とまあそんな感じで、武術の修行はかなりの成長を感じられたが、念の修行は残念ながら微妙である。これにはちゃんと理由があるとわかったのだが、発に関わってくる話なので一旦脇に置いておく。
なのでここからは、俺の発について説明しようと思う。新しく作ったわけではない。天空闘技場で起きた、相手の発をたまに無効化することがあった現象のことだ。
ビスケ協力の下で色々と検証を重ねた(ちんちんのことを正直に話したらドン引きされた。ちんちんそのものは流石に見せてない)結果、この現象はとんでもないことが……一週間ではわかり切らなかったので、ここから語るのは彼女の残した助言とたまの電話相談を参考に、およそ一年かけて独自に調査した結果である。
聞いて驚け。見て笑え。
なんと俺のちんちんは、相手から受けた念を吸収し性欲に変換する除念ちんちんだったのだ!
……前にした予想が当てはまりすぎてて死にたい!! なんてモン具現化してんだよ俺はさぁ!!
色々と調べて発覚した使用条件は、どうやら俺が受けた念を受けたくないと思うことと、肌に直に触れていること。それから俺が生理の期間であること。他にもあるかもだが、とりあえずはこの三つだと思う。
しかもこの発、ただの除念じゃない。なぜかというと、受けた念、というのがミソだ。
おわかりいただけただろうか。そう。俺が打ち消せるものは、発だけではない。なんと俺は、純粋なオーラをも打ち消せてしまうのだ。
これはつまり、相手の堅や流、果ては硬などの応用技すら打ち消せてしまうということ。円は打ち消す意義が薄いが、隠をも打ち消せるなんて破格と言っていいだろう。
特に戦闘では必須と言える堅や流を大いに阻害できることは、戦闘に於いてものすごく大きい。これがいかにとんでもないかはお分かりいただけるかと思う。
さすがに込められたオーラがあまりにも多いと打ち消しきれないようで、一定以上の使い手(ビスケレベルの使い手が、果たして世界にどれくらいいるかという疑問は置いておく)にはごり押しされ得るが……それでもこれは、念能力者との戦いにおいてあまりにもアドバンテージがデカすぎる。生理中にしかできないということを差し引いても、あまりにも破格だ。
生理についてはあれだ。色々と調べたが、この念をかき消す力を発揮できる時期と例のちんちん具現化時にやたら性欲が増えることが多い時期が被っていたのに気づいてね。
だからもしやと思い計ってみたところ、やはり生理の周期と連動していることがわかったのだ。オギノ式は偉大な大発明である。
ただ俺としては、デメリットにしか思っていなかった生理が除念なんていうクソ重能力の制約として機能してるのが不思議だった。念の制約って、本人がそういう枷だと認識してないと効果が薄いもんだと思ってたんだが。
で、聞いてみたところビスケいわく、正しくは生理を利用しているというより、子宮の内膜ごと卵子を文字通り生贄にしてるんじゃないか、とのことだった。
なるほどである。命を一つまるまる消費しているというのはあり得る。
何せ、よくしてくれた今世の両親に孫の顔を見せられないだろうことについては、さすがの俺も申し訳ないと思っていたのだ。生理そのものは嫌でも、浪費され続ける卵子に対して深層心理で思うところがあったのかもしれない。
だとしたら、受胎した状態ならもっと高効率で除念できるかもしれないが……男とそういうことするのは嫌なのでキャンセルだ。できない可能性だってあるんだし。
ビスケからは他にも、制約として念関係の才能が消し飛んでるんじゃないか、という指摘も受けたな。
正直言って、心当たりがありすぎる。具現化ちんちんを手に入れてから、明らかに念の成長が鈍ったのは俺も不思議に思ってたからな。
当時は単に成長上限に到達しただけなのかと思っていたが、才能を犠牲にしてまで実現していたんだとしたら色々と納得がいく。
実際、ちんちんの再入手後一年くらいはきちんと修行しただけ伸びていた。たぶんだが、ちんちんを具現化できるようになった一年後くらいに、ちんちんに除念効果の発が乗ったんだろう。それはそれでどういうことなの……って話だが。
それからこれは発動や使用とはまたさらに別の制約なのだが、この期間中に打ち消した念は、その量に比例して次にちんちんを具現化したときの性欲をブーストする。これは間違いない。
うん、おかげさまでビスケの修行が終わったあと、何も知らないまま久々に抜くかなーと思って具現化したら、ひどかった。本当、とんでもないことになった。
幸い、例の女殺しのサキュバス呼ばわりされてる行きつけの嬢のとこにいたからなんとかなったが、それも三日三晩丸っとヤり続けまくる羽目になってだな……。ええ……諸々込みで一億ほど金が消し飛びましたね……。
天空闘技場のさして特異でもない発を数回、それとビスケの念応用技をそれぞれ数回を打ち消した(なおビスケの硬は完全には打ち消せなかった)だけでこれだ。上澄み連中の重い発なんか打ち消そうもんなら、一体どれくらいの期間性欲モンスターになってしまうのだろう。考えるだけで恐ろしい。
……死者の念とか打ち消したら、どうなっちまうんだろうな? 性欲モンスターどころか性欲バイオハザードとかになってもおかしくないんじゃないか? 怖……近寄らんとこ……。
いやまあ、死者の念を除念できる能力者は世界に十人足らずしかいないらしいから、できないとは思うけど……正直可能性はある。
万が一できてしまったら危なすぎるから、マジでいわくつきのアイテムとか場所には近寄らないのがモアベターな選択と言えよう……。
ところで、発は基本的に作ったら取り返しがつかない。不可抗力とはいえ発は既に作ってしまった以上、俺にできることは一つ。
『それ以外の発はもう諦めるしかなさそうね』
「おおブッダよ寝ているのですか!!」
当然そうなるわけで……。
電話口でビスケにとどめを刺された俺は、その場で膝から崩れ落ちるしかなかった。これが、現実。
何が悔しいって、調査の結果明らかになった範囲を見る限りでは、俺の心情的にかなりしっくり来る能力ってことだ。
念は使用者が自分に合っていると認識していることが極めて重要であることを考えれば、間違いなくこれが俺の、俺のための発なのだろう。嫌なのに嫌じゃないんだ。悔しい……嫌なのにちんちんを拒みきれない……感じちゃうビクンビクンって感じ。なんてことだよ。
だが現実であるならば受け入れるしかなく、俺は死んでる間に切れていた電話を再びビスケに繋げ、今後について相談することにする。
『まだ検証が足りないところもあるけど、正直言ってあんたのその発、除念系の能力としては破格の可能性が高いわさ。死者の念は外せる可能性があるだけって言うけど、可能性があるだけでもとんでもないんだからね? 下手に開示しようもんなら何があるかわかったもんじゃないわよ』
「ですよね!! ……はあ、つまりできるだけ秘匿して、本当に必要なときだけこっそり慎重に使うしかない、ですか」
『そ。もしその発を
「ぐへぇ、まためちゃんこ金がかかりそう……! 楽して稼いで左うちわで暮らしたかったはずなのに、どうしてこうなった……!」
『あたしとしては有効活用してほしいところだけどね。まあそこはあんたにやる気があるかどうかだし、危険な目に遭いかねない以上無理強いはできないけど』
貴重なのはいいけどさぁ……。貴重すぎて命狙われるのはホント良くないと思うよ……。そういうところあるよね、この世界……。
『にしても、何があんたをそこまでさせたのかしらね? 性自認が男だからってのが一番大きいんだろうけど、それにしたって極端すぎるわさ。他にもなんかあるでしょ絶対』
「ハハハ……なんででしょうね……ハハハ……」
言えない……言えるわけない……!
前世が男で、なんとしてでもせめてちんちんだけでいいから取り戻したいと思ってたとか……! そのために二十年を費やしたとか……!
言えるわけがない……!
……まあちんちんのことはさておくにしても、真面目に考察するならアレだろう。俺の根っこはやっぱり小市民の一般人で、どうしようもないビビりだからこそ、危険にあふれたこの世界の危険度をさらに跳ね上げる念というものがすごく怖いんだろう。
だからこそ、無意識に念を取り除く発なんかに辿り着いてしまったんじゃないかと思う。念さえなければ命の危険はぐっと遠ざかるだろうから、ってんで。
だからって、何もちんちんと悪魔合体しなくてもいいだろうがよ。メガテンでももうちょっとマシな悪魔合体するぞ。マーラ様ってか。やかましいわ。
いやもうね、なんつーかアレだよアレ。一念岩をも通すとは言うが、念とは深層心理も含めた文字通りその人の「念」なんだなぁって、改めて思うなどしたよね……。
いつかハンター世界に転生するかもしれない後輩たちも、念の修得にはくれぐれも注意していただきたいなと、これだけははっきりとお伝えしたかった……。
『そんなことより、いい加減その発にちゃんと名前つけときなさいよ? 名前がないと話題に上げづらいのよ。それにあんたに稽古つけたやつも言ってたはずだけど、発に名前を付けることでイメージがより強固になるの。安定性が増せば、もしかしたらそれで他の発を作る余裕が生まれるかもしれないでしょ』
「……押忍!!」
今まで特に必要性を感じてなかったから毎回適当に呼んでたが、いい加減名づけるかぁ。こういうのを年貢の納め時って言うんだろうなぁ。
で、まあ、名づけてみた。
ずばり、
かっこよさも追求しつつ、元の言葉とルビ双方がダブルミーニングになっているというめちゃんこイカした命名じゃないだろうか。
いやうん、名前に反して内容はとんでもなく頭悪いってことはわかってるよ。わかってるからこそ、せめて名前には凝りたかったって言うか……。
それでもしっかり発を認識し、名前もつけたことで安定感が増したみたいで、念の訓練がまた少しだが捗るようにはなったのは素直に嬉しかった。
なんつーかアレだな。名前つける前は訓練とか経験とか成長率とか、どれくらい減退してたんだろうな。考えたくもねえや。
いや、こんなバカみたいな制約がなければ最初っからそんなハンデなんてなかったのはわかってるんだけどね。それはそれ。
ぶん殴ったあとに優しくするDV野郎みたいだなって感想は禁句な!
能力名:
系統:具現化系を中心に、特質系以外のすべての系統が絡む複合能力(具現化:変化:強化:放出:操作=4:2:2:1:1)。
効果:自身が接触した念を消失させる(一度に消せる量は、メルメリアの能力に比例して限度がある)。
消失した分は性欲および精液としてストックされ、具現化した陰茎(陰嚢も含む)を通じて発散・廃棄される。副産物として、発散・廃棄する精液に触れたものの性欲と性感を強化する効果も持つ。
なお、この精液はあくまで擬似的なものであり、生殖機能は一切持たない。
制約と誓約:
1.男性のそれ同様の急所(陰嚢のこと)を追加で負わなければならない。
2.卵子および子宮内膜を生贄に捧げることで自動で発動。その日から四~七日間のみ、使用が可能になる。発動のタイミング、および使用できる期間は、メルメリア本人もコントロールできない(ちんちんの具現化と使用だけならいつでも可能)。なおこの使用可能期間はあくまで平均。場合によってはそれより少なかったり多かったりもあり得る。
3.使用の際は、対象がメルメリアの肌に直接触れていなければならない。
4.使用の際は、メルメリア自身が対象を決めなければならない。
5.性欲のストックは繰り越しができず、ストックされているときに陰茎を具現化したらすべて消費しなければならない。またこの性欲は、閾値を超えると具現化していない状態でも影響を及ぼす。
なお精液は制約の対象外なので繰り越し可能だが、性欲が尽きるまで行為が必要なので考える意味はないと言える。
6.消失させた念を変換した性欲と精液を消費する際に他者を利用する場合、相手は女性でなければならない。
7.念に関わるすべての訓練・経験の効果が半分になり、成長率も半分になる。
補足:せっかくちんちんを取り戻したからにはかわいい女の子と一緒にたくさん気持ちよくなりたいという深層心理と、念怖いハンター世界怖い念なんて自分のやつ以外消えちゃえばいいのにという深層心理が具現化物であるちんちんと結びつき、勝手に生まれた発。
勝手に生まれたために無軌道かつ野放図な力であり、大量の制約と誓約はそんな力を発の形を整え、なんとか使える範囲に落とし込むためのもの。
その上で「発動中、念を消すのはちんちんを具現化していない状態でも可能」の効果を実現するためにメモリの大半が食われている。
具現化しているときのみ除念が可能としていればもう少し軽い発になったが、深層心理的にそこは譲れなかったためこんなことに。
彼女の才能が仮にゴンキル並みにあったら、もっと理不尽な性能になっていたことは間違いない。
ということで具現化ちんちん改め、除念ちんちんです。
こんな頭の悪い発を作ったオリ主(しかもその辺の風俗嬢に念の才能で負ける)とかさすがに世界初なのでは?
ちなみに命名前の完全に固まりきっていない状態における制約7の減少率は、それぞれ半分どころか十分の一だった模様。そりゃ成長できるわけない。
あ、それと長期連載作品ヒロアカ二次「銀河の片隅でジェダイを復興したい!」の更新を再開してます。
こっちもTS百合なので、ぜひともよろしくね。