパスが出された。撃てば100決まる絶好のポイント。しかし、烏と同じ頭脳派DFがフランスにも在籍している。

 

 

「おっと、やらせねぇぜツンツン頭ちゃん」

 

「愛空……!?」

 

「生憎、同じトコ視えてるモンで」

 

 

 愛空のブロックによって烏からのパスは防がれてしまった。そしてこぼれ球を千切が全力疾走で確保し、前線へと送る。今度はフランスの攻撃だ。

 

 

「シャッハッッ!! 出せ変態パサーコンビ!」

 

「うっさい悪魔やなぁ」

 

「そんじゃお望み通り♪」

 

 

 氷織からシャルル、そして最前線の士道へとパスが出された。士道を警戒し、鰐間が身体をぶつけて徹底的にマークする。

 

 

「なんちって♪ 今はアンタじゃないよ悪魔ちゃん(⃔ *`꒳´ * )⃕↝」

 

「ありゃ、俺じゃねーの?」

 

「わかってんじゃん天邪鬼!」

 

 

 しかしシャルルのパスは士道からそれ、サイドの蜂楽に渡った。完全に裏を抜けた形だが、そこに一人だけ喰い付いているDFがいた。

 

 

「だろーね嘘つき!」

 

「んにゃ、来ますかスプタン!」

 

 

 唯一シャルルの天邪鬼を読んでいた日不見が蜂楽の前に立ちはだかった。蜂楽に1VS1で勝つのは無謀、それを日不見も理解している。故にボールを奪うのではなく、抜かれないディフェンスをしているのだ。これではさすがの蜂楽も簡単に抜き去ることはできない。

 

 

「ほら、抜いてみなブンブン♪」

 

「チッ……! 利口すぎてうぜー!」

 

 

 日不見を突破できないながらも笑みを絶やさない蜂楽。この程度の逆境はむしろ望むところ。このような状況でしか進化は起こりえない。

 

 

「蜂楽くん! 出せるよこっち!」

 

「……!」

 

 

 そこに狐里がパスを求めて走り込んできた。士道や蜂楽を警戒していたバスタード・ミュンヘンはそこで一瞬の隙を作る。蜂楽は迷わず狐里へのパスを選択した。

 

 

「やらせないっしょ!」

 

「にゃは♪」

 

「な……!?」

 

 

 しかしそれはブラフだった。パスと見せ掛けての高速エラシコで、狐里の方にも注意をやってしまった日不見をかわした。しかし完全に抜け出したわけではない。己のゴールを狙うためには、体勢が整っていないこのタイミングで撃つしか無かった。

 

 

「ボーン!!」

 

「くわぁ!」

 

「げ……!? 鰐間お兄!」

 

 

 そこに飛び込んできたのは鰐間。蜂楽の放ったシュートに足を当て、軌道を変えることに成功した。しかしシュートは尚もゴールの枠内に飛んでいく。

 

 

「うるァ!!」

 

「ナイスバッハマン! 拾えやお前ら!」

 

 

 そのシュートを間一髪、守護神バッハマンが弾いた。ルーズボールを狙い敵味方が入り乱れゴール前は混戦状態だ。

 

 

「そこ、通す……」

 

「……!?」

 

「マジか!」

 

 

 ボールを拾ったのは灰地だった。彼は得意の高精度なインサイドキックで敵味方入り乱れるPA内を抜け、ネスの足元にピンポイントにパスを出す。

 

 

「やば……! 千切くん!」

 

「もう行ってる!」

 

 

 攻勢に出ていたフランスは守備が間に合わない。ここでネスを自由にしては終わり、故に唯一追いついた千切が全速力でネスのパスコースを塞ぎに行った。

 

 

「残念です、赤毛のアン」

 

「くッ……判断が速い……!」

 

 

 しかしネスはトラップからの即パス。カウンターのテンポを削がない判断力、彼のイマジネーションがなせる技だ。そのパスの先に走るのはもちろん、バスタード・ミュンヘンの絶対的女王。

 

 

「ナイスおネス♪」

 

「クソッ……!」

 

 

 愛空は間に合わずもう一人のDFもネスのパスで抜け出した依桜に裏を取られ、GKと一対一の状況となった。突っ込んでくるGKを依桜は注視し、彼がボールに辿り着く一瞬前にボールを浮かしてGKの上を飛び越した。ボールはそのまま緩やかな弧を描きゴールに進んでいく。

 

 

「な……!?」

 

「てへ♪」

 

 

 勝利を確信し、GKに向けて舌を出した可愛い顔を見せつけた。その時だ、依桜の視界に何かが乱入してきた。

 

 

「勝ち誇るにはまだ早いですよ、傲慢女王さん」

 

「……はァ!?」

 

 

 ロキだ。脅威的な速さで追いついてきた彼はゴールに吸い込まれていくボールを弾き出してしまったのだ。この異常な追いつきにはさすがの依桜も目を丸くする。

 

 

「ナイスだ指導者(マスター)!」

 

「チッ……! 反則やろあの速さは!」

 

 

 ボールを拾った愛空は素早く前線にパスを出した。今度はP・X・G側のカウンターだ。ボールは氷織に、彼は一瞬のうちに攻撃の組み立てパターンを分析した。

 

 

「ほな……そろそろ同点と行こか?」

 

「出せひおりん! ドピューん!!」

 

「やらせっかよ発情悪魔!」

 

 

 氷織からのパスで抜け出した士道。だがそこは玲王が読んでいた。士道よりも先にパスにたどり着き、ヘディングでボールをクリアした。

 

 

「まだまだ、動けよ欲しがり共!」

 

「ここでシャルル……!?」

 

 

 P・X・Gのカウンターは止まらない。クリアボールを確保したシャルルはPA内へと目をやると、誰もいないスペースを見つけて目を輝かせた。

 

 

「ほら、取ってみな〜!」

 

「逆サイ……! どこに蹴って……!?」

 

 

 シャルルは左サイドから右サイド、選手が密集していない空きスペースへとボールを蹴り込んだ。しかしそこには敵は疎か味方もおらず、ボールはラインを越えて外に出ようとする。

 

 

「めちゃくちゃだな天邪鬼! 俺じゃなきゃ届かねぇぞ!」

 

「ナイスラン赤豹ニキ♪」

 

「やべ……!」

 

 

 だがそこに千切が猛スピードで走り込んでいた。ラインを出るギリギリでボールに追いついた彼は、角度のないところからではあるがフリーでシュートを放った。

 

 

「お嬢……シャッターアウト!」

 

「バカ斬鉄……! シャットアウトだろ!」

 

 

 しかし飛び込んできた斬鉄が顔面で千切のシュートを阻止した。またしてもルーズボールになるが、今度はそれを蜂楽が拾った。そのままゴールに向けて切り込んでいく。

 

 

「くわぁ! 止める!」

 

「二人がかりで蜜蜂駆除っしょ!」

 

「来いよクソ雑魚共!」

 

 

 二人で蜂楽を挟む鰐間と日不見。それに真正面から蜂楽は突っ込んでいく。舌なめずりをし、まるでその状況を楽しんでいるようだ。

 

 

「にゃっはは♪」

 

「上手……!」

 

「くわぁ!」

 

 

 そして正面突破で二人をかわした蜂楽。そのままシュートを放とうとするが、今度はカイザーが咄嗟のスライディングでこれを阻止した。

 

 

「クソ撃たせん」

 

「マジっすか皇帝さん」

 

 

 PA内での博打。ファウルを貰えばPKになる一か八かの賭けだが今回はカイザーの勝ちだった。カイザーの弾いたボールは三度ルーズボールになり、そこには士道が走り込んでいる。

 

 

「だからやらせねぇっての!」

 

「しつけぇなボンボン!」

 

 

 依然として玲王にマークされ自由に動けない士道。いくらブルーロックの悪魔とはいえ、敗者復活戦を生き抜いた玲王が相手では完全にフリーにはなれない。しかしだからといって、止まる士道でもない。

 

 

「爆発は止まらねぇ!!」

 

「な……!? 空中回し蹴り!?」

 

 

 士道は玲王の体格を利用して反転。空中で回し蹴りの要領でシュートを撃ってみせた。いつか依桜がやっていたプレーに似ている。

 

 

「ド凡や悪魔」

 

「チッ……! うぜぇな害鳥」

 

 

 だがここはバスタード・ミュンヘンの秀才コンビが防いだ。玲王が限定したシュートコースを烏が防ぐ。メタ・ビジョンが使える者同士のコンピプレーだ。

 

 

「ハイハイ、優秀ですねバスタード・ミュンヘン」

 

「……ロキ!? いつの間に!?」

 

「ま、美味しいトコはもらいますけど」

 

 

 なんと烏が弾いたボールにロキが走っている。さっきまで相手GKを除き、一番敵ゴールに近い位置にいたというのに一体いつの間に戻ってきたのか。まずい、ロキの位置からはフリーでゴールを狙える。反則的な速さだ。

 

 

「そっちこそ勝った気にならないでよ、超傲慢瞬足ハゲ!!」

 

「……!?」

 

「……! ナイス姫宮!!」

 

 

 フリーでシュートを撃ったロキ。だがそれを依桜が間一髪、横っ飛びで足を伸ばして防いだ。本当にギリギリ、つま先がシュートに当たったのだ。

 

 

「痛ったぁ……! 足つっちゃっうよこんなの!」

 

「……邪魔ですね姫宮依桜」

 

「こぼれ球!! 拾え……!」

 

 

 飛んだ勢いで地面に落ちる依桜、その目線はボールに向けられていた。次にボールを拾った方が勝つ。ボールが空きスペースへ飛んでいくのを見た玲王が声を上げる。その瞬間、そのボールに向かっていく男の姿を彼は見た。

 

 

「は……? 潔……」

 

「世一……!?」

 

 

 依桜も同じくその瞬間を見た。ロキがこぼれ球に向かうよりも早く、依桜が体勢を立て直すよりも早く、フィールドの誰よりも早くシュートを撃ったのは、潔世一だった。

 

 

「読み通りだ」

 

「な……!?」

 

 

GOOOOAL!!! 

 

 

『……き、決まったァァァ!! ゴール前での超攻防を、満を持して制したのはこの男!! 潔世一だァァァ!!』

 

 

 GKバッハマンも全く動けないダイレクトシュートがゴールに突き刺さり、P・X・Gが同点に追いついた。その衝撃的なゴールに、敵味方問わず言葉を失っている。

 

 

「世一……」

 

(マジか 潔世一(アイツ)……! 読んでたのか、ここまでの流れ全部!? ……いや、そもそも読み切れるモンなのか……? あんなゴール前での混戦を……?)

 

 

 地面に倒れながら目を丸くして潔を見る依桜。そして頭の中で今のゴールを必死に分析する玲王。しかしどれだけ考えてもわからない。天才達のゴール前での混戦、その先のボールの行き先など未来でも予知していない限り不可能だ。

 

 

「ナイスゴールエゴイスト! やるね魔王様!」

 

「やっぱ凄いわ潔くん。どうやってあの位置にたどり着いたのか、全然理解できへん」

 

「ああ……読んでたってより、今のは…………」

 

「潔くん……?」

 

 

 潔のゴールを喜び駆け寄ってくる蜂楽や氷織。彼らの言葉に答えようとした潔だが、何かを思ったのか返答の前に依桜の方へ歩いていく。

 

 

「おい姫宮……死ぬなよ、お前」

 

「は?」

 

 

 依桜の前まで来た潔は見下すように彼を見た。依桜は地面に座り込んでいるので見下す形になるのは当然なのだが、それを抜きにしても今の潔からは正体不明の威圧感を感じる。

 

 

「やっぱお前と戦ってる時が一番……俺は強くなれる。お前が一番……喰いごたえがある」

 

 

 死ぬなよ、というのは依桜の寿命のことだろう。ロキ辺りにでも聞いたのか、別にフィールド上でも話していたのでたまたま聞いたのか、それはわからない。

 

 

「意味わかんないし、何が言いたいの?」

 

「わかんねぇか? 俺の為に生きろってコトだ……俺の最高欠片(マイ・ベストピース)

 

「……!?」

 

 

 それだけ言うと潔は依桜に背を向けた。固まって動けない依桜を他所に、潔はバスタード・ミュンヘンのベンチの方に歩いていく。

 

 

「いつまでそこでふんぞり返ってんだ。出てこいよNo.1」

 

「……!」

 

「俺は今日……姫宮だけじゃない、アンタにも勝ちに来たんだ。ノエル・ノア……!」

 

 

 なんと潔はノエル・ノアを名指しで睨みつける。そして挑戦状とも取れる言葉を叩きつけた。その行動にはフィールドの誰もが驚く。

 

 

「ほう……面白い、いいだろう潔世一」

 

「誰に噛み付いとんねんアイツ!?」

 

「アホ毛魔王ニキおもろ♪」

 

 

 潔の挑発に答えるようにノアは重い腰を上げ、ジャージを脱ぎ捨てた。潔の態度に驚く者、それを楽しむ者と反応は様々だが、残り一点、今まで以上の波乱が起こることは誰でも想像できた。

 

 

「やっぱイカれてますね潔世一……ラスト一点、行けますか糸師凛?」

 

「当然だ、なまくら坊主」

 

 

 休息のため一時ベンチに下がっていた凛もフィールドに戻り、ノアも参戦するこの状況。役者は揃った、あとは雌雄を決するのみだ。

 

 

(はァ……!? 何 世一(アイツ)……ボクはもう眼中に無いってコト!? ムカつく……ムカつく……!)

 

 

 潔の関心はノアに向けられた。潔の中で何が変わったのかはわからないが、喰われた依桜はもう用済みということか。それが依桜は腹が立って仕方ない。

 

 

 ──残り一点、先に奪った方の勝利。熱烈に燃え上がる優勝決定戦の行く末を誰よりも熱く見ていたのは、モニタールームの絵心甚八だった。

 

 

「さぁ……条件は全て満たされた。後はお前だけだ、姫宮依桜。お前が覚醒するか、それともこのまま腐るか……それがこの死闘の決着を決める最終特異点(ラストポイント)だ」

 

 

 モニタの前でニヤリと笑う絵心。眼鏡の奥に眠るその瞳には、確かなエゴの炎が点っていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。