〖ブルーロックRPG〗実況プレイ   作:マルメロ

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二次選考へ

 

いや止められるかあんなもん!!! 

 

 ⋯⋯コホン、少しばかり取り乱しました。依桜君の守備力があれば防げると思ってましたが完全に甘く見てましたね。ゴールも見ずに背中越しのシュートとか反則かよ。試合的にはまだ同点なのでいいんですが依桜君のストレス値が心配です。ほら見てよ、士道君見て呆然としてるもん! 絶対ダメなやつだってこれ! 

 

 とにかく気を取り直して点を取りに行かなきゃいけません。依桜君には悪いけど守ってばかりじゃ勝てないので。幸いこちらの攻撃が通用するのは一点目で証明済みです。

 

 “ダメだ⋯⋯冷静にならなきゃ。まだ一点取られただけだ、二度目はない”

 

 良かった、さすがに一点では依桜君もまだまだやる気ですね。実際あんな初見殺し防ぎようがないので切り替えて二点目を取られないことに集中すべきです。二点目取られると今度こそストレス値がどうなるかわかったもんじゃないので。

 

 つーわけで今回も実況やってくぞ!! 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ⋯⋯えー敬愛なる視聴者諸君、突然動画がカットされ驚いていることでしょう。あいや、まずは私の話を聞いてくれ。現在後半20分、スコアボードを見てもらおう。

 

 

チームV 5―7 チームZ

 

 

 

無理でしたァァ!! 

 

 

 

 士道君を止めるなどと、その気になっていた私の姿はお笑いだったぜ。

 

 いや正確には止めれる時もあったんですが完璧には止めきれず、適度に点を取り返してをしてたらこんなスコアになりました。あの悪魔せめて人間にできる動きしろやァ!! 

 

 “ダメだ、ボクの力じゃ士道を止められない。点は取れてるけど⋯⋯このままじゃ勝てない”

 

 やばやば!! 依桜君も流石に焦りを隠せてないし、何よりこんだけ点を取られてたらストレス値えぐいことになっちまうよぉぉぉ!! 

 

 ⋯⋯いや、落ち着け私こういう時こそ冷静になるんだ。試合はまだ25分ある、点は取れてるんだがら失点は取り返せなくても試合に勝つのは不可能じゃない。

 次はマイボからのスタート、ここは絶対一点入れる。

 

 “ここで決めなきゃ試合終了(ゲームセット)だ。何がなんでも決めるしかない。例えムカつく奴を使ったとしても”

 

 問題があるとすればここまで依桜君は五点決める大活躍中、当然マークも集中しているのでこれ以上点を取るのは厳しいでしょう。まぁでも、うちにはもう一人実力者がいます。彼に期待しましょう。

 

 “ゴール前でボールを受け取った。だけどボクにはDFが3枚付いてる。いくらなんでも突っ切るのはリスキーだ”

 

「ここでしょ、頭でっかちちゃん」

 

「あっは! いいとこ出すねー姫くん」

 

 よっしゃ、依桜君がDFを引き付けて柊君にバックパス。おかげで彼についているディフェンスは一人、絶好のシュートチャンスです。

 

「ランニングトラップ!? コイツうめぇ……!?」

 

「まだこれだけじゃないよー♪」

 

 瞬間吸収……からの跳躍回転!? 柊君うんま!? てかこれってU20戦の凪君の動きに似てるような……。とにかくペナルティエリアから少し外、多少距離はありましたが柊君がシュート!! 無事ボールはゴール左隅に突き刺さりました!! よし、これで首の皮一枚繋がった!! 

 

 つってもまだ6ー7なんで後二点入れる必要があるんですが⋯⋯そもそも士道君に点決められたら終わりだし。

 

「やるね〜、お姫様親衛隊♪」

 

 “もう点は取らせない。透子がやってたみたいに動きを読んで潰す⋯⋯!! ”

 

 う〜ん⋯⋯ここまででわかった点なんですが、依桜君はどちらかと言うと身体能力を生かしたプレースタイル。超高校級のスピードと凪君に匹敵する身体能力を駆使して戦っていきます。それに対して依桜君がやろうとしている透子ちゃんのプレーは聞いている限り理論派。凛君や潔君みたいに読みを駆使してディフェスをしていたはずです。愛空君が一番近いかな? 本来の自分と全く異なるプレースタイル、それも本来のポジションと異なれば再現するのは相当難しいはず。

 

 それでもこれだけの能力を発揮してる依桜君が異常なんですが⋯⋯これエゴが覚醒したらどうなるんだまじで。

 

「反撃行くぜ♪」

 

 おっと、考えるのもいいですがまずはここの攻撃を止めなきゃお話になりません。士道君を止めるのは至難の業ですがこの試合、幸いなことに敵チームに冴君のようなパサーがいる訳ではありません。つまり得点は彼の身体能力一点頼り⋯⋯つまりは。

 

「そう何度もやらせないよ」

 

「あらら⋯⋯」

 

 こうやって依桜君のスピードでパスコースさえ潰せば止めれる訳ですね。尤も士道君に依桜君がマンマーク付いてないと出来ないのであんまりやりたくないんですが、彼をフリーにすれば更に点を決められるんでしょうがない。

 

 “何とか士道へのパスを弾けた。だけどこれはボクがやりたいプレーじゃない。透子ならもっと上手くやってた⋯⋯”

 

 おいおいおい!! 止めてもダメなのかよ!! ストレス値どうなっちまうんだこれ!! 依桜君、そもそも君と透子ちゃんじゃプレースタイルが違いすぎるんだって!! 士道君止めてるだけで十分なんだって!! 

 

 ⋯⋯とはいえ流れは悪くありません。ここ相手スローインから再開ですが奪って速攻反撃からの同点ゴールを叩き込めればまだ勝ちの目はあります。ここから負けるのが一番良くないのでそれだけは避けたい。まずは士道君へボールを渡らせないようにしないと。

 

 “士道はここで止める。それでカウンターから同点ゴール⋯⋯ボクが絶対決めてやる”

 

「⋯⋯爆発が足んねェな」

 

「⋯⋯は?」

 

「自分の爆発も引き起こせないお前が他人の存在を後世に残せるかって言ってんだよ」

 

 “⋯⋯こいつ、ボクが誰か(透子)のプレーをやろうとしていることを見抜いてる⋯⋯! ”

 

「いいか、生存本能って奴が人間には備わってんだよ。自分の遺伝子を残すって行為がそれだ。凡人のそれは子孫を産み出すことだがおれにとってはサッカーなんだよ」

 

 “いきなりベラベラ喋って⋯⋯なにが言いたいのこいつは? ”

 

「見とけよ劣化お姫様(プリンセス)。俺の爆発をその目に焼き付けろ」

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ペナルティエリアから距離は10m前後、チームZのスローインから試合が再開される。依桜は当然士道を警戒しマークにつき、柊も彼の動きに目を光らせていた。そしてホイッスルが鳴り、ボールは士道に投げられた。

 

「抜けないでしょ、士道くん」

 

「うっぜ!」

 

 士道の動きを依桜が制限し、彼は自由にボールに触れることが出来ない。その隙に柊が追いつき、身体を入れ士道からボールを奪おうとする。

 

(めんどくせぇ⋯⋯まだペナ外、一回下げるか?)

 

 依桜と柊に挟まれ、流石に正面突破は不可能。裏には味方が控えているのでバックパスしようとするが、その時士道の目に一筋の光が映った。

 

(なんだ? シュートコースが⋯⋯見える!)

 

 青い監獄(ブルーロック)に来てからの士道は退屈していた。美しい爆発を起こせずにいたが、姫宮依桜という自身を止めうる敵の存在が彼を一つ先のステージに押し上げたのだ。

 

 柊の身体を軸に強引に身をひねり、浮かしたボールに狙いを定めて足を振り抜く。まさかここから撃つとは思っていない二人は一瞬反応が遅れ、士道のシュートを許してしまった。

 

「⋯⋯この!」

 

 だが依桜が伸ばした足がボールに僅かにかすり、軌道が変わった。しかしそれでも士道のシュートはゴール右隅に突き進んでいく。

 

「ヒャッハッッ!! ぶっとぶぜ超新星爆発(ビッグバン)!!」

 

 キーパーが反応し飛ぶが間に合わず、ポストに当たったボールは跳ね返りそのままゴールに入ってしまった。そしてその瞬間にホイッスルが鳴り、試合が終了した。6ー8でチームZの勝利、依桜はゴールに入ったボールを見つめ立ち尽くしていた。

 

「思ったり楽しめたぜ姫さん。そのつまんねぇ“呪い”さえなけりゃもっと滾る試合になったかもな」

 

「呪い⋯⋯? ふざけないで! 呪いなんかじゃ⋯⋯!!」

 

「何があったのか知らねぇが結局結果を出せないならフットボーラーとして無能(ゴミ)以下だぜ?」

 

「⋯⋯!!」

 

 言い返せない。自分が何を言ったところで負け犬の遠吠えに過ぎず、士道の言っていることも間違っていない。結局この試合で依桜は士道を止めきれず、得点能力でも敗北した。ストライカーとしてディフェンダーとしても、完敗したのだ。

 

「はは……ボクの情報網でも計りきれないか。でもボクらは3勝1敗、勝ち抜けばほぼ確定かな」

 

「わかってるよ⋯⋯だけど、勝てなきゃ意味がない⋯⋯!!」

 

 地面に膝をつき、芝生を握りしめる。自分の実力は士道に通用しなかった。それを受け入れ強くなれと己を鼓舞する。姫宮依桜と瀬名透子の物語はまだ終わっていないのだと。

 

「士道龍聖⋯⋯次は勝つ」

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 だぁ負けた!! 無理だよ無理!! あんなんどうやって止めろって言うのさ!! 触れただけすごいと思うよ依桜君は!! 

 

 まぁでも依桜君攻撃と守備でシャトルランやってたみたいなもんだし、こんだけ点決めて守れりゃ十分だと思うんですよ初見さん。実際スタミナは限界ギリギリだったし、この時点だとオリキャラで士道にはほぼ確で勝てないのでしゃあない。

 

 一番心配してたストレス値も何とか致命傷にはならなかったので良かった良かった。この借りはUー20戦で必ず返してやりましょう。あ、その前に適性試験(トライアウト)があるか。どっちにしろ二次選考ではやり合いたくないですね、あんまり勝てる気しないし。

 

 一次選考時点での凛ちゃんさん士道君戦は難易度高めに設定されてるらしいのでよっぽど勝てないんですが、依桜君なまじステータス高いんで行けそうだと思ったんだけど甘かったっすね。

 

 つーわけで切り替えてリザルト画面確認しましょう。負けたとはいえ依桜君5ゴール1アシストしたんで経験値は結構入るはず。

 

▽固有スキル〖裏抜け〗を獲得しました

 

▽固有スキル〖ブロック〗を獲得しました

 

 お、一気に二つのスキルを獲得しましたね。よきよき。

 

 〖裏抜け〗は文字通り敵の裏に抜ける動きが強化されます。試合前に乙夜君とトレーニングしてたんで習得したんですね、依桜君との相性もいいので美味しいです。

 

 〖ブロック〗は相手のパスやシュートをブロックする時の成功率が上がります。ディフェンスとしてはもちろん、パスカットもやりやすくなるのでストライカーとしても持っていて損は無いスキルになります。

 

 二つとも活用方法が多彩で当たりと言えるでしょうね、まぁ〖裏抜け〗は乙夜君の好感度上げてたので予定通りではありますが。

 

 さてさてこれにて一次選考は終了、依桜君達は無事二次選考に進出することになりました。ここから二次選考が始まるまでは体力強化の超キツい訓練が始まります。選手達にしたら地獄ですが簡単にスタミナを上げられるのでプレイヤー視点では美味しかったりします。

 

 ⋯⋯なんですが、ここにはちょっとした落とし穴があります。というのもストレス値が一定以上高い状態でやると心が折れちゃうんですよね。と言ってもよっぽど高い状態じゃないと折れることはないんですが、いかんせん今の依桜君だいぶストレス値高いので心配ですね。

 

 ということで依桜君のストレスを発散していきます。皆さんお忘れかもしれませんが、一次選考では得点数に応じて色々な特典が貰えます。初戦で依桜君がスマホを返却してもらっていましたが、あれですね。原作では使用者はいませんでしたが10ptで一日外出券がもらえます。依桜君スマホと交換した分を除いても10ゴールあるのでちょうど交換できるんですね。気分転換に外出してストレスを発散しちまいましょう!! 

 

 まぁ今回はキリがいいのでここまで、次回は外出するとこから始めましょうか。それではご視聴感謝です!! また次回!! アディオス、才能の原石共!! 

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

「二次選考(セレクション)開始までの待ち時間、お前らには身体能力強化のトレーニングを行ってもらう。なお、このトレーニング期間中ボールは一切使用してはならない。違反者やついてこれない者は退場とする」

 

 

 二次選考への意気込みを強くしていたチームYの面々に絵心が告げたのは二次選考はまだ始まらないこと、そして開始までの間ボールを使わないトレーニングをしてもらうということだった。やる気があっただけに、チームYは拍子抜けしたような表情を浮かべた。

 

「ねぇ絵心さん」

 

「⋯⋯なんだ?」

 

「ゴールボーナスの一日外出券、明日使ってもいい?」

 

 そんな時、モニターの絵心に向かって依桜が問いかけた。チームZ戦以降、何か思い詰めていた様子の彼は以前より口数が少なかったが、今ははっきりとした声色で言葉を発した。

 

「別にサボりたいわけじゃない。どうしても行きたいところがあるから」

 

「⋯⋯所定の手続きを踏めば拒否する権利はこちらにはない」

 

 眼鏡をクイッと上げ、絵心は抑揚なく答えた。眼鏡に光が反射し、その奥の表情は見えない。しかしどうやら依桜の頼みは許可されたようだ。

 

「……へぇ」

 

 柊が依桜に視線を向けるが、彼は俯いていて表情が読めない。しかし僅かに見える瞳からは、怖いくらいの決意が感じ取れた。

 

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