キルアは比較的簡単に見つかった。何せ隠れてないどころか逆に目立つような動きしてるんだもんな。
で、キルアに連動してナントカ兄弟の末っ子も見つかった。こっちはこっちでバレバレな尾行をしてた。
ついでに、そこからさらに離れたところでハンゾーも発見。
思い出してきた。確かハンゾーのターゲットも、ナントカ兄弟の誰かだったはずだ。キルアは兄弟全員を狩ったあといらないプレートは明後日の方向にブン投げるんだが、ハンゾーはそれ狙いだったはず。
まあハンゾーが手にしたのは運悪くターゲットじゃなかったわけだが。これは……もしかしなくても利用できるのでは?
ということで、俺もハンゾーにならって距離を取って尾行を開始する。
と言っても、俺に尾行の経験なんてない。絶をすることで精度は上げられるが、それでも素人のやることだから程度は知れている。
これでキルアを追う形でやると色々勘違いされそうだから、ナントカ兄弟の末っ子を追いかけるとしよう。
……そうして尾行を続けること約二日。事態が動いた。しびれを切らしたキルアが動こうとしたところで、ナントカ兄弟が勢揃いしたのだ。
もちろん、三人がかりだからといって負けるキルアではない。あっさりと三人からプレートを奪うと、自分が必要なもの以外の二つをそれぞれまったく違う方向に向けて思い切り投げた。
うち一つにハンゾーが向かう気配を感じたので、俺も反対方向に動く。
「……うーん、ニアミス」
手にしたのは、197番だった。恐らくこれが、ハンゾーのターゲットだ。
ということは……と思って来た道を急いで戻ったら、自身のプレートを奪われて憤慨しているナントカ兄弟を更なる悲劇が襲っていた。ハンゾーが半ばギャグ顔になりながらも、的確に三人を無力化していたのだ。
なるほど。ハンゾーは確か、原作だと結局目当てのプレートが手に入らず他のもので代用していたはずだ。どこでそれを見つけたのかと思っていたが……自身のターゲットを確保していたナントカ兄弟のところに戻って、彼らから奪ったのかな。
「もしもーし、そこのイケてる忍者さん」
「お? あんたはこいつを尾行してた人だな。俺になんか用か?」
「私メルメリアって言うんだけど、もしかして忍者さんのほしいのってこれ?」
「おお!? おお、それだ、それだよ! なるほど俺とは逆方向のを追いかけたのか! あ、俺ハンゾーな! よろしく頼むわ!」
俺が手にしたプレートを見せると、ハンゾーは目を輝かせた。やっぱりな。
「もしかしてのもしかしてだけど、ハンゾーさんこの番号のプレート持ってたりしない? 持ってたら交換してほしいなって思って」
次いで俺は、俺のターゲットを示すくじの札を見せる。そこに記されているのは当然198番で、ハンゾーが掲げて見せたプレートに書かれている番号もそれだった。
「なるほどな。そういうことなら、喜んで応じさせてもらうぜ」
「交渉成立、だね」
ということで、俺たちはつつがなくプレートを交換し無事に目的を達したのだった。
「いやー助かったぜ! 追いかけたプレートが番号一つ違いだったときの衝撃ったらなかったが、世の中捨てたもんじゃねーな! あ、捨てたもんじゃないといえばタワーの試験のときによ……」
それにしてもこの忍者、知ってはいたけどマジでよくしゃべるな……。
いや尾行も気配断ちも完ぺきだったけどさ……。俺がハンゾーの尾行に気づけたのは、マジで偶然だし……。
「あ、そうだ。せっかくだし渡しとくぜ」
おまけに名刺まで渡される始末である。
なんて自己主張の強い忍びなんだ……。忍びなんだからもうちょっと忍べよな……。秒で実家が爆発炎上しても知らないぞ……。
「寿司を知ってたあんたには言うまでもないかもしれねーが、オレはジャポンの出身でな。もしオレの国に来ることがあったら言ってくれよな。穴場の観光スポットとかも案内できるぜ!」
「そのときはお願いしようかな。ジャポンの料理は大体好きなんだけど、国自体には行ったことなかったんだよね」
とりあえず、話は無理やり打ち切って俺はハンゾーと別れることにした。このままだと残りの期間ずーっとこいつに付き合わされる気がしたからな。
まあ、別れるってなったときにあっさりとそれを承諾する辺り、忍者的なドライさも感じたけどさ。
あとは……残りの期間中、ヒソカとのエンカウントにだけ気をつけておけばなんとかなるはずだ。
あいつ、そろそろ抑えが利かなくなってる頃だろうから遠くからでもわかりそうではあるが、だからこそ来るときは一気に来るだろうからな。もう
***
半日後。俺はクラピカとレオリオの襲撃を受けた。
……いや襲撃ってのはちょっと違うな。正面から堂々と来られたからな。
やはりというかなんというか、クラピカのターゲットは俺だったらしい。
もちろん負けるわけにはいかないのだが、やりづらさも半端ない。なのでここは、ハンゾーが奪いかけてたナントカ兄弟……の、ターゲットだった分のプレートを譲渡することにした。
ハンゾーはこれ以上いらないとのことだったので、二枚ともちゃっかりもらってたんだよね。こんなこともあろうかと。
そして原作と違ってヒソカと遭遇していないのか、この時点でクラピカたちは余剰のプレートを一枚持っていたので、これと合わせてクラピカも条件達成となる。
クラピカには少し勘繰られたが、マジで深い理由はない。彼がこの後にある面接で言うように、理由がないのに戦うのは嫌なんだよな。仮にも主人公組だし。
その後は、レオリオのほうがまだターゲットを得ていないということでまた別行動になった。
直前に確認したところ彼のターゲットは原作通りポンズだったので、トンパの代わりに情報を渡しておいた。これで彼ら周りのことは原作通りに進む……はずだ。
俺としてはただの善意だったのだが、タダは納得できないと二人が言うのでハンターになったらいい稼ぎになりそうな情報をくれと言っておいた。
そこからは、タイムアップまで誰かに会うことなく順調に過ぎていった。よしよし。
アナウンスに従って指定の場所に戻ったところ、通過できるだけのプレートを集めて戻ってきたのは俺を含めて九人のようだな。ただし、戻って来た人間は十人いる。
原作との違いは……なんだっけ、ひげの人。最終試験の最後にキルアに殺されるおじさん。そいつが通過者の中にいない。
見たところどうやら五体満足で生還は果たしているようだが、ターゲットを狩ることができなかったみたいだな。クラピカがターゲット外を三枚集めてるから、その中にターゲットのプレートがあったのかもしれない。
ご愁傷様……と言いたいところだが、最終試験まで残っておきながらキルアに不意打ちで殺されるよりはマシな結末だと思うので、来年またがんばってくれ。
……と思ったが、来年の試験って原作通りに行くならキルアしか受からねーな。やっぱご愁傷様だわ。ナントカ兄弟ともども。
その次の試験は方向性が変わるはずだから、そこでなんとかしてくれ。
『これより会長が面談を行います。番号を呼ばれた方から二階は第一応接室までお越しください。受験番号一番の方……』
おっと、そうこうしているうちにお呼び出しのようだ。
原作だとヒソカが最初に呼ばれていたはずだが……受験番号順ってことかな。ここだと俺が一番若い番号だからな。
そうして案内通りの場所に行けば、ネテロ会長が一人で出迎えてくれた。あとは会長から出される質問に一つ一つ答えていくだけだ。
「まず、なぜハンターになりたいのかな?」
「サブカルハンターになりたいなって思ってまして。マンガとかアニメとか……そういうのを後援するパトロンとして。そのためにはたくさんお金がいるから、ひとまずはマネーハンターみたいなことする感じになるかと」
あと、超長期刑囚であるレルート先輩をなんとかして刑務所から出したい、ということも話しておく。
別に話す必要もないかもしれないが、隠し事はしないほうがいいかなと思って。
「ではお主以外の八人の中で一番注目しているのは?」
「うー……ん……。一番はちょっと決めづらいんですけど……」
「ほっほっほ、同率一位でも構わんよ」
「ですか? じゃあ……んー、いい意味で99番、403番、404番、405番ですかね……。あとは……まあ、悪い意味で、ですけど44番と301番……」
前者は言うまでもないが主人公たちだからな。嫌でも注目する。
後者も言うまでもないかもだが、やべーやつらのことだ。こっちも嫌でも注目せざるを得ない。
一番を答えろと言われてるのに、残ってる受験者ほぼ全員を挙げてるのはご愛嬌ってことで一つ……。
「ふむ。では最後の質問じゃ。逆に八人の中で、今一番戦いたくないのは?」
「405番ですかねぇ。単純な試合なら勝てるだろうけど、心と心の戦いって意味じゃあの子は絶対負けないタイプだと思うんで……」
試合形式だったり、あるいは殺し合いという場面だったら今は俺が勝つ。それはまず間違いない、客観的な事実だ。
少なくともゴンがまだ非能力者である今なら、断言できる。俺に殺しができるかどうかは置いておくとしてだが。
ただ、最終試験のように相手に降参させない限りは勝ちにならないような試合だった場合、逆に俺は勝つことができなくなるだろう。俺が操作系能力者で、そういう発を持ってればできるかもだが……そういう可能性はもうないからなぁ。
「うむ、ご苦労じゃった。下がってよいぞよ」
こうして面談は終わったが……。
ここでの回答が、最終試験の組み合わせに多少影響してくる。俺の回答でどんな形になるか、少し不安だ。
最悪俺のチャンスは一回だけでいいから、ヒソカやイルミとだけは当たらないようにしてほしいところだが……はてさて。
***
ゴン
VS ━┓
ハンゾー ┣━━━┓
┃ ┃
ポックル ┣━━━┓
┃ ┃
キルア ┣━━━┓
┃ ┃
ギタラクル(イルミ)
┃
┃
┣━━不合格
レオリオ ┃
┃ ┃
クラピカ ┣━━━┓ ┃
VS ━┛ ┃ ┃
ヒソカ ┣━━━━━━━┛
┃
メルメリア
***
あっ、原作とちょっと違う。
ていうかこれは……もしかしなくても、俺の対戦相手主人公組だけになるのでは……?
や、やりづらい……! ある意味ではヒソカのほうがまだよっぽど戦いやすいまである……!
原作のレオリオの位置に主人公が入った代わりに、レオリオがボドロの位置に入ってます。
ネテロ会長は主人公とレオリオ二人のうち、どちらを上にするかでものすごく迷ったという裏設定。