例えばこんなゲマトリアの日常 作:スカイブルーホワイトヘアー
生命の気配を感じなくなった後は
別の世界を破壊しに行けと
頭の中で響く声に指示をされて
気がついたらこの世界と別の世界を繋ぐ
時空の裂け目が出来ていた
私は後輩達の思い出の品を砂の上に置き
自らが居た世界を後にした
裂け目を通った先の世界では
別の世界に居た悪い大人があの時の
黒い男に瓜二つだったので
恐怖を見せてやろうと、殺してやると
憎悪に身を任せて襲撃した
他の大人は後で殺せばいい
今は目の前に居る憎たらしい存在を
消し去ろうとショットガンを放った
しかしそんな大人を守る盾が現れる
それはどんなに願っても逢えなかった
桃色の髪を靡かせて私の前に立ち塞がる
ロングヘアーになった彼女は
私が夢見た後輩の生きる姿
昔の私が持っていた盾を構えて
こちらを見て動揺する彼女
ーー嗚呼、あいつに操られているんだ
そう確信した私は彼女を保護しようと
洗脳を解こうと悪い大人の醜さを、本性を
彼女に伝えるように話した
意外にも悪い大人はそれを否定せず
受け入れた上で話を続けようとしたが
彼女は目を覚ましたのか大人を拒絶した
良かった。これで彼女は救われる
もう悪い大人に利用されなくていいんだ
別世界の君とは分かっていても
同じ姿の彼女が幸せな方向へ行けるなら
私はどんな悪事でも働くつもりだ
その後驚くフリをしている大人を無視して
彼女、ホシノを連れて拠点に戻った
この世界も色彩によって滅ぼされてしまう
けれど彼女だけは救われるべきだと思い
色彩の意思に抗って無理矢理連れてきたのだ
彼女は信じていた人に裏切られたショックで
とても疲弊していたので寝室に連れて行き
充分な睡眠をするようにと勧めた
そして元気になった暁には
君の話を聞きたいなと妄想しつつ
少しボロくなった鯨の抱き枕を
彼女に渡して休ませる事に成功した
その間に全てを終わらせておこう
悪い大人が蔓延るこの世界なんて
無価値で必要のない存在なのだから
世界の終わりを見届けようと
赤い空を眺めていたら下が騒がしい
……あいつだ。やはり現れた
憎たらしい黒い男は性懲りもなく
塔の内部に侵入していた
見覚えのある4人を連れて
この男はどれだけ私の逆鱗に触れるのだ
やはり殺さなければならない
あいつは存在してはいけないんだ
だから私は真っ先にそいつの元へ転移した
軽く昔話を添えて挨拶をするとそいつは
「ホシノは何処に居るのですか?」
と一丁前に聞いてきた
それをお前が知る必要はない
何故ならお前はここで死ぬのだから
結果は目に見えるように理解していた
所詮悪い大人とはいえただの人間
恐怖に染まりきった私の相手にはなれない
何度でも立ち上がるそいつに対して
うんざりした私は終わらせようと
本気の一撃を喰らわせようとした
しかし私の攻撃は知らない二人の少女が
険しい顔をしながらも受け止めていた
……どうしてそんな人間を庇うのだろう
やっぱり洗脳しているのだろうか
あの男はどれだけの人間を洗脳したのか
ならば目の前に居る子の洗脳も解かなければ
どういう理由か唐突に強くなった少女は
あいつを守ろうと私に対して戦いを挑んだ
確かに彼女は強い。けれど甘すぎる
勇者だかなんだか知らないけれど
私達に残機はないんだよ
一度死んだらもう生き返れない
そんな簡単な事も分からないひよっこが
私に勝とうなんて100年早い
実力が互角?馬鹿にしないでほしい
一方的に嬲るように攻撃を与える事だって
今の私なら可能なのだから
そのまま攻撃を続けても良かったのだけど
突然嫌な予感がした私は戦いを止めて
ホシノが休んでいる部屋に戻った
そこに居たのは私のように恐怖に染まり
身体が宇宙のような色合いになっている
悲しき後輩の姿だった
……ああ、また私はやってしまった
良かれと思ってやった事が
彼女を恐怖に染める原因になったのだろう
もう彼女が苦しむ姿を見たくない
彼女が過ごしたこの世界を破壊したくない
君には笑顔で居てほしい
気づけば私はそう願うようになっていた
だから私は色彩の力を利用して
彼女に存在する恐怖を自らに移した
そして私は彼女にこう願った
『私を殺して』
色彩が世界を破壊するまで時間がない
眷属である私が死ねばきっと破壊が止まる
それで全てが上手くいく
どうせ死ぬなら君の手で殺されたい
そんな想いも少なからずあったと思う
世界を救えて後輩の笑顔と守れて
色彩は滅せて私も死ねる
それぞれのハッピーエンドが達成出来る
私はようやく人の役に立てる
少しでも誇れる先輩になれたかな
ああ、早く私の後輩達に逢いたいな
夢の罪を書いた事で私は全力を出し切りました
ここからは失速するのみです