貴重なモラトリアムも残りは少ない。だがそれでも、俺はやった。やりきった。
そう、なんとかギリギリ、高校生のうちにちんちんを具現化することに成功したのである!
「おお……懐かしき我が息子よ……! 会いたかったぜ……!」
今、一人になりたい以外の意味もなく取ったホテルの一室で、俺は鏡を前に歓喜していた。
鏡の中は、女性らしい曲線と柔らかさを残しつつもしっかりと鍛えられた全裸の美少女がいる。だがそんな少女の股間には、似つかわしくない剛直が一本、雄々しく自己主張をしていた。
このときをずっと待っていた……! 苦節十八年、マジで成人ギリギリになったが、ようやくここまで来ることができて俺は感無量だ。
あとはこのちんちんが、ちゃんとちんちんとしての機能を持っているかどうかを確認するだけだ。
幸いここはホテルで、オカズには困らない。ちょいとテレビをつけてそっち系の有料チャンネルを開けばいいだけのことだ。
さあ……ヤるか……!
***
……ふう。
はい、ってことで賢者タイムです。なので、具現化ちんちんについて改めて検証をしていこうと思う。
まず所感だが、きちんとちんちんだった。前世、男だった頃の感覚と照らし合わせても、問題ないグッドちんちんであると言えよう。玉と袋まで完備しているから、完璧と言っていいと思う。
これだけバッチリ再現できているのに、当初思っていた以上にメモリへの負担が軽い感じがするのは、たぶんアレだ。玉、つまり男としての最大の急所を女の身で得てしまったことがある種の制約として機能しているんだろう。念による制約ってのは、本人が自分への枷だと認識してることじゃないと機能しないっぽいしな。
ちなみに、ちんちんを具現化してるときは尿道もここに繋がるようになっているらしく、俺は実に十八年ぶりに立って用を足した。妙に感動する時間だった。そういう意味でも、機能はばっちりだ。
まあ、今となっては便座に座って用を足すのにすっかり慣れているので、違和感もそれなりに同居してたけど。立ってするとブツが飛び散って掃除が大変になるから、今後も座ってすると思うけど。
ただ、ちょっと敏感すぎるのがネックだ。
……これじゃ語弊があるな。訂正しよう。
敏感って言っても、早漏ってわけじゃないんだ。そこは大丈夫なんだが……なんていうか、たぶんちんちんのそういう感覚が女性器と連動してるっぽいんだよな。
だからか、ちんちんを接待(意味深)すると二重の快感が全身を襲うんだ……。おかげさまで、どこのエロ同人だってくらいにえげつねぇ声が出た。思い返したら笑えて来る。
こんなもん経験してしまったら色々とおしまいな気がするが、そこは今後慣れていくしかないだろう。大丈夫、人間は慣れる生き物だ。なんとかなるはずだ。
なんとかなると思う。念はイメージが大事だからな。イメージするのは常に最強の自分だ。なんとかなれーッ!
まあそれについては、今後の課題とするしかないだろう。ちんちんを鍛えていくのだ。そういうことでいいと思う。ひとまずは。
もう一つ気になるのは、ちんちんの持続力だ。この場合持続力がないんじゃなくて、あるのが問題だ。
なんでかっていうと、俺が機能の確認を始めたのは大体夜の七時半くらいだ。そして落ち着いて検証をしている今現在は日付が変わる直前くらいなのだが、わりとこの直前までこの具現化ちんちん様はほとんどずっとハッスルしておられたのだ。とんだ夜の暴れん坊将軍である。
これに連動する形で、かなりの性欲が俺の中にあり続けていた。もしこの状況のとき、女性と鉢合わせていたらまずかったように思うくらいの衝動である。
一応理性は残っていた……と思うんだが、なんか操作系の能力で操作されてるんじゃないかってくらいに強い衝動だったんだよな。実際に操作系の発を喰らったことがあるわけじゃないから、あくまでそんな感じがするってだけだが……。
これはもしや、俺の意図していない何らかの発が載っている可能性はあるんじゃないだろうか。
ただ、今はそういう衝動がない。具現化ちんちんの具現化は続いているが、普通に大人しいものである。起立されたらどうなるかわからないが。
これが起立しているとき限定のものなのか、他に原因があるのか。そこは現時点ではちょっとわからないので、これについては引き続き検証を続けるしかないだろう。
次に、ちんちんから発射するブツについて。
男性諸君なら誰もがおわかりだろうし、男性との経験があるなら女性陣もおわかりいただけるかと思うのだが、ちんちんは閾値を超えると精子の塊である精液を出す。射精と呼ばれる現象だ。これを女性の体内……膣、ひいては子宮に入れることで、妊娠を目指すのが人間という生き物の生存戦略なわけだな。
……俺が今したのは生物学の話だ。猥褻は一切ない、いいね?
話を戻すが、射精するのはあくまで普通のちんちんの話。俺のちんちんは念能力で具現化したものなので、それには当てはまらない。
正確に言うと、射精自体は起こる。俺の具現化ちんちんはきちんと機能が整っているのだ。ただ、俺から離れると即消滅してしまうので、実質ないも同然ってだけだな。
これはちんちんの機能どうこうというよりは、念自体の性質によるものだ。
念には系統に関わらずいくつか共通の性質があるんだが、その中の一つに「オーラは術者から離れると維持できない」というものがある。念はあくまで生物の持つ生命力を利用した能力なので、その主体となる存在から離れてしまうとエネルギーの供給が断たれ、制御も完全に離れてしまうというわけだな。
もちろん、これは訓練によってある程度改善はできる。できるが、それでも完全にこの性質を無にすることはまず不可能だ。
ただし、何事にも例外というものがある。前に念にはいくつかの系統があると言ったが、その中にこの術者からオーラを切り離して運用することに長けた系統というものがある――あくまで切り離すことに長けているだけで、この系統であっても離れたオーラを永遠に維持することはできない――のだ。放出系と呼ばれる系統である。
この系統の人物がきちんとオーラを運用できれば、原作でいうフランクリンのように、とんでもない威力のオーラの弾丸を連射する能力者になることができる。空間移動なんかのとんでも能力も、放出系の範疇だ。
だがこの放出系。実は俺の系統である具現化系と、おもっくそ相性が悪い。具現化系の修得率が100%だとしたら、放出系は実に40%にまで落ちるのだ。俺の具現化ちんちんから出される精液にあっという間に消えるのは、これが最大の理由である。
逆に言えば、放出系の系統訓練を重ねればこの現象は一応改善はされる。
だがそれは、自分にとって最も不得意な分野を必死に鍛えなければならないということ。俺にはそんな根気はない。
というか、自分の得意系統だってクソザコなのに、苦手系統にまで手を出している余裕なんてない、って言ったほうが正しい。それに、発射されたモノの後始末をしなくていいってのは楽だしな。これについては、別に改善はしなくていいと思う。
ただし、「離れたら消失する」ということは、逆に言えば「離れなければ消失しない」ということでもある。
つまり、たとえば夜の営みで直に中田氏(意味深)をした場合、中は当然密着状態につき、放たれたモノが消えることはないだろう。
そうなって来ると気になるのだが、この中田氏は洗礼に当たったりしないだろうか? ということだ。
洗礼とは、オーラを非能力者に送り込むことで、手っ取り早く念に目覚めさせることである。原作でも、ゴンとキルアはこの方法で目覚めた。
だが当たり前だが非能力者は念に対する抵抗力をほぼ持っていないので、身体には良くない。悪意をもってされてしまえば命に関わる。ゴンたちが無事だったのは、相手が心源流の師範代という実力者で、かつ害する意思を持っていなかったからだ。
この洗礼、念によるものならわりとなんでもいい。理屈としてはオーラを送り込むだけで成立するからで、普通に纏の状態でぶん殴っても起こり得るだろう。原作では細かい条件などは語られなかったので、さじ加減はわからないが……。
しかしだからこそ。念によって具現化された、オーラで構築されたモノを体内に入れる行為。これは明らかに洗礼が起こり得ると思うんだ。
起こるとしたら史上最低の洗礼方法だとは思うが、可能性はないわけじゃないのでタチが悪い。どうしろってんだこんなの。俺は今後、念能力者しか相手できないってのか? それはちょっと面倒だぞ。
もちろん、洗礼が百パーセント必ず起こるってわけじゃないのはわかってる。接触イコール洗礼になるんだとしたら、この世界は念能力者であふれているだろうし。それでも可能性があるってことは、避けたほうがいいんじゃと……。
あとこれについてはもう一つ気になるんだが、具現化ちんちんから放たれるブツに生殖機能はあるんだろうか?
我が具現化ちんちんはおおむね男のそれと同じ機能を有していることが今回でわかったわけだが、念による具現化でそういうところまで再現できるんだろうか?
わからない。わからないので、これは検証するしか知る方法はないが……しかしそれをするとなると、そういうことを繰り返さないといけないわけで……それはちょっと、なんていうか、色々とアレだな。
だって仮に恋人を作っても、一人じゃ検証しきれないだろ。だから選択肢は実質的に風俗一択だ。ああいうところはそっち方面のケアされてるだろうし。金がめちゃんこかかるのだけがネックだが。
まあ、生殖機能については棚上げでいいか。まさかDNA検査とかそういうのするわけにもいかんし。
でも発を作った本人でさえわからない機能なりデメリットなりがある可能性はあるから、ある程度自由に動けるようになったら改めて考えるとしよう。
他に検証すべきことというと……どれくらい維持できるか、か。
でもまあ、二十四時間四六時中ちんちんを具現化しとく必要はない。そんな長時間に渡ってちんちんを使う機会なんてあるもんじゃないし、いかに超人だらけのこの世界、しかも念能力者とは言っても、そんなに行為に没頭する意味もあんまないし。
ていうかそもそもの話、具現化系能力者が全員自らの得物となるものを常時具現化し続けるわけじゃない。原作でそれをやっていたのって、パッと思い出せる限りクラピカくらいじゃないか?
彼の場合は具現化したものに多くの発を乗せていたことと、操作系と誤認させるためにそうしていたわけだが、俺の場合それをする必要はない。ちんちん……というか金玉がド級の急所であることは重々承知してるから、それを常時具現化しておくのはちょっと怖いし。
だからちんちんは必要なとき、必要な分だけ具現化すればいい。ジャストインタイムちんちんだ。
よし、ということでちんちんの検証終わり!
あとは、これとは別に戦闘用の発を考えるだけだな! 理想はヒソカのバンジーガムのように、タネが割れても戦力減に直結しないようなものが望ましいが……まあ、そこは自分の好みとかも関わってくるから、やってみないとわからない。
287期ハンター試験まで、残り約四年……。それまでに、せめて中位に手がかかるくらいの念能力者になりたいもんだな!
ま、それはまだ未来の話だ。今は……そう、今はただ、この余韻に浸っていたい。
ということで、先輩に成人祝いでもらったどこぞかの逸品らしいワインで、祝杯を挙げる俺なのだった。
早くも目的を達成してますが、まだ生きる目的を見つけられていないのでここからが本番です。
発の具現化ちんちんの細かい情報や制約は、名付けが完了したタイミングまでお待ち下さい。
なおボク個人としてはふたなりに玉は不要派なんですけど、ガチの急所を増やすという制約を負わせとけば一般TS転生者でも結構メモリに余裕ができるだろうと思ったので、玉アリになりました。
まあ過激派ではないので、これはこれで。