一般TS転生者はちんちんを取り戻したい   作:ひさなぽぴー

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3.一般TS転生者、念の方向性を固める

「俺、男に戻れんかもしれん……」

 

 三年ぶり三度目の内省である。今回はわりとガチめに無理かもしれない。

 十三歳になったのだが、いよいよ二次性徴がはっきり出てきて色々と、その、アレなのだ。初潮のときとか、知識として知ってはいたはずなのにマジで喉から心臓が飛び出るんじゃないかってくらいびっくりしたからね。

 

 まあとはいえ、そこは一応俺も念能力者。生理は病気ではないが、ある種内臓の怪我みたいなもんなので、絶による回復力増強で力業でどうにかこうにか解消してる。

 そこそこ重いほうっぽくて、経血が出る以外にも色々としんどいのが正直めんどくさくて困る。こればっかりはマジで男がよかったなぁ。

 そういう意味では、決意も新たにできて修行も捗ったんだが……。

 

 じゃあなんでガチめに戻れんかもしれんとか言い出したのか。これは要するに、二次性徴期に完全に突入したことで、どうしても女であることを認識せざるを得ない状況が増えたからだ。

 

 単純にそう言う機会が増えただけなら、別になんとでもなっただろう。だが、二次性徴期に入ったということは、本格的に女性ホルモンが分泌されるようになったということでもある。

 これによって、趣味や嗜好などの内的な面も影響を受け始めているのだ。

 

 いや、メス堕ちしたわけじゃない。それは誓って本当だ。少なくとも今はまだ。

 けれど、結局のところ肉体と精神はそれぞれに影響し合いつつも、肉体の持つ影響力はとんでもなくデカいんだなって思ってしまったんだよな。どう転んでも、感情や認識の大元はやっぱり脳なんだろう。

 

 おまけに、今の俺は正直かなりかわいい美少女である。自分で言うのもなんだが、わりとこれは客観的な事実だ。おかげで、どうにも最近女として生きるのが楽しくなり始めてる自分がいてね……?

 

 だってしょうがないだろ。そんなかわいい娘を持った親は、まっとうな精神をしてればまっとうにかわいがってくれるものだ。

 両親はもちろん、双方の祖父母からもかわいいかわいいとチヤホヤされまくり、色んな服やらアクセやら髪型やらを試されて、それもすべて似合う似合うとチヤホヤされまくれば、普通の人間はそりゃあまんざらでもなくなるってもんよ。

 

 ていうか、こういうお洒落の分野って、男より女のほうが種類が豊富なのがいけない。しかも今の俺はかわいいので、大体のものを問題なく使えると来れば、まあ揺らぐよね。

 何度も言ってるが、俺はそもそも凡人である。そんな圧倒的チヤホヤを前に、断固男であり続けようって心を強く保っていられる自信が正直ねぇんだわ。

 

 いやまあ、うん。その、好奇心でうっかりひとりえっちをしてしまったのもまずかったな、とは思ってるんだよ。

 あれは失敗だった。ヤバいとは思ったが、好奇心と性欲を抑えられなかった。頭がパーになるかと思った。

 

 でもそれはそれとして、今でも付き合うなら女とは思ってるよ。マジで。男とそういう関係になるのは嫌だ。マジで。

 だって前世では普通にノンケだったんだぞ。男と付き合い、愛を交わし、あまつさえセックスをするというのは、まだちょっと考えられない。無理。

 

 ただ、子供はほしいかなって思ったりはする。今世の家族は一人っ子で落ち着いてしまったから、世話になってる両親に孫の顔を見せてあげたいなって思いはあるんだ、一応は。自分が孕むとなると話は別ってだけで。

 前世から通じて凡人の俺だが、一応前世では妻子のある身だったんでね。祖父母が孫をどれだけかわいがるかはわかってるつもりだ。

 

 話を戻そう。

 

 そんなこんなでTSの影響が遂に精神面にまでガチめに及んできている最近は、女の子との時間を多く取ることにしている。

 別に恋愛なあれこれじゃなくて、ちょっとスキンシップが多めな女友達ってだけだよ。女の子とイチャコラしてると、男としての自我が奮い立つんでね。物理的に奮い立つ息子はまだ不在だが。

 

 ただそうやっていても、女として生きるのもまあそこまで悪いもんじゃないなって思うときがあるのも事実なんだよな。

 

 だが、この受け入れ始めているという状況は非常にまずい。

 なぜなら、念能力というのは字の通り念……つまりイメージであったり想いであったり、そういうものが強烈に関わってくる能力だ。原作でも、発を考えるときに大事なのはいかに自分で自分にしっくり来ると思えるか、みたいなことが言われていた。

 他人の力でどうこうされるならともかく、自分で自分の性別を変えるとなると、心の底の底からそうしたいって思っていないと恐らくそんな能力は作れない。仮に作れたとしても、実行するにはかなり重い制約と誓約が必要になるだろう。

 

 それは嫌だ。それで命は懸けたくない。

 そう思ってしまう以上、恐らく男になるという能力を開発し、使いこなすのは当初よりも難しくなってしまっていると考えたほうがいい。俺がもっと早く念に目覚めることができていればこんなことにはならなかったんだが、才能がないんだからしょうがない。

 

 かくなる上は、妥協も視野に入れるしかないだろう。男になるのは無理でも、せめてちんちんだけは取り戻したい。あの日生き別れになってしまった息子と、どうしても再会がしたいのだ。

 

「なるか……ふたなり*1……!」

 

 というわけで、生まれ変わって十四年目の年始の朝、俺は目標を軌道修正することにしたのだった。

 

***

 

 念能力でちんちんを取り戻そう計画だが、実のところ妥協も悪いことばかりじゃない。

 

 なぜなら性別を変えるという発なんて、作るに当たって各系統の適性がどれくらい必要になるのかがわからないんだよ。さすがに強化系は必要ないと思うが、それでも複数の系統にまたがった複雑なものになるだろう。

 だが単純にちんちんを生やすだけなら、具現化系の力だけでそれなりのものができるはずだ。難易度の差は歴然と言える。

 

 そして今まで言及する機会がなかったが、俺の念系統は実は具現化系。そこにだけ専念すればいいということは、念を習得してから数年経ってもなお、応用系の技をほとんど使えないくらいには才能のない俺にとって、素直にありがたいと言えるんだよな。

 

 何せ念能力は、自分の属する系統以外の系統は覚えが悪くなる。

 おまけに、同じ習得レベルの二人の能力者がいたとして、同じ技を使った場合の効果が高くなるのはその技の系統の素質があるものだ。それくらい、得意不得意による差は大きい。

 

 だからこそ、自分の系統である具現化系を最大限に活かせるだろうふたなりちんちんの具現化は、俺にとってメリットもあるというわけだ。

 

 まあとはいえ、単純にちんちんを具現化だけしても意味はない。それじゃ文字通り張子の虎でしかないからな(激ウマギャグ

 

 俺が求めるちんちんは、ちゃんとちんちんとしての機能を持っているちんちんだ。

 つまり血が通っていて、感覚もしっかり通っていて、生命の営みができること。それが何より大事だ。可能なら生殖能力もほしい。ちんちんならちんちんらしく機能しないといけない。そうだろ?

 

 というわけで、具現化したちんちんを一般的なちんちんと同じに扱えるようにする必要がある。そこも含めてしっかり具現化しないといけないから、イメージはきちんと確立させなきゃな。

 

 まあ才能という点では自信がない俺だが、これについてはちょっと自信がある。

 何せ前世は男だったのだ。生まれてから死ぬまでの数十年間、常にそこにあった息子である。イメージはわりとしっかりしている……はずだ。

 イメージ元がそれである以上、特定の方向に頭を向けがちな癖まで再現されそうなのはちょっとアレだなとも思うが、そこは仕方ないだろう。

 

 あとは、イメージの補強としてえっちなビデオとかを少々参考にすればいいだろう。どうやらクカンユにはその手の映像における局部モザイクという概念はないらしいので、数本もあれば研究は十分捗るんじゃないかな。成人まであと五年弱だが、そこには十分間に合うと思われる。そこは安心だ。

 

 と、ここまではいいのだが、普通のちんちんを具現化するだけってのはちょっとアレだなとは俺も思う。念能力者なのに、発の手持ちがただちんちんを具現化するだけ、っていうのはいかにも残念が過ぎると思うんだ。

 

 だからちんちんの取得と並行して、きちんと戦闘にも使える発を考えていかないといけない。纏や練、凝といった念の普遍的な技術だけで生き抜けるほど、この世界は甘くないのだ。特に具現化系はな。

 

 もちろん、逆もしかりではある。要は纏や練などの技術と、必殺技としての能力である発は、車の両輪なのだ。どちらも疎かにできるものではないから、発もきちんと整えておかなければならない。

 

 これの問題は、ちんちんの具現化を済ませたあとに俺のメモリが果たしてどれだけ残るのかわからない点だな。才能がないのは間違いないので、下手したらちんちんだけでメモリ上限一杯なんてことも起こりかねない。

 そうならないためにも、場合によってはちんちんになんらかの制約と誓約を設ける必要も出て来るかもしれない。そうならないのが一番だが、最悪の事態は想定しておいたほうがいいだろう。

 ……ちんちんに制約と誓約って、頭悪すぎて我ながら泣けてくるな。

 

 ただなぁ……。今までの人生、ちんちんについてずっと考えてたせいか、いまいち他にぱっと思いつくものがないんだよな……。

 とりあえず考えるのはやめないが、最悪の最悪はちんちんそのものに発を持たせることになるだろう。

 

 さすがにそれだけは避けたい……! マジでそれだけは嫌すぎる……! ちんちんで戦うなんて嫌だ……! ローゼンガーテンサーガみたいにだけはなりたくない……!!

 

***

 

 心源流拳法を習い始めて約十年が経過したが、最近身体が少しずつごつくなってきたなと感じる。当たり前のことではあるんだが、このままではかわいい系の格好が難しくなる。

 

 むむむ。ビスケも本来の姿であるゴツいボディを気にしていたが、なるほどだな。一度かわいいの味を知ってしまったら、それができなくなるのはなかなか心に来るものがある。この気持ちが能力として昇華されたのが、ビスケのあの仮の姿なんだろうなぁ。

 

 でも俺の才能じゃ、たぶん再現はできない。そこは諦めて筋肉に突っ走るか、妥協してある程度でとどめるかしたほうがいいんだろうな。

 

「ってことなんですけど、先輩どう思います?」

「別にどっちでもいいでしょ」

「そりゃそうなんですけど、先輩の意見が聞きたいんです」

「……そりゃかわいいほうがいいとは思うわ。女なら大抵はそう言うでしょ。特にこの学院の生徒ならなおさらね」

「ですよねー」

 

 先輩がそう言うだろうことはわかってたし、俺もその方向で進めたいと思ってはいた。だから俺は申し訳程度の苦笑を浮かべて、うっすらと浮かんでいる腹筋を撫でた。

 

 まあよくよく考えれば、トン単位の扉を開閉できるゴンやキルアはそんなすごい筋肉があるようには見えなかったし、そんな二人を力づくで押さえ込める幻影旅団の女性陣もそんな筋骨隆々ってわけじゃない。これについてはあまり深く考えすぎてもよくないかもしれない。ほどほどにがんばろ。

 

 しっかし、解決策ではなく共感を求める問いかけを無意識にする辺り、俺も女にすっかり慣れたもんだな。

 

「あたしとしては、王子様ってキャーキャー言われてるアンタでもそういうの気にするのねって感じよ」

「そりゃまあ、女として十五年近く生きてますし多少は?」

「なんで疑問形なのよ。ま、意外な一面を見れたのはルームメイトの特権ってことにしといてあげるわ」

 

 そう言って先輩は、途中でとまっていた手紙の執筆に戻った。仕方なさそうに微笑んでいたお顔が今日も可憐である。

 

 はい、というわけでいわゆる高校生一年生になりました。今はクカンユでもほどほどに名の知れた女子高で、寮生活を営んでいる。

 

 で、この人は三年生のレルート先輩。彼女が言った通り寮のルームメイトで、きりりと釣り上がった目とそれに見合ったかわいらしい顔立ち、何より学年トップの成績を支える知性と教養がチャームポイントの美少女だ。正直、ルームメイトガチャでSSR引いたなって思ってる。

 

 まあ当初は随分きつい性格の人だなとも思ったけども。なんか噂じゃ、過去に先輩のルームメイトになった人はすぐに部屋を移らせてくれとか言い出してたらしいし、冷たい印象があったのは否定しない。

 

 ただそれなりの時間同じ部屋で生活していれば、それだけの人じゃないってことはわかってくる。確かに彼女は人当たりがちょっと強いが、一度身内として認めた人には優しい人だ。身内のことは全力で守ろうとするし、面倒見もいい。

 ハリポタだったら間違いなく秒でスリザリンに振り分けられるだろう人だが、俺は身内認定を受けることができたので、今では親しくさせてもらってる。転生者のアドバンテージはもうほとんどないので、勉強とかでは特に頼りにしてるのだ。

 

 とまあそんな関係なので、俺もレルート先輩にはかなり気を許している。

 

 だが俺が彼女のことを気に入っているのは単純に優しいからとかというより、適度な距離感を保ってくれるからってのが大きい。

 何せ感謝の正拳突きを最初からスルーしてくれる人だ。必要以上にこっちの事情や背景に口を突っ込んでこないでくれるし、一人にしてほしいときは放っておいてくれる。これが俺にとっては大きかった。

 お互いの好きなことをしているときは完全に不干渉になるのも、互いに興味がある分野に関することだととにかく長々と話し続けられるのも個人的には嬉しい。なんていうか、人付き合いに対する価値観が一致しているんだな。

 

 だからこそ、先輩と一緒に過ごした一年はすごく快適だった。先輩と一緒にいると、自分を取り繕う必要がないからすごく楽だし楽しいんだ。最初はルームメイトなんて面倒だなって思ってたんだけどな。

 

 ……でも、先輩は三年生。彼女と一緒にいられる時間はもうあと少ししかない。それはちょっと、いや、結構寂しいものがあるなぁ。

 

「そういや、先輩そろそろ卒業ですよね。進路はどうするんですか?」

「地元に戻って家業を手伝うつもりよ。大学も考えたけど、専攻したいものは特にないし……何より早いうちにお金を稼げるようになりたいからね」

「……ですかぁ」

「なに、寂しそうな顔と声してるわね」

「……そりゃ、寂しいですし……」

「たまにかわいいこと言うわよね、アンタ」

「私はいつもかわいいですけどぉ!?」

「素手でコンクリートブロックを粉砕した上でピンピンしてる人が言うことじゃないわね」

「それはそうなんですけども!」

 

 こうやって先輩に弄ってもらえるのもあと少しかァ。お互いに連絡先は交換してるから、いつでも連絡は取れるけど……それでも寂しくなるなぁ。来年度、俺のルームメイトになる子が付き合いやすい子だといいんだけど。 

 

「ふう、書けた。……あたし手紙出してくるけど、アンタどうする?」

「んー、特にやることもないし、ついてきましょっかね。お守りしますよ、お姫様」

「お姫様はやめて。そんなガラじゃないわ」

 

 と言いつつ、まんざらでもなさそうにしてるの俺は知ってるんだからな。かわいいお人だぜ。

 

 ……こんな感じで普段から二人でつるんでることが多いせいか、学院内では百合の花が咲き誇っていると認識されている。今まで先輩があんまり積極的に人付き合いをしてこなかったことも影響してるらしい。

 

 女子高だからそういうのはあちこちで見るのだが、実際のところ先輩とはそういう関係ではない。俺個人としてはアリ寄りのアリなんだけどな。一度周りの空気に便乗してお姉さまって呼んでみたけど、なんでか呆れられた。

 ま、要するに先輩にそのつもりはないらしいってことだろう。先輩の実家、地元の名士らしいからそのつもりがあったら玉の輿も狙えたんだけどな。

 

 なお、守るとか言っているが俺に実戦経験はまだない。試合形式なら他流試合も含めてめちゃくちゃ場数を踏んでるんだが、さすがに命のやり取りはね……。

 なのでプロの念能力者とか来たら、そのときは二人とも殺されるのがオチだろう。念怖い。

 

 あ、でも地元のチンピラに絡まれたとき、何回か銃器を持ち出されたこともあるにはある。あれも一応は実戦経験って言えるか?

 その時点で念能力者として一応の素人脱却を済ませていたから、わりとなんとかなった。確かに念能力者にも銃は大抵脅威だしめっちゃビビったが、相手がろくに訓練も受けてない子供となれば、さすがにね。

 でもあのときはやっぱり、鍛えててよかったってマジで思ったよね。こういうことが普通にあるから念が欠かせないんだよこの世界。

 

 ちなみに俺、心源流としては一応、表向きの弟子を取ることが可能な段位には達している。それも結構前に。

 俺としてはすぎるくらい上出来だと思っていて、なんなら二回の人生の中で一番才能がある分野は格闘技なんじゃないかって最近思っている。

 

 けど裏向き……つまり念を教えられる段位には至っていない。だから実力的にはまだまだ下位だろうし、師範はおろか師範代だって到底名乗れない。念なしの戦いなら、一応中位クラスはあるとは思ってるけどさ。

 

*1
詳細については各自自己責任で調べてくれ!




主人公くんちゃん「俺はまだメス堕ちしてないから(震え声」

それなりの時間生きてるけど、たぶん小学生のときでもこんな短期間にちんちんを連呼したことなかったと思う。
楽しかったのです(素直
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