ソードアート・オンライン 灰色の旋風   作:仮面大佐

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第9話 依頼とビーストテイマー

 キリトが月夜の黒猫団と無事に和解した。

 キリトも、無茶なレベリングをしなくなったようだ。

 そんなキリトと行動を共にしていた。

 キリトから、探索を手伝って欲しいと頼まれたからだ。

 今、最前線の転移門にまで戻っていた。

 防具や武器の素材を集めていたのだ。

 

ヒロ「悪いな、キリト。手伝って貰って。」

キリト「良いさ。それに、お前には、借りがあるからな。」

ヒロ「そっか。」

 

 そんな風に話していると、一人のプレイヤーが周囲のプレイヤーに泣きついているのが目に入った。

 

ヒロ「キリト、あれ………。」

キリト「泣きついてるのか?」

プレイヤー「す、すいません!どうか!どうか俺の頼みを聞いて下さい!」

 

 そう言って、俺たちに泣きついてきた。

 ひとまず、事情を聞く事にした。

 

ヒロ「あの………どちら様で?」

レイク「俺は………レイクって言います。シルバーフラグスってギルドのリーダーをしてたんです………。」

キリト「してた………?何があったんだ?」

レイク「実は………オレンジギルドに襲われて、俺以外のプレイヤーが、全員殺されたんです!!」

ヒロ「オレンジギルド………!?」

 

 俺はその単語に驚いた。

 オレンジギルドとは、盗みやプレイヤーの殺人を平気で行うギルドの事だ。

 攻略組も頭を悩ます存在だ。

 そして、オレンジギルドの裏で繋がっていると思われるのが、レッドギルド、ラフィン・コフィンだ。

 ラフィン・コフィンとは、去年の年末に、フィールドで忘年会をしていた小規模集団を急襲しこれを全滅させ、翌日、情報屋や新聞屋のプレイヤーに対し犯行声明を送付した事で、存在が明るみになったギルドだ。

 そのリーダー、PoHは、『本当に死んだのかなんて、確かめる術が無い。やってはいけない事は、システム的に出来ないはずだ。だが、PKは出来る。どうせ、ゲームなのだから、楽しもう。』そう言って、プレイヤー達を暴走させる。

 ある意味では、血盟騎士団のヒースクリフとは真逆のカリスマを持つプレイヤーだ。

 実は、PoHと思われるプレイヤーと接触した覚えがある。

 俺が驚いている中、キリトは、レイクに事情を聞く。

 

キリト「その、オレンジギルドの名前はなんて言うんだ?」

レイク「確か………タイタンズハンドっていうギルドだった筈………。」

ヒロ「早速、アルゴに聞いてみる。」

キリト「頼む。」

 

 俺は、アルゴにメッセージを送る。

 そして、依頼内容を聞く事に。

 

ヒロ「それで、依頼内容は?」

レイク「アイツらを………牢獄に入れて欲しい。」

キリト「…………どうする?」

ヒロ「事情を聞いた以上、見過ごせないな。分かった。引き受ける。」

キリト「ああ。」

レイク「ありがとうございます………!これ、良かったら使って下さい。」

 

 そう言って渡してきたのは、回廊結晶と呼ばれる物だ。

 通常の転移結晶よりも濃い青色だった。

 

ヒロ「回廊結晶………!?」

レイク「これは、俺が全財産を叩いて買った物です。どうか、お願いします………!」

キリト「…………分かった。」

 

 こうして、レイクから、依頼された。

 レイクは、何度も頭を下げながら去っていった。

 

キリト「………さて、どうする?」

ヒロ「俺は、アルゴを通じて、情報を集めるわ。」

キリト「頼む。」

ヒロ「キリト。」

キリト「ん?」

ヒロ「元気そうで良かったよ。」

キリト「ああ。」

 

 そう言って、一旦別れる事になった。

 アルゴから、メッセージが返ってきた。

 そこには、可能な限りのタイタンズハンドの面子の名前が記載されていた。

 ちなみに、コルは後で払う事になっている。

 

ヒロ「………やっぱり、グリーンのプレイヤーも居るんだな。」

 

 まあ、それもそうか。

 何せ、圏内の街にオレンジカーソルのプレイヤーが入ろうとすると、異常に強いNPCガーディアンが大挙として襲ってくるのだ。

 その為、グリーンのプレイヤーが獲物を見繕って、ある程度お金が貯まったら襲うという感じだ。

 その後、アルゴにコルを支払い、タイタンズハンドの分かる名前を送った。

 その頃、第35層にある迷いの森では。

 

???「随分と深くに来たな……………。」

 

 1人の男が彷徨っていた。

 その男の名前は、スノウ。

 ここ最近、攻略組で有名になってきたプレイヤーだ。

 

スノウ「さてと、ある程度素材も集まったし、そろそろ帰るか。」

 

 スノウはそう呟いて、帰ろうとする。

 すると。

 

???「ピナ!!」

スノウ「っ!?」

 

 そんな叫び声が聞こえてきて、スノウはすぐにその声がした方へと向かう。

 そこに居たのは、水色の羽を持って、泣いていた少女だ。

 スノウはすぐさま、自分の武器を取り、その少女の周辺にいたドランクエイプを倒していく。

 少女はスノウの事を見る。

 スノウは申し訳なさそうに口を開く。

 

スノウ「……………ごめん。君の友達を助けられなくて……………。」

???「私が……一人でもこの森を越えれるなんて考えちゃったから……ピナが……。」

 

 スノウはそんな風に言うと、その少女は泣きながらそう言う。

 するとスノウは、その少女を抱きしめる。

 

???「えっ!?いきなり何を!?」

スノウ「ご、ごめん!泣いている女の子を見たら、取り敢えずは落ち着かせようって思ったんだけど、これしか思いつかなくて……………。」

 

 少女はいきなり抱きしめられた事に驚くが、スノウはそんな風に言う。

 スノウがあやす様に手を動かすと、その少女は次第に落ち着いてくる。

 

???「………………ありがとうございます。少しは落ち着きました。」

スノウ「そ、そっか……………なら良いんだけど。」

???「………………どういう状況だ?」

 

 少女はそんな風に礼を言うと、スノウは照れ臭そうにそう言う。

 すると、別の声が聞こえてくる。

 そこに居たのは、キリトだった。

 

スノウ「あっ!いや、これは、その…………!?」

キリト「何してんだ……………?」

スノウ「違う!これは、この子を落ち着かせようとしたからで……………!!」

???「そ、そうです!」

キリト「そ、そっか……………。」

 

 キリトが現れたのを見て、スノウは慌ててそう言うと、キリトはそう聞く。

 スノウは慌ててそう言うと、その少女もそう言う。

 スノウと少女がそう説明すると、キリトは納得した。

 それと同時に、経緯も聞いたのだ。

 

キリト「なら良いんだけど……………。その羽根だけどな。アイテム名、設定されてるか?」

 

 キリトは少女に対して、そう聞く。

 少女は手に持っている水色の羽根を見ながら、シングルクリックをする。

 そこに表示されたのは、《ピナの心》という名前だった。

 それを見て、その少女は再び泣きそうになる。

 すると、スノウが口を開く。

 

スノウ「落ち着いて!心アイテムが残っていれば、まだ蘇生の可能性はあるから!」

???「えっ!?」

キリト「最近分かった事だから、まだあんまり知られてないんだ。四十七層の南に、《思い出の丘》っていうフィールドダンジョンがある。名前の割に難易度が高いんだけどな…………。」

スノウ「そこのてっぺんに咲く花が、使い魔蘇生用のアイテムなんだ。」

???「ほ、本当ですか!?」

 

 スノウがそう言うと、その少女はスノウの事を見る。

 キリトとスノウがそう説明すると、その少女は喜びの表情を浮かべるが、すぐに沈んだ表情になる。

 

???「四十七層……………。」

スノウ「実費や報酬を貰えれば、僕が行ってきても良いんだけど……………使い魔を亡くしたビーストテイマー本人が行かないと、肝心の花が咲かないらしくて……………。」

???「いえ……………情報だけでも、とってもありがたいです。頑張ってレベル上げをすれば……………。」

キリト「それがそうも行かないんだ。使い魔を蘇生出来るのは、死んでから3日だけらしい。」

???「そんな……………!」

 

 その少女がそう言うと、スノウはそう言う。

 少女は気丈な笑みを浮かべながら言うが、キリトがそう言うと、再び落ち込んでしまう。

 すると、スノウは口を開く。

 

スノウ「何か、手はないですかね…………?」

キリト「そうだな……………。」

 

 スノウがそう聞くと、キリトは何かを考え込む。

 すると、キリトはアイテムを少女に送る。

 

???「あの……………?」

キリト「この装備で5〜6レベル分程底上げできる。俺や俺の知り合いも一緒に行けば、多分何とかなるだろう。」

スノウ「僕も手伝うよ。」

???「えっ………………?」

 

 少女が戸惑う中、キリトとスノウはそう言う。

 その少女は少し警戒しながら口を開く。

 

???「何で……………そこまでしてくれるんですか?」

スノウ「僕?そりゃあ、困った人は助けたいと思っているから。それだけさ。」

キリト「俺は……………笑わないって約束するなら、言う。」

???「笑いません。」

キリト「君が……………妹に、似てるから。」

 

 少女はそう聞くと、スノウはさも当たり前の様にそう答える。

 キリトはそんな風に言う。

 すると、その少女は噴き出す。

 

キリト「わ、笑わないって言ったのに…………。」

???「いえ……………よろしくお願いします。」

スノウ「うん。僕はスノウ。よろしくね。」

シリカ「あたしは、シリカって言います。」

キリト「俺はキリト。しばらくの間、よろしくな。」

 

 キリトがいじけた様にそう言うと、その少女はそう言う。

 お互いに自己紹介をして、迷いの森から出発する。

 一方、俺はと言うと、キリトからメッセージが来て、35層の主街区であるミーシェへと向かう。

 そのメッセージの内容は、女の子を保護したとの事だ。

 

ヒロ「……………ナンパでもしたのかな?」

 

 俺はそう呟きながら、キリトと合流する。

 どうやら、女の子だけじゃなくて、男の人も居るが、話は聞いていた。

 女の子はシリカ、男の人はスノウという事だ。

 

ヒロ「キリト!」

キリト「ヒロか。」

シリカ「あの……………‥その人は?」

ヒロ「俺はヒロ。キリトの親友ってとこだ。」

シリカ「そうなんですね。あ、私はシリカって言います。」

スノウ「僕はスノウ。よろしくね。」

ヒロ「ああ、よろしく。」

 

 キリト達と合流すると、俺たちはそんな風に自己紹介をする。

 途中、別のプレイヤーに絡まれるなんて事があったが、何とかやり過ごした。

 すると、スノウが口を開く。

 

スノウ「シリカちゃんは、凄い人気なんだね。」

シリカ「シリカで良いですよ。……………そんな事ないです。マスコット代わりに誘われてるだけなんです、きっと。それなのに……………あたし良い気になっちゃって……………1人で森を歩いて…………あんな事に…………。」

 

 スノウがそう言うと、シリカはそう答える。

 アルゴから聞いた話だが、ビーストテイマーというのは、かなり希少な様で、マスコット的にスカウトしようとする人たちがいる様だ。

 すると、スノウが口を開く。

 

スノウ「大丈夫。絶対に生き返らせられるよ。」

シリカ「…………はい。ありがとうございます!」

 

 スノウはそんな風に言うと、シリカは微笑みながらそう言う。

 しばらくすると、宿が見えてくる。

 すると、シリカが口を開く。

 

シリカ「あ、皆さんは、ホームはどこに…………?」

スノウ「僕は22層だけど、今日はここに泊まろうかな。」

ヒロ「俺とキリトも50層だけど、今日はここに泊まるよ。な、キリト。」

キリト「そうだな。」

シリカ「そうですか!ここのチーズケーキが結構いけるんですよ。」

 

 シリカがそう聞くと、俺たちはそう答える。

 宿に入ろうとすると、隣の道具屋からプレイヤーの一団がやってくる。

 すると。

 

シリカ「あっ、ロ、ロザリアさん……!」

ロザリア「あ~ら、シリカじゃない。よく一人であの森を抜けられたわね。」

 

 赤い髪の槍使いの女性がシリカに声をかける。

 こいつがロザリアか。

 俺とキリトは、険しい顔を浮かべる。

 すると、ロザリアは口を開く。

 

ロザリア「あら、あのトカゲはどうしちゃったの? ……ああ、もしかしてぇ…………?」

シリカ「……ピナは死にました……ですけど、ピナは必ず生き返らせてみせます!」

ロザリア「へぇ~……っていうことは、『思い出の丘』に行く気なんだ。でも、あんたなんかのレベルで攻略できんの?」

 

 ロザリアは嫌な笑みを浮かべながら、そんな風に言う。

 嫌味を言わないと気が済まないのか?

 シリカがそう言うと、ロザリアはそう言う。

 すると、スノウが口を開く。

 

スノウ「問題ないさ。あのダンジョンは難易度はそこまで高くないからね。」

ロザリア「……へぇ、良い装備をしてるけど、あんたたちもその子に誑し込まれたのかしら?」

 

 スノウはそう言いと、シリカを庇いながらロザリアの前に立つ。

 ロザリアは値踏みする様にスノウを見て、そう言う。

 

ヒロ「頼まれたからな。手伝って欲しいってさ。これ以上用がないなら、通させて貰うぜ、おばさん。」

ロザリア「なっ!?おばさん!?」

スノウ「あんまりそういう事を言わない方が良いと思いますよ?」

ロザリア「………………っ!!」

 

 俺がそう言うと、スノウもそう言って、俺たちは中へと入っていく。

 ロザリアは俺たちに怒りの視線を向けてくる。

 その後、食事をする事になった。

 すると、シリカがつぶやく。

 

シリカ「何で、私にあんな意地悪を言うのかな……?」

ヒロ「シリカはMMOはSAOが初めてか?」

シリカ「あ、はい。」

キリト「そうか。どんなオンラインゲームでも、性格が変わる人も多いんだ。」

ヒロ「あと、俺達のカーソルはグリーンだけどデュエル以外で攻撃すると、オレンジになる。だけど、SAOでは、ゲームで死んだら、現実でも死ぬ。だけど、そんな状況でも、楽しんで殺す奴もいるんだよな。」

 

 シリカがそう呟くと、俺はそう聞く。

 シリカがそう答えると、俺たちはそんな風に言う。

 最たる例が、ラフコフだろう。

 すると、スノウが口を開く。

 

スノウ「……………確かに、さっきのロザリアって人みたいに、嫌な奴も居るさ。でも、全ての人がそうとは限らないからね。」

シリカ「そうですよ!スノウさんも良い人ですよ!私を助けてくれたもん!」

スノウ「ありがとうね、シリカ。」

 

 スノウはそんなふうに言うと、シリカはそう叫ぶ。

 それを聞いたスノウは、シリカに対して礼を言う。

 シリカは顔を赤くしていた。

 俺たちは飯を食べた後、明日行く第47層について話し合う為にキリトの部屋へと向かう。

 

シリカ「キリトさん。そのアイテムは?」

キリト「これはミラージュ・スフィアっていうアイテムだよ。」

 

 キリトがミラージュスフィアについて解説した所で、ボタンを押すと、大きな円形のホログラムが出現した。

 

シリカ「わぁぁ。綺麗。」

 

 シリカは、ミラージュ・スフィアを見ながらそう言う。

 ミラージュ・スフィアとは、通常のマップよりも更に詳しく、アインクラッドの構造を映す物だ。

 

ヒロ「今映っているのは第47層のマップだ。ここが主街区で、思い出の丘に向かうにはこの道で行くんだけど……。」

スノウ「っ!?」

 

 俺はミラージュ・スフィアを指差しながらそう説明する。

 すると、ドアの方に気配を感じて、俺とキリト、スノウは頷き合う。

 スノウはシリカの方へと行かせて、俺とキリトはドアへと近寄る。

 

キリト「誰だ!」

ヒロ「出てこい!」

 

 俺とキリトはそう叫びながらドアを開けると、そこには誰も居なく、誰かが階段を駆け降りていく音が聞こえただけだった。

 盗み聞きとは、あまりマナーがよろしくないな。

 

シリカ「な、何……………!?」

スノウ「盗み聞き……………なのかな?」

ヒロ「そうだな。」

シリカ「で、でも………ドア越しに会話が聞こえるんですか?」

ヒロ「聞き耳スキルが高いと可能なんだ。まあ、そんな事をするのは、なかなか居ないけど。……………キリト。どうする?」

キリト「多分、転移結晶で逃げた。追いかけても無駄だろうな。」

 

 シリカが驚くと、スノウはそう聞く。

 俺がそう答えると、シリカはそう聞いてくるので、俺はそう言う。

 恐らく、件の関係者の可能性が高いな。

 俺はメッセージを打っていく。

 そうして、今日は休む事にしたのだった。




今回はここまでです。
シリカの彼氏キャラがなかなか思いつかなくて、投稿出来ずにいました。
申し訳ありません。
シリカの彼氏キャラであるスノウは、イメージCVは三瓶由布子さんです。
バディファイトの大宇宙カナタをモチーフにしています。
天然気味なキャラになる予定です。
次回は、思い出の丘での話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今日で、東日本大震災から13年が経ちましたね。
地震は、いつどこで起こるのかは分かりません。
日頃の備えを大切にしていきましょう。
南海トラフに首都直下型地震などが起こると言われていますし。
ヒロイン達の彼氏キャラですが、リーファは立風館ソウジモチーフ、シノンは花家大我と乾巧モチーフ、リズベットはエースになる予定ですが、ユウキの彼氏キャラはどんな感じにするのかは、まだ未定です。
リクエストがあれば、活動報告から承っています。

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