ちんちんを具現化できるようになって、二年が経った。原作開始まであと二年ほどの今、二十歳になった俺は無事にクカンユ国内の国立大学に進学し人類学や民俗学を学んでいる。
というと小難しく聞こえるが、主な専攻はこの世界のサブカルチャーについてだ。つまりゲームやマンガ、アニメなど。
単純にそういうのが好きだからってこともあるが、元いた世界のものとの違いを知れるのが意外と楽しくってね。
あと、研究対象としてはこの世界でもかなり若い分野なので、ブルーオーシャンだったってこともある。ハンターライセンスを取得するのに失敗したとしても、それなりに潰しが効くと思ったんだよ。
念のほうはというと、ちんちんの具現化する前からそれなりに成果は出ていたが、具現化成功して一年くらいした頃にようやくどうにかこうにか応用含めほどほどにできるようになった(隠と円はガチで最低限)。
これで少しはこの世界の危険な事物にも対処できるだろうから、一安心だ。無理な相手はマジで無理だから、まだがんばるけどさ。
ただ元々才能なかったが、最近はいよいよ伸び悩んでる。発だけでなく念全般がそうなので、やっぱ非才の身ではこの辺が打ち止めってことなのかなぁ。嫌だなぁ。
まあ各種応用技が戦闘でも十分使える程度にはなったってことで、心源流としても一応の免許皆伝と相成った。
もちろん免許皆伝とは言っても所詮は一応で、実際の戦力としてはまだまだだいぶ不安が残る。所感だが、原作で言うところのグリードアイランド編を終えた時点のゴンとキルアくらいかな?
欲を言えば、キメラアント編でビスケのブートキャンプを終えたあとのゴンキルくらいはあってほしいが、まあそれは高望みしすぎだろう。だから満足感よりも怖さのほうがまだ上回る。
ちなみに、発はなんだかんだでまだ作れていない。さっきも言った通りどうも才能が頭打ちになってるっぽいってこともあるんだが、何より大学生として学業にバイトにセッッにと日々が忙しいんだよな。おかげで発について考えるまとまった時間がなかなか取れないんだ。
とはいえ急いで下手なものを作ってもろくなことにならないってことは、原作でもヂートゥが教えてくれている。こればっかりは焦りは禁物だ。
一方で我が次男とも言うべき新たなちんちんの検証のほうは、とりあえず一通り終わったと思う。あれからわかったこととしては、どうやら具現化中の性欲具合はかなり浮き沈みが激しいらしいってことくらいか。つまりランダムってことで、よくわかっていないと言い換えることができる。
一応俺の生理周期とリンクしているっぽい節はあるんだが、それも絶対じゃないみたいで……なんなんだろうねこれは。
ただその代わりにと言ってはなんだが、ちんちん再入手以降俺は生理とそれに伴う身体の不調に悩まされなくなった。しかもこの効果は、ちんちんを具現化しなくても効果がある。
つまり俺は、生理という現象から解放されたのだ。元々そこそこ重いほうだったこともあって、これは素直に嬉しかったな。
長期間具現化させなかった場合にどうなるか? いや、それは試してない。ちょっと怖いじゃない? うっかり性欲が爆発しても困るしさ……。
ということで、俺の感覚としては生理の代わりに発情期がやってくるようになった、みたいな感じかなぁ。
もちろんこの発散を友人知人に付き合わせるわけにはいかないので、俺の懐具合は常に寂しい。毎回プロに任せてたらそりゃそうもなる。
何せザ・ニューちんちんによる性欲、接触感染するらしくて相手もハッスルしちゃうんだよな。もしやこれ、勝手に生まれた発では? だとしたら嫌すぎる発だ……。
しかもこれのおかげで休憩時間(意味深)を大幅に超えてしまい、超過料金を払わされたことは一度や二度ではない。
……楽して左うちわで生活したいってのが人生の目標なのに、なぜ結果的に金遣いが荒くなってしまうのか。これがわからない。
まあ、ある意味では前世男だった頃ですらできなかったスケベ三昧をできているわけではあるから、後悔自体はまったくないんだがな。むしろ楽しんでいるまである。
いや本当、ちんちんを取り戻せてよかったって心の底から思うよ。ただそれはそれとして、金は欲しいってだけで。
ああそれと迸る白き生命の源(隠喩)だが、念でできているものなのでやはり洗礼は起きてしまった。文字通り
いまだかつて、こんなアホみたいなことで洗礼を施したやつはいないんじゃないだろうか。
ただこれについては、ゴムをつけた上で絶スレスレまで顕在オーラを落とせばどうも防げるっぽいので、今はひたすらそうしている。おかげで目覚めさせてしまったのは今のところ一人だけだ。不幸中の幸いである。
いやぁ、これってつまり一種の妊娠では? と気づけて本当によかった。正直イメージで補完されてる感はあるが、結果オーライである。
まあ口の中に発射するのがアウトかどうかはまだわからないから、これも今はしないようにしている。まあ、それ系の行為は元々好きじゃないから構わないんだけどさ。
え? いや、だってアレを舐めた口にキスするの嫌じゃない? 潔癖症? うるせー。
ちなみに、俺が目覚めさせてしまった嬢についてだが。
目覚めさせてしまったからには仕方ないと思って、俺が師匠として最低限のことを教えたのだが……俺の五~六倍くらいのペースで四大行を身につけられて三日ほどド凹みした。風俗嬢に念の才能で負けるオリ主とかそんなんある……?
なおこの嬢、別にいやいや風俗嬢をしていたわけではないらしく、今でも俺行きつけのレズ風俗で楽しそうに働いている。
ただし、いわゆる超絶テクニックを実現する強化系能力を作ってしまったらしく、大量のリピーターを生んでいる。誰が呼んだか女殺しのサキュバスで、店の周辺ではレズの数がにわかに急増し始めているらしい。端的に言ってヤバいことになっている。どうして……どうしてこんなことに……。
ここまで来ると製造物責任法に従ってなんとかせねばならんだろうということで、ゴムを使いたくない気分の日は基本彼女に相手してもらっている。今のところ戦績はなんとか勝ち越してる。
いやね、最初は連戦連勝だったんだが、ちょっと前にちんちんと女性器の性感が連動してることに気づかれちまってな。強化系発でガッチガチにパワーアップしたテクで両方同時に攻められたら、さすがに厳しいと言わざるを得ない。
何せ玉に隠れてはいるが、女性器はあるんだ。ふたなりはどっちの感覚も味わえるのが良いところであり、悪いところでもあるなぁ。
まあそれはそれで死ぬほど気持ちいいから、別に後悔はないんだけど。元男としては、やはりなるべくベッドの上の戦いは勝ち続けたいところなので、ちょっと複雑な心境である……。
***
「ハァイ、久しぶりねメル。元気してた?」
「もちろんですよ! 先輩こそどーです?」
「それなりってとこね。アンタはいつもながら、病気と縁がなさそうで羨ましい限りだわ」
「鍛えてますから!」
そんな大学二年の長期休暇のある日。俺はレルート先輩に誘われて初の海外旅行に行くことになった。
先輩とは、彼女が高校を卒業してからもずっとやり取りを続けていて、今も交流がある。今回のように、二人でどこかに遊びに行くことも珍しくはない。
俺はまだ学生で、彼女は既に働いているので資金力には大きな差があるのだが、親しい人間には優しい彼女はちょくちょく奢ってくれる。今回も旅費は大半を持ってくれているので、俺としては頭が上がらない。早く俺も稼げるようになって、彼女に恩返ししたいところだ。
あ、そうそう。今さらだが、この世界での俺の名前はメルメリア=ルルフォートである。親しい人はメルと呼んでくれる。かわいいだろ?
「……っていうか、アンタ高校の頃からほとんど変わってなくない? どういうこと?」
「……鍛えてますから!」
「鍛えてるだけでそんなことあるかしら……」
いぶかしげに俺を見る先輩だが、そう言う先輩もあんまり変わってないと思う。実家でなかなか辣腕を振るってるらしいから、貫禄はだいぶ増したなとは思うが。
俺の場合は念による老化抑制効果があるからだが、先輩の場合はなんなんだろうね。非能力者なのは間違いないのに。
ああいや、でもまったく変わってないわけじゃないか。高校の頃はまだ少女と女性の過渡期らしい絶妙な子供らしさが残っていたが、今はすっかり大人の女性って感じだ。それでも目の周り以外は全体的にかわいい系の造形をしているから、あんまり変わってないように感じるのかもな。
と、そんな感じで近況報告から始まった俺たちの会話は、目的地に着くまでほとんど途切れることがなかった。電話とかメールでちょくちょく話す機会はあるが、やっぱりこうやって面と向かって話してるほうが盛り上がるもんだよな。
先輩も楽しそうにしてくれてたので、俺としても楽しい時間だった。やっぱ先輩とは気が合うんだよなぁ。
さてそんな俺たちだが、今回の旅行先は実はあの天空闘技場である。なので、実を言うと旅行ってのは少し違う。
いやね、やっぱり一応は免許皆伝をもらった以上、より強くなるにはいい加減ガチな実戦経験が必要だろうと思ってね。原作ファンとしては、聖地巡礼って意味もあるし。
ただここ、クカンユとは別の大陸にある。未成年だった頃は当然として、
だが、今回は先輩のほうから「お金は持つからアンタの行きたいところに行きましょ」と誘ってくれたので、清水の舞台から飛び降りるつもりでここを希望したのだ。そして先輩は、少し考えてから受け入れてくれたのである。
まあでも、先輩としても今回の旅は別にただの厚意ってわけでもない。
「じゃ、私は選手登録してきますね」
「ええ、あたしは観客席に行くわ。……ふふ、せいぜいがんばりなさいな。たくさん稼がせてもらうから」
「任せといてくださいよ!」
そう、天空闘技場では賭けが公式で行われている。先輩はそこで一獲千金を狙っているというわけだ。先輩、こういうの好きだからねぇ。
俺は修行がてらファイトマネーで稼げる。先輩は試合を楽しみつつ賭けで稼げる。お互いに得のある旅行ということだ。
この辺は、二人とも金がたくさんほしいと思っているからこそでもある。お互い、ただの労働者としてあくせく働くなんてまっぴらごめんだって思ってるんだ。こういうところでも気が合うんだよな。他の人間とはこんな旅行はできないだろうね。
ちなみに今回の滞在期間は、およそ一か月を見ている。延長できたとしても一か月半ってところだ。その間に、どれくらい勝ち進めるかなぁ。
もちろん、下層では念アリでやったら大体の相手と勝負にならないから、防御以外で念を一切使わずにやるつもりだ。そうじゃないと身にならないし、何より洗礼になっちまうからな。
とはいえ、俺も伊達に十四年も拳法をやってきたわけじゃない。そんじょそこらの相手に負けるつもりはないし、実際初戦はあっさりとKO勝ち。圧勝だったということで、一気に五十階クラスへ案内された。
確かこのクラスは、勝つと五万くらいもらえるんだったか。できるだけ早く、ファイトマネーが百万を超え始める百階クラスに上がりたいところだ。
無傷で突破した選手はその日のうちにもう一度対戦を組まれる可能性が高いし、ここで弾みをつけたいな。
ってことで、控室で待機なう。色々とぶしつけな視線を感じるぜ。
その視線に、スケベな気配があることについては何も言うまい。俺だって、俺くらいの美少女がこんなところに一人でいたらそういう目で見ちゃうもんな。
もちろん、純粋にライバルを見るような視線も感じる。それでも物珍しそうな気配がかなり多いのは、それだけ女性の参加者が少ないからだろうな。
いくら空気にプロテインが含まれていると揶揄されるハンター世界でも、素の身体能力の面ではどうしても男のが上だ。念が使えればその限りではないけど、その念にしたって自身の身体能力が基礎になるわけだし……。
『メルメリア様』
おっと、早速呼ばれたな。対戦相手はどんなやつだろう。強すぎるのは困るが、弱すぎても訓練にならな――
『
――ファッ!? カストロ!? こんなところで!? うせやろ!?
「君が対戦相手か。女性とはいえ、どうやら相当な使い手のようだな。手加減はすまい! いざ、尋常に勝負!」
「」
嘘じゃなかった。カストロだった。ご本人だった。
もうダメだ……おしまいだぁ……。
五話にしてようやく名前が公開される主人公がいるらしい。
ちなみに名前のほうは語感で決めましたが、ファミリーネームの由来はアルフォートです。
書いてるときそこにあったので・・・。
おいしかったです(素直
ところで作中でわざわざ検証させるわけにはいかないのでこれは裏設定なのですが、中田氏による洗礼成功率は人間という生物の受胎成功率とほぼ同じということでよろしくお願いします(澄み切った眼