神楽坂と古代の機械巨人   作:交響魔人

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アニメ版の遊戯王GXにおいて、
「GXの作中においてクロノス教諭しか使っておらず、第一話で超レアカードとされている古代の機械巨人を神楽坂が所持していた理由」として、執筆しました。

【ドーマ編 バクラSIDE】が前日譚ですが、そちらを読まなくても楽しめるようにしています。


神楽坂の冬休み!

 

 

 

 アニメ版の遊戯王GXにおいて、

 「GXの作中においてクロノス教諭しか使っておらず、第一話で超レアカードとされている古代の機械巨人を神楽坂が所持していた理由」として、執筆しました。

 

 

 

 

 

 

 デュエルアカデミアには冬休みがある。

 多くの生徒が帰宅し、その中にはラーイエローに所属する、神楽坂 悟(かぐらざか さとる)の姿もあった。

 

 

「次は~笛ヶ崎(ふえがさき)駅、笛ヶ崎駅。右側のドアが開きます~」

 

 アナウンスを聞き、神楽坂は電車から降りる。

 東口改札口を抜けると。

 

 

「悟(さとる)!久しぶり!」

「美夜(みや)!元気そうだな!」

 

 

 綺麗な長い黒髪をポニーテールに纏めた可愛らしい顔立ちの少女が、駆け寄ってくる。

 

「叔母さんも一緒なんですね。」

「ええ、そうよ。」

 

 紫色のショートヘアーで、肌が綺麗な女性が微笑む。

 

 

「私はこれで。美夜、門限は守ること。いいわね?」

「待ってください。叔母上。お願いがあるのです。」

「美夜、映画館へ先に行ってて。」

 

「えー?!」

「チケット代は出してあげるから。小遣いとは別で」

「わかった。先に行っているからね、悟!」

 

 

 駆けていく娘を見送った後、桜咲・フローラは甥っ子を連れてベンチへ歩く。

 

 

―――――

「それで、お願いって何?」

「…実は。古代の機械巨人のカードが欲しいんです。ありますよね?」

「どうして必要なの?学生には過ぎたレアカードよ。」

「筆記はともかく、実技で思うように勝てなくて…。オシリスレッドで入学したのに、入学してわずか一か月でラーイエローへの昇格の話が出た生徒が居るんです。」

「焦ってはダメよ。ゆっくり、着実に実力を身につけないと。」

「でも、入学試験と今までの実技指導で、実技担当最高責任者、クロノス教諭の【暗黒の中世】デッキのレシピが判明したんです!」

 

 

 自分の顔を一切見ずに力説する神楽坂に対し、非常に冷たい目を向けるフローラ。

 

 

「【暗黒の中世】デッキをコピーすれば、一気にオベリスクブルーに昇格できる!だけど」

「エースモンスターである古代の機械巨人のカードが無いわけね。」

「はい!」

 

 神楽坂が顔を向ける寸前、フローラは冷たい表情から微笑みに変える。

 

「譲渡は出来ないわ。一枚が幾らするかわかっているわよね?」

「…ネットオークションでの最低落札価格が750万円でしたね。」

「まぁ、そもそもめったに出品されないけれど。貸す事なら構わないわ…。三つの約束を守ってくれるなら。」

「三つの約束?」

「一つ目。入手経路は秘密にすること。二つ目、アカデミア卒業と同時に、必ず3枚返却する事。三つ目、鮫島校長から七つのカギを守護してほしい、という話が来たら断り、七つのカギの守護に選ばれた人物とは距離を置くこと。」

「あの…七つのカギってなんの話ですか?」

「詳しくは話せないわ。鮫島校長も、鍵の守護を拒否した場合は無理強いはしないはず。この約束を守るなら、古代の機械巨人のカードは貸すわ。」

「わかりました。約束は必ず守ります。」

 

 

 その言葉を受けてフローラはカバンからカードファイルを取り出すと、古代の機械巨人のカードを3枚取り出し神楽坂に手渡す。

 

 

「ありがとうございます!」

「頑張りなさい。」

 

 レアカードを見て笑みを浮かべる甥っ子を、フローラは冷たい目で見つめる。

 

(強い決闘者のデッキをコピーすれば勝てる、という発想がいつまでも通用すると思っているようなら未来は無いわね。コピーしなくてもいいところまでコピーするのが…。まぁ、記憶力は評価できるし、何より極度の恥ずかしがり屋で引っ込み思案だった娘を明るく前向きにしてくれた以上、手助けはするけれど…。)

 

 

 というか、娘はこのまま嫁に行ってしまいそうだ。まぁ、娘の腰にリボンを巻く事に不満はないが。

 ヴェルデン共和国では、娘を嫁にやる時は親族が娘の腰にリボンを巻き、旦那がリボンを解く、という風習がある。

 

 軽くため息をつくフローラ。

 

 

(ダーツ様に盾突いた海馬がオーナーの学校に、影丸理事長が計画を実行に移そうとしている警告を発する義理も義務も私には無い。むしろ警告すれば、私が元パラディウス社の幹部だった事まで海馬に知られる可能性が高い。そうなれば神楽坂の退学に動きかねないし、そこから理事長に情報が洩れれば、セブンスターズに入れ、と脅されるかもしれない。)

 

 まぁ。単なる一生徒に過ぎない神楽坂の母親の弟の嫁の素性を調べる予算と人員を割くほど、海馬コーポレーションに余裕は無いようで、今のところ調査の手は来ていない。

 影丸側からの接触が無いことから、こちらも手は及んでいないのだろう。今のところは。

 

 

(かといって、不老不死と世界の覇権を握りたいと、耄碌した影丸理事長に力添えするのはお断り。私が膝をつく相手は、夫とダーツ様と義理のお父様だけよ。)

 

 

 

 渡した古代の機械巨人のカードをデッキに入れる甥っ子を見ながら、フローラは笑みを浮かべる。

 血は繋がっていないものの、才能ある甥っ子がアカデミアで変われる可能性を信じて。

 

 

 

―――――

 神楽坂は映画館に向かい、先に待っていた従妹の美夜と一緒に映画館へ入る。

 

 

「ポップコーンは塩バターのL、ドリンクはミックスジュースのSとLを」

「かしこまりました。ドリンクはセルフサービスです。」

 

 

 ここの映画館独特のシステムに従い神楽坂はジュースを汲み、ポップコーンとチケットを購入した従妹と合流する。

 

 

 

 二時間半後。映画を見終わった二人は、歩きながら感想を述べる。

 

「面白かったわね!」

「そうだな、大人気なシリーズ物の第三作!」

「時を巻き戻せる時計…あれがあれば、いろいろ出来るわね!」

「だけど、自分自身に出会ってはいけないという制約があるのが残念だ。」

「それなんだけど。勉強した後、時間を戻して買い物に出かけるという使い方をすれば問題ないと思うわ!」

 

 

 楽し気な雰囲気を保ちながら、散策する二人。

 

 

「カードショップに行きたい?」

「もちろん!」

 

 

 最近話題の映画を見る前よりも、テンションが上がる従兄をちょっと冷めた眼で見てしまう美夜。

 美夜はデュエルモンスターズのプロを育成する専門学校に通うほど、デュエルモンスターズに人生を賭ける気にはなれない。

 

 

 

 

―――――

 カードショップ、『雑貨商人』へ入る二人。

 

 

「あれ、桜咲?」

「橋之島さん、来ていたの?」

「まぁ、ね。そっちは」

「何度か話したでしょう?私の従兄!」

 

「神楽坂 悟だ」

「そうなの。私は橋之島 梨乃(はしのしま りの)。あっちにいるのが兄の公一朗(こういちろう)よ。」

 

 前髪を切りそろえ、三つ編みのやや地味な見た目の女の子が自己紹介する。

 非常に発育の良い胸に目を向けないよう注意する神楽坂。

 

 

「せっかくだから、デュエルしないか?」

 

 

 そう神楽坂がいうと、橋之島兄妹は少し嫌そうな顔になる。

 

「どうしたんだ?」

「何でもないわ。私とデュエルしましょう!」

 

 

 

 デュエルが始まる、という事で回りにギャラリーが集まるが…。

 

 

 

 …古代の機械城と古代の機械戦車で強化した、古代の機械工兵で鉄の騎士ギア・フリードを戦闘破壊。

 効果で伏せカードを破壊すると、伏せられていたカードは魔法カード、拘束解除。早すぎた埋葬で蘇生したトロイホースのダイレクトアタックで勝利した神楽坂は気になったことを聞く。

 

 

「どうして鉄の騎士ギア・フリードに拘束解除を使って、剣聖-ネイキッド・ギア・フリードを出さなかったんだ?」

「もう無いんだ。」

 

 

 頭痛を感じながら、神楽坂は梨乃に顔を向ける。

 

 

「儀式魔法、ローの祈りを伏せていたのは。」

「…ローガーディアンをもう持っていないから。ブラフにもならなかったけれどね。」

 

 

 

 

 ちなみに従妹のデッキは色々なモンスターの寄せ集めデッキから、【悪魔族】に変わっていた。

 ニュードリュアを古代の機械獣で対処すれば、ダーク・ジェロイドが返しのターンに攻撃力を下げ、トランス・ターンで呼び出されたディアバウンド・カーネルが場を荒らす。

 

 フリーチェーンで攻撃力を下げて除外するディアバウンドにやや苦戦した神楽坂だったが、最終的にリミッター解除により押し切った。

 

 

 

 試運転はこれぐらいにして、あとはデュエルアカデミアで腕を磨こう。

 神楽坂はそう判断する。

 

 

 

 

「それにしても腕を上げたわね、悟!もうオベリスクブルーに昇格したの?」

「まだまだ。今も、ラーイエローだ。」

 

 

「ん?三幻神で最強なのが太陽の化身というラーだろ?なんでオベリスクが上なんだ?」

「オーナーが海馬瀬人だからだろうな。」

「「オーナーがあの海馬?!」」

 

 兄妹から素っ頓狂な声で言われ、神楽坂は面食らう。

 

 

「ねぇ、桜咲は来年デュエルアカデミアに入学するの?」

「母さんが反対していて…。オーナーが海馬の学校なんて絶対ダメ、しかも絶海の孤島で活火山があって不便な上に危険だし…女子の制服が破廉恥すぎるわ。」

「アカデミア女子の数が少ないのってあれが原因の一つよね」

 

 そんな女性陣に対し、神楽坂は異論を唱える。

 

 

「そんな変じゃないだろう?」

「そうね!今時はあれぐらい攻めた服装がいいわね!」

 

 アカデミアに入学した当初はともかく、しばらく過ごしていれば自然と慣れてしまった神楽坂。

 一方、手のひらを反す友人の美夜をちょっと引いた眼で見てしまう梨乃。

 

 

「というより、プロを目指しているみたいだけれど、プロの世界は大変でしょう?」

「そうよ。デュエルアカデミア本校を卒業したオベリスクブルーの女子で、カオスソルジャー使いの鷲ノ宮 麻美(わしのみや あさみ)なんて、公式戦全敗だし。」

「よく覚えているわね。」

「私、一度見た人の顔と名前を忘れないの。」

 

 

 神楽坂が入学するより前に卒業した先輩の一人が、プロの世界で連敗を続けていることを指摘する従妹。

 そんな事を言われても、記憶力が高い神楽坂とて卒業していった先輩を全員把握しているわけではない。

 

 

「でも、俺はあの人好きだぜ。身長180cmでスタイルが良くてクールビューティー系の女子プロ!ダメージを受けた時や、負けた時の悔しそうな表情が凄く可愛い!」

「ファンとしてその評価はどうなのよ、兄さん…」

 

 そんな彼らの所に、招かれざる人物が歩み寄ってくる。

 

 

 

「へぇー、新顔が増えているじゃないか。」

 

 後ろから声を掛けられ、神楽坂は振り向く。

 鮮やかな金髪ロング。日焼けした肌に勝気な目をした少女が立っていた。

 

 腰に巻いた銀色のチェーンといい、実に威圧的な少女だ。黒いインナーを着ているが、それでもくっきりとわかる谷間が性別を主張している。

 

 

 

「まぁ、その前に…。あんた達、今月の分のレアカードを献上しな。」

「パックを買っていないからレアカードは無い。」

「私もよ。」

「はぁ?そんなの通ると思っているの?前にデュエルで決着をつけたでしょ。さっさとレアカードを渡しなさい!」

 

 

 

 そのやり取りを見て、神楽坂は怒りをにじませるが従妹は制止する。

 

 

「駄目よ、抑えて。」

「…何者なんだ、あいつは。」

「紫藤 真希(しどう まき)。ストア・ブレーカーの一人。カードショップから売り上げを、客からはレアカードを奪っている札付きよ。」

「何でこんな所業が通るんだ。」

 

 神楽坂の声が聞こえたのか、紫藤は神楽坂に顔を向ける。

 

 

「通るに決まっているじゃないか。だってアタシは強いデュエリスト。弱いデュエリストには語る資格なんて無い!」

「だったら。俺がお前に勝てば今後手出しはしないんだな?」

「言うじゃないか。アンタ、名前は?」

「神楽坂、悟。デュエルアカデミア本校、ラーイエロー所属だ!」

「へぇ…あのデュエルアカデミア?だったらレアカードもたんまり持っているんだろうね!」

「ああ。お前が勝てば…このデッキを差し出す。」

「デッキごと?!」

 

 提案された内容に、紫藤は驚く。

 

「ちょっと、そのデッキって?!」

 

 美夜は従兄が提示したデッキを知っている。青眼の白龍は入っていないが、海馬瀬人が使用したレアカードで構成されたビートダウンデッキ。

 入手難易度の高いXYZ-ドラゴン・キャノン、死者蘇生、死のデッキ破壊ウイルスが入っており、奪われた場合…再構築はまず不可能だろう。

 

 

 

「ただし!俺が勝てば、この店のデュエリストから奪ったレアカードは返してもらう!」

「…まぁ、勝のはアタシだ。行くよ!」

 

 

 

 

―――――

 

「「デュエルッ!!」」

 

神楽坂 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

紫藤 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「アタシの先攻、ドロー!モンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

 

神楽坂 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

紫藤 ライフ4000

手3 フィールド セットモンスター

    魔法・罠 伏せ2 

 

 

「ワタクシのターン、ドロー!」

「はぁ?ふざけているの?」

 

 

 クロノス教諭の真似をしたことで、紫藤は困惑する。

 

 

「永続魔法、古代の機械城を発動ー!そして、古代の機械兵士を召カーン!古代の機械城にカウンターが一つ乗るノーネ!」

「攻撃力1300なら…?!1600に上がった?!」

「フフーン、古代の機械城は、場の古代の機械モンスターの攻撃力を300ポイントアップさせるノーネ!バトル!古代の機械兵士でセットモンスターを攻撃!」

「こいつは代打バッター!破壊されたことで効果発動!手札の昆虫族を特殊召喚!現れろ、ヴァリュアブル・アーマー!」

「ヴァリュアブル…?デュアルモンスターの一種だな。」

 

 出てきたモンスターを見て、ギャラリーは嫌そうな顔をする。

 

 

「気を付けて、そいつは!」

「心配いらないーノ!カードを1枚伏せて、ターンエンドなノーネ!」

 

 

 

 

神楽坂 ライフ4000

手3 フィールド 古代の機械兵士 

    魔法・罠 古代の機械城(1) 伏せ1

紫藤 ライフ4000

手2 フィールド ヴァリュアブル・アーマー

    魔法・罠 伏せ2 

 

 

「アタシのターン、ドロー!ヴァリュアブル・アーマーを再度召喚!これにより、ヴァリュアブル・アーマーは相手モンスター全てに攻撃が出来る!」

「フフーン。通常召喚したことーデ、古代の機械城にカウンターが乗るノーネ!そもそも、私の場にいるのは、古代の機械兵士だけなノーネ!」

「今から増えるんだよ!罠発動!おジャマトリオ!お前の場におジャマトークンを三体、守備表示で特殊召喚だ!」

「守備表示ならダメージは無いノーネ!」

「アッハハハハ!永続罠、レベル制限A地区!これで場のレベル3以下の雑魚は攻撃表示になる!」

「ティラミス風味?!つまーり…。」

「そう、雑魚トークンが攻撃表示になる!」

 

 

 三匹のおジャマトークンが怯え切った表情のまま、攻撃表示になる。

 

 

「相手の場にトークンを送り付けーテ、それを攻撃して勝利する…。」

「そうさ!相手がどんな強力なモンスターを出していようが、関係ない!雑魚を送り付けてそっちを攻撃すればいい!バトルだ!ヴァリュアブル・アーマーでおジャマトークンを攻撃!」

「罠発動!重力解除!場のモンスター全ての表示形式を変更するノーネ!」

「?!だが、レベル制限A地区でおジャマトークンは攻撃表示に戻る!」

 

 

 守備表示になるヴァリュアブル・アーマー。その守備力は1000しかない。

 

 

「メインフェイズ2だ!永続魔法、虫よけバリアーを発動!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

 

 

神楽坂 ライフ4000

手3 フィールド 古代の機械兵士 おジャマトークン おジャマトークン おジャマトークン 

    魔法・罠 古代の機械城(2) 

紫藤 ライフ4000

手1 フィールド ヴァリュアブル・アーマー

    魔法・罠 レベル制限A地区 虫よけバリアー 伏せ1

 

 

「ワタクシのターン、ドロー!」

「永続罠、DNA改造手術を発動!アタシが宣言するのはもちろん、昆虫族!」

 

 おジャマトークンに触覚やトンボの羽が生え、変貌していく。

 古代の機械兵士はキチン質の外装に覆われ、クワガタのような姿に変わる。

 

 

「あのコンボは?!これで神楽坂は攻撃宣言すらできない!」

「ここから打つ手はあるのかしら…あの厄介なおジャマトークンを退かせればチャンスはあるはずだけど。」

 

 

「次のターンでトークンをまとめて戦闘破壊すれば!アタシの勝ちだ!」

「次は無いーノ!古代の機械城を墓地に送ーり、効果発動!古代の機械城は発動してから通常召喚される度に、このカードにカウンターを1つ置かーれ!アンティーク・ギアと名のついたモンスターを生け贄召喚する場合、必要な生け贄の数以上のカウンターが乗っていれば、このカードを生け贄の代わりにする事ができるーノ!古代の機械巨人を召カーン!」

「こ、攻撃力3000!だけど、アタシの場には虫よけバリアーとDNA改造手術がある!そいつも昆虫族になるから攻撃はできない!」

 

 古代の機械巨人もDNA改造手術により巨大なカブトムシに変貌を遂げる。

 

 

「魔法カード、大嵐を発動!場の魔法・罠カードをすべて破壊するーノ!」

「クソがッ!」

 

 魔法、罠カードが一掃され、紫藤を守るものは守備表示のヴァリュアブル・アーマーのみ。

 同時に元の姿に戻る古代の機械モンスターとおジャマトークン達。

 

 

「バトル!古代の機械巨人で、ヴァリュアブル・アーマーを攻撃!アルティメット・パウンド!」

「ミスったね!お前の罠カードのおかげでアタシのヴァリュアブル・アーマーは守備表示、ダメージは」

「古代の機械巨人が守備モンスターを攻撃したトーキ、攻撃力が守備力を超えていれーば、その数値分のダメージを与えるノーネ!」

「なあっ?!きゃああああああああっ!」ライフ4000から2000

 

 大きくライフが削られるが、懸命に堪える。

 

 

「古代の機械兵士でダイレクトアタック!」

「だけど、まだライフは残る!」ライフ2000から700

 

 手札は1枚、それでも彼女の戦意は折れない。

 

 

「メインフェイズ2!魔法カード、古代の機械爆弾を発動!ワタクシの場の古代の機械モンスターの攻撃力の半分のダメージを与えるノーネ!」

 

 

 古代の機械巨人が爆弾を持つと、紫藤に向かって放り投げる。

 

「攻撃力3000の半分、ってことは…1500ポイントのダメージ?!きゃあああああああああ!」ライフ0

 

 

 

 爆発が起き、紫藤のライフは0になる。

 

―――――

 

 デュエルに勝った神楽坂は、奪われたレアカードを取り戻し、一枚一枚返却する。

 作業が終わった神楽坂が気付いた時には、すでに紫藤は逃げていた。

 

 

 

「これで、俺のエースが召喚できる!よし、もう一度デュエルだ!」

「望むところだ!行くぞ!」

 

 

 

 そんな風に楽しんでいる子供たちを、遠くから人相の悪い男が見つめていた。

 

「【古代の機械】デッキ、しかも巨人入りだと?ガキにしてはずいぶんな玩具を持っているな。ターゲットが見つからなかったら、手間賃代わりに狙うとするか…。」

 

 男はそっとその場を後にする。

 

 

 

 

―――――

 神楽坂がデュエルを楽しんでいる頃。

 

 

「遅いな…。夜警(やけい)、やはり噂は当てにならないか。」

 

『笛ヶ崎市に、やたら強い女決闘者がいる。素性は不明。通り名は『夜警』。見事其の者を打倒し、正体を突き止めた暁には、お前を「セブンスターズ」に迎え入れてやろう。』

 

 老人の言葉を受け、セブンスターズの座を求めてこの町を襲来した裏稼業の決闘者。

 

 後ろから物音がしたため振り向くと、黒いヘルメットを被り、トレンチコートを纏った女が立っていた。

 

 

『要件は?』

 

 変声機を通した機械音声が流れる。

 

「お前が夜警だな?」

『如何にも。お前のことは知っている。通称、後攻ワンショットキルのブラスコ。』

「デュエルだ。お前を倒して、素性を調べる。」

『断る。私にメリットが無い』

「ほぅ。だったら仕方ない。先ほど見かけたガキでも襲うとするか。古代の機械巨人など、ガキには過ぎた…?!」

 

 殺気が膨れ上がった事で、男が気圧される。

 

『カタギに手を出すというなら、ここで処理する。』

「その気になったようだな…行くぞ!」

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

夜警 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

ブラスコ ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

『此方の先攻、ドロー。天帝従騎イデアを召喚し、効果発動。同名カード以外の攻撃力800/守備力1000のモンスター1体を守備表示で特殊召喚。来たれ、冥帝従騎エイドス』

「ふん、雑魚を並べたか。」

『冥帝従騎エイドスが召喚・特殊召喚に成功した場合、此方は通常召喚に加えて1度だけ、生贄召喚ができる。』

「なっ?!最上級モンスターを召喚するつもりか?!」

『二体の従騎を生贄に、絶対服従魔人を召喚』

 

 赤い巨体の魔人が現れ、睥睨する。

 

「何かと思えば、場がそいつだけで手札が0枚で無ければ攻撃すらできないウドの大木か!」

『そうだな。カードを2枚伏せて、ターンエンドだ』

 

 

 

夜警 ライフ4000

手2 フィールド 絶対服従魔人

    魔法・罠 伏せ2

ブラスコ ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード、アームズ・ホールを発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、デッキか墓地から装備魔法を手札に加える。早すぎた埋葬を手札に加える!」

『墓地に送られたカードは…重装武者-ベン・ケイか。』

「ライフを800払い、早すぎた埋葬を発動!戻ってこい、重装武者-ベン・ケイ!」ライフ4000から3200

『装備カードの数だけ攻撃回数を増やすモンスター、となれば…』

「ベン・ケイに装備魔法、聖剣ガラティーン、魔導師の力、デーモンの斧を装備!これで攻撃力は3500ポイントアップして4000!しかも5回の攻撃が可能!これで終わりだ!」

 

 

 勝ち誇るブラスコ。

 

『此方には二枚のリバースカードがある。にも拘らずその態度。手札にあるのは確実に攻撃を通すための封魔の矢だな?』

「?!だとしても、お前に防ぐ手は」

『メインフェイズの終了時に罠発動、火霊術-「紅」』

「なっ?!ウドの大木を完全耐性のモンスターにするための罠カード、帝王の凍志では無いだと?!」

『後攻ワンショットキルを得意とする相手への対策カードを入れていないと思ったか?』

 

 

 絶対服従魔人が蒼炎に変貌し、ブラスコに向かって襲い掛かる。

 ベン・ケイでは効果ダメージは防げない。

 

 無慈悲な一撃が、ブラスコのライフを削りきる。

 

「ぐがあああああ!」ライフ0

 

 

 

 

 

 

『何故、此方を狙う?』

「…お前を倒して、セブンスターズに入るためだ。」

 

(やはり、影丸理事長が動き出しつつある。鍵の守護者を倒せば報酬に加えて錬金術師アムナエルが作り上げた闇のアイテムも手に入る、となればこの手の輩は飛びつく。)

 

 

『一つだけ忠告しておく。セブンスターズに未来は無い。その件からは、手を引いた方が賢明だ』

「なんだと?お前は、どこまで知っている…?」

『セブンスターズはデュエルアカデミア本校を狙っている。ちなみにアカデミア本校のオーナーは海馬瀬人。アカデミアを襲われたあの男が黙ってくれるとでも?』

 

 藪をつついたら蛇どころか青眼が出てくるとか無理ゲーすぎる、という顔を浮かべるブラスコ。

 彼に助言した後、夜警は跳躍してその場を後にする。

 




というわけで、「神楽坂が古代の機械巨人を所持していた理由は、親戚にドーマの元幹部が居て、彼女から期限付き&条件付きで貸与されたのではないか?」という設定でした。
 古代の機械巨人は作中でも『幻のレアカード』と言われていたのでもっと高額でもおかしくはありませんが、とりあえず「学生には過ぎたカード」ということで数百万のカードという設定にしています。


 フローラはこの時点で影丸理事長の計画を大まかに掴んでおり、「三幻魔を覚醒させて不老不死と世界の覇権を得ようとしている」「闇のデュエルを仕掛ける為のアイテムを複数所持しており、セブンスターズはかなり危険な集団」

 という点まで調べています。ただし、セブンスターズのメンバーについて詳細までは調べられておらず、この争いについても
・ダーツ様と敵対した海馬がオーナーの学校に通う生徒を守る義理も義務も無い
・ダーツ様と比べて圧倒的に俗物な影丸の駒になりたくない

 という理由で不介入を決め込んでいますが、通っている甥っ子には警告という形で助言をしています。
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