例えばこんなゲマトリアの日常 作:スカイブルーホワイトヘアー
『………』
皆がホシノの娘とかなんとかで騒いでいる中
何も知らずに書類整理をしているユメ
こうして仕事をしている間だけは
孤独を感じる事もなく落ち着いていられる
『………』
しかしいくら集中して作業をしているとはいえ
至近距離でこちらを見つめられると困る
それが知り合いならともかく見知らぬ子なのだ
ユメと同じように黒く染まったヘイローと
光のない瞳でこちらを見る少女は何も言わずに
彼女の書類整理を眺めていた
『……ねえ、君は誰なの?』
『……セツ』
『こんな面白みのない書類整理なんて見ずに
他の事をした方がいいよ』
『でも見ていたい』
『……なら良いけど』
セツと名乗る少女は正座の姿勢を変えずに
ただ何をするわけでもなくそこにいる
沈黙に耐えられないので何度か話を振るけれど
一言二言話したらセツは黙ってしまう
感情も読み取れないのでどんな話題が良いのか
模索しながらも話し相手になってもらった
『セツちゃんの好きなものは?』
『ない』
『何処から来たの?』
『死んだ世界』
『どうしてここに?』
『貴女に会いに来た』
『私に?』
『うん』
何だか不思議な事を言う子だなと思った
死んだ世界やら会いに来たやら……
まるでユメが居た世界のように砂漠が広がる
場所からここに来たのだろうか?
やっぱり似たような状況になっている世界は
いくつか存在するのだと確信した
おおよそこのセツという少女は今ここにいる
ユメと同じような境遇の子なのかもしれない
だからシンパシーを感じて会いに来たのだろう
『今、幸せ?』
『どうだろう……この生活に慣れてきたけど
やっぱり孤独を感じる時はあるよ。
私の後輩達は全員星になっちゃったから』
『そう。なら大丈夫。貴女はもう一人じゃない』
『え?』
『私は貴女を孤独にしない為に生きているから』
『……ふふっ、セツちゃんは変な事を言うね。
でも気持ちは嬉しいよ。ありがとう』
『………』
感情は読めない、不思議な発言をする。けれど
セツは悪い子ではないと伝わってきた
書類整理が終わったら彼女ともっと話してみたい
出来る事なら彼女の内に秘めた闇を払いたい
黒く染まるのは私だけで充分なのだから
ーーー
「あの店のロールケーキはダメですわね。
挑戦する心意気は評価に値しますが味は最悪で
気持ち悪くて仕方がありませんわ」
「うわぁ……ハルナみたいに店を爆破してる……
どうしよ、ベアさんに報告した方がいいかな」
「ホシノ先生、大丈夫ですわ。これは正義の行い
ですの。私の母もやっている行為ですわ」
「それは反面教師にした方がいいよ」
「あんな不味いロールケーキを作るくらいなら
店ごと土に還した方が自然にも優しいのです」
「ごめんちょっと何言ってるか分からない」
「ホシノ母さん、ワカナに話は通じないよ」
「ハルナもよく暴走するし似たようなものかな」
「そういえば私はハルナお母様を探しにきたの
でしたね。つい美食に釣られてしまいました」
「未来でもハルナの扱いは雑なんだ……」
ハルナの運命
そういえばメイドアリスのフィギュアを予約しました。届いたらスカートを覗きます