〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

79 / 80
世界一の先

 

 

 20分程前、イングランドVSスペインの会場。

 

 

「HEY! ラストアタックだ!! 決めろマンシャイン・シティ!!」

 

「うっす!!」

 

「行きまぁす!!」

 

 

 2ー2の最終局面、両チームはマスターストライカーを投入し最後のカウンター合戦を繰り広げていた。クリス・プリンスを中心に國神、時光の筋肉コンビが強引にスペイン陣営を切り崩していく。

 

 

「体幹じゃ負けねぇぞ筋肉ヒーロー!!」

 

「……!?」

 

 

 雷市が國神のマークにつき、動きを制限した。しかしクリスにより鍛えられた國神の身体の強さは尋常ではない。雷市を引き連れつつも、ジワジワと押し上げてくる。

 

 

「國神くん! こっち出せるよ!」

 

「行かせねぇよヤク中筋肉が!」

 

「あ!? メッシュ馬狼くん邪魔ですぅ!」

 

「タラちゃんかてめぇは!!」

 

 

 そして時光の方も馬狼と衝突していた。こちらも身体の強さでは時光の方がやや有利、しかし馬狼もフルパワーで時光に喰らいついている。ボールは一旦、クリスに預けられた。

 

 

「ガオゥ!! 筋肉だけが強さじゃないぜクリスよォ!!」

 

「知ってるさ!! ここじゃエゴの強さが勝敗を決める!!」

 

 

 クリスとラヴィーニョがマッチアップする。そしてそれをスイッチに駆け上がるマンシャイン・シティ。それを見たクリスは前線に大きなパスを出した。それはアギの方に軌道を向けて飛んでいく。

 

 

「OK、終わらせよう指導者(マスター)

 

「終わらせない!」

 

「高さじゃ負けねぇぞ」

 

 

 アギには音留、石狩がマークについている。速さの音留、高さの石狩、これにはさすがのアギも苦戦は免れないだろう。しかし、この混戦の合間を縫って忍び寄る影にアギは気づいていた。

 

 

「ゲームセットだ、勝ち星を上げろエイタ」

 

「御意御意。アガるぜその高さ」

 

「しまッ……!?」

 

 

 アギはヘディングでボールをサイドに流した。そこに走っているのは隠密ストライカー、乙夜影汰。アギからのパスをダイレクトボレーで叩き込み、ゴールネットを揺らす。

 

 

GOAL!!! 

 

 

「ナイス隠密オシャ! だ!!」

 

「クソが……!!」

 

 

 乙夜のゴールでマンシャイン・シティが3点目を決めた。全敗チームを決めるこの戦いは、マンシャイン・シティの勝利で幕を下ろしたのだ。喜ぶ彼らを尻目に、馬狼や雷市は悔しそうに拳を握りしめている。

 

 

新英雄大戦(ネオ・エゴイストリーグ)第九戦

 

マンシャイン・シティ VS FC・バルチャ

 

 

3ー2

 

 

『GOAL』

 

 マンシャイン・シティ

 

 ・OTOYA (アシスト TOKIMITU)

 

 ・KUNIGAMI (アシスト HAYATE)

 

 ・OTOYA (アシスト AGI)

 

 FC・バルチャ

 

 ・BAROU (アシスト YUZU)

 

 ・BAROU (アシスト ISHIKARI)

 

 

試合終了!!! 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 ──そして現在、ブルーロック総指揮ルームでは。

 

 

「えっっっぐッッ!! ここでノエル・ノア参戦!? 熱すぎでしょ、この試合!! ですよね、絵心さん!?」

 

 

 ドイツVSフランスの試合を見ているアンリは、身体全体を揺らしながら叫んでいる。姫宮依桜の独壇場にもなり得ると思っていた試合だが、潔世一を筆頭にフランスも互角の戦いを繰り広げている。まさに興奮冷めやらぬ展開だ。

 

 

「まぁ……確かに青い監獄(ブルーロック)史上一番熱い試合と言っても過言じゃないだろう……姫宮依桜の件を除けばね」

 

「あ……で、でも……絵心さんも本人の意向が優先だって」

 

「そりゃ……俺らがいくら止めたところで、姫宮依桜の意思が変わらなきゃ同じことの繰り返しだ」

 

 

 依桜の意思は覆らない。そんなことは絵心が一番よくわかっているだろう。その上で本心では止めたいとも思っている、依桜の破滅的とも言える突き進み方を。

 

 

「アンリちゃん、この試合に出場してる主要メンバーのデータ出してくれる?」

 

「……え? ……は、はい!」

 

 

 絵心に言われ、アンリはテキパキとモニターを操作して選手達の能力値データを表示した。ブルーロック独自の算出方だが、かなりの資金を投資しているシステムなので正確性は保証されている。

 

 

『バスタード・ミュンヘン』

 

 

 〖姫宮 依桜〗

 

 

 攻撃力SS 107

 シュートSS 106

 ドリブルS 94

 パスB 76

 守備力SS 103

 速さS 98

 

 総合評価SS 105

 

 

 〖御影玲王〗

 

 

 攻撃力S 96

 シュートS 94

 ドリブルS 93

 パスS 96

 守備力S 94

 速さS 92

 

 総合評価S 96

 

 

 〖烏 旅人〗

 

 

 攻撃力S 90

 シュートA 87

 ドリブルA 85

 パスS 91

 守備力S 95

 速さA 86

 

 総合評価S 93

 

 

 〖アレクシス・ネス〗

 

 

 攻撃力S 96

 シュートS 90

 ドリブルS 92

 パスSS 101

 守備力B 73

 速さA 80

 

 総合評価S 96

 

 

 〖ミヒャエル・カイザー〗

 

 

 攻撃力S 97

 シュートS 98

 ドリブルA 88

 パスA 82

 守備力B 76

 速さS 92

 

 総合評価S 98

 

 

『P・X・G』

 

 

 〖潔 世一〗

 

 

 攻撃力S 96

 シュートS 92

 ドリブルB 78

 パスA 84

 守備力A 80

 速さA 84

 

 総合評価S 94

 

 

 〖糸師 凛〗

 

 

 攻撃力S 98

 シュートS 96

 ドリブルS 90

 パスA 80

 守備力B 74

 速さS 90

 

 総合評価S 97

 

 

 〖士道 龍聖〗

 

 

 攻撃力S 99

 シュートS 97

 ドリブルA 85

 パスC 69

 守備力C 66

 速さS 93

 

 総合評価S 96

 

 

 〖シャルル・シュヴァリエ〗

 

 

 攻撃力S 92

 シュートA 88

 ドリブルA 89

 パスS 97

 守備力B 77

 速さA 84

 

 総合評価S 93

 

 〖オリヴァ・愛空〗

 

 

 攻撃力B 78

 シュートA 81

 ドリブルA 83

 パスA 88

 守備力S 96

 速さA 85

 

 総合評価S 90

 

 

「やっぱり……姫宮くんの能力は頭一つ抜けてますね」

 

「……だろーね」

 

 

 こうしてリストアップしてみれば、依桜の能力が図抜けているのがわかる。11傑の一員であるカイザーをも上回る数値、Uー20カテゴリ最強と言っても過言ではないだろう。

 

 

「姫宮くんだけじゃなくて、潔くん達も着実に実力を伸ばしてます。青い監獄(ブルーロック)は確実にUー20W杯優勝までの道のりを歩んでますね」

 

「……」

 

 

 アンリの言葉に答えるでもなく、絵心はモニターに映る試合を真剣な眼差しで見ていた。この一戦、どう転ぼうが今後のブルーロックに大きな影響を与えることは間違いない。彼はそう確信していた。

 

 

『さぁさぁさぁ!! 遂に満を持してノエル・ノア参戦!! そして糸師凛も復帰し、正にベストメンバー!! 互いにスコアは4点!! このラストゲーム、ボルテージは最高潮だァ!!』

 

 

バスタード・ミュンヘン formation

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

P・X・G(パリ・エクス・ジェン) formation

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 ノアの投入、凛の復帰、これにより双方ベストメンバーが出揃った。Uー20の枠組みに当てはまらない程の超決戦、その最後となるホイッスルが今鳴り響こうとしていた。

 

 

(姫宮は紛うことなき天才だ……でも、だからこそ付け入る隙がある)

 

 

 試合開始までの僅かな時間でも潔世一は思考をフル回転させていた。さっきの得点をまぐれなどとは言わせない。しっかりとした理論が彼の中にはあり、それに基づいて依桜を出し抜いたのだと証明するために。

 

 

(そもそも天才っていうのはなんでもできる超人じゃなく、己の存在を世界に証明し続けれる奴ら……イカれた思考や発想を持つオンリーワンの才能のことだ)

 

 

 天才といえば一般的にスーパーマンのように思われるだろう。しかし、絵心や潔の思う天才とは常人には理解できないぶっ飛んだ発想を持ち、それを世界に示すことの出来る人間のことだ。

 

 

(それに対して俺はどこまで秀才。普通にやってちゃ天才に勝てないNo.2……だから論理(ロジック)に全振りする……天才共を凌駕する、俺だけの道筋を見つけ出す!!)

 

 

 バスタード・ミュンヘンのボールでのリスタート。ボールはノアに渡り、ミュンヘンの猛攻が開始された。

 

 

「行くぞ。俺に連動しろバスタード・ミュンヘン」

 

「OKクソ指導者(マスター)

 

 

 ノアとカイザーのパス交換により、次々とフランス陣営を突破していく。依桜を使わずとも、世界最強ストライカーと次世代を担う超新星のタッグは十分驚異となり得るコンビネーションだ。

 

 

「だろーな秀才(カイザー)……お前もこっち側……天才に適応して自分の論理に昇華させる……それが俺たち秀才の戦い方」

 

 

 潔はあくまで冷静に、ノアとカイザーの動きを分析している。ノアはおそらく天才側の人間、そこに付け入る隙があるはずだ。

 

 

(天才って奴らは必ず本人にしかわからない世界観を持ってる。だからどれだけプレーの精度を高めて他人と完璧な化学反応を見せても、そこには僅かな隙間が存在してる……! 姫宮とネスですらそうなんだ……!)

 

 

 秀才×秀才 成功率90 クオリティ50

 

 天才×天才 成功率50 クオリティ100

 

 天才×秀才 成功率70 クオリティ 70

 

 

(だからカイザーは自分をネスと姫宮の間を繋ぐ駒として使って、己のゴールを捨ててアイツらの化学反応の精度を高めた!! これは天才共には理解できない、俺たち秀才だからこそできるコト!!)

 

 

 天才×秀才×天才 成功率99 クオリティ200

 

 

 潔が己の思考を整理している中、ボールはネスへと渡った。彼は再びカイザーにボールを戻す……と見せかけ、逆サイドの玲王にパスを送った。

 

 

「逆サイド……!?」

 

「そーゆーことか、乗ってやるよ魔術師!」

 

「やって魅せてください、お坊ちゃんカメレオンさん」

 

 

 玲王はネスからのパスをダイレクトでPA内に走るノアへと蹴り出した。しかもそれは大きく上下するドライヴ回転がかかっているボールだ。まるで士道のシュートようなパスに周囲が驚く。

 

 

「士道くんの縦直下回転(ラインドライブ)!? でもどこ狙って……!?」

 

「ほう……俺への挑戦状か? 御影玲王」

 

「アンタなら届くよな指導者(マスター)!!」

 

 

 ノアの頭上を超えるかと思われたボールは、落ちていき彼の左足へと向かっていく。右からのパス、普通なら右足で撃つところを咄嗟に左足に切り替えた。ノアの天性の両利き、そしてネスのパスと玲王のコピーが為せる大技だ。ノアはそのままゴール目掛けてその左足を振るった。

 

 

「ああ……ここだろ天才(ノエル・ノア)……!!」

 

「……!?」

 

 

 予想外のノアの左ダイレクトボレー、それに潔世一が反応していた。ギリギリのタイミングのため完全に止めきることは出来なかったが、ノエル・ノアのシュートを阻止することに成功したのだ。

 

 

「まだだ……! 左下止めろルノアール……!!」

 

「おう!」

 

 

 潔のブロックで軌道が逸れたボールはまだ枠内に向かっていた。しかし速度とコースの落ちたシュートをGKルノアールが必死に弾いた。絶対絶命の危機を潔のブロックが防いだのだ。

 

 

『ウォォォォォ!! 潔世一、決死のブロックで世界No.1ノエル・ノアのシュートを防いだァァァ!! これが魔王、これが潔世一だァァァ!!』

 

 

「拾え愛空!!」

 

「あいあい、キレッキレだな潔」

 

「マジか……アレ止められんの?」

 

 

 今度はフランスの反撃、全力の攻撃を防がれバスタード・ミュンヘンは動揺を隠せない。そんな中、依桜は血反吐を吐きながらも潔のプレーを凝視していた。

 

 

「ゲボッッ……!! ガハッ……」

 

「おい姫宮! 流石にヤバイやろ、もうその眼使うのやめろや!」

 

「大丈夫だって……こんなとこで、世一に負けたままで終われないでしょ……!」

 

 

 息も絶え絶え、明らかに普通じゃない依桜の様子に烏がプレーを止めるように促すが、今の依桜には聞こえていなかった。まだ単純な実力なら依桜が上だろう。この試合の戦績も依桜の方が上だ。しかしそんなことは関係ない、潔に出し抜かれゴールを決められた。この事実が最新の依桜達の関係性だ。

 

 

「姫宮依桜……お前は現状で満足しているか?」

 

「……は? なに急に」

 

 

 そこにノアが声をかけてきた。試合は継続されているというのに、自陣に戻りながらもノアは依桜の瞳を真剣な眼差しで見ている。

 

 

「このままいけばお前は世界一になれる可能性が高いだろう。命を捨てればな……だがそれで本当に満足しているのか?」

 

「……しつこいよ、世界一になれるならボクは命なんか……」

 

「そうじゃない、世界一になったその先は視えているのかと聞いているんだ」

 

 

 依桜はハッとした、そんなこと考えたことがなかったからだ。世界一になる、そのことだけを考えて命をかけてきたのだ。その価値観をぶち壊された、そんな感覚が全身を走った。

 

 

「世界一などただの通過点、他人の決めたモノサシに過ぎない。俺はそんなことで満足しない、まだ強くなりたい、生涯現役でサッカーをし続けたい、新世代の挑戦者共と戦い続けたい」

 

「……」

 

「お前はどうだ姫宮依桜? 世界一になり、そこで終わり……本当にそれでいいのか? お前は満足できるのか? 少なくとも……ヤツらはそれを許さないようだが?」

 

 

 ノアはフランスの面々、そしてドイツチームの面々にも目を向けた。チートとも言える依桜のプレーに、彼らは食らいついてくる。玲王も烏も、凛や士道、そして潔も……依桜に勝つために全力を注いでいる。

 

 

「お前と俺は同じ穴の狢だと思っていたが、どうやら違ったようだな」

 

「……ッッ!!」

 

 

 依桜はノアの言葉に歯を食いしばった。図星を付かれた、といった様子だ。世界一のために命を捨てる、それは覚悟を決めたと言えば聞こえはいいが、逃げだったのかもしれない。そう思ってしまったのだ。

 

 

 ──そしてその様子をモニターで見ていた絵心は、彼らのやり取りを聞いてニヤケていた。

 

 

「そうだ姫宮依桜……お前がどれだけ上に行ったとしても、潔世一は……いや青い監獄(ブルーロック)は……必ずお前に食らいついてくるぞ」

 

 

 決着の時は近い。潔が勝つか、依桜が勝つか、この戦いの結末は……誰にも予想できない方向へと進んでいくことになる。

 

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