例えばこんなゲマトリアの日常   作:スカイブルーホワイトヘアー

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灰色の娘とセツ

『………』

 

『………』

 

『えっと……お腹空いてない?良ければこの非常食

でも食べる?あんまり美味しくはないけど』

 

『うん』

 

『どうぞ』

 

『ありがとう』

 

『………』

 

『美味しくない』

 

『非常食だからね』

 

『でもこれで数日は何も食べなくていい』

 

『毎日食べないとダメだよ』

 

『貴女がそう言うなら食べる』

 

『セツちゃんは素直だね』

 

『普通』

 

『そっか。……さっき死んだ世界から来たって

言ってたよね。それってどんな場所なの?』

 

『全てが砂の下に埋もれた場所』

 

『砂……なんだか親近感があるなぁ。私の世界も

一面砂漠が広がる世界になった……いや、させた

って言った方がいいのかな』

 

『そうなんだ』

 

『セツちゃんもヘイローが黒く染まってるし……

悪い大人に利用されたんだよね……やっぱり

大人は信用出来ないね』

 

『これは生まれつき』

 

『え』

 

『私の生まれた経緯を知ってほしい』

 

『唐突だね……良いよ』

 

『話す』

 

ーーー

 

セツが産まれた世界。そこには小さな学校で

頑張っていた一人の少女が居た

名前は××。後にセツの母親になった人である

彼女は大切な人を奪った悪い大人と対峙して

大人を後一歩のところまで追い詰めたが

不意打ちを喰らい戦いに敗れ監禁された

そこから何ヶ月も都合良く利用されて過ごし

肉体も精神も限界を迎えた彼女は自害した

慰め物になっていた彼女の腹部には

一つの小さな命が宿っていたそう

悪い大人は彼女が死んでしまった事が残念で

その小さな命を特殊な装置で急成長させて

新たな道具として利用しようとしたらしい

そうして親の愛を知らない一人の少女が育ち

身体の年齢が16歳程になると同時に解放され

自らを父と名乗る存在を無視して母を探す旅に出た

既に母親が死んでいるとも知らずに

写真と名前しか分からない母を求めて1人歩き回り

世界中の隅々まで探したが見つかる事はなかった

ただ母に愛されたかった。それだけなのに

疲れ切った彼女は仰向けに寝転んで星を眺め

このまま永遠の眠りにつこうとしたが

変な親子に出会いうざ絡みされた

無駄にテンションが高い水色の髪の女と

水色と桃色を混ぜた奇抜な髪色をした娘に

無理矢理別の世界に連れてこられた

 

ーーー

 

『そしてこの世界で生きる意味を見つけた』

 

『そっか……その……確信して言える事は……

セツちゃんの母親は君の幸せを願っていると思う』

 

『そうかな。それなら嬉しい』

 

『だからさ、もしお母さんに会えた時の為に

してもらいたい事とか決めておくのはどう?

それも生きる楽しみになると思うよ』

 

『してもらいたい事……愛されたい』

 

『いいねいいね』

 

『沢山撫でてもらいたい。離れないでほしい』

 

『うんうん。その調子だよ』

 

『だから私を撫でて。ユメお母さん』

 

『………』

 

『撫でて』

 

『どうして私だけ他の子よりも設定が重いの』




ややこしいので補足を置いておきます

①セツが産まれたのは夢世界で黒服に拉致られたユメが後輩に救出されず衰弱しきって自害してしまった可能性の世界です

②彼女がテラー化している理由は黒服による実験の過程でユメの神秘が反転していた事による弊害

③セツは母親が死んでいる事を知らないので別の世界で出会ったテラーちゃんと本当な母親だと思っている

④何故セツだけこのような重い設定にしたのか。それは私がテラーちゃんに歪んだ感情をぶつけているからです
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