例えばこんなゲマトリアの日常   作:スカイブルーホワイトヘアー

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マエストロと泥棒猫

「ご機嫌よう先生。今宵も貴方と共に過ごそうと思い馳せ参じましたわ」

 

「ああ、お前なら大歓迎だ」

 

毎夜現れる1人の生徒。彼女は唯一と言っていいほどの私の芸術を理解してくれる生徒である。

 

「今夜は十五夜の月。是非貴方と語り合いながら眺めたいと思いまして」

 

「月か……少々開発も行き詰まっていた所だ。気分転換にはいいかもしれないな」

 

「それでは……私の手を取ってください。この小さな箱庭から抜け出して外の世界に羽ばたきましょう」

 

ーーー

 

「美しい満月ですね。貴方と語る舞台として相応しい光景です」

 

「そうだな。だがその満月の光に照らされて輝いているお前の方が美しい」

 

彼は思った事をそのまま言い放った。……それに対する返事が返ってこない。何事かと彼女の方を見ると顔が真っ赤になっている。その姿を眺めていると目元を隠している仮面が外れて透き通るような緋色の瞳が露わになる。

 

「あっ……///その……///」

 

慌てて仮面を付けようとする彼女の腕を掴んで「その美しい瞳をもっと見せてくれ」と頼んだ。混じり気のない純粋な輝きを放つ彼女の瞳は美しいの一言では語り尽くせない程の魅力を秘めていた。

 

「わ、私ではなく満月を……」

 

「何故だ?目の前に満月よりも美しいものがあるんだぞ?」

 

「そんなにまじまじと見られると恥ずかしい……です」

 

照れる彼女とそんな彼女の瞳を凝視する先生。それを覗く2人のもんだ……人間。

 

「あの泥棒猫許さない」

 

「まあ落ち着け同志よ。冷静に対処しようではないか」

 

1人は作品を越えた開発をするミレニアム生、猫塚ヒビキ。あまり出番はないが結構やりたい放題している。

 

もう1人は百合の間に挟まってすまない……でお馴染みの一応権力者である百合園セイア。名前の割にマエストロに恋心を抱いているパラドックスを司る狐である。

 

そんな2人が手を組んだのだから大体ろくでもないやり方になるのは目に見えている。

 

「フフフ……良いムードをぶち壊すCDを買ってきたんだ。そして」

 

「私が開発した大音量で音楽が再生されるCDプレイヤーを再生する。完璧だね」

 

「ムフフな展開にさせる訳がないだろう!さらば泥棒猫!」

 

百合に園を見出したセイアはスイッチを押した。

 

『わっぴ〜!皆のアイドル、サクラコだよぉ☆』

 

静寂に包まれていたトリニティの夜はわっぴ〜で埋め尽くされた。

 

「あれ、おかしいな。何も再生されないじゃないか」

 

「壊れたのかな」

 

困惑する2人。冷静に考えれば大音量で流れるCDプレイヤーを至近距離で聴いたら鼓膜の1つや2つ破けるというもの。

 

これは後にわっぴ〜テロ事件として語られる事になるのだがそれはまた別の話。

 

ちなみにマエストロとその同志である彼女は防音室で語り合っていたとかなんとか




鼓膜は次の日になったら治ったのだとか
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